有価証券報告書-第60期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/25 13:59
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(2)戦略
◆経営戦略
2025年度は、創立60周年という節目であると同時に、現行中期経営計画(2022~2025年度)の最終年度にあたります。この60年間で培ってきた「中立性」「技術」「現場力」を原点に、2024年度にはチーフオフィサー制度の導入、専門人材の登用、ESG経営の推進など人的資本経営を強化するとともに、株主還元や上場維持に向けた資本政策など、企業価値向上に向けた多面的な変革を本格化させてきました。
2025年度はこれらの改革を着実に成果へと結びつけるとともに、次期中期経営計画(2026~2030年度)への戦略的移行を確実に進める「橋渡しの年」=戦略的移行年度として、企業価値・株主価値の最大化に取り組むこととしています。
当社は創立60周年を単なる節目ではなく、持続可能な企業成長に向けた構造的変革と戦略的成長の起点と位置づけ、次の10年に向けた飛躍を確実にスタートさせてまいります。

これらの重点施策を着実に実行し、中期的な企業価値の向上を図るためには、戦略の推進体制と業務執行の一体的な強化が不可欠であると判断し、2025年度より組織体制の抜本的な見直しを行いました。
全社戦略の実効性を高めるために、4つの部門からなる機能別・戦略別の明確な役割分担体制を導入し、あわせてチーフオフィサー制度の拡充、R&D(研究開発機能)の新設、本社機能の中枢化、現場における業務改革の推進など、経営基盤の再構築を進めてまいります。
① 組織改編とガバナンス強化
2025年度より、以下のとおり4つの部門体制を導入し、機能別・戦略別の明確な役割分担と責任体制を構築します。
・コーポレート部門:総務、経営企画、安全・品質・教育の機能に加え、全社の改革推進を担う成長戦略推進組織を新設
・営業部門:本社と支社を横串で結ぶマトリクス型組織とし、主要顧客との関係を強化と地域展開の戦略性を高める
・サービス提供部門:現場のオペレーション業務統括、人材の流動化を推進する柔軟なオペレーション体制を整備
・ソリューション事業部門:新技術・商材を扱う高機動部門、製品特性に応じた即応的な営業・開発判断を行う

② CxO体制の拡充
2024年度に導入したCxO体制に加え、2025年度はCOO(最高執行責任者)を新設し、執行役員体制との連携を強化することで、戦略の全社的推進を図ります。
・CEO(最高経営責任者):経営責任
・CSO(最高戦略責任者):中期経営計画の達成及び企業価値向上に向けた戦略立案及びプロセスの構築
・COO(最高執行責任者):縦割り組織の壁を越えて横断的に業務を推進し、全社的な目標達成に向けオペレーションを一貫して管理
・CTO(最高技術責任者):技術面から経営をサポートし、当社コア技術の確立、新規事業開発、技術研究開発の実現
・CFO(最高財務責任者):財務戦略、配当計画・資金調達の立案と実行
CxOは、組織運営における「戦略と執行の橋渡し役」として、意思決定スピードと説明責任の両立を図る中核的な役割を担います。
③ 戦略担務の再設計
2024年度より、執行役員に対し部門横断の「戦略担務」を設定し、特定テーマ(成長事業、資本効率、海外展開、人材確保等)に責任を持って取り組んでいますが、計画に対して十分な進捗が見られない領域については、本年度中にリカバリープランを策定・再設定します。
今後は、CxO体制と戦略担務を接続したPDCA運営を徹底し、各責任者の役割・進捗・成果を定量的・定性的にモニタリングし、説明責任の明確化と成果の最大化を図ってまいります。
④ R&D設置と技術革新の加速
燃える挑戦心を持ち続ける社員とともに、技術を極め、持続可能な空港環境の創造と環境貢献のリーディングカンパニーとして、2025年度より本社に研究開発機能(R&D)を新設しました。R&Dは、企業価値の持続的向上に資する技術戦略の策定と実行を担い、以下を中心に活動を推進しています。
・固定式埋設型GPUの高機能化と制御最適化
・固定式空調装置の自社開発及びコスト削減施策の推進
・海外製空調装置の導入・標準化に向けたプロジェクトマネジメント
・技術者育成と連携ネットワークの拡大
異業種や学協会との連携を深め、R&D人材の育成にも注力しています。将来の競争力の源泉となる「技術開発力」の強化と、長期的な成長基盤の確立を進めています。
今後も、社会課題に対応する技術を起点とした価値創出に取り組み、技術・製品・人材の三位一体で持続可能な未来に貢献する研究開発体制を強化してまいります。
⑤ 本社機能の中枢化
2025年度、当社は経営体制の一体運営と機能間連携の強化を目的に、総務・経営企画・安全・品質・教育を統合した「コーポレート部門」を新たに整備し、あわせてプロジェクト単位で柔軟に機能する「戦略チーム」を本社に配置しました。これにより、経営戦略の立案から制度設計、人材開発、リスク管理までを横断的に担う中枢機能としての本社体制を構築いたしました。空港拠点や事業部門と密に連携しながら、全社最適の視点から組織運営を支援し、現場主導の実行と本社による統制・支援のバランスを保つ仕組みを確立しています。
⑥ 現場におけるBPR推進
空港拠点「サービス提供部門」においては、現場業務の効率化と標準化を目的としたBPR(業務プロセス改革)を推進しています。以下の3つの観点から、実行力とコスト競争力の強化に取り組んでいます。
・業務の標準化と再現性の確保
業務手順や役割分担の明確化により属人化を排除し、業務の平準化と再現性向上を図る運用体制を整備しています。
・人材・組織の柔軟性と多様性の強化
複数拠点間での知見共有や人員の柔軟配置を通じて、業務負荷の平準化と機動的な体制構築を推進しています。あわせて、人材の多能化や、外国人技術者(Airport Ground Power (Thailand) との連携)、女性・高齢者・非専攻層および非正規社員の積極的登用を進め、多様な人材の活躍を促進しています。
・現場主導の改善活動とコストマネジメント
現場からの提案に基づく作業改善、設備更新、5S活動等を通じ、継続的なコスト構造の見直しと資源配分の最適化に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、本社と現場の機能が明確に役割分担され、戦略と実行の有機的連動が進展しています。今後も、全社視点での統制と現場視点での柔軟な対応力を両立する組織運営を目指してまいります。
◆事業戦略
高い技術力で環境社会に貢献できる企業を目指すとともに、選択と集中により得られる経営資源を十分に活用し、事業基盤のシフトを推し進め、地方・海外空港への展開や当社技術を活かせる空港外産業への事業展開を図り、新しい商品・サービスの開発へチャレンジしながら持続的な成長へ繋げる事を志向しております。

<事業戦略と具体的な取組>当社は、GPU利用促進による地球温暖化防止への取り組みを継続して推し進めております。また、これまで国内主要空港にて培ってきた、GPU設備をはじめとする電気インフラに係わる知見と技術が最大限活かせる好機と捉え、当社の強みである「電気」を主軸とした、「環境」×「電気」×「DX」領域での事業多角化を行い、新たな収益の柱となるビジネス創出を目指しており、各種ソリューション開発を推し進めております。加えて、既存事業との関連性を基に、新たな技術価値によるサービス構築が急務であるとの課題を認識しており、既存事業で培った技術と親和性の高い「物流保守サービスの拡大」への取り組みを進めてまいります。
①GPU利用促進による空港の脱炭素化
・空港で駐機中の航空機に対して当社GPU設備の利用を推し進め、2025年度末までにCO2排出量削減33.5万トン以上を目指す。当事業年度末現在、CO₂排出量削減は29.4万トン(前年比+5.7%)となっております。
・当社GPU設備が配備されていない地方空港等には、各空港のニーズに合わせたGPU設備・機材の提供をはじめとした空港分野における環境貢献に寄与するサービスの拡充を目指します。現在、航空機用の電源及び空調を同時供給できる移動式機材comboを配置、また国産初のバッテリー駆動式GPU(登録商標Be power.GPU)の製品化をしております。
・カーボンニュートラル、環境負荷の低減の実現に向けて、環境貢献機材の開発を推進し、外部電源式省スペース型固定空調装置の開発、移動式GPUに対するバイオディーゼル燃料の導入試験等を継続して実施しており、今後も新技術導入による次世代製品の開発を進めます。
② GPU仕入れ電力の再生可能エネルギー化の推進
・エネルギーマネジメントシステム/AI蓄電池/再エネ導入によるエネルギーの最適化
当社はこれまで推進してきたGPU利用促進を基盤に、空港の脱炭素化とエネルギー利用最適化に向けた取り組みをさらに拡大しています。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、調達コストの上昇が航空会社の負担増となる可能性があることから、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入と大型蓄電池の活用によって電力需給の最適化と負荷調整を進めています。これにより、グリーン電力導入に伴うコスト上昇の抑制と空港全体の電力効率向上の両立を目指し、技術開発にも注力しています。さらに、空港内EV化の進展を見据え、航空機地上支援機材(GSE)向け充電ステーションの整備も構想中です。今後も、環境価値と経済合理性の両立を重視し、空港運営管理会社と連携しながら、次世代の空港電力供給モデルの構築と脱炭素社会への貢献に向けた事業基盤の強化に努めてまいります。

③ 海外展開
当社は、日本国内で培ってきた空港技術インフラにおける高い信頼性・安全性及び運用ノウハウを強みとして、アジア市場を中心に海外展開を進めています。現在、タイの空港運営管理会社との連携を通じて、当社独自技術である固定式埋設型GPUやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用した「グリーンエアポート構想」の実現を目指しております。とりわけ、日本発・当社独自の技術である「固定式埋設型GPU」は、先進的な空港インフラ技術として高い評価を受けており、今後はASEAN諸国を中心に、脱炭素・電動化に対応した次世代空港モデルとしての展開を視野に入れており、こうした取り組みは、政府が掲げる「質の高いインフラ輸出」の推進方針(ナショナルアジェンダ)にも合致するものであり、日本の空港環境技術を世界に広げる一翼を担ってまいります。
当社は、これからも日本の空港で培った技術と理念を活かし、持続可能且つ環境負荷の少ない次世代空港インフラの実現に向けて、海外においても積極的に貢献してまいります。
④ 空港外業務領域への事業展開(空港外売上目標比率20%超)
航空需要のボラティリティや経済変動への柔軟な対応力を高めるため、空港外の分野にも事業領域を広げています。
◇物流領域の拡大
・空港で培った高度な保守技術と24時間365日運用の知見を活かし、物流センター・倉庫のメンテナンス業務を拡大
・Eコマース需要拡大により、ベルトコンベア保守業務の実績が高く評価され、受託件数拡大中
・物流倉庫内搬送設備の設計・提案・工事・運用保守体制を確立(ワンストップサービス)
◇フードカート事業の拡大
・医療・介護分野にも展開し、病院・サ高住*向けフードカートの製作・販売を推進
・完全調理済食材*(クックチル・ニュークックチル)と高効率な再加熱カートを組合わせた調理提供システムの導入を積極的に推進
*サ高住:サービス付き高齢者向け住宅
*完全調理済食材:給食会社や食材会社など販売協力会社が担っています。クックチルは、最終加熱(再加熱)後(食事を提
供する前)に温かい状態で盛り付ける。ニュークックチルは、最終加熱(再加熱)前のチルド状態での
盛り付けを行う。
◆人材戦略
日本社会における少子高齢化は、空港業界の現場人材確保にも大きな影響を与えており、当社では技能継承・属人化解消・多様な人材確保を重要課題と捉えています。特に2025年度は、以下の取り組みを重点的に推進してまいります。
また、当社では、多様性の確保・容認に向けたダイバーシティ経営を推進しておりますので、その取り組みについても付記いたします。
<人材戦略の具体的な取組>① 外国人技術者の採用・育成(AGPT連携)
② 女性・高齢者・非専攻層の登用
③ マルチスキル化とDXによる現場高度化
④ ダイバーシティとエンゲージメントを両立させる文化醸成
⑤ 本社機能(法務・人事・企画等)の専門化と中枢化
⑥ 中長期的な要員計画の策定
⑦ 従業員への還元の充実と適正な人件費水準の維持
・透明性・公平性のある評価・報酬システムの安定運用
・適正な水準の労働分配率を維持
・従業員の生活水準の維持確保、成長事業に資する人材確保に向けた採用力強化の観点から、本年6月より、1人当たり平均で+8.2%(定期昇給除き)の賃金水準の引き上げ(2年連続の水準引上げ)
・株式給付信託(J-ESOP-RS)の導入
2023年5月より導入している「株式給付信託(J-ESOP)」の一部を改定、新たに譲渡制限付株式(RS)を組み合わせた「J-ESOP-RS」導入を決定」
<ダイバーシティ経営の推進に向けた具体的な取組>「企業成長に資するダイバーシティ経営」を目指し、多様性のある人材が長期にわたって企業の価値創造に貢献できるよう、経営幹部から従業員まで全員が「ダイバーシティ経営」における理解を深められる環境を構築しています。
・毎年継続して「ダイバーシティ・インデックス*」に参加することによりダイバーシティ経営を可視化
・社内にダイバーシティ推進プロジェクトチームを設置し、ダイバーシティマインドの醸成を目指して推進
・全社的にダイバーシティ インクルージョンの研修を推進
・日本人社員のグローバル化を推進
・外国籍社員の労働環境を整備
・国籍問わず同一教育環境の整備
・女性労働者に対する職業生活に関する機会として、育児休業復帰後の多様な働き方の提供
・育児・介護休業制度導入や時短勤務など職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
*ダイバーシティ・インデックス:株式会社イー・ウーマンが運営するダイバーシティ経営を可視化、数値化し、組織の取組の進度を明確にし、課題を解決する
ために開発された指標。
◆経営の透明性/健全性に重きをおいたガバナンス
中期経営計画(2022~2025年度)の期間を通じて、当社は「形式から実質へ」と進化するガバナンス改革を継続的に実施しています。以下の取り組みにより、当社は東京証券取引所スタンダード市場が求めるガバナンス基準を上回る実効性ある体制を構築し、持続的成長と中長期的企業価値向上にコミットする経営の土台を確立しています。
① 改定コーポレートガバナンス・コードへの準拠と実質運用
コーポレートガバナンス・コードを遵守できていない残り7項目は2025年度中に完了する見込みであり、全項目を達成する方針です。
・補充原則1-2-4.決権の電子行使のための環境作り、招集通知の英訳
・補充原則3-1-2.英語での情報開示・提供
・補充原則4-1-3.最高経営責任者等の後継者計画の監督
・原則 4-2. 取締役会の役割・責務
・補充原則4-2-1.中長期的業績と連動する報酬の割合、現金報酬と自社株報酬の割合の適切な設定
・補充原則4-3-1.経営陣幹部の選任や解任に関する公正且つ透明性の高い手続きの実行*
・補充原則4-3-3.会社の業績等の適切な評価を踏まえCEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
*補充原則4-3-1:経営陣幹部の選任については、実行済みとなります。
② 情報開示・IR活動の強化:60周年
機関投資家・個人投資家向け説明会を四半期ごとに実施。動画・媒体等を通じた情報発信を通じて、企業認知と透明性向上に注力しています。今後も引き続き認知度向上に向けた取り組みを行ってまいります。
2024年度取り組み内容
・機関投資家向け・個人投資家向け説明会の定期開催(四半期ごと)
・設立経緯・事業内容に関する対談動画の配信
・ラジオNIKKEI開局70周年記念セミナー「MARKET WAVE」にて代表取締役社長が講演
・空港内広告・電車内広告の掲出による社会的認知度向上

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