有価証券報告書-第14期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 15:17
【資料】
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【項目】
141項目
(2)戦略
当社は、中期経営計画において、「健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)」、「レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)」、「すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)」の3つをサステナビリティ重点取組項目として定め、地域・社会課題の解決を通じて、サステナビリティ課題に対処するための取組みを進めております。
①健やかな地球環境を未来につなぐ(Planetary Health)
a.気候関連の戦略
(a)リスク及び機会
気候変動は、自然災害の激甚化や気象条件の物理的な変化をもたらすほか、脱炭素社会への移行過程で社会や経済の急激な変化をもたらします。保険ビジネスの存続を左右するリスクであり、当社が最優先で取り組むべき課題であります。
気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」)は、気候関連のリスクを物理的リスクと移行リスクの2つに分類しており、これに基づき当社事業におけるリスクを特定しております。一方で、脱炭素社会への移行による社会や経済の変化は、新たな保険商品・サービスの需要の喚起や、新しい産業の勃興、技術革新に伴う顧客企業の業績向上など、当社の成長につながる機会をもたらすと考えております。
TCFDの分類に沿ったMS&ADグループの事業活動におけるリスク及び機会は以下のとおりであります。
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当社では、気候変動による大規模自然災害の発生や保険市場の変化を、経営が管理すべき「重要リスク」として選定し、主な想定シナリオを明示することで管理を強化しております。当社のリスク管理については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」を参照ください。
(b)リスク及び機会に対処するための取組み
脱炭素社会への移行を支援するとともに、気候変動の影響を最小化する取組みを進めております。2050年ネットゼロの実現に向け、商品・サービスの提供や投融資等を通じ、気候変動リスクを低減する新しい技術の発展や脱炭素社会への移行を支える取組みを進めるとともに、財務の健全性・収益の安定性を確保しつつ、台風や洪水等の自然災害によって生じた損害に対して保険金をお支払いすることで、レジリエントでサステナブルな社会を支えております。また、生物多様性の喪失等の対応として、自然資本の保全・回復にも気候変動と一体的に取り組んでおります。
イ.自社の温室効果ガス排出量削減取組
(ガソリン、電力、紙使用量の削減、リサイクルの推進等)
ロ.脱炭素・自然資本・生物多様性の保全・回復につながる商品・サービスの提供
(太陽光発電事業者向けの商品提供等)
ハ.脱炭素化につながる投融資の実行や、気候変動に対応した対話の実施
b.自然関連の戦略
(a)リスク及び機会
MS&ADグループは、自然資本の持続可能性向上を重要な課題と捉えて、2021年に発足した自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」)に賛同し、ネイチャーポジティブな社会、そして、自然と共生する世界をめざし、自然資本・生物多様性に関する取組みに注力しております。
また、TNFDが提唱するLEAPアプローチの考え方に沿って、自然への依存とインパクトを考慮しながら、リスクと機会を特定しました。
TNFDの分類に沿ったMS&ADグループの事業活動におけるリスク及び機会は以下のとおりであります。
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当社では、自然関連における保険収支の悪化やレピュテーションの低下などを、経営が管理すべき「重要リスク」として選定し、主な想定シナリオを明示することで管理を強化しております。当社のリスク管理については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」を参照ください。
(b)リスク及び機会に対処するための取組み
当社グループの保険引受先・投融資先企業は、さまざまな業種に及んでおり、それぞれの自然への依存とインパクトが当該企業のリスクと機会につながっております。したがって、事業活動と自然関連のリスクと機会について、社会に広く発信し、普及啓発を進めております。
また、発見されたお客さまのリスクを共有し、保険商品・サービスの提供を通じ、気候変動の対応とともに、ネイチャーポジティブへの取組みの支援に努めております。こうした取組みは、まだ研究開発が必要な段階のものもあり、他の企業、国や研究者等との連携も進めております。
自然の持つ防災・減災機能の向上は、自然資本の持続可能性向上とともに自然災害による被害の抑制につながることから、地域での自然再生・保全活動や研究開発に取り組んでおります。
イ.自然関連の商品・サービスの提供
ロ.自然環境の保全・再生取組(防災・減災、地方創生に貢献)
ハ.多様なステークホルダーとの連携を通じた自然関連の研究開発
②レジリエントな社会の実現へ貢献する(Resilience)
(a)リスク及び機会
自然災害の多発・激甚化や産業構造の変化に伴う新たなリスクの発現によって生じる様々なリスクに対応した商品・サービスを提供し、社会の安定的な発展に取り組むことは、当社事業にとって優先的な課題であります。
また、防災・減災力の強化では、データ分析やAIの活用によるリスクの可視化を通じた課題解決手段を提供することにより、レジリエントな社会の実現に貢献するとともに、損害発生の未然防止にもつながると考えております。
(b)リスク及び機会に対処するための取組み
イ.防災・減災力の強化に資する商品・サービスの提供
(AI・データを活用したリアルタイム被害予測情報の提供やDXソリューションパッケージの提供等)
ロ.産業構造の変化に伴う新たなリスクに対応する商品・サービスの提供
(サイバー攻撃などのリスクに対応した商品の提供等)
ハ.持続可能な地域・社会づくりの推進(地方創生の推進等)
③すべての人の幸福と自分らしい生き方を支える(Well-being)
(a)リスク及び機会
少子高齢化や人口減少、地方の過疎化などの進行による国内市場の中長期的縮小は、当社事業においてマーケットや収益の縮小につながるリスクとなる一方で、自治体や地域企業、大学等と連携した地方創生取組は当社事業における機会になると考えております。
また、企業による人権侵害やジェンダー等に関する不平等・不公正は当社事業におけるリスクとなる一方で、人権デュー・ディリジェンスの推進・支援や、女性、高齢者、障がい者、セクシュアルマイノリティの
お客さまを考慮したDE&Iの推進は、当社事業の中期的な成長実現につながると考えております。
(b)リスク及び機会に対処するための取組み
イ.健康関連の社会課題解決につながる商品・サービスの提供
ロ.地域の認知症予防啓発活動(認知症予防体験セミナーの開催等)
ハ.スポーツ支援、パラスポーツ支援、地域におけるスポーツ振興活動