有価証券報告書-第22期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 14:57
【資料】
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【項目】
191項目
②戦略
a)人的資本経営の取組方針
東京海上グループのパーパス(存在意義)はお客様や社会のいざをお守りすることです。当社の祖業である保険事業は「People’s Business」と呼ばれており、「人」が創り上げる信頼が全ての源泉です。当社は、「人」の力を最大化することがパーパスの実現に繋がると確信し、1879年の創業以来、お客様や社会のいざをお守りするための事業に取り組んできました。その想いは今も変わることなく、「人」を成長の原動力ととらえ、人的資本経営に真正面から取り組んでいます。
東京海上グループでは、この方針を「Tokio Marine Group - Our People」として定めています。
“Tokio Marine Group - Our People”
■東京海上グループにとって最も大切な資産は人材であり、‘Good Company’ビジョンを実現するための原動力です。
■東京海上グループは、お客様や社会に安心と安全を提供するためにあらゆる事業領域において不可欠な人材を確保します。
■東京海上グループは、情熱と意欲をもって挑戦する社員に対して、成長に資する役割や機会を与えます。
■東京海上グループは、真のグローバルカンパニーを目指し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを尊重します。多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できる環境をつくることを通じて、‘Good Company’への果てしない道を歩み続けます。

b)人事戦略
イ)経営戦略と人事戦略の連動
東京海上グループの人事戦略は、経営計画の達成確度を高めるための基盤として、「グループ一体経営を支える人材の計画的・継続的な輩出」および「グループ一体経営を支える企業文化のさらなる浸透」を基軸に取り組んでいます。
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人事戦略において、「グループ一体経営を支える人材」および「グループ一体経営を支える企業文化」は、それぞれが独立して働くのではなく、パーパスをベースとして、相互に作用しながら相乗効果を生み出していくことをめざしています。
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ロ)人事戦略の全体像と指標
東京海上グループの人事戦略の目的は、経営戦略のめざす姿の実現です。そのために、人材と企業文化における様々な人事施策の実践を通じて人的資本を最大化し、持続的な価値創造に繋げています。
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人事戦略が経営戦略と連動しながら有効に機能し、持続的な価値創出に繫がっていることを測る指標として、一人当たり創出価値(注)を設定し、これを持続的に高めていくことをめざしています。
<一人当たり創出価値の推移>0102010_009.png
(注)一人当たり創出価値=Normalizedベースの修正純利益÷連結従業員数。実力を示す指標として、各年度の利益実績から一過性の要素(平年を上回る自然災害関連の保険金やコロナ関連の保険金、為替の影響等)を補正した「Normalizedベースの修正純利益」を用いています。
また、人事戦略の8つのテーマに紐づく人事施策について定量的な目標を示すことで各施策がめざす姿と現状のギャップを明確にし、PDCAサイクルを回しながら改善を図っていきます。
0102010_010.png(注)1.当社で中途採用したグループ経営に必要な専門性を有する人材の在籍人数です。
2.エンゲージメントの把握やパーパスの浸透度等を測るための独自サーベイ「カルチャー&バリューサーベイ(以下「CVS」といいます)のDE&I推進に関する項目のスコアを平均したものです(評価点は5点満点で算出)。
3.管理職以上には取締役、監査役および執行役員を含みます。なお、2024年度以降の女性管理職以上比率は、2024年4月の人事制度改定で新設した役職「ユニットリーダー」を含む数値とし、2024年4月1日時点では27.8%です。
4.CVSのパーパス浸透に関する項目のスコアを平均したものです。
5.CVSの働きがいに関する項目のスコアを平均したものです。
6.CVSの働きやすさに関する項目のスコアを平均したものです。
c)人材育成方針
経営のグローバル化の加速や、ソリューション事業等への事業領域拡大への取組み等、大きな事業環境変化のなかで持続的な成長を実現していくためには、強みであるグループ一体経営を支える人材をグローバルに育成していくことが不可欠です。こうした課題認識のもと、東京海上グループは「人」の力を強化するために主に次のような施策を推進しています。
イ)グループ経営人材の計画的・継続的な輩出およびグループ経営へのビルトイン
計画的・継続的にグループ経営人材(グループの各分野を総括するチーフオフィサーおよび主要グループ会社の経営トップ)を輩出し、世界中に所在する専門性・知見をグループ経営にビルトインするためには、海外のグループ会社を含めたグループ経営人材候補の採用、育成・評価、登用・配置を相互に連関させながら一体的に実行する仕組みが必須と考えています。そのため、グローバルリーダーの輩出を目的に2023年4月に創設した育成プログラムTokio Marine Group Leadership Instituteを軸に、グループの各分野を総括するチーフオフィサー等で構成するTalent Management Meetingも活用しながら、グループ経営人材候補の特定、登用および評価ならびにグループ経営人材候補ごとに策定された計画(Career Development Program)に基づく、ストレッチ・アサインメントとグローバル研修等を組み合わせた育成サイクルを実行していきます。
ロ)高い専門性を持つ人材の育成
経営戦略のめざす姿の実現には、様々な分野における高い専門性が必要です。東京海上グループでは、グループ横断の取組みとして、アクチュアリー、ファイナンス等の高い専門性を有する人材の育成を目的にManagement Associate Programを実施しています。海外大学からの新卒社員および国内外のグループ会社の若手社員が、2年間で複数のグループ会社・部門・チームをローテーションし、専門性およびグローバルな視点の獲得をめざします。プログラム修了後、参加者は東京海上グループのグループ会社に配置されます。
ハ)自律的なキャリア構築支援
社員個人と会社双方が持続的に成長していくためには、日々の業務のなかで社員一人ひとりの想いと会社のパーパスがしっかりと繋がっていることが重要です。当社および当社子会社の東京海上日動では、「自分自身がこころから願う未来に向けた、譲れないこころざし」をMy Aspirationと呼び、社員個人と会社の双方の成長をめざして、My Aspirationと会社のパーパスの“つながり”を強めていく取組みである「LINK」を進めています。
0102010_011.jpgまた、東京海上日動では、チャレンジしたい職務に応募できる「JOBリクエスト」、所属組織の業務を担いながら、希望に基づきコーポレート部門等のプロジェクトに参画する「プロジェクトリクエスト」を通じて、多様な成長機会を提供するとともに、自律的なキャリア構築を支援しています。
ニ)リスキリングを通じた人材の環境対応力の向上
経営戦略に掲げるソリューション事業への進出やAIの活用等、さらなるDX推進を人的資本の面で支えていくためには、採用や配置だけでなく、社員一人ひとりのリスキリングを通じた環境対応力の向上(新たな専門性を有した人材の輩出)が必要です。東京海上日動では「Tokio Marine DX Academy」において、業務や役割に応じて4つの対象(DXリーダー、DXコア、DXドライバーおよび全社員)ごとに研修や育成プログラムを提供することで、全社のDX人材育成を推進しています。
ホ)成長に不可欠な「規律」を意識した人材育成
東京海上日動は、金融庁から保険料調整行為等による業務改善命令を受け、2024年2月に業務改善計画書を提出しました。これを受け、東京海上日動の中期経営計画「Re-New 2026~『本当に信頼されるお客様起点の会社』・『リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社』へ~」において、めざす会社として「本当に信頼されるお客様起点の会社」を掲げています。この実現のため、「LINK」の取組み等による会社のパーパスへの繋がりの強化や役員・社員間の対話の強化に加え、人材育成の目的である「個人と組織の成長」に不可欠なものとして「規律」を重点取組みとし、インテグリティや高い規範意識を持った人材の育成に取り組みます。これまで続けてきた日常業務における慣行を社員一人ひとりが見直していくための、社会情勢の情報および社内外の情報を収集および活用する姿勢の定着による多角的な視点とリスク感性の習得、コンプライアンス研修の拡充による法令遵守意識の向上を図っていきます。
d)環境整備方針
イ)パーパスの浸透
パーパスは当社創業時から不変のものであり、今後も変わることはありません。パーパスはグループ共通の羅針盤、拠り所となるものであり、4万人を超える世界中の社員が持てる力を最大限に発揮するためにはこの浸透が不可欠と考え、グループCEO自らがグループカルチャー総括(以下「CCO」といいます)として先頭に立ち、CCOオフィスという部門横断のバーチャル組織が浸透活動を推進しています。パーパスの実践・体現に向けて、グローバルベースでの認知や理解の促進に加え、2024年度はパーパスへの「共感」に関する各施策に注力しています。
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ロ)DE&Iの推進
グループの成長を支える質の高い意思決定の実現には、積極的な人材の多様性確保に加え、多様な人材が持つ能力を最大限発揮できる環境が必要不可欠です。当社はDE&I推進を成長戦略の最重要課題と位置づけ、グループベースでの取組みを進めています。主な施策は次のとおりです。
●Equity(公正)の概念を含めた、DE&Iの取組みの加速
国際女性デーイベント、国際女性会議開催等の機会を活用し、人材の多様性向上および活躍推進に必要不可欠な意識を醸成しています。また、経営トップやマネージャークラスのアカウンタビリティ向上に向けた、DE&I関連の定量・定性目標の追加等の取組みも進めています。
●男女間賃金格差解消に向けた取組み
東京海上日動では、真にインクルーシブで自由闊達な組織風土のもと、多様な社員がエンゲージメント高く働くことで、全ての社員と会社双方が持続的に成長することをめざします。なかでも、ジェンダーギャップ解消を優先すべき課題と捉え、賃金格差の解消に向けた取組みを進めています。
<男女間賃金格差の主な要因>東京海上日動において、男性と女性の間で賃金格差が生じている要因の分析を行った結果、コース区分および勤続年数の差異による影響が大きいことを確認しています。
・コース区分
転居を伴う転勤(以下「転居転勤」といいます)の有無で賃金差を設けており、転居転勤がある「グローバル」に男性が多く、転居転勤が原則無い「エリア」に女性が多いことから、男性の賃金水準が高い傾向がある。
・勤続年数
男性と女性を比較すると、男性の平均勤続年数が長く、これに伴い男性の賃金水準が高い傾向がある。
<コース区分><勤続年数>
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<男女間賃金格差解消に向けた主な取組み>・2024年度より新たな人事制度を導入し、コース区分を廃止して「総合職」へ一本化
・勤続年数、年齢、性別および採用区分(新卒・キャリア採用)等によらない、能力・意欲に応じた役割付与による成長支援
・同意を前提とした転居転勤の導入
・仕事と家庭の両立支援のさらなる推進
●インクルーシブなカルチャーの醸成
多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できるインクルーシブな文化を作ることを目的に、2020年に「プロジェクトMizu」をスタートしました。組織構造や役割の透明化、キャリア採用者向けオンボーディング施策の実施、多様なバックグラウンドを持つ社員間でコミュニケーションを取る際のコラボレーションスタンダードの策定等を通じて、多様性のあるメンバーが協業しやすい環境の整備を進めています。
ハ)エンゲージメントの向上(働きがいおよび働きやすさ)
社員一人ひとりが成長し持てる力を最大限発揮していくベースとなる高いエンゲージメントの実現には、働きがいを持って働ける職場風土と社員の健康の保持および増進が必要不可欠です。エンゲージメント向上の主な取組みは次のとおりです。
●東京海上グループにおける文化や価値観の浸透状況と課題の把握
社員の働きがいを向上させ、能力を最大限発揮できる環境を実現していくためには、各グループ会社への文化や価値観の浸透、エンゲージメントの状況および問題の端緒を継続して的確かつ網羅的に把握し改善に繋げていくことが必要です。そのために、グループを対象とした独自サーベイであるCVSの質問項目の見直しや対象会社の拡大等により、エンゲージメント向上のためのPDCAサイクルの高度化を図っていきます。
●エンゲージメント向上のための取組み
東京海上日動は、社員のエンゲージメント向上に取り組む専任チームである「エンゲージメントデザインチーム」を組成し、地域社会・お客様への貢献や自己成長・自己実現の実感等によりエンゲージメントを向上させる取組みを展開しています。これらの取組みに加え、リモートワークや勤務時間自由選択制度の活用および副業の解禁等の働きやすさを高める施策により、エンゲージメント向上を図っています。
当社は、役員報酬の業績連動部分について、会社目標に「サステナビリティ戦略に係る指標」および「社員エンゲージメント指標」を追加し、経営陣がエンゲージメントの向上にコミットする姿勢を明確にしています。
●社員が心身ともに健康で活き活きと働くためのグループ全体の環境整備
社員一人ひとりが持つ能力を最大限発揮できる環境の土台となるのは、社員の心身の健康の保持および増進です。そのために、当社は「東京海上グループ健康憲章」を定め、グループを挙げて健康経営を推進しています。2024年度からは、毎年6月を「Tokio Marine Wellness Month」と定め、グループが一体となって健康増進の取組みを実施していきます。
東京海上グループの人的資本経営、人事戦略の詳細およびグループにおける取組みの具体例については、人的資本レポート「Human Capital Report 2023」および「Human Capital Report 2024」(2024年6月末発行予定)に記載しています。

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