有価証券報告書-第54期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
・分析の範囲
シナリオ分析においては、当社グループが展開する不動産事業(新築分譲マンション、流動化、新築戸建分譲、リニューアル再販、不動産賃貸、不動産管理、不動産その他)、エネルギー事業、アセットマネジメント事業、その他の事業を含め、グループ全体の事業活動を分析の対象としています。
・参照した外部シナリオ
TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することを推奨しています。当社では気候関連リスク・機会を考慮するため、当社グループの事業を対象にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析の概要は以下のとおりです。シナリオ分析及び当社のリスク・機会の特定・評価に係るプロセスは後述の「リスク管理」に示すとおりです。
[シナリオ選定理由]
●IEA NZE2050(1.5-2℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP4.5(1.5-2℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
●IEA STEPS(4℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP8.5(4℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
・各シナリオにおいて想定される世界像
各シナリオでは以下のような世界観を想定しています。
・リスク、機会の特定及び対応策・戦略
当社は、脱炭素社会の実現に向かうための政策と法規制が強化される1.5-2℃シナリオと異常気象の激甚化による気候変動の物理的な影響が生じる4℃シナリオを踏まえて、リスクと機会を特定し、それらの事業への影響を以下のように評価しました。特定したリスクと機会に対し、当社は以下の取り組みを推進していきます。また移行リスク、機会の2項目について財務影響額を試算いたしました。
リスク
機会
(財務影響額の定量評価)
当社グループは、事業への影響が特に大きく、かつデータに基づく定量的な試算が可能と判断した以下の項目について、財務影響額を試算しています。なお、今回示した財務影響額に関しては、現段階の政策動向や現在入手可能なデータを用いて試算しているため限定的な財務影響の開示となっています。
評価を行った項目
1.省エネ政策による各種規制等の強化による財務的影響
2.低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増による財務的影響
詳細
1.[移行リスク]省エネ政策による各種規制等の強化
ZEB/ZEH水準の義務化や建築物省エネ基準の段階的強化が進んだ場合、新築分譲マンション・流動化・新築戸建分譲・リニューアル再販の各事業において、省エネ仕様への対応コストが建築原価に上乗せされます。2025年3月期を基準とした場合、1.5-2℃シナリオにおける影響額は約1.5億円と試算しております。なお、4℃シナリオにつきましては規制強化の進捗が限定的なため、定量的影響は軽微と評価しています。
2.[機会]低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増
脱炭素化の加速に伴い、ZEB・ZEH仕様をはじめとする環境性能の高い物件への需要が高まり、標準仕様の物件と比較して、販売価格への上乗せ(グリーンプレミアム)が見込まれます。1.5-2℃シナリオにおける2025年3月期を基準とした場合のプレミアム試算値は約5.6億円〜27.9億円です。試算幅については、IEA(国際エネルギー機関)のデータに基づくグリーンプレミアムの推定レンジを反映しています。なお、グリーンプレミアムの発生は、脱炭素化への移行が進む1.5-2℃シナリオに限定されるため、4℃シナリオにおける定量評価は実施しておりません。
・分析の範囲
シナリオ分析においては、当社グループが展開する不動産事業(新築分譲マンション、流動化、新築戸建分譲、リニューアル再販、不動産賃貸、不動産管理、不動産その他)、エネルギー事業、アセットマネジメント事業、その他の事業を含め、グループ全体の事業活動を分析の対象としています。
・参照した外部シナリオ
TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することを推奨しています。当社では気候関連リスク・機会を考慮するため、当社グループの事業を対象にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析の概要は以下のとおりです。シナリオ分析及び当社のリスク・機会の特定・評価に係るプロセスは後述の「リスク管理」に示すとおりです。
| 出典機関 | 1.5-2℃シナリオ | 4℃シナリオ |
| IEA(国際エネルギー機関) | NZE2050 | STEPS |
| IPCC(気候変動に関する政府間パネル) | RCP4.5 | RCP8.5 |
[シナリオ選定理由]
●IEA NZE2050(1.5-2℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP4.5(1.5-2℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
●IEA STEPS(4℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP8.5(4℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
・各シナリオにおいて想定される世界像
各シナリオでは以下のような世界観を想定しています。
| 1.5-2℃シナリオ(移行リスク大、物理的リスク小) |
| パリ協定目標の達成に向けて、脱炭素のための社会政策・排出規制が強化され、気候変動への対策が進捗することで、21世紀末の地球の気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃から2℃に抑えるシナリオです。政策や投資家、消費者といったあらゆる側面において脱炭素または低炭素を目指す動きが顕著になり、企業の気候変動対応が強く求められ、未対応の場合は競争優位性が低下する等の移行リスクが高まると想定されます。一方で、気候災害の高頻度化・激甚化については一定程度抑えられ、物理的リスクは相対的に低くなると想定されます。 |
| 4℃シナリオ(移行リスク小、物理的リスク大) |
| 十分な気候変動緩和対策が実現せず、温室効果ガス排出が増大し続け、21世紀末の地球の気温上昇が産業革命前と比較して4℃上昇するシナリオです。自然災害の激甚化の進行が顕著となり、海面上昇や異常気象が増加するなど、物理的リスクは高まると想定されます。一方、政策や資本市場・消費者において脱炭素に向けた取組みが停滞し、移行リスクは比較的小さく抑えられます。 |
・リスク、機会の特定及び対応策・戦略
当社は、脱炭素社会の実現に向かうための政策と法規制が強化される1.5-2℃シナリオと異常気象の激甚化による気候変動の物理的な影響が生じる4℃シナリオを踏まえて、リスクと機会を特定し、それらの事業への影響を以下のように評価しました。特定したリスクと機会に対し、当社は以下の取り組みを推進していきます。また移行リスク、機会の2項目について財務影響額を試算いたしました。
リスク
| 分類 | 主なリスクと機会 | 当社の財務的な影響 | 期間 | 財務的インパクト | 対応策・戦略 | ||
| 4℃ シナリオ | 1.5-2℃ シナリオ | ||||||
| 移行 リスク | 政策と法 | 炭素税導入による課税の強化 | 販売価格の上昇により、販売数が減少 | 短期 | 小 | 中 | GHG排出に関する目標設定・管理 |
| 省エネ政策による各種規制等の強化 | 規制対応のための開発コストの増加 | 中期 | 大 | 大 | サプライヤーとの協業による省エネ性能の向上・販売戦略の強化 | ||
| 技術 | 脱炭素技術移行に伴うコスト増 | 新技術の開発・導入費用及び社内プロセスの刷新に係る費用が増加 | 中期 | 中 | 大 | 新技術・サービスに関する情報収集を行い、専門人材の確保及び社内制度の整備を通じて、新技術の計画的な開発・導入を実施 | |
| 市場 | 脱炭素ニーズ拡大を背景とした関連サプライヤーによるサービス価格の上昇 | ZEB/ZEH等の環境性能の高い物件開発や建築、改修/修繕コストの増加 | 中期 | 中 | 中 | サプライヤーとの協業による価格の安定化 | |
| 風水害に強い立地の希少性が高まり、好立地の用地取得における競争激化 | 事業機会の損失による売上の減少 | 短期 | 大 | 大 | 立地選定及び同業他社との連携強化 | ||
| 評判 | ブランド価値の低下 | 物件販売価格・賃料の下落による売上減少及び顧客離れと資本調達制約による収益縮小 | 中期 | 小 | 中 | 新規開発案件への省エネ基準の設定及び既存物件への設備導入 | |
| 物理 リスク | 急性 | 自然災害による建設中物件及び稼働中発電設備の損傷・工期長期化 | 建設関連費用の増加、売電量低下・修繕費増加 | 短期 | 大 | 中 | 風水害に強い工法・レジリエントな設計の採用、ハザードマップによるリスク把握、保険付保及び修繕費用の積み立て |
| 慢性 | 気温上昇による建設現場の生産性低下及び稼働中設備の故障率増加 | 建設期間の長期化と修繕費の増加によるコストの増加 | 中期 | 中 | 中 | 建設現場における労働安全管理の徹底及び気候変動に対応した設計思想の導入・製品基準の選定 | |
機会
| 分類 | 主なリスクと機会 | 当社の財務的な影響 | 期間 | 財務的インパクト | 対応策・戦略 | |
| 4℃ シナリオ | 1.5-2℃ シナリオ | |||||
| 製品及びサービス | 低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増 | 売上の増加 | 中期 | 小 | 中 | 低排出な設備や再エネ電力の導入を推進 |
| 気候変動対応の技術・製品開発 | 売上の増加、設備投資費用等の削減 | 中期 | 小 | 中 | 低排出設備・再エネ電力、発電設備の導入 | |
| O&M事業の拡大 | O&M売上の増加 | 中期 | 小 | 中 | O&M事業の拡大に向けた設備投資と技術者の確保 | |
| 市場 | ESG評価向上に伴う資金調達コストの低減 | 株価上昇・金融コスト削減及び資金調達機会の拡大・調達額の増加 | 短期 | 中 | 中 | 事業拡大を推進するとともに、グリーンファイナンスに関する専門人材を確保し、調達基盤を強化 |
| 住替え機会の創出 | 売上の増加 | 中期 | 中 | 小 | ZEH/防災マンションの開発・推進 | |
| 公的支援スキームの活用 | キャッシュアウトの削減 | 中期 | 中 | 中 | 市街地再開発事業等による事業拡大 | |
| 政策と法 | 再エネ普及を加速する法制度と需要拡大 | 開発の速度と量に好影響 | 中期 | 小 | 大 | 資産拡大に向けた資金確保と人員補強 |
| 資源の効率 | 再エネの利用促進・自社利用 | 再エネ投資の拡大及び資産拡大に向けた資金確保・人員補強 | 短期 | 小 | 小 | 市場調査及び新たなビジネスモデルの構築の推進、再エネ・不動産双方の知見を持つ人材によるPJチームの組成 |
(財務影響額の定量評価)
当社グループは、事業への影響が特に大きく、かつデータに基づく定量的な試算が可能と判断した以下の項目について、財務影響額を試算しています。なお、今回示した財務影響額に関しては、現段階の政策動向や現在入手可能なデータを用いて試算しているため限定的な財務影響の開示となっています。
評価を行った項目
1.省エネ政策による各種規制等の強化による財務的影響
2.低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増による財務的影響
詳細
1.[移行リスク]省エネ政策による各種規制等の強化
ZEB/ZEH水準の義務化や建築物省エネ基準の段階的強化が進んだ場合、新築分譲マンション・流動化・新築戸建分譲・リニューアル再販の各事業において、省エネ仕様への対応コストが建築原価に上乗せされます。2025年3月期を基準とした場合、1.5-2℃シナリオにおける影響額は約1.5億円と試算しております。なお、4℃シナリオにつきましては規制強化の進捗が限定的なため、定量的影響は軽微と評価しています。
2.[機会]低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増
脱炭素化の加速に伴い、ZEB・ZEH仕様をはじめとする環境性能の高い物件への需要が高まり、標準仕様の物件と比較して、販売価格への上乗せ(グリーンプレミアム)が見込まれます。1.5-2℃シナリオにおける2025年3月期を基準とした場合のプレミアム試算値は約5.6億円〜27.9億円です。試算幅については、IEA(国際エネルギー機関)のデータに基づくグリーンプレミアムの推定レンジを反映しています。なお、グリーンプレミアムの発生は、脱炭素化への移行が進む1.5-2℃シナリオに限定されるため、4℃シナリオにおける定量評価は実施しておりません。