有価証券報告書-第41期(2024/04/01-2025/03/31)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社は発足以来、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念として掲げてまいりました。昨今、生活やビジネスのさまざまな場所でIoTが活用されるなど、通信が果たす役割はますます重要になっており、さらには価値観の多様化やサステナビリティの重要性の高まり、次世代技術の発展など、事業を取り巻く環境は大きく変化しています。
このような事業環境の変化に対応しながら、ありたい未来社会を実現するため、当社は2022年5月に2030年に向けたビジョンとして「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げました。あらゆるものに通信がますます溶け込んでいく時代の中、「つなぐチカラ」を進化させ、2030年には、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在、「社会を支えるプラットフォーマー」になることを目指しています。
2030年を見据え、2022年に始動した中期経営戦略では、「サステナビリティ経営」を根幹とし、パートナーの皆さまとともに「社会の持続的成長」と「企業価値向上」の好循環を目指しています。
そして、この「サステナビリティ経営」のもと、「事業戦略(サテライトグロース戦略)」とそれを支える「経営基盤強化(カーボンニュートラルの実現・人財ファースト企業への変革・グループガバナンスの強化)」を推進しています。
①ガバナンス
サステナビリティ推進体制
サステナビリティ関連のリスク及び機会はサステナビリティ委員会におけるKPIの進捗確認等を通じて管理し、同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。
同委員会は、委員長を代表取締役社長、常任委員を取締役、またオブザーバーとして全事業・統括本部長(取締役以外)、KDDI財団理事長、ならびに監査役で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。
なお、サステナビリティ推進の達成度は全社重点KPIに織り込まれており、役員報酬ならびに全社員の賞与がサステナビリティ推進の達成度に連動する制度設計とすることで、サステナビリティの浸透や行動変容に繋げています。全社重点KPIは、カーボンニュートラルの実現、従業員エンゲージメント、グループガバナンス強化に関する指標が含まれています。

マテリアリティ選定プロセス
当社グループは、23.3期に始動した中期経営戦略の策定に伴い、次のプロセスにてサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を選定しています。
1.サステナビリティ情報開示の国際的なガイドラインであるGRI要請項目および情報通信業界に対するESG評価機関の要請事項から、重要課題を抽出
2.「長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項(縦軸)」と「事業へのインパクト(横軸)」をそれぞれ点数化し、優先順位を設定
3.社外有識者等へのヒアリングにより得られた意見を反映し、6つの最重要課題(マテリアリティ)を特定
4.サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定

②戦略
6つの重要課題(マテリアリティ)
長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題をマッピングし集約いたしました。当社の事業変革に必要なイノベーションの推進、事業の多様化に伴う人財強化やガバナンス強化、気候変動など国際社会の課題意識の高まりに対応しています。


当社グループの6つの重要課題(マテリアリティ)に対処するための取組み(実施内容)、指標及び目標は次の
とおりです。
※1 サービス開始時からの数値
※2 事業環境、社会動向の変化、事業拡大等に伴い指標、目標値を改定
※3 au PAY 決済額+au PAY カード 決済額+auかんたん決済 決済額+auじぶん銀行 決済額+ローン実行額
※4 カーボンニュートラル実現への取組みの詳細はKDDIウェブサイトご参照
(https://www.kddi.com/corporate/sustainability/carbon/)
※5 KDDI連結でカーボンニュートラル実現を目指す
25.3期実績は暫定値
※6 追加性ある再生可能エネルギー電力量の算出方法を再エネ発電設備の工事完了に基づく12カ月間の発電量予測値から、受電量実績へ見直し
25.3期実績は26.3期2Q決算公表時に開示予定
※7 主務官庁への報告・届け出等レピュテーションを著しく棄損する事案
※8 KDDI単体、KDDI総合研究所によるニュースリリース・トピックス件数
※9 KDDIグループ調達額90%および人権リスクが把握された取引先が対象
※10 25.3期で目標達成済
26.3期は新規入社者(新卒採用/キャリア採用)に受講を推奨
※11 受入出向者・在籍出向者ともに含まず集計
女性比率が低いSTEM領域の職種選択者が80%超の部門は含まず集計
経営基幹職:組織のリーダーならびに専門領域のエキスパート、実績値は2025年4月1日時点の比率
③リスク管理
リスクマネジメント及び内部統制システムの考え方
当社は、会社法に基づき「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、当該方針に従ってリスク管理体制を含む内部統制システムを整備・運用しています。経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題と認識し、事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。
リスクマネジメント及び内部統制活動
当社は、コーポレート統括本部を中核として、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社及びグループ会社全体でリスクマネジメント活動を推進しています。当社に43名、グループ会社各社に計49名の「内部統制責任者」を配置し、さらにそれを統括する6名の「内部統制統括責任者」を任命しており、同責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するため業務品質向上活動を展開しています。
リスクマネジメント活動サイクル
当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。

リスク特定プロセス
当社は、リスク情報を年2回以上見直し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2024年度は、経営目標を確実に達成するために、過去に顕在化した課題の他、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク23項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動およびリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ全体の統一基準を制定し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。これら重要リスクの状況については、財務的影響との関係から「3.事業等のリスク」にも反映しています。
内部統制報告制度(J-SOX)への対応
2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼性を確保すべく、当社および国内・海外の主要なグループ会社13社の計14社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2025年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。
業務品質向上活動
当社は、内部統制部門を全社の業務品質向上活動の推進事務局とし、各部門の内部統制責任者が推進責任者となって、業務の効率化・標準化を図りながら自律的に業務の品質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。また、部門を代表する業務変革を成し遂げた案件を表彰する制度を導入しており、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。
業務品質向上の浸透活動
・各部門において業務品質向上の取り組み目標の策定および振り返りを行い、その内容を全社に共有
・部門を代表する業務変革を達成した案件に対する全社表彰の実施
・業務品質向上活動に対する意識調査アンケートの実施(年1回)
④指標及び目標
上記に記載の②戦略の項目をご参照ください。
(2)人的資本・多様性
①ガバナンス
(1)に記載の「サステナビリティ全般」における①ガバナンスの項目をご参照ください。
②戦略
「サステナビリティ経営」を根幹とし、サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナー企業の皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。
[KDDI VISION 2030の実現に向けて]
KDDIグループでは、DX、金融、エネルギーなどへと事業領域を広げるサテライトグロース戦略を推進する中で、多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことでのイノベーション創出を追求しています。この実現のためには、社員一人ひとりが専門性を持ち、自律したプロ人財として挑戦・成長し続けることが不可欠です。社員がそれぞれの場所で個性と能力を発揮し、挑戦を通じてスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦を重ねることを促しています。それぞれの領域のプロ人財が互いに高め合うことで、グループ全体でプロ人財を輩出し続けるサステナブルな人財ポートフォリオを充実させることを目指していきます。

[これまでの人的資本経営の歩みと現在地]
2020年に「プロ人財を創り、育てる」をコンセプトにしたKDDI版ジョブ型人事制度を導入することにより、年功的な処遇の抜本的に見直しました。制度導入後の意識改革にも取り組むことで社員の成長意欲を促してきました。その結果として、39歳以下の若手管理職の登用数も、制度導入前と比較して2.6倍に増え(2024年4月時点)、キャリア採用者数も新卒採用者数を上回るなど外部人財の獲得に関しても一定の効果を得られました。
現在は、人財の力を通じて事業成長を促すことに注力しています。この取り組みでは、単にプロ人財を集めるだけでなく、互いの専門性を掛け合わせながら新しい価値を創造していかなければなりません。
このため、人財ファースト企業への変革を実現すべく人財戦略をアップデートしました。具体的には、DE&Iの深化や働き方アップデートによる社内環境の整備を進め、さらにジョブ型による人財育成を加速させることで、事業貢献につながる人財戦略を展開していきます。
[4つの重点施策_人材育成方針・社内環境整備方針]
a.ジョブ型の進化と活用促進による人事制度ローリング
2020年のKDDI版ジョブ型人事制度の導入を機に、30の専門領域を大括りで定義しました。これは、社員がプロ人財として成長するための方向性を明確にすることを目的にしています。現場主導での育成を推進するため、それぞれの業務に必要なスキルを特定し、149のジョブに細分化しました。また、これらのスキル習熟度を測れるスキルアセスメントを2024年3月から試験的に導入しました。加えて、必要とされるスキルとそのスキル開発に関する情報を体系的にまとめた社内サイト(ジョブ図鑑)を開設し、キャリア開発や自己研鑽への支援にも取り組んでいます。今後は、環境変化に合わせて必要とされるスキルの内容を随時追加・更新する予定です。社員一人ひとりが施策に納得感を持てるよう、各人財育成施策とも連動させていきます。

b.事業と人財戦略の連動
事業戦略に必要な人財を常に確保、最適化させることを目指しています。事業戦略から逆算して要員計画を立て、採用・育成・配置の各プロセスで一貫した人財マネジメント方針策定に着手しています。具体的には、人財の専門領域やスキルレベルをデータで把握し、将来的な必要要員数を予測しています。このデータに基づき、人財の不足(ギャップ)を解消するための採用・育成・配置計画を立てる仕組みを構築することで、事業戦略の推進に必要な人財が常に最適な質と量で確保できるよう、プロセスの高度化に取り組んでいます。

c.DE&Iの深化
2023年、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に公平性(エクイティ)の視点を加えたDE&Iへフェーズアップしました。これにより、個々の社員に合わせた支援を通じて公平な土台を築き、誰もが思いを実現できる環境・風土を構築することを目標に設定しました。多様な社員が活躍できる環境を整備し、個の違いを組織の力へと変える第一歩として、特に女性活躍推進へ注力しています。
具体的には、職場のジェンダーギャップ解消を目指し、女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標を設定しました。この目標達成に向け、2024年4月からは、経営基幹職候補の女性社員の確実な登用を支援するため、本部長層が伴走するスポンサーシッププログラムを開始しました。
また、新卒から経営層に至るまでの全パイプラインにおいて女性の構成比率を高め、継続的な活躍を後押しすることも重要であり、各段階での重要施策を展開しています。

d.働き方アップデート ~心豊かに、仕事に打ち込む~
働き方改革により基幹職(メンバー)の残業時間は減少しましたが、その反動で経営基幹職(リーダー)への業務負荷が集中し、長時間労働が常態化する傾向がみられました。加えて、社員エンゲージメントサーベイから、業務を任される機会が減った基幹職の達成感や成長実感が低下傾向にあることが判明しました。この成長実感の欠如とリーダーの大変さを目の当たりにすることによる将来的なリーダー意向の低下は、経営基幹職への負荷集中に起因する負の循環であり、喫緊の課題です。
この課題を解消するため、全社員が主体的に時間を使え、やりがいを持って自己成長や新しい価値創造に取り組める状態を目指し、会議の見直し、過度な資料作成・報告の削減、休日・時間外の連絡制限など、コミュニケーション改善による時間あたりの生産性向上を推進しています。
また「メンバーが任されない」状況の背景には、インフラ企業としての安定運営を優先し、新たな挑戦が躊躇される組織風土が存在していたのではないか、と考えています。現在、DX、金融、エネルギーなど事業領域を拡大している中で、事業成長のために個人に裁量を持たせ、挑戦を促すカルチャーへの変革が必要です。そこで、業務過多となっているグループリーダー(課長職)の業務をシェアリングする制度(サブグループリーダーを設置し、権限委譲する制度)を導入し、「仕事の任せ方改革」を同時に実現することで「働き方アップデート」を加速させてきました。
なお、KDDIグループは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」という企業理念に基づき、健康経営も推進しています。今後も「KDDIグループ健康経営宣言」のもと、社員が心身ともに健康で意欲的に働ける環境を構築することで、一人ひとりの生産性向上を実現させていきます。

③リスク管理
(1)に記載の「サステナビリティ全般」における③リスク管理の項目をご参照ください。
④指標及び目標
[人材育成方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
各専門領域のプロ人財比率、DX基礎スキル研修修了者の各指標の目標及び実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。DX基礎スキル研修修了者については、KDDI単体全社員が習得するとともに、当社グループへ順次拡大します。
[社内環境整備方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
社員エンゲージメントスコア、女性取締役の構成比率、女性経営基幹職の構成比率の各指標の目標及実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。
社員エンゲージメントスコアについては、当社グループ各社でも、同様の従業員満足度調査を当社グループへ順次拡大しています。
※KDDIグループにおける指標及び目標は、2025年度中に検討し、2026年度以降に目標と実績の開示を行います。
(3)カーボンニュートラルの実現、地球環境保護
当社では、「カーボンニュートラルの実現」を重点課題(マテリアリティ)の一つとしており、2030年度カーボンニュートラル実現※に加え、お客さまへ再生可能エネルギーを提供し、地球規模の課題である気候変動問題の解決に貢献することを目指しています。環境保全への姿勢を定めた「KDDI環境憲章」のもと、かけがえのない地球を次の世代に引き継ぐことができるよう、地球環境保護を推進することがグローバル企業としての重要な責務であると捉え、脱炭素社会の実現、生物多様性の保全、循環型社会の形成に向けた取り組みをグループ会社全体で一体的に推進しています。
気候変動についてはTCFDフレームワーク、生物多様性についてはTNFDフレームワークに準拠して記載しております。
※KDDIのカーボンニュートラルの定義は以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
①ガバナンス
当社は、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役が常任委員を構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、当社における気候変動・自然資本に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動・自然資本に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。
また、自然関連リスク等の評価と対応で影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントとして、地域社会や住民の方などへの影響も考慮し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。これは、企業理念に基づき、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取り組みを明確にするものとして位置付けられています。この方針に基づき、「KDDIグループ重要人権課題」を設定していますが、その中で、「人権に配慮したサービス・商品の提供」を達成するために、「地域社会との調和とサプライチェーン上の人権侵害の排除」を掲げています。設備等の建設にあたって地域住民の人権に配慮するとともに、サプライチェーン上において紛争鉱物の使用等による人権侵害が発生しないように注視することを約束しています。また、現実のおよび潜在的な人権への負の影響に関する対応について、自治体、地域社会、サプライヤー、専門家など関連するステークホルダーとの対話と協議を行うことにより、人権尊重の取り組み向上と改善に努めています。
②戦略
当社は、①COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する1.5℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析と、②バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価を行いました。
当社は2024年5月9日、自然資本保全への貢献のため、中長期の環境保全計画である「KDDI GREEN PLAN」を策定しました。当社は「地球環境との調和」を経営の重要なテーマと捉えており、これまで「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、「循環型社会の形成」、「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」を重点課題として環境価値向上に取り組んできました。中長期的な企業価値向上のため、リスクの低減と事業機会の創出についての目標を新設し「KDDI GREEN PLAN」に改称することで、さらなる環境価値向上を目指し活動の活発化を推進していきます。
a.気候変動
シナリオ分析結果
・急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5℃とする目標が達成される未来)
参照::IEA(International Energy Agency)「World Energy Outlook 2021」 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE Scenario)
※1 2030年度のCO2排出量見込みは約67.5万t-CO2 のため、IEA NZE 2050に基づく炭素税18,340円/t-CO2の場合、年間約123.8億円の
課税を想定。課税対象となるCO2排出量の削減のため、再生可能エネルギーへの切り替えるのに必要なコストは約54億円と想定
・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)
※2 Business Continuity Plan(事業継続計画)
参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書
b.自然資本
バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価しています。事業規模と自然資本との関係から、優先度を定性的に評価・判断し、自然関連リスク等を分析、対応策を検討・推進しています。

自社固有の事業的観点等を踏まえ、識別した依存と影響の重要な項目は以下の通りです。
・ 携帯端末の原材料(特に金属類)の採取における鉱山掘削、特に陸域の土地利用変化や水資源への影響
・ 携帯端末の製造における有害物質の使用による土壌汚染
・ 基地局建設や通信ケーブル設置に伴う陸域をはじめとした土地利用変化への影響
・ 基地局・通信ケーブルを構成する原材料調達における水資源や気候・土地の安定化機能への依存

シナリオⅠ:気候変動対策と生物多様性の保全が進み、平均気温の上昇が 1.5℃以内に抑えられ、自然資本の劣化が緩やかな世界の実現に向かう世界を想定
シナリオⅢ::気候変動対策と生物多様性の保全に失敗し、平均気温の上昇が 4℃以上に至り、自然資本の劣化が甚大な世界の実現に向かう世界を想定
③リスク管理
当社グループのリスク管理を主管するコーポレート統括本部は、気候変動や自然資本関連を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動・自然資本に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行います。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会であるカーボンニュートラル部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。
④指標及び目標
当社は、脱炭素社会の実現を加速させるため、KDDIグループ(※1)として2040年度末までにネットゼロ達成を目指す目標を含む4つの環境目標を策定しています。
(※1)KDDI本体および連結子会社を対象とします。
(※2)各目標の定義については、以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
(※3)事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
(※4)他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
(※5)Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)。
(※6)企業自身が太陽光発電設備などを新たに導入することで、社会全体の再生可能エネルギー導入量増加につながる効果を持つこと。
当社は、2012年度よりKDDI単体、2021年度より当社グループの温室効果ガス排出量を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。
最新情報は、9月以降に公表予定のサステナビリティ統合レポート2025における温室効果ガスScope1+2の排出量(実績)に関する記載をご参照ください。
また、当社ではScope2以外の間接排出であるScope3排出量を2040年度末までに実質ゼロにすることを目標にしており、2023年度のScope3排出量の実績値はKDDI単体において4,974,398 t-CO2となりました。Scope3排出量のうち、カテゴリ1、カテゴリ2が全体の95%を占めており、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。
自然関連の指標として、温室効果ガス排出量のほかに、水資源消費量、産業廃棄物排出量等を定量的に把握するとともに、廃棄物削減の取り組みを測る指標として使用済み携帯電話などの回収数をモニタリングしています。
さらに、KDDIグループのサプライチェーン全体の状況を把握するため、主要なお取引先さまに対してアンケートを行い、サステナブル調達における環境取り組みの重要性をご理解いただけるよう啓発・支援するとともに、課題や取り組み状況の共有をお願いしています。アンケート結果をはじめとしたサステナブル調達の推進に関する事項は、サステナビリティ担当役員(コーポレート統括本部長)に定期的に報告され監督されています。2023年度からは、3社(日本電信電話株式会社、KDDI、ソフトバンク株式会社)共通SAQ(Self-Assessment Questionnaire(自評価調査))を導入し、お取引先さまとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社は発足以来、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念として掲げてまいりました。昨今、生活やビジネスのさまざまな場所でIoTが活用されるなど、通信が果たす役割はますます重要になっており、さらには価値観の多様化やサステナビリティの重要性の高まり、次世代技術の発展など、事業を取り巻く環境は大きく変化しています。
このような事業環境の変化に対応しながら、ありたい未来社会を実現するため、当社は2022年5月に2030年に向けたビジョンとして「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げました。あらゆるものに通信がますます溶け込んでいく時代の中、「つなぐチカラ」を進化させ、2030年には、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在、「社会を支えるプラットフォーマー」になることを目指しています。
2030年を見据え、2022年に始動した中期経営戦略では、「サステナビリティ経営」を根幹とし、パートナーの皆さまとともに「社会の持続的成長」と「企業価値向上」の好循環を目指しています。
そして、この「サステナビリティ経営」のもと、「事業戦略(サテライトグロース戦略)」とそれを支える「経営基盤強化(カーボンニュートラルの実現・人財ファースト企業への変革・グループガバナンスの強化)」を推進しています。
①ガバナンス
サステナビリティ推進体制
サステナビリティ関連のリスク及び機会はサステナビリティ委員会におけるKPIの進捗確認等を通じて管理し、同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。
同委員会は、委員長を代表取締役社長、常任委員を取締役、またオブザーバーとして全事業・統括本部長(取締役以外)、KDDI財団理事長、ならびに監査役で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。
なお、サステナビリティ推進の達成度は全社重点KPIに織り込まれており、役員報酬ならびに全社員の賞与がサステナビリティ推進の達成度に連動する制度設計とすることで、サステナビリティの浸透や行動変容に繋げています。全社重点KPIは、カーボンニュートラルの実現、従業員エンゲージメント、グループガバナンス強化に関する指標が含まれています。

マテリアリティ選定プロセス
当社グループは、23.3期に始動した中期経営戦略の策定に伴い、次のプロセスにてサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を選定しています。
1.サステナビリティ情報開示の国際的なガイドラインであるGRI要請項目および情報通信業界に対するESG評価機関の要請事項から、重要課題を抽出
2.「長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項(縦軸)」と「事業へのインパクト(横軸)」をそれぞれ点数化し、優先順位を設定
3.社外有識者等へのヒアリングにより得られた意見を反映し、6つの最重要課題(マテリアリティ)を特定
4.サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定

②戦略
6つの重要課題(マテリアリティ)
長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題をマッピングし集約いたしました。当社の事業変革に必要なイノベーションの推進、事業の多様化に伴う人財強化やガバナンス強化、気候変動など国際社会の課題意識の高まりに対応しています。


当社グループの6つの重要課題(マテリアリティ)に対処するための取組み(実施内容)、指標及び目標は次の
とおりです。
提供価値 | サステナビリティ中期目標(23.3期-26.3期) | |||
実施内容 | 指標 | 25.3期実績 | 26.3期 | |
①未来社会の創造 | サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発プロジェクトの推進 | プロジェクト数(累計) | 70件 | 80件 |
自治体さまと連携した LXサービスの提供 | LXサービス提供地域・施設数の拡大 | |||
イノベーションの推進 による知的資本の強化 | 5G/Beyond 5G+サテライトグロース 関連領域の保有特許件数 | 対前年21%増 | 対前年15%増 | |
②サステナブルな 産業・インフラ環境の実現 | 産業・インフラDXへの貢献 | IoT回線数(累計)※1※2 | 50,524千回線 | 57,500千回線 |
お客さまの働き方改革を 推進 | KDDIのお客さま(法人)における、 働き方改革を支援するソリューションの導入率 | 35% | 37% | |
5Gエリアの拡大 | 5G人口カバー率 政府目標99%(31.3期)への貢献※2 | |||
重大事故撲滅 | 重大事故発生件数(設備障害) ※総務省の事故報告判断基準 ガイドライン等に準ずる | 0件 | 0件 | |
③地域共創の実現 | 地域のデバイド解消支援 | 支援者数(累計) ※スマホ教室、店頭サポート、使い方サポート、スマホ・ケータイ安全教室、地域体験応援サービスのご利用者数 | 1,717万人 | 2,000万人 |
金融格差の解消 | 決済・金融取扱高 ※3 | 21.4兆円 | 22.1兆円 | |
④グローバルでの 地域・経済格差の解消 | 新興国における グローバル事業の拡大 | 新興国の国民の人権を尊重し、 国民の生活に不可欠な社会インフラの維持に取り組む | ||
モンゴルにおける 通信を活用した 教育や次世代の育成 | 安全なモバイル・インターネット利用 等を促すための教育活動の支援者数 (累計) | 3,762人 | 8,000人 | |
⑤カーボンニュートラルの実現 | 通信設備を含むKDDIの カーボンニュートラル化※4 | KDDIグループの カーボンニュートラル実現 (Scope1+Scope2) ※5 | Co2排出量 1.0百万t | ― (目標:FY2030) |
全世界のKDDIデータセンターで利用する電力の実質再生可能エネルギー割合 100%の達成 ※他社のデータセンター施設や設備を 一部借り受けてサービス提供する形態、閉局予定のデータセンターは除く | 85% | 100% | ||
ネットゼロの達成 (Scope1+Scope2+Scope3) | ― | ― (目標:FY2040) | ||
追加性ある再生可能 エネルギー | 追加性ある再生可能エネルギー 50%達成 (KDDI単体)※6 | ― | ― (目標:FY2030) | |
次世代再エネ ソリューションの提供 | 法人お客さま向けへのカーボンニュートラル支援ソリューションの提供拡大 ※グリーンICT/通信、電力SL、DX-SL、コンサルティング等 | |||
⑥KDDIグループ全体の経営基盤強化 | グループ全体のガバナンスと情報セキュリティの強化 | 重大事故発生件数※7 ・サイバーセキュリティ起因の個人情報の 漏えいおよび重大なサービスの停止 ・個人情報の不適切な利用 ・上記以外の重大事故 | 0件 | 0件 |
先進セキュリティ技術への 取組み件数(累計)※8 | 20件 | 23件 | ||
⑦人権の尊重 | 人権を尊重した事業活動の実施 | グループ会社を含めた事業活動における人権リスク評価の実施と その結果に基づく改善 | ||
人権デューデリジェンス | 人権侵害の恐れがある 高リスク取引先の活動改善対応率 ※9 | 対応率 100% | 改善率100%の継続 | |
⑧多様なプロ人財の活躍とエンゲージメント向上 | プロ人財育成の ためのキャリア開発 (人材育成方針) | 各専門領域のプロ人財比率 (KDDI単体) | 40% ※全領域 | 45% ※全領域 |
全社員におけるDX基礎スキル 研修修了者(KDDI単体:累計) ※習得機会はグループ会社へ拡大 | 全社員(12,869人) | - ※10 | ||
社員エンゲージメント サーベイの実施 (社内環境整備方針) | 社員エンゲージメントスコアの 維持向上(KDDI単体) | 74 | 72以上を維持 | |
多様性を重視した人財の 活躍推進(DE&I関連) (社内環境整備方針) | 女性取締役の構成比率 (KDDI単体) | 25.0% | 25%以上 | |
女性経営基幹職の構成比率 (KDDI単体・STEM除く)※2※11 | 18.4% | 15%以上 |
※1 サービス開始時からの数値
※2 事業環境、社会動向の変化、事業拡大等に伴い指標、目標値を改定
※3 au PAY 決済額+au PAY カード 決済額+auかんたん決済 決済額+auじぶん銀行 決済額+ローン実行額
※4 カーボンニュートラル実現への取組みの詳細はKDDIウェブサイトご参照
(https://www.kddi.com/corporate/sustainability/carbon/)
※5 KDDI連結でカーボンニュートラル実現を目指す
25.3期実績は暫定値
※6 追加性ある再生可能エネルギー電力量の算出方法を再エネ発電設備の工事完了に基づく12カ月間の発電量予測値から、受電量実績へ見直し
25.3期実績は26.3期2Q決算公表時に開示予定
※7 主務官庁への報告・届け出等レピュテーションを著しく棄損する事案
※8 KDDI単体、KDDI総合研究所によるニュースリリース・トピックス件数
※9 KDDIグループ調達額90%および人権リスクが把握された取引先が対象
※10 25.3期で目標達成済
26.3期は新規入社者(新卒採用/キャリア採用)に受講を推奨
※11 受入出向者・在籍出向者ともに含まず集計
女性比率が低いSTEM領域の職種選択者が80%超の部門は含まず集計
経営基幹職:組織のリーダーならびに専門領域のエキスパート、実績値は2025年4月1日時点の比率
③リスク管理
リスクマネジメント及び内部統制システムの考え方
当社は、会社法に基づき「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、当該方針に従ってリスク管理体制を含む内部統制システムを整備・運用しています。経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題と認識し、事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。
リスクマネジメント及び内部統制活動
当社は、コーポレート統括本部を中核として、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社及びグループ会社全体でリスクマネジメント活動を推進しています。当社に43名、グループ会社各社に計49名の「内部統制責任者」を配置し、さらにそれを統括する6名の「内部統制統括責任者」を任命しており、同責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するため業務品質向上活動を展開しています。
リスクマネジメント活動サイクル
当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。

リスク特定プロセス
当社は、リスク情報を年2回以上見直し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2024年度は、経営目標を確実に達成するために、過去に顕在化した課題の他、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク23項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動およびリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ全体の統一基準を制定し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。これら重要リスクの状況については、財務的影響との関係から「3.事業等のリスク」にも反映しています。
内部統制報告制度(J-SOX)への対応
2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼性を確保すべく、当社および国内・海外の主要なグループ会社13社の計14社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2025年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。
業務品質向上活動
当社は、内部統制部門を全社の業務品質向上活動の推進事務局とし、各部門の内部統制責任者が推進責任者となって、業務の効率化・標準化を図りながら自律的に業務の品質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。また、部門を代表する業務変革を成し遂げた案件を表彰する制度を導入しており、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。
業務品質向上の浸透活動
・各部門において業務品質向上の取り組み目標の策定および振り返りを行い、その内容を全社に共有
・部門を代表する業務変革を達成した案件に対する全社表彰の実施
・業務品質向上活動に対する意識調査アンケートの実施(年1回)
④指標及び目標
上記に記載の②戦略の項目をご参照ください。
(2)人的資本・多様性
①ガバナンス
(1)に記載の「サステナビリティ全般」における①ガバナンスの項目をご参照ください。
②戦略
「サステナビリティ経営」を根幹とし、サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナー企業の皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。
[KDDI VISION 2030の実現に向けて]
KDDIグループでは、DX、金融、エネルギーなどへと事業領域を広げるサテライトグロース戦略を推進する中で、多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことでのイノベーション創出を追求しています。この実現のためには、社員一人ひとりが専門性を持ち、自律したプロ人財として挑戦・成長し続けることが不可欠です。社員がそれぞれの場所で個性と能力を発揮し、挑戦を通じてスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦を重ねることを促しています。それぞれの領域のプロ人財が互いに高め合うことで、グループ全体でプロ人財を輩出し続けるサステナブルな人財ポートフォリオを充実させることを目指していきます。

[これまでの人的資本経営の歩みと現在地]
2020年に「プロ人財を創り、育てる」をコンセプトにしたKDDI版ジョブ型人事制度を導入することにより、年功的な処遇の抜本的に見直しました。制度導入後の意識改革にも取り組むことで社員の成長意欲を促してきました。その結果として、39歳以下の若手管理職の登用数も、制度導入前と比較して2.6倍に増え(2024年4月時点)、キャリア採用者数も新卒採用者数を上回るなど外部人財の獲得に関しても一定の効果を得られました。

このため、人財ファースト企業への変革を実現すべく人財戦略をアップデートしました。具体的には、DE&Iの深化や働き方アップデートによる社内環境の整備を進め、さらにジョブ型による人財育成を加速させることで、事業貢献につながる人財戦略を展開していきます。
[4つの重点施策_人材育成方針・社内環境整備方針]
a.ジョブ型の進化と活用促進による人事制度ローリング
2020年のKDDI版ジョブ型人事制度の導入を機に、30の専門領域を大括りで定義しました。これは、社員がプロ人財として成長するための方向性を明確にすることを目的にしています。現場主導での育成を推進するため、それぞれの業務に必要なスキルを特定し、149のジョブに細分化しました。また、これらのスキル習熟度を測れるスキルアセスメントを2024年3月から試験的に導入しました。加えて、必要とされるスキルとそのスキル開発に関する情報を体系的にまとめた社内サイト(ジョブ図鑑)を開設し、キャリア開発や自己研鑽への支援にも取り組んでいます。今後は、環境変化に合わせて必要とされるスキルの内容を随時追加・更新する予定です。社員一人ひとりが施策に納得感を持てるよう、各人財育成施策とも連動させていきます。

b.事業と人財戦略の連動
事業戦略に必要な人財を常に確保、最適化させることを目指しています。事業戦略から逆算して要員計画を立て、採用・育成・配置の各プロセスで一貫した人財マネジメント方針策定に着手しています。具体的には、人財の専門領域やスキルレベルをデータで把握し、将来的な必要要員数を予測しています。このデータに基づき、人財の不足(ギャップ)を解消するための採用・育成・配置計画を立てる仕組みを構築することで、事業戦略の推進に必要な人財が常に最適な質と量で確保できるよう、プロセスの高度化に取り組んでいます。

c.DE&Iの深化
2023年、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に公平性(エクイティ)の視点を加えたDE&Iへフェーズアップしました。これにより、個々の社員に合わせた支援を通じて公平な土台を築き、誰もが思いを実現できる環境・風土を構築することを目標に設定しました。多様な社員が活躍できる環境を整備し、個の違いを組織の力へと変える第一歩として、特に女性活躍推進へ注力しています。
具体的には、職場のジェンダーギャップ解消を目指し、女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標を設定しました。この目標達成に向け、2024年4月からは、経営基幹職候補の女性社員の確実な登用を支援するため、本部長層が伴走するスポンサーシッププログラムを開始しました。
また、新卒から経営層に至るまでの全パイプラインにおいて女性の構成比率を高め、継続的な活躍を後押しすることも重要であり、各段階での重要施策を展開しています。

d.働き方アップデート ~心豊かに、仕事に打ち込む~
働き方改革により基幹職(メンバー)の残業時間は減少しましたが、その反動で経営基幹職(リーダー)への業務負荷が集中し、長時間労働が常態化する傾向がみられました。加えて、社員エンゲージメントサーベイから、業務を任される機会が減った基幹職の達成感や成長実感が低下傾向にあることが判明しました。この成長実感の欠如とリーダーの大変さを目の当たりにすることによる将来的なリーダー意向の低下は、経営基幹職への負荷集中に起因する負の循環であり、喫緊の課題です。
この課題を解消するため、全社員が主体的に時間を使え、やりがいを持って自己成長や新しい価値創造に取り組める状態を目指し、会議の見直し、過度な資料作成・報告の削減、休日・時間外の連絡制限など、コミュニケーション改善による時間あたりの生産性向上を推進しています。
また「メンバーが任されない」状況の背景には、インフラ企業としての安定運営を優先し、新たな挑戦が躊躇される組織風土が存在していたのではないか、と考えています。現在、DX、金融、エネルギーなど事業領域を拡大している中で、事業成長のために個人に裁量を持たせ、挑戦を促すカルチャーへの変革が必要です。そこで、業務過多となっているグループリーダー(課長職)の業務をシェアリングする制度(サブグループリーダーを設置し、権限委譲する制度)を導入し、「仕事の任せ方改革」を同時に実現することで「働き方アップデート」を加速させてきました。


③リスク管理
(1)に記載の「サステナビリティ全般」における③リスク管理の項目をご参照ください。
④指標及び目標
[人材育成方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
各専門領域のプロ人財比率、DX基礎スキル研修修了者の各指標の目標及び実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。DX基礎スキル研修修了者については、KDDI単体全社員が習得するとともに、当社グループへ順次拡大します。
[社内環境整備方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
社員エンゲージメントスコア、女性取締役の構成比率、女性経営基幹職の構成比率の各指標の目標及実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。
社員エンゲージメントスコアについては、当社グループ各社でも、同様の従業員満足度調査を当社グループへ順次拡大しています。
※KDDIグループにおける指標及び目標は、2025年度中に検討し、2026年度以降に目標と実績の開示を行います。
(3)カーボンニュートラルの実現、地球環境保護
当社では、「カーボンニュートラルの実現」を重点課題(マテリアリティ)の一つとしており、2030年度カーボンニュートラル実現※に加え、お客さまへ再生可能エネルギーを提供し、地球規模の課題である気候変動問題の解決に貢献することを目指しています。環境保全への姿勢を定めた「KDDI環境憲章」のもと、かけがえのない地球を次の世代に引き継ぐことができるよう、地球環境保護を推進することがグローバル企業としての重要な責務であると捉え、脱炭素社会の実現、生物多様性の保全、循環型社会の形成に向けた取り組みをグループ会社全体で一体的に推進しています。
気候変動についてはTCFDフレームワーク、生物多様性についてはTNFDフレームワークに準拠して記載しております。
※KDDIのカーボンニュートラルの定義は以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
①ガバナンス
当社は、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役が常任委員を構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、当社における気候変動・自然資本に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動・自然資本に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。
また、自然関連リスク等の評価と対応で影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントとして、地域社会や住民の方などへの影響も考慮し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。これは、企業理念に基づき、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取り組みを明確にするものとして位置付けられています。この方針に基づき、「KDDIグループ重要人権課題」を設定していますが、その中で、「人権に配慮したサービス・商品の提供」を達成するために、「地域社会との調和とサプライチェーン上の人権侵害の排除」を掲げています。設備等の建設にあたって地域住民の人権に配慮するとともに、サプライチェーン上において紛争鉱物の使用等による人権侵害が発生しないように注視することを約束しています。また、現実のおよび潜在的な人権への負の影響に関する対応について、自治体、地域社会、サプライヤー、専門家など関連するステークホルダーとの対話と協議を行うことにより、人権尊重の取り組み向上と改善に努めています。
②戦略
当社は、①COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する1.5℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析と、②バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価を行いました。
当社は2024年5月9日、自然資本保全への貢献のため、中長期の環境保全計画である「KDDI GREEN PLAN」を策定しました。当社は「地球環境との調和」を経営の重要なテーマと捉えており、これまで「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、「循環型社会の形成」、「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」を重点課題として環境価値向上に取り組んできました。中長期的な企業価値向上のため、リスクの低減と事業機会の創出についての目標を新設し「KDDI GREEN PLAN」に改称することで、さらなる環境価値向上を目指し活動の活発化を推進していきます。
a.気候変動
シナリオ分析結果
・急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5℃とする目標が達成される未来)
参照::IEA(International Energy Agency)「World Energy Outlook 2021」 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE Scenario)
移行リスク分析 | KDDIとしてのリスク内容 | KDDIの対応 | |
政策・ 法規制 (短期・中期戦略) | 炭素税 | 炭素税課税リスク※1 | 2030年度末までにKDDIグループ全体のScope1+2のCO2排出量実質ゼロを目指し、活動を推進。 |
都条例 排出規制 | 削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク | 21.3期~25.3期の第三計画期間に発生が予想される未達CO2排出量19万t-CO2に相当する排出権(第二計画期間に発生したCO2排出権)を21.3期に4万t-CO2、2023年1月に15万t-CO2をあらかじめ購入した。この排出権は、21.3期~25.3期の第三計画期 間の実績により26.3期~27.3期に充当を予定。 | |
消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入 (中期戦略) | 通信量の増加に伴い発生する通信設備の消費電力の増加リスク | 脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を用いたサーバ冷却のための消費される電力を94%削減する三菱重工社とNECネッツエスアイ社との共同研究開発を実施。また、基地局スリープ機能(トラフィックの少ない夜間帯にスリープさせる)を導入し消費電力の削減を推進。ミリ波無線機1機種に対応する機能を内製開発し、ノウハウの蓄積と課題の洗い出しを実施。無線機1台あたり年間約100kWhの電力消費の削減が可能となる。 | |
市場・評判 (長期戦略) | カーボンニュートラル目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク | 化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを推進。当社の事業運営で消費する電力27億kWhを2030年度までに再生可能エネルギー由来のメニューに切り替え予定。また、グループ会社としてauリニューアブルエナジーが太陽光発電など追加性のある再生可能エネルギー発電事業を運営。 |
※1 2030年度のCO2排出量見込みは約67.5万t-CO2 のため、IEA NZE 2050に基づく炭素税18,340円/t-CO2の場合、年間約123.8億円の
課税を想定。課税対象となるCO2排出量の削減のため、再生可能エネルギーへの切り替えるのに必要なコストは約54億円と想定
・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)
物理的リスク分析 (物理的シナリオ「RCP8.5」を用いて分析) | KDDIとしてのリスク内容 | KDDIの対応 | |
急性 | (台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇 | 迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスク | BCP※2の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え |
慢性 | 平均気温上昇 | お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク | 高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換 |
※2 Business Continuity Plan(事業継続計画)
参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書
b.自然資本
バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価しています。事業規模と自然資本との関係から、優先度を定性的に評価・判断し、自然関連リスク等を分析、対応策を検討・推進しています。

自社固有の事業的観点等を踏まえ、識別した依存と影響の重要な項目は以下の通りです。
・ 携帯端末の原材料(特に金属類)の採取における鉱山掘削、特に陸域の土地利用変化や水資源への影響
・ 携帯端末の製造における有害物質の使用による土壌汚染
・ 基地局建設や通信ケーブル設置に伴う陸域をはじめとした土地利用変化への影響
・ 基地局・通信ケーブルを構成する原材料調達における水資源や気候・土地の安定化機能への依存


シナリオⅢ::気候変動対策と生物多様性の保全に失敗し、平均気温の上昇が 4℃以上に至り、自然資本の劣化が甚大な世界の実現に向かう世界を想定
③リスク管理
当社グループのリスク管理を主管するコーポレート統括本部は、気候変動や自然資本関連を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動・自然資本に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行います。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会であるカーボンニュートラル部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。
④指標及び目標
当社は、脱炭素社会の実現を加速させるため、KDDIグループ(※1)として2040年度末までにネットゼロ達成を目指す目標を含む4つの環境目標を策定しています。
環境目標(※2) | 目標年度 | 内容 | |
1 | KDDIグループネットゼロ達成 | 2040年度 | KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1(※3)およびScope2(※4))に加え、Scope3(※5)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を達成。 |
2 | KDDIグループカーボンニュートラル達成 | 2030年度 | KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1およびScope2) |
3 | KDDI追加性(※6)再生可能エネルギー比率50%以上 | 2030年度 | KDDIが消費する電力に占める、追加性のある再生可能エネルギーの比率50%以上を達成 |
4 | Telehouseのデータセンターが使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え | 2025年度 | KDDIグループがTelehouseブランドで展開している全世界のデータセンターに関して、目標を「使用電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替える」と再定義し、目標年度を従来目標より1年前倒して達成。 |
(※1)KDDI本体および連結子会社を対象とします。
(※2)各目標の定義については、以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
(※3)事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
(※4)他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
(※5)Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)。
(※6)企業自身が太陽光発電設備などを新たに導入することで、社会全体の再生可能エネルギー導入量増加につながる効果を持つこと。
当社は、2012年度よりKDDI単体、2021年度より当社グループの温室効果ガス排出量を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。
CO2排出量 | 2024年度(推定値、連結) |
Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出) | 25,324 t-CO2 |
Scope2(他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計値 | 1,019,964 t-CO2 |
最新情報は、9月以降に公表予定のサステナビリティ統合レポート2025における温室効果ガスScope1+2の排出量(実績)に関する記載をご参照ください。
また、当社ではScope2以外の間接排出であるScope3排出量を2040年度末までに実質ゼロにすることを目標にしており、2023年度のScope3排出量の実績値はKDDI単体において4,974,398 t-CO2となりました。Scope3排出量のうち、カテゴリ1、カテゴリ2が全体の95%を占めており、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。
自然関連の指標として、温室効果ガス排出量のほかに、水資源消費量、産業廃棄物排出量等を定量的に把握するとともに、廃棄物削減の取り組みを測る指標として使用済み携帯電話などの回収数をモニタリングしています。
さらに、KDDIグループのサプライチェーン全体の状況を把握するため、主要なお取引先さまに対してアンケートを行い、サステナブル調達における環境取り組みの重要性をご理解いただけるよう啓発・支援するとともに、課題や取り組み状況の共有をお願いしています。アンケート結果をはじめとしたサステナブル調達の推進に関する事項は、サステナビリティ担当役員(コーポレート統括本部長)に定期的に報告され監督されています。2023年度からは、3社(日本電信電話株式会社、KDDI、ソフトバンク株式会社)共通SAQ(Self-Assessment Questionnaire(自評価調査))を導入し、お取引先さまとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組んでいます。