有価証券報告書-第184期(2023/04/01-2024/03/31)
(戦略)
当社は、2022年3月にTCFD提言へ賛同し、鉄道事業およびバス事業の分析結果を順次開示してまいりましたが、新たに賃貸事業、住宅事業、ストア事業、国際物流事業およびホテル事業におけるTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施し、当社グループのCO2排出量の約90%を占める部門・グループ会社においてシナリオ分析を終えました。本報告書では、当社グループ全体に係る共通項目を記載しています。
シナリオ分析実施状況
ア.リスクと機会
気候変動がもたらすリスクは、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響に伴うリスク(物理的リスク)の二つの側面があり、また、当社グループにとって成長の「機会」としての側面もあります。
これらリスクと機会の影響度を定量評価できるものについては定量的に評価し、発生可能性と影響度の二軸の視点から重要度を評価して対策の必要性を判断する材料としています。
なお、評価の時間軸については、短期(中期経営計画と同じ3年程度)、中期(日本政府の目標と同じ2030年)、長期(脱炭素目標の設定年である2050年)を設定して評価を実施しました。
にしてつグループ共通の移行リスク
にしてつグループ共通の物理的リスク
にしてつグループ共通の機会
1.5℃シナリオにおける世界観(2050年)

イ.シナリオ分析
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等の専門機関が描く産業革命前と比較した世界の平均気温の上昇幅を示すシナリオの中から、パリ協定を踏まえたシステム移行により1.5℃未満に抑えられる1.5℃の外部シナリオ(1.5℃シナリオ)と、新たな政策・制度が導入されずに21世紀末には4.0℃前後上昇する4℃の外部シナリオ(4℃シナリオ)に基づき、中期(2030年)を目安に実施いたしました。
シナリオ分析に使用した主なパラメータは以下の通りです。
使用パラメータ一覧
※為替レートは、140円/ドルで算出しています。
にしてつグループ共通のシナリオ分析
シナリオ分析の結果から、当社グループへの共通事項として、移行リスクでは、炭素税の導入による大幅なコストの増加が懸念され、省エネ対策や環境配慮型車両への更新を継続的に実施しているものの、再エネ導入拡大に伴う電力調達コストが増加することが判明しました。また、物理的リスクでは、降水パターンの変化に伴う豪雨等による施設や車両の被害の増加により損害保険料が上昇することが判明しました。1.5℃シナリオと4℃シナリオを比較すると、1.5℃シナリオにおける炭素税の影響が非常に大きいことから、炭素税の影響が最大のリスクであり、脱炭素社会の実現に向け最優先で対応する必要があることが判明しました。
当社グループが社会から信頼され長期にわたり発展し続ける企業グループであり続け、誰ひとり取り残さない持続可能な社会が実現出来るよう、脱炭素社会を目指し、カーボンニュートラルへの取り組みに関する情報を積極的に開示し、1.5℃の世界の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
にしてつグループ共通の財務影響評価(1年当たりの予想コストの増減 2030年)
(注)「+」は事業及び財務への正の影響、「▲」は負の影響を示し、符号の数は影響度の大きさを表現しています。
当社は、2022年3月にTCFD提言へ賛同し、鉄道事業およびバス事業の分析結果を順次開示してまいりましたが、新たに賃貸事業、住宅事業、ストア事業、国際物流事業およびホテル事業におけるTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施し、当社グループのCO2排出量の約90%を占める部門・グループ会社においてシナリオ分析を終えました。本報告書では、当社グループ全体に係る共通項目を記載しています。
シナリオ分析実施状況
| 事業の内容 | 会社名 | |
| 運輸業 | 鉄道事業 | 当社 |
| バス事業 | 当社、バス事業を営む子会社および関連会社 | |
| 不動産業 | 賃貸事業 | 当社 |
| 住宅事業 | 当社 | |
| 流通業 | ストア事業 | ㈱西鉄ストア |
| 物流業 | 国際物流事業 | 当社 |
| レジャー・サービス業 | ホテル事業 | ㈱西鉄ホテルズ |
ア.リスクと機会
気候変動がもたらすリスクは、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響に伴うリスク(物理的リスク)の二つの側面があり、また、当社グループにとって成長の「機会」としての側面もあります。
これらリスクと機会の影響度を定量評価できるものについては定量的に評価し、発生可能性と影響度の二軸の視点から重要度を評価して対策の必要性を判断する材料としています。
なお、評価の時間軸については、短期(中期経営計画と同じ3年程度)、中期(日本政府の目標と同じ2030年)、長期(脱炭素目標の設定年である2050年)を設定して評価を実施しました。
にしてつグループ共通の移行リスク
| 種類 | 内容 | 事業 | 重要度 (中期~長期) | 対策(方向性) |
| 政 策 ・ 法 規 則 | 炭素税の導入・強化に伴うエネルギー調達コストの増加 (Scope1,2) | 鉄道 | 大 | ・環境配慮型車両・設備の導入による エネルギー使用量減少 |
| バス | 大 | ・EVバス等の導入による燃料調達コスト 削減 | ||
| 賃貸 | 大 | ・省エネ推進 (高効率機器への更新等省エネ設備導入) | ||
| ホテル | 大 | |||
| ストア | 大 | |||
| 市 場 | 再エネ導入拡大に伴う電力調達コストの増加 | 全事業 | 大 | ・電力価格の推移を確認し、再エネ電力の 導入時期や比率等を検討 |
にしてつグループ共通の物理的リスク
| 種類 | 内容 | 事業 | 重要度 (中期~長期) | 対策(方向性) |
| 慢 性 | 降水パターン等の変化に伴う損害保険料の上昇 | 全事業 | 大 | ・全社的BCPの棚卸し ・保険額の上昇状況を確認し、必要により保険内容の見直し検討 |
| 平均気温等の上昇に伴う冷房コスト、設備投資コストの増加 | 賃貸 | 中 | ・省エネの推進によるコスト削減 (設備更新時に高効率な空調機へ更新) | |
| 住宅 | 中 | |||
| ストア | 小 | ・省エネの推進によるコスト削減 (設備更新時に高効率な空調機へ更新) ・AI予測によるエネルギーマネジメントシステムの活用推進 | ||
| 急 性 | 異常気象激甚化に伴う施設被害の増加及び売上の減少 (修繕費、営業停止) | 鉄道 | 中 | ・風水害に強い車両・設備の整備 |
| バス | 中 | ・道路・トンネル等での通行停止発生に備え、う回路を複数想定するなど災害に強い運営体制の整備 | ||
| 賃貸 | 中 | ・ハード・ソフトからなるBCPの定期的な見直しおよび運用を実施 〈ハード〉 ・防災設備の点検の継続実施 ・防災、減災設備設置の検討 等 〈ソフト〉 ・BCPマニュアルの定期的な見直し ・関係者に対する情報共有強化 ・災害時に備えた代替要員の確保、体制整備 ・代替ルートの選定 等 | ||
| 住宅 | 中 | |||
| ストア | 小 | |||
| 国際物流 | 中 | |||
| ホテル | 中 |
にしてつグループ共通の機会
| 種類 | 内容 | 対策(方向性) |
| 市 場 | 環境への取り組みの積極的な開示による人財の確保 | ・長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035」の推進 ・ホームページ、統合報告書を活用した効果的なアピールの検討と実施 ・時代に応じた効果的なアピール方法の検討 |
| グリーン投資の拡大 | ・カーボンニュートラルの進捗状況の情報開示 ・グリーンボンドの発行 ・TCFD提言への賛同および情報開示 |
1.5℃シナリオにおける世界観(2050年)

イ.シナリオ分析
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等の専門機関が描く産業革命前と比較した世界の平均気温の上昇幅を示すシナリオの中から、パリ協定を踏まえたシステム移行により1.5℃未満に抑えられる1.5℃の外部シナリオ(1.5℃シナリオ)と、新たな政策・制度が導入されずに21世紀末には4.0℃前後上昇する4℃の外部シナリオ(4℃シナリオ)に基づき、中期(2030年)を目安に実施いたしました。
シナリオ分析に使用した主なパラメータは以下の通りです。
使用パラメータ一覧
| 重要項目 | 想定パラメータ | パラメータ 対象地域 | 単位 | BAU | 2030年 | 出所 | ||
| 4℃ | 1.5℃ | |||||||
| 各国の炭素排出 目標/政策 | 炭素税 | 先進国 | 円/tCO2 | ― | 5,880 | 19,600 | ・IEA WEO2023 | |
| 環境配慮型車輛 | 世界 | % | ― | 2% | 23% | ・IEA WEO2020 ・IEA NZE2050 | ||
| 日本のエネルギー 削減目標/政策 | 省エネ目標 | 日本 | % | ― | 13% | 16.5% | ・2030年エネルギー ミックスにおける 省エネ対策の状況と 今後について | |
| エネルギーミックスの変化 | 燃料の価格増減率 | 世界 | % | ― | 21% | -5% | ・IEA WEO2020 ・IEA NZE2050 | |
| 電力価格 | 日本 | 円/MWh | ― | 29,120 | 32,340 | ・IEA WEO2018 | ||
| 次世代技術の進展 | 自家用車・バス間の利用者数変化 | 世界 | % | ― | ― | ― | ・IEA NZE2050 ・4℃シナリオ 現状と同等水準 | |
| 平均気温の上昇 | 平均気温 | 福岡県 | ℃ | 0℃ | +0.3℃ | +0.2℃ | ・Climate Impact Explorer, “Japan” | |
| 水害 | 浸水深 | 日本 (各拠点) | m | ― | ― | ― | ・自治体が公表する ハザードマップ | |
※為替レートは、140円/ドルで算出しています。
にしてつグループ共通のシナリオ分析
シナリオ分析の結果から、当社グループへの共通事項として、移行リスクでは、炭素税の導入による大幅なコストの増加が懸念され、省エネ対策や環境配慮型車両への更新を継続的に実施しているものの、再エネ導入拡大に伴う電力調達コストが増加することが判明しました。また、物理的リスクでは、降水パターンの変化に伴う豪雨等による施設や車両の被害の増加により損害保険料が上昇することが判明しました。1.5℃シナリオと4℃シナリオを比較すると、1.5℃シナリオにおける炭素税の影響が非常に大きいことから、炭素税の影響が最大のリスクであり、脱炭素社会の実現に向け最優先で対応する必要があることが判明しました。
当社グループが社会から信頼され長期にわたり発展し続ける企業グループであり続け、誰ひとり取り残さない持続可能な社会が実現出来るよう、脱炭素社会を目指し、カーボンニュートラルへの取り組みに関する情報を積極的に開示し、1.5℃の世界の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
にしてつグループ共通の財務影響評価(1年当たりの予想コストの増減 2030年)
| リスク項目 | 想定される事象 | 影響度(注) | ||
| 4℃ | 1.5℃ | |||
| 移行 リスク | 炭素税の導入・強化 (Scope1,2) | (4℃) 炭素税が導入される(税額は低い) (1.5℃)炭素税が導入される(税額が高い) | ▲▲▲ | ▲▲▲ |
| 再エネ導入拡大 | (4℃) 電力価格が上昇(上昇率は低い) (1.5℃)電力価格が上昇(上昇率が高い) | ▲▲ | ▲▲▲ | |
| 物理的 リスク | 降水パターン 変化 | (4℃) 豪雨等による営業施設・車両等の被害が増加し、損害保険料が上昇 (1.5℃)豪雨等による営業施設・車両等の被害がやや増加し、損害保険料が上昇 | ▲ | ▲ |
(注)「+」は事業及び財務への正の影響、「▲」は負の影響を示し、符号の数は影響度の大きさを表現しています。