有価証券報告書-第107期(2023/04/01-2024/03/31)
(3)戦略
●基本的な考え方
当社グループでは、気候変動への対応は地球環境保全における重要な課題であり、サステナブル経営の推進において対処すべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。
このため当社グループは、気候変動対策に真摯に取り組み、2020年10月には「国連グローバル・コンパクト4分野10原則」に賛同し、環境問題への対応等に関わる原則の実現を支持しています。
2022年9月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、リスクと機会を洗い出し、影響を評価し、対応策を立案していくことが不可欠であると認識し、2022年度よりTCFDの提言に沿ったシナリオ分析を行っています。
加えて、当社グループが主体的に取り組むべきScope1+2について、2050年にカーボンニュートラルを目指すこととそのための基本方針、2022年度を基準年度とする中間年度の排出量削減率を2024年5月開催の取締役会で決議し、気候変動対策に真摯に取り組んでいます。
目標達成に向けた基本方針は以下の通りです。

●シナリオ分析
2023年度は、中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設された「プロダクト事業」について「非物流事業」である「商事・貿易事業」「ライフサポート事業」「ビジネスサポート事業」との横断的視点で、TCFDのフレームワークに基づく気候変動によるリスクと機会についてのシナリオ分析を実施し、移行リスク・物理リスク・機会を具体化し、中長期の対応策を検討しました。
また、基盤事業である「物流事業」については、2022年度にシナリオ分析を深化させ、2021年度に想定したリスク・機会のうち当社が重要と考える項目について、2030年、2050年の時間軸、1.5℃シナリオと4℃シナリオの気温軸で財務影響度を評価し、投融資にかかる戦略への反映を検討しましたが、2050年にカーボンニュートラルを目指すことに伴い、リスクや炭素税の影響を見直しました。
(物流事業)
※1:・事業インパクトは、各シナリオにおける当社への財務影響度を営業利益に対する影響額で算定し、
大、中、小の三段階で評価。
「大」50億円超、「中」10~50億円、「小」10億円未満
「-」現時点では影響額が小さいと判断するため、算定は非実施。
・シナリオ分析においてはIEA「World Energy Outlook2023」(原油価格、炭素税価格)などを参照。
※2:・1.5℃シナリオでは燃料コストは減少と想定するため、リスクの項ではあるが財務影響はプラス。
(非物流事業)
※環境配慮型製品・商品・サービス … サプライチェーン全体の中で環境負荷低減が見込める製品・商品・サービス
※シナリオ分析の結果
当社グループは、2050年カーボンニュートラルな社会の実現に貢献すべく、また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるリスクを把握し、様々な取り組み推進によりリスク軽減に努めています。
また、当社が長年培ってきたケミカル物流でのノウハウを活かしたアンモニアや水素など、今後、カーボンニュートラル実現のための貢献が期待されるエネルギーの輸送ビジネス、サプライチェーン全体の中でのGHG排出削減が見込める製品・商品・サービスの提供など、機会の獲得や最大化をする取り組みを継続的に進めていきます。
2023年度は、中長期のGHG排出削減目標を再検討し、抽出した重要リスクの中で「炭素税導入」によるグループ全体への財務影響度評価について、1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を140USD/t-CO2として再試算しましたが、2030年に約50~60億円の影響額になると算定され、前年度の想定から変更はありませんでした。また、2050年にカーボンニュートラルを目指すことにより2050年の影響額は「大」→「小」に変更となりました。それ以外の事業インパクトについての変更はありません。
●基本的な考え方
当社グループでは、気候変動への対応は地球環境保全における重要な課題であり、サステナブル経営の推進において対処すべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。
このため当社グループは、気候変動対策に真摯に取り組み、2020年10月には「国連グローバル・コンパクト4分野10原則」に賛同し、環境問題への対応等に関わる原則の実現を支持しています。
2022年9月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、リスクと機会を洗い出し、影響を評価し、対応策を立案していくことが不可欠であると認識し、2022年度よりTCFDの提言に沿ったシナリオ分析を行っています。
加えて、当社グループが主体的に取り組むべきScope1+2について、2050年にカーボンニュートラルを目指すこととそのための基本方針、2022年度を基準年度とする中間年度の排出量削減率を2024年5月開催の取締役会で決議し、気候変動対策に真摯に取り組んでいます。
目標達成に向けた基本方針は以下の通りです。

●シナリオ分析
2023年度は、中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設された「プロダクト事業」について「非物流事業」である「商事・貿易事業」「ライフサポート事業」「ビジネスサポート事業」との横断的視点で、TCFDのフレームワークに基づく気候変動によるリスクと機会についてのシナリオ分析を実施し、移行リスク・物理リスク・機会を具体化し、中長期の対応策を検討しました。
また、基盤事業である「物流事業」については、2022年度にシナリオ分析を深化させ、2021年度に想定したリスク・機会のうち当社が重要と考える項目について、2030年、2050年の時間軸、1.5℃シナリオと4℃シナリオの気温軸で財務影響度を評価し、投融資にかかる戦略への反映を検討しましたが、2050年にカーボンニュートラルを目指すことに伴い、リスクや炭素税の影響を見直しました。
(物流事業)
| 区分 | 想定される リスク・機会 | 当社グループへの 影響 | 事業インパクト ※1 | 対応策 | ||||
| 2030年 | 2050年 | |||||||
| 1.5℃ | 4℃ | 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 移行リスク | 政策・法規制 (カーボンプライシング) | ・急激な燃料価格変動 ・環境車両導入による 電気料金発生 | ・運送燃料コスト変動 | 中(+) ※2 | 中 | 中 | 中 | ・環境優良車両(EV・HV・LNG・環 境対応DSL等)、ダブル連結トラ ックの導入推進 ・モーダルシフトの促進 ・環境優良船舶(FCV、LNG・アンモ ニア燃料船等)の導入検討 ・GXリーグ参画企業としての取り組 み |
| ・炭素税など規制の導入 | ・コスト負担が増加 | 大 | - | 小 | - | |||
| 技術 (再エネ・省エネ技術の遅延) | ・GHG削減目標達成が困 難に | ・再エネ・省エネ・炭素ク レジットの調達コスト増 加 | - | ・グループのエネルギー使用量管理 と省エネ施策 ・再エネ電力の確保 | ||||
| 市場 (顧客の増減) | ・顧客がより低炭素な 物流サービスを選択 | ・低炭素物流サービスに対 応しなければシェア低迷 | 大 | - | 大 | - | ・Scope3を含むGHG排出量の開示 ・GHG排出量に関する「見える化」 推進 ・環境優良車両・船舶の活用、クリ ーン燃料導入、モーダルシフト、物流拠点集約等による脱炭素に向 けた選択肢の提供 | |
| 物理リスク | 急性 (異常気象) | ・道路・鉄道・海上・航 空輸送の運行停止 | ・物流事業継続に係わるコ スト増加 (保険対象外の設備被害 等) | - | - | 小 | 小 | ・BCPの整備・訓練の実施 ・備蓄品の保有 ・拠点間の連携支援 ・拠点の分散化 ・代替輸送ルートの提供 |
| 慢性 (海面上昇) | ・物流拠点の水害・塩害 対策、拠点配置の見直 しが必要に | ・物流拠点のリスク調査 費・移転等のコスト発生 | - | |||||
| 慢性 (気温上昇) | ・熱中症リスク ・従業員の離職増加 | ・従業員の健康被害増加 ・保険料や採用等のコスト 増加 | - | ・安全な労働環境の整備 ・自動化・無人化の推進 ・従業員の健康安全衛生意識醸成、健康促進の取り組み強化 | ||||
| 機会 | 技術 (再エネ・省エネ技術の普及) | ・再生可能エネルギーへ の切り替え等、再エ ネ・省エネ技術の利用 拡大 | ・低コスト・GHG低排出エ ネルギーの安定供給 ・自家発電再エネ電力の販 売による収益発生 | - | ・太陽光発電設備敷設と大容量蓄電 池設置による自家消費強化 ・LED照明化・空調の省エネ化を推 進 ・太陽光発電・風力発電等への切り 替え | |||
| 技術 (次世代技術の進展) | ・共同物流サービス等、 車両積載・運行効率を 向上させる次世代物流 技術の導入拡大 | ・モーダルシフト・ダブル 連結トラック導入等によ る物流コスト抑制 ・GHG排出量の削減 | 中 | - | 中 | - | ・最適輸送パターン・最適輸送ルー トの提供等、気候変動リスク対応 物流サービスの提案 | |
| 市場 (次世代エネルギー輸送) | ・燃料電池トラックの普 及に伴うタンクローリ ーによる液化水素輸送 の需要の高まり ・船舶による液化アンモ ニア輸送の需要の高ま り | ・液化水素輸送・液化アン モニア輸送に関する収益 増加 | 小 | - | 中 | - | ・既存事業の拡大と次世代エネルギ ー(水素・アンモニア等)輸送体制 の構築 | |
| 市場 (循環経済) | ・EV電池・太陽光パネ ル・廃プラのリユー ス・リサイクル市場拡 大に伴う静脈物流需要 増大 | ・リユース・リサイクル関 連の物流サービスに関す る収益増加 | 小 | - | 小 | - | ・気候変動対策の需要を踏まえた既 存・新規顧客のターゲティング ・静脈物流プラットフォームの構築 ・回収元、リサイクラーとのエンゲ ージメント強化 | |
| 評判 (ステークホルダーレピュテーション) | ・気候変動リスク対応を 正しく情報開示するこ とにより、投資家等か ら評価 | ・企業価値向上、好条件で の資金調達 | - | ・ステークホルダーへの情報開示の 深化 ・グリーンボンド等による資金調達 | ||||
※1:・事業インパクトは、各シナリオにおける当社への財務影響度を営業利益に対する影響額で算定し、
大、中、小の三段階で評価。
「大」50億円超、「中」10~50億円、「小」10億円未満
「-」現時点では影響額が小さいと判断するため、算定は非実施。
・シナリオ分析においてはIEA「World Energy Outlook2023」(原油価格、炭素税価格)などを参照。
※2:・1.5℃シナリオでは燃料コストは減少と想定するため、リスクの項ではあるが財務影響はプラス。
(非物流事業)
| 区分 | 想定される リスク・機会 | 当社グループへの影響 | 影響のある事業 | 対応策 | ||||
| 商事 ・貿易 | ライフ サポート | ビジネス サポート | プロ ダクト | |||||
| 移行 リスク | 政策・法規制 (カーボンプライシング) | ・規制強化による配送・調達 コストの増加 ・規制強化による対応コスト 発生 | ・物流コスト増加 | 〇 | 〇 | ・自社物流グループへの物流網 集約 ・配送頻度の見直し | ||
| ・エネルギー調達コス ト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・グループ施設での太陽光発電 ・グループ内の再生可能エネル ギー自己託送の活用 | |||
| ・原材料調達コスト増 加 | 〇 | 〇 | 〇 | ・グループ内共同調達の推進 | ||||
| ・バージンプラ使用製 品・商品に対する課 税コスト増加 | 〇 | ・バージンプラ使用削減及び、 再生プラスチック・プラスチ ック代替原料を使用した製 品・商品の開発強化 | ||||||
| 技術 (環境配慮型製品・ 商品・サービス開発) | ・製品・商品・サービス開発 コスト増加 | ・製品・商品・サービ ス開発コスト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・環境配慮型製品・商品・サー ビス開発体制の構築 ・グループ内共同研究の推進 ・サプライチェーン全体におけ る、GHG排出量・削減貢献量の 見える化と信頼性の担保 ・サプライチェーン全体でのGHG 排出量削減を推進 | |
| 市場 (環境配慮型製品・商品・サービスの需要増加) | ・顧客がより環境に配慮した 製品・商品・サービスを選 択 ・環境非配慮型製品・商品・ サービスは市場から疎外 | ・環境配慮型製品・商 品・サービスが提供 できなければシェア 低迷 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 物理 リスク | 急性 (異常気象) | ・拠点・工場・設備・在庫・ 不動産物件等の甚大な被害 | ・事業継続に係るコス ト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・BCPの整備・訓練の実施 ・備蓄品の保有 ・調達先・拠点の分散化 ・グループ・拠点・工場間の連 携 ・安全な労働環境の整備 ・従業員の健康安全衛生意識 醸成、健康促進の取り組み 強化 |
| ・サプライチェーンの途絶に 伴う事業停止 | ・店舗・拠点・工場の 運営停止による販売 機会損失 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| ・異常気象による、従業員・ 顧客の人的損害増加 | ・従業員の健康被害・ 離職の増加 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| 慢性 (海面上昇) | ・店舗・拠点・工場の水害・ 塩害対策、配置の見直しが 必要 ・持続可能な商品供給体制 (情報・物流網)整備 | ・店舗・拠点・工場の リスク調査、移転等 のコスト増加 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| 慢性 (気温上昇) | ・気温上昇による従業員の熱 中症リスク増加 ・熱帯地方の感染症増加によ る人的損害 | ・従業員の健康被害・ 離職の増加 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 機会 | 技術 (再エネ・省エネ技術の普及) | ・Scope3を含めたGHG排出量 の正確な把握への需要増加 | ・GHG排出量の正確な 把握・可視化・排出 量削減に関するサー ビスへの需要増加 | 〇 | ・物流事業で蓄積したノウハウ を活用したサービスの開発・ 提供 | |||
| ・グリーンエネルギーの活用 ・省エネ技術搭載設備の進展 | ・店舗・拠点・工場に グリーンエネルギ ー・最新の省エネ技 術を搭載した設備を 導入することによる コスト削減 ・GHG排出量の削減・ 吸収ビジネス創出の 可能性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・次世代エネルギー・次世代技 術の研究と積極的な導入 | ||
| 市場 (循環経済、環境配慮型製品・商品・サービス) | ・製品・商品・サービスを通 じたGHG削減要望が増加 | ・顧客からの環境配慮 型製品・商品・サー ビスの需要増加への 対応による収益拡大 ・非石化原料を使用し た(石化原料の使用 を低減した)製品・ 商品の需要増加 ・資源循環に資する環 境配慮型製品・商 品・サービスへの需 要増加 | 〇 | 〇 | ・石化原料を削減及び、再生プ ラスチック・バイオマスプラ スチック・プラスチック代替 原料を使用した製品・商品の 開発強化と具現化 ・サプライチェーン全体の中で GHG排出削減量が見込める製 品・商品・サービス提供 ・静脈物流網を活かしたグルー プ総力でのリサイクルモデル 構築と低コスト・高品質な再 生プラ製品・ 商品の市場提供 ・回収元、リサイクラーとのエ ンゲージメント強化 | |||
| 市場 (激甚災害の増加) | ・台風・豪雨の頻発により防 災能力の高い施設への需要 増加 | ・防災能力の高い施設 の利用増加による収 益拡大 | 〇 | ・既存施設の災害対策・防災能 力の強化 | ||||
| 評判 (ステークホルダー レピュテーション) | ・環境配慮型製品・商品・サ ービス提供による評判向上 ・労働衛生環境改善等による 評判向上 ・災害時の安定供給による取 引先からの評判向上 | ・ブランド価値向上 ・企業価値向上、好条 件での資金調達 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・ステークホルダーへの情報開 示深化 ・グリーンボンド等による資金 調達 | |
※環境配慮型製品・商品・サービス … サプライチェーン全体の中で環境負荷低減が見込める製品・商品・サービス
※シナリオ分析の結果
当社グループは、2050年カーボンニュートラルな社会の実現に貢献すべく、また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるリスクを把握し、様々な取り組み推進によりリスク軽減に努めています。
また、当社が長年培ってきたケミカル物流でのノウハウを活かしたアンモニアや水素など、今後、カーボンニュートラル実現のための貢献が期待されるエネルギーの輸送ビジネス、サプライチェーン全体の中でのGHG排出削減が見込める製品・商品・サービスの提供など、機会の獲得や最大化をする取り組みを継続的に進めていきます。
2023年度は、中長期のGHG排出削減目標を再検討し、抽出した重要リスクの中で「炭素税導入」によるグループ全体への財務影響度評価について、1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を140USD/t-CO2として再試算しましたが、2030年に約50~60億円の影響額になると算定され、前年度の想定から変更はありませんでした。また、2050年にカーボンニュートラルを目指すことにより2050年の影響額は「大」→「小」に変更となりました。それ以外の事業インパクトについての変更はありません。