有価証券報告書-第106期(2022/04/01-2023/03/31)
(3)戦略
●基本的な考え方
当社グループでは、気候変動への対応は地球環境保全における重要な課題であり、サステナブル経営の推進において対処すべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。このため当社グループは、気候変動対策に真摯に取り組み、2020年10月には国連グローバル・コンパクトに署名して環境問題への対応等に関わる原則の実現を支持しています。2022年9月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションを図れるよう、気候変動に関連する情報を開示しました。
●シナリオ分析
2022年度は、主力の「物流事業」に加え、気候変動による影響が小さいと考えられる「商事・貿易事業」「ビジネスサポート事業」「ライフサポート事業」についても、TCFDのフレームワークに基づく気候変動によるリスクと機会についてのシナリオ分析を実施し、移行リスク・物理リスク・機会を具体化し、中長期の対応策を検討しました。
主力事業である「物流事業」については、シナリオ分析を深化させ、2021年度に想定したリスク・機会のうち当社が重要と考える項目について、2030年、2050年の時間軸、1.5℃シナリオと4℃シナリオの気温軸で財務影響度を評価し、投融資にかかる戦略への反映を検討しました。中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設されたプロダクト事業については、今後、分析を実施する予定です。
(物流事業)
※1:・事業インパクトは、各シナリオにおける当社への財務影響度を営業利益に対する影響額で算定し、
大、中、小の三段階で評価。
「大」50億円超、「中」10~50億円、「小」10億円未満
「-」現時点では影響額が小さいと判断するため、算定は非実施。
・シナリオ分析においてはIEA「World Energy Outlook2022」(原油価格)、
IEA「World Energy Outlook2021」(炭素税価格)などを参照。
※2:・1.5℃シナリオでは燃料コストは減少と想定するため、リスクの項ではあるが財務影響はプラス。
(商事・貿易/ライフサポート/ビジネスサポート各事業)
※シナリオ分析の結果
当社グループは、パリ協定の目指す2050年カーボンニュートラルな社会の実現に向け、様々なCO₂排出量の削減施策を推進しています。また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるリスクや機会の把握に努め、認識したリスクに対処しながら、機会を最大化する取り組みを継続的に進めています。
抽出した重要リスクの中で、2022年度に実施した「炭素税導入」によるグループ全体への財務影響度評価の結果、1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を130USD/t-CO₂として試算した場合、2030年に約50~60億円の影響額になると算定されました。「炭素税導入」に関しては、GXリーグに参画し、その動向を把握すると共に、再生可能エネルギーの活用、環境車輌や省資源タイヤの積極的な導入等による様々なCO₂排出削減策の実施に努め、税負担の軽減を目指します。
また、環境車両の技術開発に向けては、他社とも連携し、当社グループの輸送用途に応じた輸送や積載効率向上に資するトラックボディやコンテナ開発を行っています。環境車輌の導入については、CO₂排出量削減のため積極的な投資を推進し、顧客へさらに低炭素な物流サービスの提供を行ってまいります。
これらの取り組み推進により、リスク軽減にとどまらず機会の獲得や拡大に努めてまいります。
●基本的な考え方
当社グループでは、気候変動への対応は地球環境保全における重要な課題であり、サステナブル経営の推進において対処すべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。このため当社グループは、気候変動対策に真摯に取り組み、2020年10月には国連グローバル・コンパクトに署名して環境問題への対応等に関わる原則の実現を支持しています。2022年9月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションを図れるよう、気候変動に関連する情報を開示しました。
●シナリオ分析
2022年度は、主力の「物流事業」に加え、気候変動による影響が小さいと考えられる「商事・貿易事業」「ビジネスサポート事業」「ライフサポート事業」についても、TCFDのフレームワークに基づく気候変動によるリスクと機会についてのシナリオ分析を実施し、移行リスク・物理リスク・機会を具体化し、中長期の対応策を検討しました。
主力事業である「物流事業」については、シナリオ分析を深化させ、2021年度に想定したリスク・機会のうち当社が重要と考える項目について、2030年、2050年の時間軸、1.5℃シナリオと4℃シナリオの気温軸で財務影響度を評価し、投融資にかかる戦略への反映を検討しました。中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設されたプロダクト事業については、今後、分析を実施する予定です。
(物流事業)
| 区分 | 想定される リスク・機会 | 当社グループへの 影響 | 事業インパクト ※1 | 対応策 | ||||
| 2030年 | 2050年 | |||||||
| 1.5℃ | 4℃ | 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 移行リスク | 政策・法規制 (カーボンプライシング) | ・急激な燃料価格変動 ・環境車両導入による 電気料金発生 | ・運送燃料コスト変動 | 中(+) ※2 | 中 | 中 | 中 | ・環境車両(EV・HV・LNG・環境対 応DSL等)、ダブル連結トラック の導入推進 ・モーダルシフトの促進 ・FCV、LNG・アンモニア燃料船等の 導入検討 ・GXリーグ参画企業としての取り組 み |
| ・炭素税など規制の導入 | ・コスト負担が増加 | 大 | - | 大 | - | |||
| 技術 (再エネ・省エネ技術の遅延) | ・GHG削減目標達成が困 難に | ・再エネ・省エネ・炭素ク レジットの調達コスト増 加 | - | ・グループのエネルギー使用量管理 と省エネ施策 ・再エネ電力の確保 | ||||
| 市場 (顧客の増減) | ・顧客がより低炭素なサ ービスを選択 | ・低炭素サービスに対応し なければシェア低迷 | 大 | - | 大 | - | ・Scope3を含むCO2排出量の開示 ・CO2排出量に関する「見える化」推 進 ・環境車両・環境船舶の活用、モー ダルシフト、物流拠点集約等によ る脱炭素に向けた選択肢の提供 | |
| 物理リスク | 急性 (異常気象) | ・道路・鉄道・海上・航 空輸送の運行停止 | ・物流事業継続に係わるコ スト増加 (保険対象外の設備被害等) | - | - | 小 | 小 | ・BCPの整備・訓練の実施 ・備蓄品の保有 ・拠点間の連携支援 ・拠点の分散化 ・代替輸送ルートの提供 |
| 慢性 (海面上昇) | ・物流拠点の水害対策、 配置の見直しが必要に | ・物流拠点のリスク調査 費・移転等のコスト発生 | - | |||||
| 慢性 (気温上昇) | ・熱中症リスク ・従業員の離職増加 | ・従業員の健康被害増加 ・保険料や採用等のコスト 増加 | - | ・安全な労働環境の整備 ・自動化・無人化の推進 ・従業員の健康安全衛生意識醸成、健康促進の取り組み強化 | ||||
| 機会 | 技術 (再エネ・省エネ技術の普及) | ・再生可能エネルギーへ の切り替え等、再エ ネ・省エネ技術の利用 拡大 | ・低コスト・低CO2排出なエ ネルギーの安定供給 ・自家発電電力の販売によ る収益発生 | - | ・太陽光発電設備敷設と自家消費化 ・LED照明化・空調制御 ・太陽光発電・風力発電等への切り 替え | |||
| 技術 (次世代技術の進展) | ・共同物流サービス等、 車両積載・運行効率を 向上させる次世代物流 技術の導入拡大 | ・モーダルシフト・ダブル 連結トラック導入等によ る物流コスト抑制 ・CO2排出量の削減 | 中 | - | 中 | - | ・最適輸送パターン・最適輸送ルー トの提供等、気候変動リスク対応 物流サービスの提案 | |
| 市場 (次世代エネルギー輸送) | ・燃料電池トラックの普 及に伴うタンクローリ ーによる液化水素輸送 の需要の高まり ・船舶による液化アンモ ニア輸送の需要の高ま り | ・液化水素輸送・液化アン モニア輸送に関する収益 増加 | 小 | - | 中 | - | ・既存事業の拡大と次世代エネルギ ー輸送体制の構築 | |
| 市場 (循環経済) | ・EV電池・太陽光パネ ル・廃プラのリユー ス・リサイクルが拡大 | ・リユース・リサイクル関 連の物流サービスに関す る収益増加 | 小 | - | 小 | - | ・気候変動対策の需要を踏まえた既 存・新規顧客のターゲティング ・物流プラットフォームの構築 | |
| 評判 (ステークホルダーレピュテーション) | ・気候変動リスク対応を 正しく情報開示するこ とにより、投資家等か ら評価 | ・企業価値向上、好条件で の資金調達 | - | ・ステークホルダーへの情報開示の 深化 ・グリーンボンド等による資金調達 | ||||
※1:・事業インパクトは、各シナリオにおける当社への財務影響度を営業利益に対する影響額で算定し、
大、中、小の三段階で評価。
「大」50億円超、「中」10~50億円、「小」10億円未満
「-」現時点では影響額が小さいと判断するため、算定は非実施。
・シナリオ分析においてはIEA「World Energy Outlook2022」(原油価格)、
IEA「World Energy Outlook2021」(炭素税価格)などを参照。
※2:・1.5℃シナリオでは燃料コストは減少と想定するため、リスクの項ではあるが財務影響はプラス。
(商事・貿易/ライフサポート/ビジネスサポート各事業)
| 区分 | 想定される リスク・機会 | 当社グループへの 影響 | 影響のある事業 | 対応策 | |||
| 商事 ・貿易 | ライフ サポート | ビジネス サポート | |||||
| 移行リスク | 政策・法規制 (カーボンプライシング) | ・配送・調達コストの増加 ・規制強化による対応コスト 発生 | ・物流コスト増加 | 〇 | ・自社物流グループへの物流集 約 ・配送頻度の見直し | ||
| ・エネルギー調達コスト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | ・自社グループ施設での太陽光 発電エネルギー自己託送の活 用 | |||
| ・原材料調達コスト増加 | 〇 | 〇 | ・自社グループ内共同調達の推 進 | ||||
| 技術 (環境対応商品・ サービス開発) | ・商品・サービス開発コスト 増加 | ・商品開発コスト増加 | 〇 | ・環境対応商品・サービス開発 体制の構築 ・グループ内共同研究の推進 | |||
| ・サービス開発コスト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 市場 (環境対応商品・ サービスの需要増加) | ・顧客がより環境に配慮した 商品・サービスを選択 ・環境対応外商品のため市場 から疎外 | ・環境対応商品・サービスが 提供できなければシェア低 迷 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 物理リスク | 急性 (異常気象) | ・拠点・設備・在庫・不動産 物件等の甚大な被害 | ・事業継続に係るコスト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | ・BCPの整備・訓練の実施 ・備蓄品の保有 ・調達先・拠点の分散化 ・拠点間の連携支援 ・安全な労働環境の整備 ・従業員の健康安全衛生意識 醸成、健康促進の取り組み 強化 |
| ・サプライチェーンの途絶に 伴う事業停止 | ・店舗・拠点の運営停止によ る販売機会損失 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| ・異常気象による、従業員・ 顧客の人的損害増加 | ・従業員の健康被害増加 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| 慢性 (海面上昇) | ・店舗・拠点の水害対策、配 置の見直しが必要 ・持続可能な商品供給体制 (情報・物流網)整備 | ・店舗・拠点のリスク調査、 移転等のコスト増加 | 〇 | 〇 | |||
| 慢性 (気温上昇) | ・気温上昇による従業員の熱 中症リスク増加 ・熱帯地方の感染症増加によ る人的損害 | ・従業員の健康被害・離職の 増加 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 機会 | 技術 (再エネ・省エネ技術の普及) | ・Scope3を含めたCO₂排出量 の正確な把握への需要増加 | ・CO₂排出量の正確な把握・ 可視化・排出量削減に関す るサービスへの需要増加 | 〇 | ・物流事業で蓄積したノウハウ を活用したサービスの開発・ 提供 | ||
| ・グリーンエネルギーの活用 ・省エネ技術搭載設備の進展 | ・自社施設にグリーンエネル ギー・最新の省エネ技術を 搭載した設備を導入するこ とによるコスト削減 | 〇 | 〇 | ・次世代エネルギー・次世代技 術の研究と積極的な導入 | |||
| 市場 (循環経済) | ・環境対応商品・サービスの 需要増加 | ・減プラスチック化進展に伴 う代替製品の需要増加 | 〇 | ・再生プラスチック・プラスチ ック代替原料を使用した製品 の開発強化 | |||
| ・顧客からの環境配慮型製 品・サービスの需要増加へ の対応による収益拡大 | 〇 | ・回収から再利用迄、グループ 総力での資源循環の仕組み構 築 | |||||
| 市場 (激甚災害の増加) | ・台風・豪雨の頻発により防 災能力の高い施設への需要 増加 | ・防災能力の高い施設の利用 増加による収益拡大 | 〇 | ・既存施設の災害対策・防災能 力の強化 | |||
| 評判 (ステークホルダー レピュテーション) | ・環境に配慮した商品・サー ビス提供による評判向上 ・労働環境改善等による評判 向上 ・災害時の安定供給による取 引先からの評判向上 | ・ブランド価値向上 ・企業価値向上、好条件での 資金調達 | 〇 | 〇 | 〇 | ・ステークホルダーへの情報開 示深化 ・グリーンボンド等による資金 調達 | |
※シナリオ分析の結果
当社グループは、パリ協定の目指す2050年カーボンニュートラルな社会の実現に向け、様々なCO₂排出量の削減施策を推進しています。また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるリスクや機会の把握に努め、認識したリスクに対処しながら、機会を最大化する取り組みを継続的に進めています。
抽出した重要リスクの中で、2022年度に実施した「炭素税導入」によるグループ全体への財務影響度評価の結果、1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を130USD/t-CO₂として試算した場合、2030年に約50~60億円の影響額になると算定されました。「炭素税導入」に関しては、GXリーグに参画し、その動向を把握すると共に、再生可能エネルギーの活用、環境車輌や省資源タイヤの積極的な導入等による様々なCO₂排出削減策の実施に努め、税負担の軽減を目指します。
また、環境車両の技術開発に向けては、他社とも連携し、当社グループの輸送用途に応じた輸送や積載効率向上に資するトラックボディやコンテナ開発を行っています。環境車輌の導入については、CO₂排出量削減のため積極的な投資を推進し、顧客へさらに低炭素な物流サービスの提供を行ってまいります。
これらの取り組み推進により、リスク軽減にとどまらず機会の獲得や拡大に努めてまいります。