有価証券報告書-第92期(2022/04/01-2023/03/31)
① 気候変動のシナリオと対応戦略
当社グループは、エネルギーを取扱う企業の責務として気候変動を喫緊の重要課題と認識し、気候変動が当社グループの事業活動に与える影響の分析をおこなった。
イ.想定するシナリオ
当社グループは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表している第6次評価報告書第1作業部会報告書のシナリオをベースに2030年から2040年までのシナリオ分析を実施した。
<4℃シナリオ(SSP5-8.5)>各国のGHG (温室効果ガス)削減が進まず、世界の平均気温が今世紀末ごろに4℃程度上昇する。平均気温が上がることで大型台風や集中豪雨による災害が頻発するとともに、新たな感染症が発生し猛威を振るっている。世界的に暖冬が続き、暖房需要が減退する。
GHG排出については、一部の先進国で厳しい法規制が敷かれるものの、発展途上国では経済活動が優先され消極的な規制にとどまる。再生可能エネルギーの普及は進むが、化石燃料への依存が続く。
<2℃シナリオ(SSP2-4.5)>各国において低炭素社会実現にむけた取組みが開始され、炭素税を含む各種規制・税制が施行される。これによりGHG排出量は横ばいで推移し、世界の気温上昇速度は緩やかになる反面、税負担の増加により企業の収益性が悪化する。
また、大型台風や集中豪雨は現在(2022年度)と同程度の頻度で発生している。新型コロナウイルス感染症は収束し、経済活動は2019年度と同様の状態が続いている。
電力供給は再生可能エネルギーの割合が大きく増加するものの、再生可能エネルギーのみの電力供給は不安定であることから化石燃料による発電も依然として続いている。
ロ.シナリオ分析
・リスク
<4℃シナリオ>
<2℃シナリオ>
・機会
<4℃シナリオ>
<2℃シナリオ>
<4℃・2℃シナリオ>
(発生時期の基準)
発生時期の定義は以下のとおりである。
(用語説明)
※1 SAF
廃食油や動植物性油脂などを原料とした航空燃料。Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略。
※2 オンサイトエネルギーサービス
需要家の敷地内に燃料供給設備、ボイラ設備等を設置し、必要なエネルギーを安定供給するサービス。
※3 メタネーション技術
水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を反応させ、メタン(CH4)を合成する技術。ガスの脱炭素化技術として注目されている。
※4 プロパネーション技術
メタネーションと同様に水素と二酸化炭素を反応させ、プロパン(C3H8)を合成する技術。現時点で技術体系は確立されていない。
当社グループは、エネルギーを取扱う企業の責務として気候変動を喫緊の重要課題と認識し、気候変動が当社グループの事業活動に与える影響の分析をおこなった。
イ.想定するシナリオ
当社グループは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表している第6次評価報告書第1作業部会報告書のシナリオをベースに2030年から2040年までのシナリオ分析を実施した。
<4℃シナリオ(SSP5-8.5)>各国のGHG (温室効果ガス)削減が進まず、世界の平均気温が今世紀末ごろに4℃程度上昇する。平均気温が上がることで大型台風や集中豪雨による災害が頻発するとともに、新たな感染症が発生し猛威を振るっている。世界的に暖冬が続き、暖房需要が減退する。
GHG排出については、一部の先進国で厳しい法規制が敷かれるものの、発展途上国では経済活動が優先され消極的な規制にとどまる。再生可能エネルギーの普及は進むが、化石燃料への依存が続く。
<2℃シナリオ(SSP2-4.5)>各国において低炭素社会実現にむけた取組みが開始され、炭素税を含む各種規制・税制が施行される。これによりGHG排出量は横ばいで推移し、世界の気温上昇速度は緩やかになる反面、税負担の増加により企業の収益性が悪化する。
また、大型台風や集中豪雨は現在(2022年度)と同程度の頻度で発生している。新型コロナウイルス感染症は収束し、経済活動は2019年度と同様の状態が続いている。
電力供給は再生可能エネルギーの割合が大きく増加するものの、再生可能エネルギーのみの電力供給は不安定であることから化石燃料による発電も依然として続いている。
ロ.シナリオ分析
・リスク
<4℃シナリオ>
| 種類 | 影響 | リスク | 影響度 | 発生 時期 | 対応戦略 | |
| 物理的 | 急性 | 異常気象による集中豪雨や河川氾濫 | ・大型台風などの影響により航空機給油施設や石油製品油槽所の一部が水没 | 小 | 短期 | ・BCP(事業継続計画)の整備 |
| 慢性 | 気象パターンの変化による気温上昇 | ・海面上昇により石油製品油槽所の一部が機能不全 ・航空機給油施設内の地下水上昇 | 大 | 長期 | ・他油槽所の代替利用 ・高潮対策(嵩上) ・排水機能強化 | |
| 移行 | 法規制 | ガソリン車の規制強化 | ・ガソリン車の規制強化 ・炭素税導入によりガソリン車の利用が減少 | 大 | 短期 | ・効率化事業(石油)はローコスト体制へ ・経営資源を再配分 |
| 技術 | 航空燃料SAF(※1)の普及 | ・航空燃料はSAFの割合が増 加 | 小 | 短期 | ・SAFの貯蔵、サービス | |
| 市場 | EV(電気自動車)普及率増加 | ・EVが普及するもライフラインとしてのSS需要は残る | 大 | 短期~ 中期 | ・ガソリン車への対応は継続しEV等への対応 | |
| 評判 | 投資家による石油関連銘柄敬遠 | ・ダイベストメントによる株価下落 | 小 | 短期 | ・事業ポートフォリオの進化 | |
<2℃シナリオ>
| 種類 | 影響 | リスク | 影響度 | 発生 時期 | 対応戦略 | |
| 物理的 | 急性 | 大雨による被害 | ・大雨の影響により航空機給油施設や石油製品油槽所の一部が浸水 | 小 | 短期 | ・BCP(事業継続計画)の整備 |
| 移行 | 法規制 | ガソリン車の新車販売禁止 | ・2030年代にはガソリン車の新車販売が禁止 ・2030年以降、急激にガソリン販売量が減少 | 大 | 中期 | ・SS新業態への転換 |
| 技術 | 航空燃料はSAFが主流 | ・航空燃料はSAFが主流に | 小 | 中期~ 長期 | ・航空機給油施設の整備・運用 | |
| 技術 | 小型航空機では一部水素を燃料にした航空機が就航 | ・水素を動力とした小型航空機の就航が開始 | 小 | 中期~ 長期 | ・水素燃料への供給対応 | |
| 市場 | EVおよび水素自動車の普及率増加 | ・EV、水素自動車へのシフトが進みガソリン車シェアが大きく減少 | 大 | 短期~ 中期 | ・成長事業への投資拡大 ・EVへの対応を含むSS新業態への転換 | |
| 評判 | 投資家による石油関連銘柄敬遠 | ・ダイベストメントによる株価下落 | 小 | 短期 | ・事業ポートフォリオの進化 | |
・機会
<4℃シナリオ>
| 種類 | 影響 | 機会 | 影響度 | 発生 時期 | 対応戦略 |
| 資源の 効率化 | 灯油・重油からの燃転が進む | ・オンサイトエネルギーサービス(※2)の需要が増加 | 小 | 短期 | ・灯油・重油よりGHG排出量が少ないLNGを用いたエネルギーサービスを展開 |
| 資源の 効率化 | 再生可能エネルギーの普及 | ・再生可能エネルギーのオペレーション&メンテナンス部門へ進出しビジネス機会が増加 | 中 | 中期 | ・風力発電などのオペレーション&メンテナンスをおこなう会社への出資 |
| 製品・ サービス | 感染症蔓延により衛生分野の化学品メーカーにおける需要が増加 | ・衛生分野の化学品メーカーを買収 | 中 | 短期~ 中期 | ・化学品メーカーの買収 |
| 製品・ サービス | 空港での水素供給 | ・水素を動力とした空港内特殊車両への水素供給ビジネスを展開 | 小 | 短期~ 中期 | ・水素貯蔵施設の建設・運営 |
<2℃シナリオ>
| 種類 | 影響 | 機会 | 影響度 | 発生 時期 | 対応戦略 |
| 製品・ サービス | 水素ステーション建設 | ・エンジニアリング部門において水素ステーション建設増加 | 大 | 中期 | ・水素ステーションの建設 |
| 製品・ サービス | 水素自動車の普及 | ・水素ステーション運営へと転換を図る | 大 | 中期 | ・水素ステーションの運営 |
| 製品・ サービス | 空港での水素供給 | ・水素を動力としたプライベート航空機や空港内特殊車両への水素供給ビジネスを展開 | 小 | 中期 | ・水素貯蔵施設の建設・運営 |
<4℃・2℃シナリオ>
| 種類 | 影響 | 機会 | 影響度 | 発生 時期 | 対応戦略 |
| エネルギー源 | メタネーション技術(※3)の確立 | ・合成メタン製造の技術が確立され、天然ガスから合成メタンへの切り替えが進む | 中 | 長期 | ・新たな仕入先、販売先の確保 |
| エネルギー源 | プロパネーション技術(※4)の確立 | ・合成プロパンガス製造の技術が確立され、切り替えが進む | 中 | 長期 | ・グリーンLPガスの販売へ切り替えていく |
| エネルギー源 | e-fuel技術の確立 | ・合成燃料の製造技術が確立され化石燃料からの切り替えが進む | 大 | 長期 | ・新たな仕入先、販売先の確保 |
| 製品・ サービス | 半導体需要増 | ・金属表面処理業(CT事業)の拡大 | 小 | 短期~ 中期 | ・旺盛な半導体需要への対応として新たなCT事業所を建設する |
(発生時期の基準)
発生時期の定義は以下のとおりである。
| 区分 | 期間 |
| 短期 | 2030年まで |
| 中期 | 2030年から2050年まで |
| 長期 | 2050年以降 |
(用語説明)
※1 SAF
廃食油や動植物性油脂などを原料とした航空燃料。Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略。
※2 オンサイトエネルギーサービス
需要家の敷地内に燃料供給設備、ボイラ設備等を設置し、必要なエネルギーを安定供給するサービス。
※3 メタネーション技術
水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を反応させ、メタン(CH4)を合成する技術。ガスの脱炭素化技術として注目されている。
※4 プロパネーション技術
メタネーションと同様に水素と二酸化炭素を反応させ、プロパン(C3H8)を合成する技術。現時点で技術体系は確立されていない。