訂正有価証券報告書-第15期(2024/04/01-2025/03/31)
(2)戦略
当社は、中期経営計画(2022-2025)において、「健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)」、「レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)」、「すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)」の3つをサステナビリティ重点取組項目として定め、地域・社会課題の解決を通じて、サステナビリティ課題に対処するための取組みを進めております。
①健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)
<気候と自然との統合的な戦略>将来の気候変動や生物多様性の損失に関するリスクの変動は、保険業界に多大な影響を与えます。例えば、気候変動が進行すると、温暖化による熱波、干ばつ、森林火災などの災害が頻繁に発生し、その規模も増加する可能性があります。更に、降水パターンにも影響を与えることで豪雨や洪水のリスクが高まるほか、氷河の融解や海水の熱膨張による海面上昇も起きると沿岸地域の浸水リスクが増加します。
日本国内においても、年平均気温の上昇や猛暑日・豪雨の増加などが予想されており、上述のリスクの顕在化や、サプライチェーンの分断による企業活動への影響が見込まれております。
気候変動の深刻化に伴い生物多様性の喪失が危惧されております。生物多様性が失われると、自然が提供する土壌の安定といった生態系サービスが減少することにより、洪水・土砂災害リスクが増加したり、水質浄化の生態系サービスが減少したりすることで水資源の枯渇や水質悪化が進行するといった、農業・工業をはじめ多くの企業活動への影響が見込まれます。
こうした自然災害の頻度と規模が増加することで、保険金の支払いが増加するなど、保険会社の収益性に影響する可能性があります。
このような状況に対応するため、MS&ADグループでは、地球温暖化とそれに伴う自然災害の増加を受け、気候変動への適応と自然資本の保全・回復に統合的に取り組んでいくことが重要と考えております。
国際的な目標であるパリ協定や国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2050年までのネットゼロ達成と2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の方向性が示されており、当社は自然資本の毀損がもたらすリスクを適切に評価し、開示するためのTNFD開示提言にも対応してまいります。
私たちのミッションである「安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ため、ネットゼロとネイチャーポジティブの同時実現を目指し、社会やビジネスモデルの変革を推進してまいります。
a.気候・自然関連のリスクと機会
(a)気候・自然関連のリスク
イ.物理的リスク
MS&ADグループでは、台風や豪雨による風水災のほか、森林火災や雹災など、気候変動に関連する自然災害リスクの増大が既に保険引受において財務的影響をおよぼしております。また、気候だけでなく水資源の枯渇など自然資本関連の様々なリスクによる影響が、社会や事業活動において中長期的に高まっていくと想定されます。

※ 時間軸については、短期:2025年(中期経営計画期間末)、中期:2030年(中間目標の
ターゲットイヤー)、長期:2050年を想定しております。
ロ.移行リスク
MS&ADグループでは、ネットゼロやネイチャーポジティブな社会への移行にあたり、社会の様々な分野での急激な変化による企業活動のリスク(移行リスク)は保険引受や資産運用の収益低下につながる可能性があると考えております。ただ、保険引受では、一部商品を除き、移行リスクを直接補償している保険商品はほとんどないため、影響は限定的と考えております。技術革新や法規制の導入は、保険提供の新たな機会にもなりますが、こうしたニーズに対応できない場合はリスクにもなる可能性があります。
※1 会社役員賠償責任保険の略称。会社役員が役員として行った行為(含む不作為)に起因して
損害賠償請求がなされたことにより、会社役員が負う損害賠償金や争訟費用等を補償
※2 賠償事故が発生した場合のブランドイメージの回復に必要な措置等にかかった費用を補償
ハ.シナリオ分析
(イ)保険引受における物理的リスクの分析
物理的リスクのシナリオ分析として、地球温暖化に伴う台風の変化が保険金支払に与える影響について分析しました。
MS&ADグループは、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が立ち上げたプロジェクトにおいて、保険引受に与える影響が大きい台風やハリケーンの分析を行うグループに参画し、将来、地球温暖化が進展した際に、台風やハリケーンがもたらすリスク量等への影響について検討しました。
4℃シナリオ(RCP8.5)における2050年において、台風の保険金支払は、「勢力」の変化によって約+5%~約+50%、また、「発生頻度」の変化によって約▲30%~約+28%、各々変化する可能性があるという結果になりました。
台風による高潮の変化では、2℃シナリオ(RCP4.5)、4℃シナリオ(RCP8.5)における2030年及び2050年の分析結果は、いずれの場合でも、保険金支払は数%程度増加する可能性があるという結果となりました。
2021年度には、上記の分析とは別に、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)で検討されているシナリオの前提等を参考として、日本銀行・金融庁と連携して、シナリオ分析のエクササイズを実施し、気候変動影響によって勢力が強まった自然災害による保険金支払について分析を行いました。また、上記に加えて、MS&ADグループでは、学術機関と連携した研究プロジェクト等により知見の向上に努めるとともに、気候変動による台風の勢力変化を反映した分析手法を構築するなど、シナリオ分析の精度向上に取り組んでおります。
(ロ)投融資における物理的リスクの分析
MS&ADグループでは気候変動による投融資先の重要拠点の水災被害増加は、運用収益悪化につながる可能性があると考えております。そのため、主要な投資先の資産の物理的リスクの分析を行い、資産運用における気候変動リスクを確認しております。また、投融資先の事業拠点と自然関連の要注意地域との関係性についても分析を行いました。MS&ADグループではお客さまとの取引を通じて気候変動リスクと強い関係性を有しており、投融資(株式・社債・企業融資)ポートフォリオを対象に、気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。
気候変動に起因して洪水、風災等の物理的リスクが増大すると、投融資先の売上や資産に影響を与える可能性があります。そこで、MS&ADグループ投融資ポートフォリオ上位500社を選定し、気候変動による洪水・風災リスクの影響について、株式・社債・企業融資ごとに、売上損害・資産損害の双方を分析しました。
分析の結果、最もリスクが増大する株式の4℃超シナリオにおいて、2050年時点で売上損害、資産損害の影響がそれぞれ5.2%程度(洪水、風災の合計)増大する可能性があることがわかりました。ただし投融資先の売上対比では、投融資ポートフォリオ全体としての影響は限定的と考えられます。
(ハ)自社事業拠点における物理的リスクの分析(洪水)
MS&ADグループの自社事業拠点における気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。
MS&ADグループが保有する国内の主要70拠点の不動産を対象に、気候変動シナリオ下での洪水被害を把握し、気候変動による洪水の浸水被害の増大を分析しました。
年1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは2050年に浸水深が高くなる傾向がありますが、これは気候変動シナリオの分析における不確実性などが原因と考えられます。新たに浸水する可能性がある拠点はありませんでした。
SSP5-8.5シナリオでは、2020年に浸水する可能性があった拠点で、2050年に浸水深が増加する傾向が多く見られます。また、2080年時点では、新たに1拠点が浸水する可能性があることが確認されました。
0.1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは、2080年に新たに浸水する可能性がある拠点が1つ増えると予測されております。SSP5-8.5シナリオでは、2050年には既存の拠点で2m以上の浸水が見られる拠点が増加し、新たに浸水する拠点が1つ増えると予測されております。更に、2080年には新たに浸水する拠点がもう1つ増加する可能性があります。
(ニ)投融資における移行リスクの分析(カーボンコスト)
温室効果ガス排出量に応じた費用を負担する「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)は、温室効果ガス排出量の削減を促す政策として世界で導入が検討されており、企業にとってはカーボンコストの負担が増加するリスクがあります。
MS&ADグループでは温室効果ガス排出量の削減を目的として、再生可能エネルギー契約や省エネルギー設備への投資を行っております。これらの追加コストの支払い及び更新投資の意思決定を行う際に、内部炭素価格を活用して判断しております。
内部炭素価格の設定は、契約切替に伴う追加コストや炭素価格のベンチマークを勘案し、10,000円/t-CO2としております。
移行リスクのシナリオ分析として、将来のカーボンコストによる負担増加がMS&ADグループの投資ポートフォリオに与える影響について分析しております。
分析にあたっては、炭素排出量をはじめとする環境データや気候変動のリスクを分析するツールを使用し、投資先企業が将来負担するカーボンコストに対して、現時点でどの程度支払う能力(カーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)※)があるのかを算出しました。なお、EBIT at Riskが極端に大きくなった投資先のものは外れ値として集計から除外しています。
※ 企業のカーボンコストの将来負担増加分(Unpriced Cost of Carbon:UCC)を企業の利益 (Earnings Before Interest and Taxes:EBIT)で割ったもので、シナリオごとの投資ポートフォリオ
に与える財務的な影響を示しています。
また、TCFDが2℃以下を含む気温上昇シナリオに基づく分析を推奨していることを踏まえ、MS&ADグループでは、次の3つのシナリオに基づいて分析しました。
高位シナリオ:2100年までに気温上昇を2℃未満に抑えるという国際目標(パリ協定)と
整合する十分な政策手段が講じられるシナリオ
中位シナリオ:気温上昇を2℃に抑えるための政策が長期的には講じられるものの、短期的
には政策実施が遅れることを想定したシナリオ
低位シナリオ:各国が自主的に定めた目標を実施するものの、気温上昇が3℃程度となる
シナリオ
なお、分析対象は、MS&ADグループの2023年3月末の投資ポートフォリオのうち、上場企業の国内外株式(時価ベースで約99%をカバー)と国内外社債(簿価ベースで約95%をカバー)としております。また、企業の利益については、財務パフォーマンスの変動を緩和するため直近3ヵ年平均値を用いており、温室効果ガス排出量については、投資先企業が直接排出したスコープ1と、電力などの使用によって間接排出したスコープ2を対象としております。
分析結果は下表のとおりであり、より大きい政策手段が講じられる高位シナリオや中位シナリオでは、カーボンコストの負担が大きくなり、移行リスクが大きくなります。MS&ADグループの2023年3月末の投資ポートフォリオでは、2050年にカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)が、株式では低位シナリオで約8%、中位・高位シナリオで約31%、社債では低位シナリオで約14%、中位・高位シナリオで約48%程度となる可能性があるとの分析結果となりました。
【MS&ADグループカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)】
<株式(2023年3月末時点)>
<社債(2023年3月末時点)>
この分析は、投資先企業における現在の温室効果ガス排出量をもとに実施したものであります。
投資先企業が脱炭素の取組みを進めていけば、その投資先企業が負担するカーボンコストは低下し、将来のカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)も低減が見込まれます。
シナリオ分析に関する詳細の内容は、MS&ADホールディングスの「グリーンレジリエンスレポート2024」を参照ください。
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/main/05/teaserItems1/01/link/greenresiliencereport2024.pdf
ニ.リスク評価に対する不確実性の存在
(イ)気候予測モデルの不確実性
複数の気候予測モデルを比較・評価し、その結果を統合することで気候変動に関する科学的理解を深めることを目的とする国際的なプロジェクトのCMIP(Coupled Model Intercomparison Project)は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書においても、気候予測やシナリオ分析のためのデータ提供を行っておりますが、その気候予測モデルには以下のような不確実性を内包しております。
このように、IPCCの評価報告書に提供される気候モデルにおいても複数の不確実性が存在し、最も温暖化が進行するシナリオ(RCP8.5/SSP5-8.5)における分析結果においてもなお、その影響が上振れする可能性があることを認識しております。
(ロ)洪水対策後の被害額に関する不確実性
MS&ADグループが有するポートフォリオに対して、特に影響が大きい自然災害は洪水でありますが、適応策(洪水に対する防止対策)を実施した後においても、気候変動や社会経済の発展状況によっては洪水被害が現在の被害額よりも増加してしまうという「適応の限界」が生じる可能性があります。これは洪水を防御するための構造物を建設する間に発生する洪水被害などが大きいためであり、できるだけ早期に適応策の実施を意思決定することと、そのための資金確保が重要なことが明らかになっております。
MS&ADグループはこれらの点を考慮し、自然災害発生時の被害を回避するために要した費用を補償する「災害時車両緊急避難特約」などを開発しております。
(ハ)土砂災害における被害額に関する不確実性
多様な生態系によって、私たちは洪水緩和や土壌・堆積物保持といった生態系サービスを享受しております。しかし、将来的に生物多様性が失われることで、こうしたサービスが得られずに被害を受けるリスクがあります。
例えば、森林には降雨時における表層崩壊の発生を抑制するという土砂災害防止機能があります。この機能は、森林の成熟あるいは劣化に伴って向上または低減します。また、成熟した森林は若い森林と比較して、より規模の大きい豪雨に対しても土砂災害防止機能を発揮できますが、一方で、土砂災害が発生した場合の流木量は成熟した森林の方が大きくなることがあります。
日本は国土の67%が森林であり、そのうちの約4割は成熟した状態にある人工林であることに加え、前述のように、気候変動による豪雨の増加が予想されることから、今後は土砂災害における損害額の増加が見込まれるものの、そのリスク量の大きさは想定できていない可能性があります。
MS&ADグループはこれらの点を考慮した森林整備なども含めた流域治水が重要であると考えており、熊本県で土砂災害の防災・減災に貢献する球磨川流域における「緑の流域治水プロジェクト」や“熊本のウォーターポジティブ実現のための取組み”などの「グリーンレジリエンス※」の取組みを進めております。
※MS&ADグループは、自然の恵みを生かし、生物多様性を守りながら、脱炭素化を進め、自然災害の被害を和らげ、その魅力で地域も活性化する好循環を生み出す考え方を2015年から「グリーンレジリエンス」と称し、自然環境の保全・回復活動や、自治体・大学との共同活動に取り組んできました。
(b)気候・自然関連の機会
MS&ADグループは、特定した気候・自然関連の物理的リスク、移行リスクを踏まえ、リスクそのものの発生を抑制するとともに、リスクを引き起こす要因となる社会課題の解決に力を注いでおります。
※Nature-based Solutions:自然の力を利用して解決策を導き出すこと
(c)気候・自然関連のリスクと機会によるビジネスモデル、バリュー・チェーン(保険引受先・投融資先)への影響
MS&ADグループのビジネスモデルは、2 サステナビリティに関する考え方及び取組み、MS&ADグループの価値創造ストーリーとビジネスモデルのとおり、保険・金融サービスにより「リスクを見つけ伝える」「リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする」「経済的な負担を小さくする」という活動を通じて、社会課題へのソリューションを提供することであります。
気候変動による自然災害の頻発化・激甚化、生態系の喪失による気候変動への適応・緩和能力の低下は、支払保険金の増加につながり、MS&ADグループの収益に大きな影響を与えます。
また、当社のバリュー・チェーンを形成する保険引受先と投融資先にも上記(a)のイ.物理的リスク、ロ.移行リスクのとおり、影響を与えます。
一方、気候変動への対応には、保険引受先・投融資先をはじめ社会全体において大幅な投資が見込まれております。上記(b)のとおり、外部環境に応じたMS&ADグループの機会が考えられます。例えば、再生可能エネルギーへの移行や省エネルギー技術の採用による設備投資、防災・減災を目的としたグリーンインフラへの投資等が考えられ、このような成長マーケットへのリスクソリューション提供はMS&ADグループの機会となっております。
b.気候・自然関連のリスクと機会を踏まえた取組み
(a)リスクを見つけ伝える
イ.「リスクを見つけ伝える」取組み ~サステナビリティを考慮した事業活動~
MS&ADグループは、「サステナビリティの考え方」に基づき、サステナビリティを考慮した事業活動を実践し、ステークホルダーとともに社会課題の解決をめざしております。保険引受・投融資においては、環境・社会に負の影響を与えるリスクを評価・分析し、取引先とともにリスク低減に取り組んでおります。リスクの評価にあたっては、国際協力銀行(JBIC)の「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」や国際金融公社(IFC)の「パフォーマンススタンダード」等を参考に、気候・自然関連の物理的リスク及び移行リスクに加え、脱炭素化に向け、急速に普及が進む再生可能エネルギー事業や未開拓の場所への大規模な開発を伴う新規の農林水産事業における自然や地域社会への影響、先住民の権利に関するリスク等を評価・分析しております。発見されたリスクに対する予防・低減、課題の解決に貢献する商品やリスク・コンサルティングサービスの提供を通じ、ネットゼロ、ネイチャーポジティブを支援しております。
ロ.気候・自然関連リスク・機会の分析、評価と情報開示の支援
MS&ADインターリスク総研株式会社では、気候・自然関連の物理的リスクと移行リスクを評価・分析し、情報開示を支援するサービスを提供しております。特に気候変動の物理的リスクの定量的な評価は、先進的な知見をもつ社外の組織と連携し注力してまいりました。2020年に米国のスタートアップと連携しAIを活用した気候変動影響評価をもとに、将来の多様な自然災害リスクを全世界対象に90m四方の精度で定量評価するサービスを開始しております。また2018年に開始したプロジェクトでは、全世界の高精度な浸水深分布の推定を実現し、その成果をコンサルティングに活用しております。また、2023年度から全世界の洪水リスク評価が可能なSaaS型プラットフォーム「洪水リスクファインダー」の提供を行っております。
自然関連のリスクについては、直接の事業活動だけでなく、原材料調達などを含むバリュー・チェーン全体を対象とする必要があります。事業が接点を持つ各地域の自然・生態系の状態や、事業のあり方によって異なることから、分析・評価には、地域単位の科学的な評価・分析を行うことが重要であり、MS&ADグループは、2022年に自然資本ビッグデータを有する企業と提携するなど、画期的な技術をもつ企業との実証を重ねながら、全般的な支援に加え、都市不動産向けや淡水資源にフォーカスしたTNFD開示支援など、自然との接点が特に強い業種に焦点を当てた支援を提供しております。
ハ.ネイチャーポジティブへの移行を後押しするコレクティブアクション
地域の課題解決に向け、自然への依存の内容・度合いや、土地利用の変化による自然へのインパクトを踏まえ、ネイチャーポジティブに向けた明確な目標を共有することが重要であり、効果的な対策を立案し、様々なステークホルダーによる協働(コレクティブアクション)を進める必要があります。MS&ADグリーンアースプロジェクトでは、全国3ヵ所での自然環境の保全・再生活動を通して、研究機関と連携し、地域の事業者、NPOなどを巻き込み、ネイチャーポジティブに向けたコレクティブアクションを推進しております。ネイチャーポジティブの実現と自然を活用した防災・減災、水資源の涵養などの課題解決を進め、安心・安全で活力ある地域モデルの構築をめざしております。
(b)リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする
イ.保険引受・投融資を通じた取組み
<保険引受先・投融資先に係る温室効果ガス排出量削減目標と対話>MS&ADグループは、保険引受先及び投融資先に係る温室効果ガス排出量の削減について、2030年までの中間目標を設定しております。
削減率目標とその進捗については(4)指標及び目標をご覧ください。
目標達成に向け、2023年度より、温室効果ガス排出量削減をはじめとするサステナビリティの課題に関する保険引受先との対話活動を開始しました。従来も、CSV取組として、サステナビリティの重点課題の解決に向けた保険引受先への商品・サービスの提案活動を行っておりますが、2023年度からは、サステナビリティ課題に完全にフォーカスした対話活動を新たに開始しております。対話を通じ、保険引受先のサステナビリティ課題を把握し、課題解決に向けたソリューション提案を進めております。取組みの推進にあたり、代理店・ブローカーともサステナビリティ課題の解決に向けたソリューション提案に関する対話を開始しております。
ロ.投融資を通じた脱炭素社会の支援
MS&ADグループは、投融資先企業の温室効果ガス排出量削減に向けて、気候変動に対応した対話取組の推進、太陽光・風力・バイオマスといった再生エネルギーの発電所建設に係るプロジェクトファイナンスやファンドへの投融資を行っております。
また、当社、三井住友海上火災保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社が合同で気候変動を中心とするインパクトファンドへの投資の実行とともにノウハウ構築も進めております。
気候変動に対応した対話に関しては、投資先企業の気候変動対応の組織体制、温室効果ガス排出量削減目標に向けた取組み、技術革新計画や課題の把握等に取り組んでおります。
ハ.MS&ADグループの温室効果ガス排出量削減取組
MS&ADグループは、2010年度に温室効果ガス排出量削減の中長期目標を設定し、事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいりました。2020年度には当初の温室効果ガス排出量削減目標(2009年度基準比30%削減)を達成し、2021年5月、パリ協定に沿った新たな目標を設定しました。新たな目標では、温室効果ガス排出量を2050年度ネットゼロとし、2030年度の中間目標と再生可能エネルギー導入率目標も設定しました。
自社のオフィスビルへの最新鋭の省エネルギー設備の導入や太陽光発電設備の設置、社有車の低燃費車両への入替え等により、エネルギー使用量の削減と再生可能エネルギーの導入を進めております。また、リモートワークや在宅勤務、オンライン会議の積極的な活用など、ビジネススタイルの変革は、社員のWell-beingの実現とともに、社員の移動やオフィススペースを削減することで、ガソリンや電力の使用量の削減につながり、通勤や出張に係るエネルギーの削減、いわゆるスコープ3の温室効果ガス排出量削減につながります。保険契約のお申込み、保険金のご請求手続、各種お知らせ等をWeb化といったビジネスプロセス改革も、紙の使用量の削減といった自然への負荷軽減と同時にスコープ3削減として取り組んでおります。
ニ.気候・自然関連のイニシアティブ・アライアンスへの参加
ネットゼロ、ネイチャーポジティブに向けた取組みは、科学的知見に基づき、社会全体の移行を進めることが不可欠であり、研究の推進と、ビジネスにおける基準やルールづくり、推進体制の構築が鍵をにぎります。MS&ADグループは、学術機関との共同研究に積極的に参加するとともに、気候・自然関連のイニシアティブやアライアンスへの参加、また自らが連携の仕組みを主体的に構築するなど、様々なステークホルダーとともに社会の移行に積極的に取り組み、「レジリエントでサステナブルな社会」をめざしております。こうした移行プロセスにおけるステークホルダーとの接点強化やペインポイントの発見を、新たなマーケットの開拓や保険・サービスの開発につなげ、あるべき社会の創造とMS&ADグループの持続可能な成長のシナジー創出に取り組みます。
グループ会社がそれぞれに様々な研究機関と共同研究を行っておりますが、特に気候や自然に関連して次の研究プロジェクトに参画しております。
(c)経済的な負担を小さくする
イ.気候変動の適応に貢献する商品・サービスの開発・提供
住宅や事業所向けの火災保険に付帯される「水災補償」は、洪水などによる建物や家財、設備等の損害を補償します。迅速な損害補償は、被災者の生活再建を支援する上で極めて重要であります。「天候デリバティブ」は、異常気象や天候不順による売上の減少やコストの増加といった企業の損失を回避・軽減し、収益の安定化を図ります。オーストラリアでは、オンラインでリアルタイムに保険見積りを実施できる「農家向け天候インデックス保険プラットフォーム」をインシュアテックの技術を活用して提供し、迅速かつ簡便に補償を得ることが可能になると考えております。また、保険市場が十分に発達していない国々では一定規模の自然災害が発生した場合、復旧や復興は困難を極め、更なる貧困や政情不安につながる可能性があり、世界銀行等の国際機関と連携し、公的自然災害補償制度への参画を通じて、こうした国々へ復興資金の迅速な提供に貢献しております。
ロ.自然災害の補償・保障前後への取組拡大
MS&ADグループでは、頻発する自然災害に対して、「リアルタイム被害予測ウェブサイト・アプリcmap」等のサービスを通じて、地域の防災減災活動を支援しております。国内初の降雹の予測情報を通知するアラートサービスは、降雹発生確率が高まっているエリアのサービス利用者に対し、プッシュ型のアラートを配信することで、雹災による被害の回避・軽減に貢献しております。

また、実証実験中の「内水氾濫予測システム」は、都市部で頻発する内水氾濫を予測し、住民の避難や浸水対策に役立て、被害の軽減をめざします。
さらに、被災された方々の生活再建を早期に支援すべく、補償後サービスとして、罹災証明書の迅速な発行や交付事務の効率化を支援しております。
こうした様々なサービスや地域の防災減災活動を実装するため、代理店等と連携した「防災パートナー」制度を運営しております。MS&ADグループが核となり、地域特性に応じた防災活動を行う代理店等と連携し、自治体や災害支援組織との協力体制を構築し、地域の防災力の向上とともに、お客さまとの接点強化による事業機会の創出につなげます。
ハ.保険商品を通じた、ネットゼロ、ネイチャーポジティブ移行への支援
MS&ADグループでは、再生可能エネルギー事業に伴うリスクの補償など、ネットゼロ、ネイチャーポジティブへの移行に向けた企業の事業を支援する保険を提供しております。
自然災害でJ-クレジットを創出する予定だった機器が被災した場合、その販売収益の減少を補償する保険を提供しております。また、脱炭素を支援するため、追加費用を補償する特約も開発しております。従来の保険は、元の状態に復旧する費用までしか保険金をお支払いできませんでしたが、「Build Back Better※」の考えを踏まえ、ネットゼロ社会への移行を後押ししております。「カーボンニュートラルサポート特約」は、被災建物の復旧時にCO2排出量削減設備の導入費用を補償し、「電気自動車(EV)等買替費用特約」は、ガソリン車が事故により大きな損害を被り、EV等へ買い替える場合に発生する費用を補償します。
ネイチャーポジティブへの移行において、資源利用の削減は重要な要素であり、循環経済(サーキュラーエコノミー)の推進が不可欠と考えております。「衣料品循環費用補償(燃やさない保険)」は、アパレル業界の大量廃棄の社会課題を受け、衣料品メーカーや販売店が損害を受けた際、リサイクルに係る費用を補償し、衣料品の循環利用を支援します。また、自動車の修理においてはお客さまとともにリサイクル部品の活用に取り組んでおり、循環経済の実現に貢献しております。
自然資本や生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスとして、「海洋汚染対応追加費用補償特約」では、従来、補償の対象外であった船舶運航者の社会的責任を補完するため、自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用を補償しており、「再造林等費用補償特約(フォレストキーパー)」では、罹災した森林の保全と再生に向けた再造林費用を補償しております。また、熊本県阿蘇地方の草原維持に欠かせない「野焼き」による延焼リスクを補償する保険制度も提供しております。一部では、延焼リスクの手当が得られず、中断を余儀なくされていましたが、MS&ADグループの「野焼き保険」提供により、阿蘇の自然や歴史に密接に結びついた伝統は維持され、農畜産物を育み、豊富な水資源の保全などに貢献しております。
※ 災害発生後の復興段階において、元の状態に戻すだけでなく、より強靱な対策を講じてまちづくりを実現するという、防災分野で提唱されている概念。
②レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)
a.リスク及び機会
MS&ADグループはイノベーションの進展や産業構造の変化などに伴う新しいリスクの発現、感染症の拡大、自然災害や大規模地震、地域産業の衰退などの社会課題を重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」と位置づけております。これらは取引先の事業活動におけるリスクにもなり、当社においても保険金支払の増加や保険料収入の減少につながります。
一方、増加するサイバーリスクや、新たに発現しているAI、宇宙開発、拡張・仮想現実などでのリスクへの対処は、当社事業における機会でもあると考えております。
b.リスク及び機会に対処するための取組み
イ.社会の変革に伴い発現する新たなリスクへの対応
・2024年7月、EVが公道で電池切れを起こした際の「電欠現場駆け付け充電サービス」のトライアルを開始しました。将来的なEVのさらなる普及を見据え、ロードサービスの拡充を通じてEVユーザーの不安解消へつなげるとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
ロ.データ分析やAIを活用した防災・減災
・2023年9月、株式会社JX通信社との共同開発により、自然災害発生時の被災建物棟数をリアルタイムで予測する「cmap」アプリに、事件・事故などに関するSNS投稿情報を地図上に表示する機能と、ユーザーが地域で発生した各種リスク情報をアプリに直接投稿できる機能をリリースしました。
・2024年6月、個人のお客さま向けに降雹の危険をお知らせする「雹(ひょう)災緊急アラート」の提供を開始しました。個人向けの自動車保険や火災保険で登録されている契約者住所において降雹リスクが高まった際、事前アラートや防災につながるアドバイスをSMSで配信し、被害の回避行動を促します。
ハ.持続可能な地域・社会づくりの推進(地方創生の推進等)
・MS&ADグループは、自治体や研究者、地域のNPOと協働し、自然環境を再生して保全する「MS&ADグリーンアースプロジェクト」に取り組んでおり、社員と家族が参加しております。
・自治体と連携して水災時に罹災証明書の発行手続を支援する「被災者生活再建支援サポート」サービスを提供しております。
③すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)
a.リスク及び機会
MS&ADグループは、高齢化・少子化の進展、人権侵害・多様性の排除、貧困・格差拡大といった社会課題を重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」と位置づけており、これらは、人口減少や少子高齢化の進展による国内保険市場の中長期的な成長鈍化や企業価値の毀損等、MS&ADグループの事業活動にとってもリスクとなります。
一方、自治体や地域企業、金融機関等と連携した地方創生取組は当社事業における機会になると考えております。また、人権デュー・ディリジェンスの推進・支援や、女性、高齢者、障がい者、LGBTQのお客さまの保険・金融アクセス向上など、課題解決に向けた取組みは、MS&ADグループ事業の中期的な成長実現につながる機会と考えております。
b.リスク及び機会に対処するための取組み
イ.健康関連の社会課題解決につながる商品・サービスの提供
ロ.地域の認知症予防啓発活動(認知症予防体験セミナーの開催等)
ハ.スポーツ支援、パラスポーツ支援、地域におけるスポーツ振興活動
ニ. 社員の知識、理解向上のための認知症サポーター養成講座の受講推進
ホ. 人権尊重の推進
・MS&ADグループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠した、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、幅広いステークホルダーとの対話をとおして得られた意見を反映しております。
・2024年12月に、グループ人権基本方針の下にカスタマーハラスメントに関する規定・マニュアルを整備し、MS&ADグループの国内規定体系を統一しました。これに基づき、社員の人権を守るため毅然とした姿勢で取り組んで行くことを公表するとともに、社員への理解浸透を促す研修を実施しております。
・2024年度は、MS&ADグループのバリュー・チェーンとステークホルダーから人権リスクの発生する接点を整理し直し、2021年度の評価の結果、特定した3つの重点課題の枠組みはそのままに、具体的かつ的確な対応ができるよう、「公平・公正なお客さま対応」、「代理店・委託先、保険引受先・投融資先における人権対応の考慮」、「社員の心身の健康への配慮と安心安全な職場環境の実現」に名称変更しました。
・海外拠点では、国・地域によって抱える課題が異なるため、2022年6月に実施した海外拠点向けアンケート結果をもとに、各国の人権リスク対応状況を確認したうえで、予防・改善策やモニタリング方法を定めて人権尊重取組を推進しております。
・従来から対策を進めている人権リスクに加えて、LGBTQのお客さまへの対応、テクノロジー・AIに関する人権侵害への対応、外部委託先・代理店の人権課題に対する認識度の引上げ・人権尊重取組推進の支援に取り組み、継続的に防止・軽減に努めております。
・人権課題の救済については、自社社員を対象とした内部通報制度の継続整備に加え、2023年7月からは、外部委託先向けの第三者プラットフォームを活用した救済窓口を開設しました。2024年11月からは利用対象を全保険代理店に拡大しております。
当社は、中期経営計画(2022-2025)において、「健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)」、「レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)」、「すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)」の3つをサステナビリティ重点取組項目として定め、地域・社会課題の解決を通じて、サステナビリティ課題に対処するための取組みを進めております。
①健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)
<気候と自然との統合的な戦略>将来の気候変動や生物多様性の損失に関するリスクの変動は、保険業界に多大な影響を与えます。例えば、気候変動が進行すると、温暖化による熱波、干ばつ、森林火災などの災害が頻繁に発生し、その規模も増加する可能性があります。更に、降水パターンにも影響を与えることで豪雨や洪水のリスクが高まるほか、氷河の融解や海水の熱膨張による海面上昇も起きると沿岸地域の浸水リスクが増加します。
日本国内においても、年平均気温の上昇や猛暑日・豪雨の増加などが予想されており、上述のリスクの顕在化や、サプライチェーンの分断による企業活動への影響が見込まれております。
気候変動の深刻化に伴い生物多様性の喪失が危惧されております。生物多様性が失われると、自然が提供する土壌の安定といった生態系サービスが減少することにより、洪水・土砂災害リスクが増加したり、水質浄化の生態系サービスが減少したりすることで水資源の枯渇や水質悪化が進行するといった、農業・工業をはじめ多くの企業活動への影響が見込まれます。
こうした自然災害の頻度と規模が増加することで、保険金の支払いが増加するなど、保険会社の収益性に影響する可能性があります。
このような状況に対応するため、MS&ADグループでは、地球温暖化とそれに伴う自然災害の増加を受け、気候変動への適応と自然資本の保全・回復に統合的に取り組んでいくことが重要と考えております。
国際的な目標であるパリ協定や国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2050年までのネットゼロ達成と2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の方向性が示されており、当社は自然資本の毀損がもたらすリスクを適切に評価し、開示するためのTNFD開示提言にも対応してまいります。
私たちのミッションである「安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ため、ネットゼロとネイチャーポジティブの同時実現を目指し、社会やビジネスモデルの変革を推進してまいります。
a.気候・自然関連のリスクと機会
(a)気候・自然関連のリスク
イ.物理的リスク
MS&ADグループでは、台風や豪雨による風水災のほか、森林火災や雹災など、気候変動に関連する自然災害リスクの増大が既に保険引受において財務的影響をおよぼしております。また、気候だけでなく水資源の枯渇など自然資本関連の様々なリスクによる影響が、社会や事業活動において中長期的に高まっていくと想定されます。

※ 時間軸については、短期:2025年(中期経営計画期間末)、中期:2030年(中間目標の
ターゲットイヤー)、長期:2050年を想定しております。
ロ.移行リスク
MS&ADグループでは、ネットゼロやネイチャーポジティブな社会への移行にあたり、社会の様々な分野での急激な変化による企業活動のリスク(移行リスク)は保険引受や資産運用の収益低下につながる可能性があると考えております。ただ、保険引受では、一部商品を除き、移行リスクを直接補償している保険商品はほとんどないため、影響は限定的と考えております。技術革新や法規制の導入は、保険提供の新たな機会にもなりますが、こうしたニーズに対応できない場合はリスクにもなる可能性があります。
※1 会社役員賠償責任保険の略称。会社役員が役員として行った行為(含む不作為)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、会社役員が負う損害賠償金や争訟費用等を補償
※2 賠償事故が発生した場合のブランドイメージの回復に必要な措置等にかかった費用を補償
ハ.シナリオ分析
(イ)保険引受における物理的リスクの分析
物理的リスクのシナリオ分析として、地球温暖化に伴う台風の変化が保険金支払に与える影響について分析しました。
MS&ADグループは、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が立ち上げたプロジェクトにおいて、保険引受に与える影響が大きい台風やハリケーンの分析を行うグループに参画し、将来、地球温暖化が進展した際に、台風やハリケーンがもたらすリスク量等への影響について検討しました。
4℃シナリオ(RCP8.5)における2050年において、台風の保険金支払は、「勢力」の変化によって約+5%~約+50%、また、「発生頻度」の変化によって約▲30%~約+28%、各々変化する可能性があるという結果になりました。
台風による高潮の変化では、2℃シナリオ(RCP4.5)、4℃シナリオ(RCP8.5)における2030年及び2050年の分析結果は、いずれの場合でも、保険金支払は数%程度増加する可能性があるという結果となりました。
2021年度には、上記の分析とは別に、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)で検討されているシナリオの前提等を参考として、日本銀行・金融庁と連携して、シナリオ分析のエクササイズを実施し、気候変動影響によって勢力が強まった自然災害による保険金支払について分析を行いました。また、上記に加えて、MS&ADグループでは、学術機関と連携した研究プロジェクト等により知見の向上に努めるとともに、気候変動による台風の勢力変化を反映した分析手法を構築するなど、シナリオ分析の精度向上に取り組んでおります。
(ロ)投融資における物理的リスクの分析
MS&ADグループでは気候変動による投融資先の重要拠点の水災被害増加は、運用収益悪化につながる可能性があると考えております。そのため、主要な投資先の資産の物理的リスクの分析を行い、資産運用における気候変動リスクを確認しております。また、投融資先の事業拠点と自然関連の要注意地域との関係性についても分析を行いました。MS&ADグループではお客さまとの取引を通じて気候変動リスクと強い関係性を有しており、投融資(株式・社債・企業融資)ポートフォリオを対象に、気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。
気候変動に起因して洪水、風災等の物理的リスクが増大すると、投融資先の売上や資産に影響を与える可能性があります。そこで、MS&ADグループ投融資ポートフォリオ上位500社を選定し、気候変動による洪水・風災リスクの影響について、株式・社債・企業融資ごとに、売上損害・資産損害の双方を分析しました。
分析の結果、最もリスクが増大する株式の4℃超シナリオにおいて、2050年時点で売上損害、資産損害の影響がそれぞれ5.2%程度(洪水、風災の合計)増大する可能性があることがわかりました。ただし投融資先の売上対比では、投融資ポートフォリオ全体としての影響は限定的と考えられます。
(ハ)自社事業拠点における物理的リスクの分析(洪水)
MS&ADグループの自社事業拠点における気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。
MS&ADグループが保有する国内の主要70拠点の不動産を対象に、気候変動シナリオ下での洪水被害を把握し、気候変動による洪水の浸水被害の増大を分析しました。
年1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは2050年に浸水深が高くなる傾向がありますが、これは気候変動シナリオの分析における不確実性などが原因と考えられます。新たに浸水する可能性がある拠点はありませんでした。
SSP5-8.5シナリオでは、2020年に浸水する可能性があった拠点で、2050年に浸水深が増加する傾向が多く見られます。また、2080年時点では、新たに1拠点が浸水する可能性があることが確認されました。
0.1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは、2080年に新たに浸水する可能性がある拠点が1つ増えると予測されております。SSP5-8.5シナリオでは、2050年には既存の拠点で2m以上の浸水が見られる拠点が増加し、新たに浸水する拠点が1つ増えると予測されております。更に、2080年には新たに浸水する拠点がもう1つ増加する可能性があります。
(ニ)投融資における移行リスクの分析(カーボンコスト)
温室効果ガス排出量に応じた費用を負担する「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)は、温室効果ガス排出量の削減を促す政策として世界で導入が検討されており、企業にとってはカーボンコストの負担が増加するリスクがあります。
MS&ADグループでは温室効果ガス排出量の削減を目的として、再生可能エネルギー契約や省エネルギー設備への投資を行っております。これらの追加コストの支払い及び更新投資の意思決定を行う際に、内部炭素価格を活用して判断しております。
内部炭素価格の設定は、契約切替に伴う追加コストや炭素価格のベンチマークを勘案し、10,000円/t-CO2としております。
移行リスクのシナリオ分析として、将来のカーボンコストによる負担増加がMS&ADグループの投資ポートフォリオに与える影響について分析しております。
分析にあたっては、炭素排出量をはじめとする環境データや気候変動のリスクを分析するツールを使用し、投資先企業が将来負担するカーボンコストに対して、現時点でどの程度支払う能力(カーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)※)があるのかを算出しました。なお、EBIT at Riskが極端に大きくなった投資先のものは外れ値として集計から除外しています。
※ 企業のカーボンコストの将来負担増加分(Unpriced Cost of Carbon:UCC)を企業の利益 (Earnings Before Interest and Taxes:EBIT)で割ったもので、シナリオごとの投資ポートフォリオ
に与える財務的な影響を示しています。
また、TCFDが2℃以下を含む気温上昇シナリオに基づく分析を推奨していることを踏まえ、MS&ADグループでは、次の3つのシナリオに基づいて分析しました。
高位シナリオ:2100年までに気温上昇を2℃未満に抑えるという国際目標(パリ協定)と
整合する十分な政策手段が講じられるシナリオ
中位シナリオ:気温上昇を2℃に抑えるための政策が長期的には講じられるものの、短期的
には政策実施が遅れることを想定したシナリオ
低位シナリオ:各国が自主的に定めた目標を実施するものの、気温上昇が3℃程度となる
シナリオ
なお、分析対象は、MS&ADグループの2023年3月末の投資ポートフォリオのうち、上場企業の国内外株式(時価ベースで約99%をカバー)と国内外社債(簿価ベースで約95%をカバー)としております。また、企業の利益については、財務パフォーマンスの変動を緩和するため直近3ヵ年平均値を用いており、温室効果ガス排出量については、投資先企業が直接排出したスコープ1と、電力などの使用によって間接排出したスコープ2を対象としております。
分析結果は下表のとおりであり、より大きい政策手段が講じられる高位シナリオや中位シナリオでは、カーボンコストの負担が大きくなり、移行リスクが大きくなります。MS&ADグループの2023年3月末の投資ポートフォリオでは、2050年にカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)が、株式では低位シナリオで約8%、中位・高位シナリオで約31%、社債では低位シナリオで約14%、中位・高位シナリオで約48%程度となる可能性があるとの分析結果となりました。
【MS&ADグループカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)】
<株式(2023年3月末時点)>
| 低位シナリオ | 中位シナリオ | 高位シナリオ | |
| 2030年 | 4.5% | 13.2% | 18.2% |
| 2040年 | 7.2% | 22.1% | 27.5% |
| 2050年 | 8.4% | 31.1% | 31.1% |
<社債(2023年3月末時点)>
| 低位シナリオ | 中位シナリオ | 高位シナリオ | |
| 2030年 | 7.8% | 21.5% | 29.1% |
| 2040年 | 12.0% | 34.9% | 42.9% |
| 2050年 | 13.9% | 48.4% | 48.4% |
この分析は、投資先企業における現在の温室効果ガス排出量をもとに実施したものであります。
投資先企業が脱炭素の取組みを進めていけば、その投資先企業が負担するカーボンコストは低下し、将来のカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)も低減が見込まれます。
シナリオ分析に関する詳細の内容は、MS&ADホールディングスの「グリーンレジリエンスレポート2024」を参照ください。
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/main/05/teaserItems1/01/link/greenresiliencereport2024.pdf
ニ.リスク評価に対する不確実性の存在
(イ)気候予測モデルの不確実性
複数の気候予測モデルを比較・評価し、その結果を統合することで気候変動に関する科学的理解を深めることを目的とする国際的なプロジェクトのCMIP(Coupled Model Intercomparison Project)は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書においても、気候予測やシナリオ分析のためのデータ提供を行っておりますが、その気候予測モデルには以下のような不確実性を内包しております。
| a.モデルの構造的 不確実性 | 各モデルは異なるパラメータを使用しているため、モデル間で結果が異なることがあります。特に温暖化に伴う雲の温室効果や日傘効果がモデルごとに異なり、これが気候変動予測の不確実性の最大の要因となっています。 |
| b.外部強制力の 不確実性 | 太陽放射、火山活動、人為的な温室効果ガスの排出など、外部強制力の将来の変動に関する不確実性も存在します。 |
| c.内部変動の 不確実性 | 気候システムには自然の内部変動(エルニーニョ現象等)が存在し、これがモデルの予測に影響を与えることがあります。 |
| d.データの 不確実性 | モデルの検証や初期条件の設定に使用される観測データの精度に不確実性が存在します。日本の短時間強雨発生回数の変化に関する気象庁のレポートにおいても、極端な大雨の発生頻度が少ないことや、アメダスの観測時間が比較的短いことから、これらの長期変化傾向を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要であることが示唆されています。 |
| e.スケールの 不確実性 | モデルはグリッドベースで計算を行うため、空間解像度に限界があります。これにより、地域的な気候変動の詳細な予測には限界が生じます。 |
このように、IPCCの評価報告書に提供される気候モデルにおいても複数の不確実性が存在し、最も温暖化が進行するシナリオ(RCP8.5/SSP5-8.5)における分析結果においてもなお、その影響が上振れする可能性があることを認識しております。
(ロ)洪水対策後の被害額に関する不確実性
MS&ADグループが有するポートフォリオに対して、特に影響が大きい自然災害は洪水でありますが、適応策(洪水に対する防止対策)を実施した後においても、気候変動や社会経済の発展状況によっては洪水被害が現在の被害額よりも増加してしまうという「適応の限界」が生じる可能性があります。これは洪水を防御するための構造物を建設する間に発生する洪水被害などが大きいためであり、できるだけ早期に適応策の実施を意思決定することと、そのための資金確保が重要なことが明らかになっております。
MS&ADグループはこれらの点を考慮し、自然災害発生時の被害を回避するために要した費用を補償する「災害時車両緊急避難特約」などを開発しております。
(ハ)土砂災害における被害額に関する不確実性
多様な生態系によって、私たちは洪水緩和や土壌・堆積物保持といった生態系サービスを享受しております。しかし、将来的に生物多様性が失われることで、こうしたサービスが得られずに被害を受けるリスクがあります。
例えば、森林には降雨時における表層崩壊の発生を抑制するという土砂災害防止機能があります。この機能は、森林の成熟あるいは劣化に伴って向上または低減します。また、成熟した森林は若い森林と比較して、より規模の大きい豪雨に対しても土砂災害防止機能を発揮できますが、一方で、土砂災害が発生した場合の流木量は成熟した森林の方が大きくなることがあります。
日本は国土の67%が森林であり、そのうちの約4割は成熟した状態にある人工林であることに加え、前述のように、気候変動による豪雨の増加が予想されることから、今後は土砂災害における損害額の増加が見込まれるものの、そのリスク量の大きさは想定できていない可能性があります。
MS&ADグループはこれらの点を考慮した森林整備なども含めた流域治水が重要であると考えており、熊本県で土砂災害の防災・減災に貢献する球磨川流域における「緑の流域治水プロジェクト」や“熊本のウォーターポジティブ実現のための取組み”などの「グリーンレジリエンス※」の取組みを進めております。
※MS&ADグループは、自然の恵みを生かし、生物多様性を守りながら、脱炭素化を進め、自然災害の被害を和らげ、その魅力で地域も活性化する好循環を生み出す考え方を2015年から「グリーンレジリエンス」と称し、自然環境の保全・回復活動や、自治体・大学との共同活動に取り組んできました。
(b)気候・自然関連の機会
MS&ADグループは、特定した気候・自然関連の物理的リスク、移行リスクを踏まえ、リスクそのものの発生を抑制するとともに、リスクを引き起こす要因となる社会課題の解決に力を注いでおります。
| 外部環境、背景 | 当社事業における影響度(評価) | 時間軸 | |||
| 短期 | 中期 | 長期 | |||
| ①気候変動リスクに備える保険商品 | 気候変動に伴う物理的なリスクが上昇するなか、経済的な損失に備えるための保険の重要性は高まっている。プロテクションギャップの是正は各国において課題となっている | 従来の風水災への補償に加え、気候変動に適応するための天候デリバティブや天候インデックス保険など多様な補償手段の提供が求められている。国際機関と連携した補償提供の機会も生まれている | ● | ● | ● |
| ②気候変動の適応、防災減災サービス | 甚大な損失が頻発するなか、被害を未然に防ぐ、または損失を抑制するニーズは高く、世界の適応ビジネスは2050年時点で年間最大50兆円と推計されている。なお、自然を活用した防災減災を含むNbS※は「欧州グリーン・ディール」等で重要な課題に位置付けられている | 保険加入者への防災減災サービスの提供に加え、防災減災を推進する自治体などサービス対象の拡大が期待できる。リスク分析を強みとする保険会社による革新的な適応ビジネスの創出が求められている | ● | ● | ● |
| ③生態系サービスの劣化に備える保険商品 | 甚大な自然災害や汚染、開発により、暮らしや事業に不可欠な生態系サービスが劣化することを防ぐため、自然資本や生態系サービスに対する補償が必要との声が高まっている(例;花粉媒介の経済価値は約4,700億円) | メキシコの海洋リゾート地では、重要な観光資源であるサンゴ礁をハリケーンから守る保険が組成された。同様の保険商品や生態系サービス喪失に伴う事業活動におけるコスト負担を補償する保険が考えられる | ● | ● | |
| ④自然関連、生物多様性関連のサービス提供 | GDPの半分を自然資本に依存しており、事業活動の持続可能性のため、重大な損失が発生する前に、自然関連リスクの分析や、リスクを緩和する自然保全や再生等のソリューションが求められる | 地域特性を踏まえた災害リスクの分析と緩和措置を提供してきた保険会社として、事業活動における地域固有で発生する自然関連のリスクの分析やソリューションの提供は、事業シナジーが高い | ● | ● | |
| ①ネットゼロを支援、促進する保険商品、サービス | COP28では2030年までに再エネ発電容量を3倍にする目標が採択され、国内市場だけでも2040年で約2兆円など、再エネへの投資は引き続き旺盛に推移。これ以外にも自動車の低燃費・EV化や省エネルギーに資する技術、製品の成長が見込まれる。また多排出産業等による排出量取引制度が2026年度から本格稼働し、ボランタリークレジットも含め排出量取引が活発化する | 再エネや脱炭素技術への投資に伴う設備の新設は、保険需要の拡大につながる。一方で、削減が非常に困難な多排出産業の企業においては、カーボンクレジットの活用が見込まれ、クレジットの組成や流通に関わる補償のニーズも高まる | ● | ● | ● |
| ②ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーに向けたビジネスモデル変革に伴う新たな補償やサービスの提供 | 世界経済フォーラムはネイチャーポジティブ経済への移行に伴い2030年時点で、全世界で年間約368兆円の投資が必要とされ、その結果1,372兆円のビジネス機会が増加すると推計した。この推計額の4分の3以上がネットゼロやサーキュラーエコノミーとも強く関連している。大きな社会・経済の転換に向けて、多様な業種で新たな技術とビジネスモデルが創出される | かつてない技術や仕組みを社会に実装するためには、リスクを補償する保険の仕組みが重要となる。環境への負荷が少ない認証材の調達や、リサイクルの推進など、サプライチェーンの上流、下流でネイチャーポジティブやネットゼロ、サーキュラーエコノミーに資する解決すべき新規ビジネスに向けたリスクソリューションの需要が見込まれる | ● | ● | |
| ③気候・自然へのリスク・機会の分析や事業戦略の策定を支援するコンサルティングニーズ | TCFDは全世界4,872社、国内1,470社(2023/10/12時点)、TNFDは全世界416社、国内109社の企業等が、枠組みに沿った情報公開に賛同している。またEUや日本では同様の趣旨での情報開示が義務化されつつある | 長期的なリスクの分析を含む、事業における包括的な気候・自然のリスク・機会の特定と事業戦略の策定とその情報開示については、高度な知識と分析が求められ、コンサルティングニーズは高い | ● | ● | ● |
※Nature-based Solutions:自然の力を利用して解決策を導き出すこと
(c)気候・自然関連のリスクと機会によるビジネスモデル、バリュー・チェーン(保険引受先・投融資先)への影響
MS&ADグループのビジネスモデルは、2 サステナビリティに関する考え方及び取組み、MS&ADグループの価値創造ストーリーとビジネスモデルのとおり、保険・金融サービスにより「リスクを見つけ伝える」「リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする」「経済的な負担を小さくする」という活動を通じて、社会課題へのソリューションを提供することであります。
気候変動による自然災害の頻発化・激甚化、生態系の喪失による気候変動への適応・緩和能力の低下は、支払保険金の増加につながり、MS&ADグループの収益に大きな影響を与えます。
また、当社のバリュー・チェーンを形成する保険引受先と投融資先にも上記(a)のイ.物理的リスク、ロ.移行リスクのとおり、影響を与えます。
一方、気候変動への対応には、保険引受先・投融資先をはじめ社会全体において大幅な投資が見込まれております。上記(b)のとおり、外部環境に応じたMS&ADグループの機会が考えられます。例えば、再生可能エネルギーへの移行や省エネルギー技術の採用による設備投資、防災・減災を目的としたグリーンインフラへの投資等が考えられ、このような成長マーケットへのリスクソリューション提供はMS&ADグループの機会となっております。
b.気候・自然関連のリスクと機会を踏まえた取組み
(a)リスクを見つけ伝える
イ.「リスクを見つけ伝える」取組み ~サステナビリティを考慮した事業活動~
MS&ADグループは、「サステナビリティの考え方」に基づき、サステナビリティを考慮した事業活動を実践し、ステークホルダーとともに社会課題の解決をめざしております。保険引受・投融資においては、環境・社会に負の影響を与えるリスクを評価・分析し、取引先とともにリスク低減に取り組んでおります。リスクの評価にあたっては、国際協力銀行(JBIC)の「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」や国際金融公社(IFC)の「パフォーマンススタンダード」等を参考に、気候・自然関連の物理的リスク及び移行リスクに加え、脱炭素化に向け、急速に普及が進む再生可能エネルギー事業や未開拓の場所への大規模な開発を伴う新規の農林水産事業における自然や地域社会への影響、先住民の権利に関するリスク等を評価・分析しております。発見されたリスクに対する予防・低減、課題の解決に貢献する商品やリスク・コンサルティングサービスの提供を通じ、ネットゼロ、ネイチャーポジティブを支援しております。
ロ.気候・自然関連リスク・機会の分析、評価と情報開示の支援
MS&ADインターリスク総研株式会社では、気候・自然関連の物理的リスクと移行リスクを評価・分析し、情報開示を支援するサービスを提供しております。特に気候変動の物理的リスクの定量的な評価は、先進的な知見をもつ社外の組織と連携し注力してまいりました。2020年に米国のスタートアップと連携しAIを活用した気候変動影響評価をもとに、将来の多様な自然災害リスクを全世界対象に90m四方の精度で定量評価するサービスを開始しております。また2018年に開始したプロジェクトでは、全世界の高精度な浸水深分布の推定を実現し、その成果をコンサルティングに活用しております。また、2023年度から全世界の洪水リスク評価が可能なSaaS型プラットフォーム「洪水リスクファインダー」の提供を行っております。
自然関連のリスクについては、直接の事業活動だけでなく、原材料調達などを含むバリュー・チェーン全体を対象とする必要があります。事業が接点を持つ各地域の自然・生態系の状態や、事業のあり方によって異なることから、分析・評価には、地域単位の科学的な評価・分析を行うことが重要であり、MS&ADグループは、2022年に自然資本ビッグデータを有する企業と提携するなど、画期的な技術をもつ企業との実証を重ねながら、全般的な支援に加え、都市不動産向けや淡水資源にフォーカスしたTNFD開示支援など、自然との接点が特に強い業種に焦点を当てた支援を提供しております。
ハ.ネイチャーポジティブへの移行を後押しするコレクティブアクション
地域の課題解決に向け、自然への依存の内容・度合いや、土地利用の変化による自然へのインパクトを踏まえ、ネイチャーポジティブに向けた明確な目標を共有することが重要であり、効果的な対策を立案し、様々なステークホルダーによる協働(コレクティブアクション)を進める必要があります。MS&ADグリーンアースプロジェクトでは、全国3ヵ所での自然環境の保全・再生活動を通して、研究機関と連携し、地域の事業者、NPOなどを巻き込み、ネイチャーポジティブに向けたコレクティブアクションを推進しております。ネイチャーポジティブの実現と自然を活用した防災・減災、水資源の涵養などの課題解決を進め、安心・安全で活力ある地域モデルの構築をめざしております。
(b)リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする
イ.保険引受・投融資を通じた取組み
<保険引受先・投融資先に係る温室効果ガス排出量削減目標と対話>MS&ADグループは、保険引受先及び投融資先に係る温室効果ガス排出量の削減について、2030年までの中間目標を設定しております。
削減率目標とその進捗については(4)指標及び目標をご覧ください。
目標達成に向け、2023年度より、温室効果ガス排出量削減をはじめとするサステナビリティの課題に関する保険引受先との対話活動を開始しました。従来も、CSV取組として、サステナビリティの重点課題の解決に向けた保険引受先への商品・サービスの提案活動を行っておりますが、2023年度からは、サステナビリティ課題に完全にフォーカスした対話活動を新たに開始しております。対話を通じ、保険引受先のサステナビリティ課題を把握し、課題解決に向けたソリューション提案を進めております。取組みの推進にあたり、代理店・ブローカーともサステナビリティ課題の解決に向けたソリューション提案に関する対話を開始しております。
ロ.投融資を通じた脱炭素社会の支援
MS&ADグループは、投融資先企業の温室効果ガス排出量削減に向けて、気候変動に対応した対話取組の推進、太陽光・風力・バイオマスといった再生エネルギーの発電所建設に係るプロジェクトファイナンスやファンドへの投融資を行っております。
また、当社、三井住友海上火災保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社が合同で気候変動を中心とするインパクトファンドへの投資の実行とともにノウハウ構築も進めております。
気候変動に対応した対話に関しては、投資先企業の気候変動対応の組織体制、温室効果ガス排出量削減目標に向けた取組み、技術革新計画や課題の把握等に取り組んでおります。
ハ.MS&ADグループの温室効果ガス排出量削減取組
MS&ADグループは、2010年度に温室効果ガス排出量削減の中長期目標を設定し、事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいりました。2020年度には当初の温室効果ガス排出量削減目標(2009年度基準比30%削減)を達成し、2021年5月、パリ協定に沿った新たな目標を設定しました。新たな目標では、温室効果ガス排出量を2050年度ネットゼロとし、2030年度の中間目標と再生可能エネルギー導入率目標も設定しました。
自社のオフィスビルへの最新鋭の省エネルギー設備の導入や太陽光発電設備の設置、社有車の低燃費車両への入替え等により、エネルギー使用量の削減と再生可能エネルギーの導入を進めております。また、リモートワークや在宅勤務、オンライン会議の積極的な活用など、ビジネススタイルの変革は、社員のWell-beingの実現とともに、社員の移動やオフィススペースを削減することで、ガソリンや電力の使用量の削減につながり、通勤や出張に係るエネルギーの削減、いわゆるスコープ3の温室効果ガス排出量削減につながります。保険契約のお申込み、保険金のご請求手続、各種お知らせ等をWeb化といったビジネスプロセス改革も、紙の使用量の削減といった自然への負荷軽減と同時にスコープ3削減として取り組んでおります。
ニ.気候・自然関連のイニシアティブ・アライアンスへの参加
ネットゼロ、ネイチャーポジティブに向けた取組みは、科学的知見に基づき、社会全体の移行を進めることが不可欠であり、研究の推進と、ビジネスにおける基準やルールづくり、推進体制の構築が鍵をにぎります。MS&ADグループは、学術機関との共同研究に積極的に参加するとともに、気候・自然関連のイニシアティブやアライアンスへの参加、また自らが連携の仕組みを主体的に構築するなど、様々なステークホルダーとともに社会の移行に積極的に取り組み、「レジリエントでサステナブルな社会」をめざしております。こうした移行プロセスにおけるステークホルダーとの接点強化やペインポイントの発見を、新たなマーケットの開拓や保険・サービスの開発につなげ、あるべき社会の創造とMS&ADグループの持続可能な成長のシナジー創出に取り組みます。
グループ会社がそれぞれに様々な研究機関と共同研究を行っておりますが、特に気候や自然に関連して次の研究プロジェクトに参画しております。
| 研究機関との主な共同研究 |
| LaRC-Flood®プロジェクト(東京大学、芝浦工業大学) 2018年、IPCCにも成果が紹介されるなどの実績を持つ芝浦工業大学、東京大学と気候変動による洪水リスクへの影響評価の研究及び研究成果の社会への還元をめざしたプロジェクトを始動し、「気候変動による洪水頻度変化予測マップ」を公開。2021年度からNEDOとのマッチング助成事業の採択を受け、「将来洪水ハザードマップ」の開発、提供やSaaS型「洪水リスクファインダー」の開発に至っている。 |
| 地域気象データと先端学術による戦略的社会共創拠点 [ClimCOREプロジェクト](東京大学) 過去から現在までの日本域の大気状態を高解像度で再現する「日本域気象 再解析データ」を整備し、大気状態の全体像を長期にわたり均質に4次元的に再現するとともに、こうした気象・気候ビッグデータの利活用とその体制構築も研究するプロジェクト。MS&ADグループは、本プロジェクトへの参画を通じ、台風のリスク評価に関する共同研究を行っている。 ※2020年(国研)科学技術振興機構(以下、「JST」)による「共創の場形成支援プログラム」(以下、「COI-NEXT」)の助成対象 |
| 「流域治水を核とした復興を起点とする持続社会」地域共創拠点[緑の流域治水プロジェクト](熊本県立大学) 球磨川流域を襲った令和2年7月豪雨を踏まえ、熊本県は、河川の整備だけでなく、自然環境との共生を図りながら、流域全体の総合力で安全・安心を実現していく「緑の流域治水」を提唱。この考え方を核に、安全・安心に住み続けられ豊かな環境と若者が残り集う持続可能な地域の実現に向け、治水技術や環境再生、避難体制の強化につながる地域DX等の取組みを進める。2021年にJSTのCOI-NEXTの助成を受ける。MS&ADグループは、「MS&ADグリーンアースプロジェクト」として湿地の保全に参画するとともに、流域治水を促す保険・金融商品や防災に資するDX等の研究を進めている。 ※2021年(国研)JSTによるCOI-NEXTの助成対象 |
| ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(東北大学) 自然の劣化を回復基調に転じる「ネイチャーポジティブ」の理念に基づき、アカデミア、金融・ビジネスセクター、自治体、市民等が連携し、①自然の価値を見える化し、持続的に高める ②ネイチャーポジティブに向けてお金が流れる仕組みを作る ③ネイチャーポジティブ発展社会を支える人を育てる取組みを進める。MS&ADグループは、生物多様性の評価手法や認証の開発に取り組み、ネイチャーポジティブに向けてお金が流れる仕組みづくりとその実装をめざす。 ※2024年(国研)JSTによるCOI-NEXTの助成対象 |
(c)経済的な負担を小さくする
イ.気候変動の適応に貢献する商品・サービスの開発・提供
住宅や事業所向けの火災保険に付帯される「水災補償」は、洪水などによる建物や家財、設備等の損害を補償します。迅速な損害補償は、被災者の生活再建を支援する上で極めて重要であります。「天候デリバティブ」は、異常気象や天候不順による売上の減少やコストの増加といった企業の損失を回避・軽減し、収益の安定化を図ります。オーストラリアでは、オンラインでリアルタイムに保険見積りを実施できる「農家向け天候インデックス保険プラットフォーム」をインシュアテックの技術を活用して提供し、迅速かつ簡便に補償を得ることが可能になると考えております。また、保険市場が十分に発達していない国々では一定規模の自然災害が発生した場合、復旧や復興は困難を極め、更なる貧困や政情不安につながる可能性があり、世界銀行等の国際機関と連携し、公的自然災害補償制度への参画を通じて、こうした国々へ復興資金の迅速な提供に貢献しております。
ロ.自然災害の補償・保障前後への取組拡大
MS&ADグループでは、頻発する自然災害に対して、「リアルタイム被害予測ウェブサイト・アプリcmap」等のサービスを通じて、地域の防災減災活動を支援しております。国内初の降雹の予測情報を通知するアラートサービスは、降雹発生確率が高まっているエリアのサービス利用者に対し、プッシュ型のアラートを配信することで、雹災による被害の回避・軽減に貢献しております。

また、実証実験中の「内水氾濫予測システム」は、都市部で頻発する内水氾濫を予測し、住民の避難や浸水対策に役立て、被害の軽減をめざします。
さらに、被災された方々の生活再建を早期に支援すべく、補償後サービスとして、罹災証明書の迅速な発行や交付事務の効率化を支援しております。
こうした様々なサービスや地域の防災減災活動を実装するため、代理店等と連携した「防災パートナー」制度を運営しております。MS&ADグループが核となり、地域特性に応じた防災活動を行う代理店等と連携し、自治体や災害支援組織との協力体制を構築し、地域の防災力の向上とともに、お客さまとの接点強化による事業機会の創出につなげます。
ハ.保険商品を通じた、ネットゼロ、ネイチャーポジティブ移行への支援
MS&ADグループでは、再生可能エネルギー事業に伴うリスクの補償など、ネットゼロ、ネイチャーポジティブへの移行に向けた企業の事業を支援する保険を提供しております。
自然災害でJ-クレジットを創出する予定だった機器が被災した場合、その販売収益の減少を補償する保険を提供しております。また、脱炭素を支援するため、追加費用を補償する特約も開発しております。従来の保険は、元の状態に復旧する費用までしか保険金をお支払いできませんでしたが、「Build Back Better※」の考えを踏まえ、ネットゼロ社会への移行を後押ししております。「カーボンニュートラルサポート特約」は、被災建物の復旧時にCO2排出量削減設備の導入費用を補償し、「電気自動車(EV)等買替費用特約」は、ガソリン車が事故により大きな損害を被り、EV等へ買い替える場合に発生する費用を補償します。
ネイチャーポジティブへの移行において、資源利用の削減は重要な要素であり、循環経済(サーキュラーエコノミー)の推進が不可欠と考えております。「衣料品循環費用補償(燃やさない保険)」は、アパレル業界の大量廃棄の社会課題を受け、衣料品メーカーや販売店が損害を受けた際、リサイクルに係る費用を補償し、衣料品の循環利用を支援します。また、自動車の修理においてはお客さまとともにリサイクル部品の活用に取り組んでおり、循環経済の実現に貢献しております。
自然資本や生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスとして、「海洋汚染対応追加費用補償特約」では、従来、補償の対象外であった船舶運航者の社会的責任を補完するため、自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用を補償しており、「再造林等費用補償特約(フォレストキーパー)」では、罹災した森林の保全と再生に向けた再造林費用を補償しております。また、熊本県阿蘇地方の草原維持に欠かせない「野焼き」による延焼リスクを補償する保険制度も提供しております。一部では、延焼リスクの手当が得られず、中断を余儀なくされていましたが、MS&ADグループの「野焼き保険」提供により、阿蘇の自然や歴史に密接に結びついた伝統は維持され、農畜産物を育み、豊富な水資源の保全などに貢献しております。
※ 災害発生後の復興段階において、元の状態に戻すだけでなく、より強靱な対策を講じてまちづくりを実現するという、防災分野で提唱されている概念。
②レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)
a.リスク及び機会
MS&ADグループはイノベーションの進展や産業構造の変化などに伴う新しいリスクの発現、感染症の拡大、自然災害や大規模地震、地域産業の衰退などの社会課題を重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」と位置づけております。これらは取引先の事業活動におけるリスクにもなり、当社においても保険金支払の増加や保険料収入の減少につながります。
一方、増加するサイバーリスクや、新たに発現しているAI、宇宙開発、拡張・仮想現実などでのリスクへの対処は、当社事業における機会でもあると考えております。
b.リスク及び機会に対処するための取組み
イ.社会の変革に伴い発現する新たなリスクへの対応
・2024年7月、EVが公道で電池切れを起こした際の「電欠現場駆け付け充電サービス」のトライアルを開始しました。将来的なEVのさらなる普及を見据え、ロードサービスの拡充を通じてEVユーザーの不安解消へつなげるとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
ロ.データ分析やAIを活用した防災・減災
・2023年9月、株式会社JX通信社との共同開発により、自然災害発生時の被災建物棟数をリアルタイムで予測する「cmap」アプリに、事件・事故などに関するSNS投稿情報を地図上に表示する機能と、ユーザーが地域で発生した各種リスク情報をアプリに直接投稿できる機能をリリースしました。
・2024年6月、個人のお客さま向けに降雹の危険をお知らせする「雹(ひょう)災緊急アラート」の提供を開始しました。個人向けの自動車保険や火災保険で登録されている契約者住所において降雹リスクが高まった際、事前アラートや防災につながるアドバイスをSMSで配信し、被害の回避行動を促します。
ハ.持続可能な地域・社会づくりの推進(地方創生の推進等)
・MS&ADグループは、自治体や研究者、地域のNPOと協働し、自然環境を再生して保全する「MS&ADグリーンアースプロジェクト」に取り組んでおり、社員と家族が参加しております。
・自治体と連携して水災時に罹災証明書の発行手続を支援する「被災者生活再建支援サポート」サービスを提供しております。
③すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)
a.リスク及び機会
MS&ADグループは、高齢化・少子化の進展、人権侵害・多様性の排除、貧困・格差拡大といった社会課題を重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」と位置づけており、これらは、人口減少や少子高齢化の進展による国内保険市場の中長期的な成長鈍化や企業価値の毀損等、MS&ADグループの事業活動にとってもリスクとなります。
一方、自治体や地域企業、金融機関等と連携した地方創生取組は当社事業における機会になると考えております。また、人権デュー・ディリジェンスの推進・支援や、女性、高齢者、障がい者、LGBTQのお客さまの保険・金融アクセス向上など、課題解決に向けた取組みは、MS&ADグループ事業の中期的な成長実現につながる機会と考えております。
b.リスク及び機会に対処するための取組み
イ.健康関連の社会課題解決につながる商品・サービスの提供
ロ.地域の認知症予防啓発活動(認知症予防体験セミナーの開催等)
ハ.スポーツ支援、パラスポーツ支援、地域におけるスポーツ振興活動
ニ. 社員の知識、理解向上のための認知症サポーター養成講座の受講推進
ホ. 人権尊重の推進
・MS&ADグループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠した、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、幅広いステークホルダーとの対話をとおして得られた意見を反映しております。
・2024年12月に、グループ人権基本方針の下にカスタマーハラスメントに関する規定・マニュアルを整備し、MS&ADグループの国内規定体系を統一しました。これに基づき、社員の人権を守るため毅然とした姿勢で取り組んで行くことを公表するとともに、社員への理解浸透を促す研修を実施しております。
・2024年度は、MS&ADグループのバリュー・チェーンとステークホルダーから人権リスクの発生する接点を整理し直し、2021年度の評価の結果、特定した3つの重点課題の枠組みはそのままに、具体的かつ的確な対応ができるよう、「公平・公正なお客さま対応」、「代理店・委託先、保険引受先・投融資先における人権対応の考慮」、「社員の心身の健康への配慮と安心安全な職場環境の実現」に名称変更しました。
・海外拠点では、国・地域によって抱える課題が異なるため、2022年6月に実施した海外拠点向けアンケート結果をもとに、各国の人権リスク対応状況を確認したうえで、予防・改善策やモニタリング方法を定めて人権尊重取組を推進しております。
・従来から対策を進めている人権リスクに加えて、LGBTQのお客さまへの対応、テクノロジー・AIに関する人権侵害への対応、外部委託先・代理店の人権課題に対する認識度の引上げ・人権尊重取組推進の支援に取り組み、継続的に防止・軽減に努めております。
・人権課題の救済については、自社社員を対象とした内部通報制度の継続整備に加え、2023年7月からは、外部委託先向けの第三者プラットフォームを活用した救済窓口を開設しました。2024年11月からは利用対象を全保険代理店に拡大しております。