有価証券報告書-第39期(2022/04/01-2023/03/31)
31.金融商品
(1)リスク管理
当社グループの事業活動は、事業環境・金融市場環境による影響を受けております。事業活動の過程で保有するまたは引き受ける金融商品は固有のリスクにさらされております。リスクには、①信用リスク、②流動性リスク及び③市場リスクが含まれております。当社グループは、社内での管理体制の構築や金融商品を用いてグループの財政状態及び業績に与える影響を最小限にする危機管理を実行しております。具体的には、当社グループはこれらのリスクを以下のような方法によって管理しております。
① 信用リスク
(a)当社が保有する金融資産の信用リスク
信用リスクは、保有する金融資産の相手先が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失が発生するリスクであります。具体的には当社グループは以下のような信用リスクにさらされております。まず、当社グループの営業債権、リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金は、顧客及び取引先の信用リスクにさらされております。また、主に余剰資金の運用のため保有している債券等は、発行体の信用リスクにさらされております。さらに、当社グループが為替変動リスク及び金利変動リスクをヘッジする目的で行っているデリバティブ取引、及び銀行取引については、これらの取引の相手方である金融機関の信用リスクにさらされております。
(b)当社の有するリスクへの対応状況について
顧客に対する信用リスクについては、当社グループは、各社ごとの与信管理基準に則り、相手先ごとの期日管理及び残高管理等を行うとともに、信用状況を把握する体制としております。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金については、当社グループは、取引日後において金融資産の資金回収が遅延した場合(支払期間の猶予の要請を含む)に、当該金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したものと判定しております。ただし、支払遅延及び支払期間の猶予要請があった場合でも、一時的な資金需要に起因し、債務不履行のリスクが低く、近い将来において契約上のキャッシュ・フローの義務を履行するための能力が外部格付等の客観的なデータに基づいて明らかである場合は、信用リスクの著しい増大とは判定しておりません。
負債性金融商品である有価証券については、当社グループは、大手格付機関から提供された格付情報に基づき、債務不履行のリスクが高いと当社グループが評価した場合に、当初の認識時から信用リスクが大幅に増加したと判断しております。
予想信用損失は、取引及び信用リスク管理の過程で入手可能な財務情報に基づき、倒産件数などのマクロ経済状況や債務者の実際または予想される業績の重要な変化等を考慮しつつ、認識及び測定しております。上記の分析にかかわらず、債務者が契約上の支払期日から30日以上延滞している場合には、信用リスクが大幅に増加しているものと推定されます。
債務者が、支払期限到来後90日以内に支払いを行わない場合、債務不履行としております。
当社グループは、金融資産の全部または一部が回収不能と評価され、信用調査の結果償却することが適切であると判断した場合、信用減損している金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
当社グループの債権には、特定の取引先または取引先グループに対する信用リスクの著しい集中はありません。
当社グループのデリバティブ取引及び銀行取引の相手先は、信用度の高い金融機関に限定しているため、相手方の契約不履行による信用リスクは、ほとんどないと判断しております。また、当社グループは、余資運用・デリバティブ取引について、信用リスクの発生を未然に減少させるべく、各社の社内規程及びこれに付随して細目を定める各規程に基づき、財務・経理担当部門が、当該案件ごとに権限規程に定める決裁権者による稟議決裁を受け、格付の高い金融機関との間でのみ行うこととしております。
営業債権の予想信用損失の測定
営業債権に重要な財務要素が含まれていないため、当社グループは、営業債権が回収されるまでの全期間の予想信用損失を以て損失評価引当金を算定しております。営業債権については、過去の貸倒実績及び営業債権ごとの債権年齢に関する将来予測情報に基づいて予想信用損失を見積ることにより損失評価引当金を算定しております。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金の予想信用損失の測定
期末日時点で、リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、当社グループは、過去の貸倒実績及び将来予測情報に基づき、将来12か月の予想信用損失を集合的に見積もることにより当該金融商品に係る損失評価引当金を算定しております。
一方、期末日時点で、当初認識時以降の信用リスクが著しく増大している場合、当社グループは、過去の信用損失実績及び将来予測情報に基づき、当該金融商品の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積ることにより、損失評価引当金を算定しております。
その他の投資(負債性金融商品である有価証券)の予想信用損失の測定
期末日時点で、負債性金融商品である有価証券に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、当社グループは、過去の貸倒実績及び将来予測情報に基づき、将来12か月の予想信用損失を見積もることにより当該金融商品に係る損失評価引当金を算定しております。
一方、期末日時点で、当初認識時以降の信用リスクが著しく増大している場合、当社グループは、過去の信用損失実績及び将来予測情報に基づき、当該金融商品の回収に係る全期間の予想信用損失を見積ることにより、損失評価引当金を算定しております。
(c)予想信用損失から生じた金額に関する定量的・定性的情報
営業債権に係る損失評価引当金
損失評価引当金繰入額及び戻入額は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されております。
2022年3月31日及び2023年3月31日に終了した会計年度において、直接償却した金融資産のうち、回収活動を継続しているものはありません。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金、その他の投資(負債性金融商品である有価証券)に係る重要な損失評価引当金はありません。
(d)金融資産の信用リスクのエクスポージャー
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは以下のとおりであります。
当社グループの最大信用リスク・エクスポージャー(総額)は、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない信用リスクに対する最大エクスポージャーを表しております。
営業債権の最大エクスポージャー
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
当社グループが保有する担保及びその他の信用補完はありません。
② 流動性リスク
当社グループは支払手形及び買掛金といった債務の履行が困難になる流動性リスクにさらされております。
当社グループは、主に電気通信事業を行うための設備投資計画等に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行、債権流動化により調達しております。余剰資金が生じた場合は、短期的な預金等で運用しております。
また、営業債務及びその他の債務は、そのほとんどが1年以内の支払期日であります。これらの営業債務などの流動負債は、その決済時において流動性リスクにさらされておりますが、当社グループでは、各社が毎月資金計画を見直すなどの方法により、そのリスクを回避しております。また、当社グループの流動性リスクに対する管理として、毎月資金繰計画を作成する等の方法により入出金予定を管理し、手許流動性を一定水準に保つことなどにより、常に安定的な資金繰り管理に努めております。当社グループは、流動性リスクに対処するため、いつでも換金することが可能と考えられる短期的な預金等を保有しております。詳細については、「13.現金及び現金同等物」に記載しております。
財務・経理担当部門は年度資金計画を作成し、取締役会でこれを承認した後、長期資金の調達を実行しております。また、当社グループは、国内の有力金融機関及び海外の大手金融機関との間で未実行の複数の長期・短期コミットメントライン契約を締結しており、コミットメントベースではない借入枠と併せ、流動性リスクの軽減を図っております。
(a)満期日分析
以下の表は、当社グループの非デリバティブ金融負債及び純額決済されるデリバティブ金融負債を、各連結会計年度末日時点における契約上の満期日までの残余期間に基づき、各残余期間区分により分析したものであります。なお、以下の表では、契約上の割引前キャッシュ・フローの金額を表示しております。
前連結会計年度(2022年3月31日)
(注) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しております。
当連結会計年度(2023年3月31日)
(注) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しております。
③ 市場リスク
市場リスクとして、具体的には(a)為替リスク、(b)金利リスク、(c)資本性金融商品の価格リスクがあります。
(a)為替リスク
当社グループは、当社グループが機能通貨以外の通貨で行った取引から生じる外貨建営業債権等を報告期間末日の為替レートを用いて、機能通貨に換算替えすることに伴う、為替相場の変動リスク(以下「為替リスク」)にさらされております。
当社グループは、海外においても事業活動を行っており、現在、シンガポールや中国等のアジア各国、アメリカ、ヨーロッパ等に出資及び合弁会社設立などを通じた国際的な事業展開を行っております。これらの国際的な事業活動を行っている結果として、さまざまな為替リスク・エクスポージャー、主にUSドルに関して生じる為替リスクにさらされております。
当社グループの一部の子会社は、為替の変動リスクに対して、デリバティブ取引として先物為替予約を利用し、ヘッジしております。これは主に、海外の番組に係る放映権の為替の変動を固定させるためのものであります。デリバティブ取引については、当社グループでは、取締役会で承認された社内規則に従って個別案件ごとに実施計画を策定し、職責権限規則の定めによる決裁を経たうえで実施しております。当社グループはデリバティブ取引をリスク回避目的にのみ利用し、売買益を目的とするような投機的な取引は一切行わない方針であります。
(i)為替感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、日本円がUSドル、ポンド、ユーロに対して10%円高になった場合に、連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響は以下のとおりであります。
ただし、本分析においては、その他の変動要因(残高、金利等)は一定であることを前提としております。また、機能通貨建ての金融商品、ならびに在外営業活動体の収益及び費用、資産及び負債を表示通貨に換算する際の影響は含まれておりません。
上記期間において、日本円がUSドル、ポンド、ユーロに対して10%円安になった場合の、連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響は、その他の変動要因が一定の場合、上記と同額で反対の影響があります。
(ii)デリバティブ(通貨関連取引)
前連結会計年度及び当連結会計年度において存在する主な通貨関連取引の詳細は以下のとおりであります。
ヘッジが適用されているデリバティブ
当社グループの一部の子会社は為替リスクに対して、ヘッジ会計を適用しております。
(注)1.為替予約は将来発生する可能性の高いコンテンツ等の購入と同じ通貨で為替予約をしているため、ヘッジ比率は1:1であります。
(注)2.ヘッジ非有効部分を認識する基礎として用いたヘッジ対象の価値の変動はヘッジ手段の公正価値の変動に近似しております。また、ヘッジ非有効部分の金額に重要性はありません。
ヘッジが適用されていないデリバティブ
(b)金利リスク
金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されております。当社グループの金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金や社債などの債務及び利付預金などの債権に関連しております。利息の金額は市場金利の変動に影響を受けるため、当社グループは、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされております。
当社グループは、主に金利の上昇による将来の利息の支払額の増加を抑えるために、社債を固定金利で発行することにより資金調達を行っております。
また、当社グループの一部の子会社は、借入金に係る支払金利の変動リスクを抑制するために、金利スワップ取引を利用し、キャッシュ・フローの安定化を図っております。
(i)金利感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、保有する変動金利の金融商品に対して1%の金利変動が生じた場合の連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響に重要性はありません。
ただし、本分析においては、その他の変動要因(残高、為替レート等)は一定であることを前提としております。
(ii)デリバティブ(金利関連取引)
金利スワップ契約において、当社グループは合意された想定元本金額に対して算定した固定金利と変動金利の差額を交換する契約を結んでおります。このような契約により、当社グループは変動金利借入金のキャッシュ・フローの変動リスクを軽減しております。
ヘッジが適用されているデリバティブ
(注)1.ヘッジ対象の借入金とヘッジ手段である金利スワップについては、同額で実施しているため、ヘッジ比率は
1:1であります。
(注)2.ヘッジ非有効部分を認識する基礎として用いたヘッジ対象の価値の変動はヘッジ手段の公正価値の変動に近似しております。また、ヘッジ非有効部分の金額に重要性はありません。
ヘッジが適用されていないデリバティブ
(c)資本性金融商品の価格リスク
資本性金融商品の価格リスクは、市場価格の変動(金利リスクまたは為替リスクにより生じる変動を除く)により金融商品の公正価値または将来キャッシュ・フローが変動するリスクであります。当社グループは、資本性金融商品を保有しているため、これらの価格変動リスクにさらされております。
これらの資本性金融商品から生じる価格リスクを管理するため、本社財務・経理担当部門は当該資本性金融商品への投資に関する方針を文書化し、当社グループ全体におきまして遵守しております。また、投資案件に係る重要事項については、適時に取締役会への報告と承認を行うことが義務付けられております。また、当社グループは保有する当該資本性金融商品を管理することを目的として、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、また、市況や取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
(i)価格感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、資本性金融商品(株式)の市場価格が10%下落した場合に、連結包括利益計算書のその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は以下のとおりであります。
ただし、本分析においては、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
(d)auじぶん銀行株式会社における市場リスク管理
当社連結子会社のauじぶん銀行株式会社では、バリュー・アット・リスク(VaR)を用いた市場リスク量を日次で把握・管理しています。VaRの算定にあたっては、ヒストリカル・シミュレーション法(保有期間21営業日、信頼区間99%、観測期間250営業日)を採用し、前連結会計年度末日(2022年3月31日)現在で市場リスク量は、全体で3,177百万円です。同様に、当連結会計年度末日(2023年3月31日)現在で市場リスク量は、全体で4,090百万円です。なお、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(2)資本管理
当社グループは、中長期に持続的な成長を実現し、企業価値を最大化することを目指しております。そのために、当社グループの資本管理は現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した適正な資本構成を維持することを基本方針としております。当社グループが資本管理において用いる主な経営指標は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)及びD/Eレシオであります。
各連結会計年度の親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)及びD/Eレシオは以下のとおりであります。
(注)・親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計 × 100
・D/Eレシオ = 有利子負債 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分
なお、当連結会計年度末において、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)を満たしています。
(3)金融資産及び金融負債の分類
当社グループの金融資産及び金融負債の分類は以下のとおりであります。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
(注) 当社連結子会社であるauじぶん銀行株式会社の住宅ローン債権について、これまで債権回収のみを目的とした管理としておりましたが、前第4四半期連結会計期間より、債権回収を通じた持続的な事業展開および安定的な収益基盤の確保等を目的とした管理に変更しているため、事業モデルの変更が生じております。
事業モデルの変更に伴い、2022年4月1日より「償却原価で測定する金融資産」に属する「金融事業の貸出金」の一部の測定区分を「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に変更しております。各区分における測定方法については、「3.重要な会計方針 (11)金融商品」に記載しております。なお、2022年4月1日時点で分類変更された金額は1,362,678百万円です。
(4)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、上記の資本性金融商品に対する投資が投資先との取引関係の維持、強化を目的として保有しているため、これらをその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産にしております。
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の内訳と主な銘柄ごとの公正価値
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の内訳及び受取配当金は以下のとおりであります。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に対する投資の主な銘柄は以下のとおりであります。
② 期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループでは、定期的なポートフォリオの見直しやリスクアセットの管理等を目的として、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却を行っており、その売却日における公正価値、売却に係る累積利得・損失及び受取配当金は以下のとおりであります。
③ 利益剰余金への振替
当社グループでは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動による累積利得または損失は、投資を処分した場合等に利益剰余金に振り替えることとしております。利益剰余金へ振り替えたその他の包括利益累計額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ2,813百万円及び△430百万円であります。
(5)償却原価で測定する金融資産の認識の中止により生じた利得及び損失の分析及び認識の中止の理由
前連結会計年度において、auじぶん銀行株式会社にて、住宅ローン債権等の売却により、連結財政状態計算書中「金融事業の貸出金」の一部の認識を中止しています。
(1)リスク管理
当社グループの事業活動は、事業環境・金融市場環境による影響を受けております。事業活動の過程で保有するまたは引き受ける金融商品は固有のリスクにさらされております。リスクには、①信用リスク、②流動性リスク及び③市場リスクが含まれております。当社グループは、社内での管理体制の構築や金融商品を用いてグループの財政状態及び業績に与える影響を最小限にする危機管理を実行しております。具体的には、当社グループはこれらのリスクを以下のような方法によって管理しております。
① 信用リスク
(a)当社が保有する金融資産の信用リスク
信用リスクは、保有する金融資産の相手先が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失が発生するリスクであります。具体的には当社グループは以下のような信用リスクにさらされております。まず、当社グループの営業債権、リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金は、顧客及び取引先の信用リスクにさらされております。また、主に余剰資金の運用のため保有している債券等は、発行体の信用リスクにさらされております。さらに、当社グループが為替変動リスク及び金利変動リスクをヘッジする目的で行っているデリバティブ取引、及び銀行取引については、これらの取引の相手方である金融機関の信用リスクにさらされております。
(b)当社の有するリスクへの対応状況について
顧客に対する信用リスクについては、当社グループは、各社ごとの与信管理基準に則り、相手先ごとの期日管理及び残高管理等を行うとともに、信用状況を把握する体制としております。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金については、当社グループは、取引日後において金融資産の資金回収が遅延した場合(支払期間の猶予の要請を含む)に、当該金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したものと判定しております。ただし、支払遅延及び支払期間の猶予要請があった場合でも、一時的な資金需要に起因し、債務不履行のリスクが低く、近い将来において契約上のキャッシュ・フローの義務を履行するための能力が外部格付等の客観的なデータに基づいて明らかである場合は、信用リスクの著しい増大とは判定しておりません。
負債性金融商品である有価証券については、当社グループは、大手格付機関から提供された格付情報に基づき、債務不履行のリスクが高いと当社グループが評価した場合に、当初の認識時から信用リスクが大幅に増加したと判断しております。
予想信用損失は、取引及び信用リスク管理の過程で入手可能な財務情報に基づき、倒産件数などのマクロ経済状況や債務者の実際または予想される業績の重要な変化等を考慮しつつ、認識及び測定しております。上記の分析にかかわらず、債務者が契約上の支払期日から30日以上延滞している場合には、信用リスクが大幅に増加しているものと推定されます。
債務者が、支払期限到来後90日以内に支払いを行わない場合、債務不履行としております。
当社グループは、金融資産の全部または一部が回収不能と評価され、信用調査の結果償却することが適切であると判断した場合、信用減損している金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
当社グループの債権には、特定の取引先または取引先グループに対する信用リスクの著しい集中はありません。
当社グループのデリバティブ取引及び銀行取引の相手先は、信用度の高い金融機関に限定しているため、相手方の契約不履行による信用リスクは、ほとんどないと判断しております。また、当社グループは、余資運用・デリバティブ取引について、信用リスクの発生を未然に減少させるべく、各社の社内規程及びこれに付随して細目を定める各規程に基づき、財務・経理担当部門が、当該案件ごとに権限規程に定める決裁権者による稟議決裁を受け、格付の高い金融機関との間でのみ行うこととしております。
営業債権の予想信用損失の測定
営業債権に重要な財務要素が含まれていないため、当社グループは、営業債権が回収されるまでの全期間の予想信用損失を以て損失評価引当金を算定しております。営業債権については、過去の貸倒実績及び営業債権ごとの債権年齢に関する将来予測情報に基づいて予想信用損失を見積ることにより損失評価引当金を算定しております。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金の予想信用損失の測定
期末日時点で、リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、当社グループは、過去の貸倒実績及び将来予測情報に基づき、将来12か月の予想信用損失を集合的に見積もることにより当該金融商品に係る損失評価引当金を算定しております。
一方、期末日時点で、当初認識時以降の信用リスクが著しく増大している場合、当社グループは、過去の信用損失実績及び将来予測情報に基づき、当該金融商品の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積ることにより、損失評価引当金を算定しております。
その他の投資(負債性金融商品である有価証券)の予想信用損失の測定
期末日時点で、負債性金融商品である有価証券に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、当社グループは、過去の貸倒実績及び将来予測情報に基づき、将来12か月の予想信用損失を見積もることにより当該金融商品に係る損失評価引当金を算定しております。
一方、期末日時点で、当初認識時以降の信用リスクが著しく増大している場合、当社グループは、過去の信用損失実績及び将来予測情報に基づき、当該金融商品の回収に係る全期間の予想信用損失を見積ることにより、損失評価引当金を算定しております。
(c)予想信用損失から生じた金額に関する定量的・定性的情報
営業債権に係る損失評価引当金
(単位:百万円) | |
全期間の予想信用損失に 等しい金額で計上されるもの | |
2021年4月1日残高 | 29,149 |
期中増加額 | 28,834 |
期中減少額(戻入) | △14,957 |
期中減少額(目的使用) | △12,072 |
その他の増減 | 101 |
2022年3月31日残高 | 31,055 |
期中増加額 | 34,159 |
期中減少額(戻入) | △18,305 |
期中減少額(目的使用) | △11,355 |
その他の増減 | △766 |
2023年3月31日残高 | 34,788 |
損失評価引当金繰入額及び戻入額は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されております。
2022年3月31日及び2023年3月31日に終了した会計年度において、直接償却した金融資産のうち、回収活動を継続しているものはありません。
リース債権及びその他の債権、金融事業の貸出金、その他の投資(負債性金融商品である有価証券)に係る重要な損失評価引当金はありません。
(d)金融資産の信用リスクのエクスポージャー
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは以下のとおりであります。
当社グループの最大信用リスク・エクスポージャー(総額)は、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない信用リスクに対する最大エクスポージャーを表しております。
営業債権の最大エクスポージャー
前連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
当月 | 30日超 | 90日超 | 合計 | |
営業債権 | 2,235,392 | 16,801 | 90,855 | 2,343,048 |
予想信用損失率(%) | 0.3 | 9.3 | 25.4 | - |
全期間の予想信用損失 | 6,410 | 1,564 | 23,081 | 31,055 |
当連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
当月 | 30日超 | 90日超 | 合計 | |
営業債権 | 2,232,238 | 151,129 | 96,811 | 2,480,178 |
予想信用損失率(%) | 0.3 | 1.4 | 27.1 | - |
全期間の予想信用損失 | 6,509 | 2,091 | 26,188 | 34,788 |
当社グループが保有する担保及びその他の信用補完はありません。
② 流動性リスク
当社グループは支払手形及び買掛金といった債務の履行が困難になる流動性リスクにさらされております。
当社グループは、主に電気通信事業を行うための設備投資計画等に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行、債権流動化により調達しております。余剰資金が生じた場合は、短期的な預金等で運用しております。
また、営業債務及びその他の債務は、そのほとんどが1年以内の支払期日であります。これらの営業債務などの流動負債は、その決済時において流動性リスクにさらされておりますが、当社グループでは、各社が毎月資金計画を見直すなどの方法により、そのリスクを回避しております。また、当社グループの流動性リスクに対する管理として、毎月資金繰計画を作成する等の方法により入出金予定を管理し、手許流動性を一定水準に保つことなどにより、常に安定的な資金繰り管理に努めております。当社グループは、流動性リスクに対処するため、いつでも換金することが可能と考えられる短期的な預金等を保有しております。詳細については、「13.現金及び現金同等物」に記載しております。
財務・経理担当部門は年度資金計画を作成し、取締役会でこれを承認した後、長期資金の調達を実行しております。また、当社グループは、国内の有力金融機関及び海外の大手金融機関との間で未実行の複数の長期・短期コミットメントライン契約を締結しており、コミットメントベースではない借入枠と併せ、流動性リスクの軽減を図っております。
(a)満期日分析
以下の表は、当社グループの非デリバティブ金融負債及び純額決済されるデリバティブ金融負債を、各連結会計年度末日時点における契約上の満期日までの残余期間に基づき、各残余期間区分により分析したものであります。なお、以下の表では、契約上の割引前キャッシュ・フローの金額を表示しております。
前連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |||||||||||||||
帳簿価額 | 契約上の キャッ シュ・ フロー | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | ||||||||
非デリバティブ金融負債 | |||||||||||||||
営業債務及びその他の債務 | 834,496 | 834,496 | 831,278 | 2,949 | 165 | 9 | 5 | 90 | |||||||
短期借入金 | 56,034 | 56,034 | 56,034 | - | - | - | - | - | |||||||
長期借入金 | 822,544 | 831,251 | 167,820 | 195,462 | 149,633 | 130,988 | 78,534 | 108,814 | |||||||
社債 | 329,543 | 334,011 | 50,993 | 70,983 | 60,578 | 30,458 | 30,348 | 90,653 | |||||||
金融事業の預金 | 2,217,505 | 2,219,388 | 2,186,136 | 143 | 3,158 | 145 | 1,329 | 28,476 | |||||||
リース負債 | 391,984 | 392,509 | 114,106 | 84,881 | 57,903 | 38,101 | 25,868 | 71,649 | |||||||
小計 | 4,652,104 | 4,667,689 | 3,406,367 | 354,418 | 271,437 | 199,701 | 136,084 | 299,682 | |||||||
デリバティブ金融負債(注) | |||||||||||||||
通貨関連取引 | 1,275 | 1,275 | 1,275 | - | - | - | - | - | |||||||
金利関連取引 | 3,542 | 3,542 | 1,345 | 901 | - | 1,296 | - | - | |||||||
小計 | 4,817 | 4,817 | 2,620 | 901 | - | 1,296 | - | - | |||||||
合計 | 4,656,922 | 4,672,507 | 3,408,986 | 355,319 | 271,437 | 200,997 | 136,084 | 299,682 |
(注) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しております。
当連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円) | |||||||||||||||
帳簿価額 | 契約上の キャッ シュ・ フロー | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | ||||||||
非デリバティブ金融負債 | |||||||||||||||
営業債務及びその他の債務 | 801,927 | 801,927 | 800,909 | 411 | 129 | 6 | 4 | 469 | |||||||
短期借入金 | 69,517 | 69,517 | 69,517 | - | - | - | - | - | |||||||
長期借入金 | 803,196 | 817,520 | 200,713 | 154,882 | 154,173 | 140,650 | 146,977 | 20,124 | |||||||
社債 | 379,482 | 384,409 | 71,303 | 60,898 | 80,778 | 30,563 | 50,529 | 90,339 | |||||||
金融事業の預金 | 2,717,552 | 2,717,771 | 2,705,020 | 10,092 | 1,179 | 868 | 610 | 1 | |||||||
リース負債 | 399,242 | 398,314 | 116,806 | 84,851 | 58,309 | 40,951 | 26,839 | 70,558 | |||||||
小計 | 5,170,915 | 5,189,458 | 3,964,268 | 311,134 | 294,568 | 213,038 | 224,960 | 181,491 | |||||||
デリバティブ金融負債(注) | |||||||||||||||
通貨関連取引 | 2,476 | 2,476 | 2,410 | △4 | 63 | - | 8 | - | |||||||
金利関連取引 | 5,224 | 5,224 | 361 | - | 740 | - | - | 4,123 | |||||||
小計 | 7,700 | 7,700 | 2,771 | △4 | 803 | - | 8 | 4,123 | |||||||
合計 | 5,178,615 | 5,197,158 | 3,967,038 | 311,129 | 295,371 | 213,038 | 224,967 | 185,613 |
(注) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しております。
③ 市場リスク
市場リスクとして、具体的には(a)為替リスク、(b)金利リスク、(c)資本性金融商品の価格リスクがあります。
(a)為替リスク
当社グループは、当社グループが機能通貨以外の通貨で行った取引から生じる外貨建営業債権等を報告期間末日の為替レートを用いて、機能通貨に換算替えすることに伴う、為替相場の変動リスク(以下「為替リスク」)にさらされております。
当社グループは、海外においても事業活動を行っており、現在、シンガポールや中国等のアジア各国、アメリカ、ヨーロッパ等に出資及び合弁会社設立などを通じた国際的な事業展開を行っております。これらの国際的な事業活動を行っている結果として、さまざまな為替リスク・エクスポージャー、主にUSドルに関して生じる為替リスクにさらされております。
当社グループの一部の子会社は、為替の変動リスクに対して、デリバティブ取引として先物為替予約を利用し、ヘッジしております。これは主に、海外の番組に係る放映権の為替の変動を固定させるためのものであります。デリバティブ取引については、当社グループでは、取締役会で承認された社内規則に従って個別案件ごとに実施計画を策定し、職責権限規則の定めによる決裁を経たうえで実施しております。当社グループはデリバティブ取引をリスク回避目的にのみ利用し、売買益を目的とするような投機的な取引は一切行わない方針であります。
(i)為替感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、日本円がUSドル、ポンド、ユーロに対して10%円高になった場合に、連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響は以下のとおりであります。
ただし、本分析においては、その他の変動要因(残高、金利等)は一定であることを前提としております。また、機能通貨建ての金融商品、ならびに在外営業活動体の収益及び費用、資産及び負債を表示通貨に換算する際の影響は含まれておりません。
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
税引前当期利益 | |||
USドル | △2,255 | △3,143 | |
ポンド | △1,789 | △2,050 | |
ユーロ | △1,154 | △1,163 | |
合計 | △5,197 | △6,356 |
上記期間において、日本円がUSドル、ポンド、ユーロに対して10%円安になった場合の、連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響は、その他の変動要因が一定の場合、上記と同額で反対の影響があります。
(ii)デリバティブ(通貨関連取引)
前連結会計年度及び当連結会計年度において存在する主な通貨関連取引の詳細は以下のとおりであります。
ヘッジが適用されているデリバティブ
当社グループの一部の子会社は為替リスクに対して、ヘッジ会計を適用しております。
(単位:百万円) | |||||||||||||||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||||||||||||||
契約額 | うち1年超 | 公正価値 | 契約額 | うち1年超 | 公正価値 | ||||||||||
資産 | 負債 | 資産 | 負債 | ||||||||||||
通貨関連取引 | 47,007 | 9,568 | 3,130 | 10 | 43,117 | 9,541 | 1,198 | 687 |
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||
帳簿価額 | 3,120 | 511 | |
契約価額 | 47,007 | 43,117 | |
満期日 | 2022年4月~2027年12月 | 2023年5月~2027年12月 | |
ヘッジ比率(注)1 | 1 | 1 | |
ヘッジ手段の公正価値の変動 | 2,097 | △2,609 |
(注)1.為替予約は将来発生する可能性の高いコンテンツ等の購入と同じ通貨で為替予約をしているため、ヘッジ比率は1:1であります。
(注)2.ヘッジ非有効部分を認識する基礎として用いたヘッジ対象の価値の変動はヘッジ手段の公正価値の変動に近似しております。また、ヘッジ非有効部分の金額に重要性はありません。
ヘッジが適用されていないデリバティブ
(単位:百万円) | |||||||||||||||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||||||||||||||
契約額 | うち1年超 | 公正価値 | 契約額 | うち1年超 | 公正価値 | ||||||||||
資産 | 負債 | 資産 | 負債 | ||||||||||||
通貨関連取引 | 127,095 | - | △354 | 4,285 | 147,511 | - | 2,340 | 2,410 | |||||||
(b)金利リスク
金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されております。当社グループの金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金や社債などの債務及び利付預金などの債権に関連しております。利息の金額は市場金利の変動に影響を受けるため、当社グループは、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされております。
当社グループは、主に金利の上昇による将来の利息の支払額の増加を抑えるために、社債を固定金利で発行することにより資金調達を行っております。
また、当社グループの一部の子会社は、借入金に係る支払金利の変動リスクを抑制するために、金利スワップ取引を利用し、キャッシュ・フローの安定化を図っております。
(i)金利感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、保有する変動金利の金融商品に対して1%の金利変動が生じた場合の連結損益計算書の税引前当期利益に与える影響に重要性はありません。
ただし、本分析においては、その他の変動要因(残高、為替レート等)は一定であることを前提としております。
(ii)デリバティブ(金利関連取引)
金利スワップ契約において、当社グループは合意された想定元本金額に対して算定した固定金利と変動金利の差額を交換する契約を結んでおります。このような契約により、当社グループは変動金利借入金のキャッシュ・フローの変動リスクを軽減しております。
ヘッジが適用されているデリバティブ
(単位:百万円) | |||||||||||||||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||||||||||||||
契約額 | うち1年超 | 公正価値 | 契約額 | うち1年超 | 公正価値 | ||||||||||
資産 | 負債 | 資産 | 負債 | ||||||||||||
金利関連取引 | 130,000 | 130,000 | - | 2,197 | 131,100 | 51,100 | 8 | 1,101 |
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||
帳簿価額 | △2,197 | △1,093 | |
契約価額 | 130,000 | 131,100 | |
満期日 | 2023年12月~2025年12月 | 2023年12月~2028年3月 | |
ヘッジ比率(注)1 | 1 | 1 | |
ヘッジ手段の公正価値の変動 | 1,387 | 1,104 |
(注)1.ヘッジ対象の借入金とヘッジ手段である金利スワップについては、同額で実施しているため、ヘッジ比率は
1:1であります。
(注)2.ヘッジ非有効部分を認識する基礎として用いたヘッジ対象の価値の変動はヘッジ手段の公正価値の変動に近似しております。また、ヘッジ非有効部分の金額に重要性はありません。
ヘッジが適用されていないデリバティブ
(単位:百万円) | |||||||||||||||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||||||||||||||
契約額 | うち1年超 | 公正価値 | 契約額 | うち1年超 | 公正価値 | ||||||||||
資産 | 負債 | 資産 | 負債 | ||||||||||||
金利関連取引 | 76,986 | 76,986 | △1,269 | 1,278 | 145,631 | 145,631 | 4,123 | 4,123 |
(c)資本性金融商品の価格リスク
資本性金融商品の価格リスクは、市場価格の変動(金利リスクまたは為替リスクにより生じる変動を除く)により金融商品の公正価値または将来キャッシュ・フローが変動するリスクであります。当社グループは、資本性金融商品を保有しているため、これらの価格変動リスクにさらされております。
これらの資本性金融商品から生じる価格リスクを管理するため、本社財務・経理担当部門は当該資本性金融商品への投資に関する方針を文書化し、当社グループ全体におきまして遵守しております。また、投資案件に係る重要事項については、適時に取締役会への報告と承認を行うことが義務付けられております。また、当社グループは保有する当該資本性金融商品を管理することを目的として、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、また、市況や取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
(i)価格感応度分析(auじぶん銀行株式会社を除く)
各連結会計年度において、資本性金融商品(株式)の市場価格が10%下落した場合に、連結包括利益計算書のその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は以下のとおりであります。
ただし、本分析においては、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
その他の包括利益(税効果考慮前) | △13,789 | △12,216 |
(d)auじぶん銀行株式会社における市場リスク管理
当社連結子会社のauじぶん銀行株式会社では、バリュー・アット・リスク(VaR)を用いた市場リスク量を日次で把握・管理しています。VaRの算定にあたっては、ヒストリカル・シミュレーション法(保有期間21営業日、信頼区間99%、観測期間250営業日)を採用し、前連結会計年度末日(2022年3月31日)現在で市場リスク量は、全体で3,177百万円です。同様に、当連結会計年度末日(2023年3月31日)現在で市場リスク量は、全体で4,090百万円です。なお、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(2)資本管理
当社グループは、中長期に持続的な成長を実現し、企業価値を最大化することを目指しております。そのために、当社グループの資本管理は現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した適正な資本構成を維持することを基本方針としております。当社グループが資本管理において用いる主な経営指標は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)及びD/Eレシオであります。
各連結会計年度の親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)及びD/Eレシオは以下のとおりであります。
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||
親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率) (%) | 45.0 | 43.0 | |
D/Eレシオ (倍) | 0.32 | 0.32 |
(注)・親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計 × 100
・D/Eレシオ = 有利子負債 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分
なお、当連結会計年度末において、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)を満たしています。
(3)金融資産及び金融負債の分類
当社グループの金融資産及び金融負債の分類は以下のとおりであります。
前連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |||||||
帳簿価額 | |||||||
償却原価で測定する 金融資産 | その他の包括利益を 通じて公正価値で 測定する金融資産 | 純損益を通じて 公正価値で測定する 金融資産 | 合計 | ||||
金融資産: | |||||||
非流動資産: | |||||||
金融事業の貸出金 | 1,328,363 | - | 6,747 | 1,335,111 | |||
金融事業の有価証券 | - | 338,285 | - | 338,285 | |||
その他の長期金融資産 | 129,576 | 199,607 | 85 | 329,268 | |||
流動資産: | |||||||
営業債権及びその他の債権 | 2,311,694 | - | - | 2,311,694 | |||
金融事業の貸出金 | 255,266 | - | - | 255,266 | |||
コールローン | 45,064 | - | - | 45,064 | |||
その他の短期金融資産 | 53,762 | - | 13,392 | 67,154 | |||
現金及び現金同等物 | 796,613 | - | - | 796,613 | |||
合計 | 4,920,338 | 537,892 | 20,224 | 5,478,455 |
(単位:百万円) | |||||||
帳簿価額 | |||||||
償却原価で測定する 金融負債 | その他の包括利益を 通じて公正価値で 測定する金融負債 | 純損益を通じて 公正価値で測定する 金融負債 | 合計 | ||||
金融負債: | |||||||
非流動負債: | |||||||
借入金及び社債 | 921,616 | - | - | 921,616 | |||
金融事業の預金 | 33,240 | - | - | 33,240 | |||
リース負債 | 279,265 | - | - | 279,265 | |||
その他の長期金融負債 | 12,001 | - | 2,197 | 14,198 | |||
流動負債: | |||||||
借入金及び社債 | 286,505 | - | - | 286,505 | |||
営業債務及びその他の債務 | 834,496 | - | - | 834,496 | |||
金融事業の預金 | 2,184,264 | - | - | 2,184,264 | |||
コールマネー | 141,348 | - | - | 141,348 | |||
リース負債 | 112,719 | - | - | 112,719 | |||
その他の短期金融負債 | - | - | 2,620 | 2,620 | |||
合計 | 4,805,452 | - | 4,817 | 4,810,270 |
当連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円) | |||||||
帳簿価額 | |||||||
償却原価で測定する 金融資産 | その他の包括利益を 通じて公正価値で 測定する金融資産 | 純損益を通じて 公正価値で測定する 金融資産 | 合計 | ||||
金融資産: | |||||||
非流動資産: | |||||||
金融事業の貸出金 | - | - | 2,038,403 | 2,038,403 | |||
金融事業の有価証券 | 55,152 | 355,911 | - | 411,063 | |||
その他の長期金融資産 | 125,937 | 178,090 | 80 | 304,106 | |||
流動資産: | |||||||
営業債権及びその他の債権 | 2,445,250 | - | - | 2,445,250 | |||
金融事業の貸出金 | 247,054 | - | 57,503 | 304,557 | |||
コールローン | 53,944 | - | - | 53,944 | |||
その他の短期金融資産 | 50,032 | - | 10,127 | 60,158 | |||
現金及び現金同等物 | 480,252 | - | - | 480,252 | |||
合計 | 3,457,621 | 534,000 | 2,106,112 | 6,097,733 |
(単位:百万円) | |||||||
帳簿価額 | |||||||
償却原価で測定する 金融負債 | その他の包括利益を 通じて公正価値で 測定する金融負債 | 純損益を通じて 公正価値で測定する 金融負債 | 合計 | ||||
金融負債: | |||||||
非流動負債: | |||||||
借入金及び社債 | 914,233 | - | - | 914,233 | |||
金融事業の預金 | 64,829 | - | - | 64,829 | |||
リース負債 | 286,437 | - | - | 286,437 | |||
その他の長期金融負債 | 9,503 | - | 806 | 10,309 | |||
流動負債: | |||||||
借入金及び社債 | 337,961 | - | - | 337,961 | |||
営業債務及びその他の債務 | 801,927 | - | - | 801,927 | |||
金融事業の預金 | 2,652,723 | - | - | 2,652,723 | |||
債券貸借取引受入担保金 | 244,111 | - | - | 244,111 | |||
リース負債 | 112,805 | - | - | 112,805 | |||
その他の短期金融負債 | - | - | 6,894 | 6,894 | |||
合計 | 5,424,529 | - | 7,700 | 5,432,229 |
(注) 当社連結子会社であるauじぶん銀行株式会社の住宅ローン債権について、これまで債権回収のみを目的とした管理としておりましたが、前第4四半期連結会計期間より、債権回収を通じた持続的な事業展開および安定的な収益基盤の確保等を目的とした管理に変更しているため、事業モデルの変更が生じております。
事業モデルの変更に伴い、2022年4月1日より「償却原価で測定する金融資産」に属する「金融事業の貸出金」の一部の測定区分を「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に変更しております。各区分における測定方法については、「3.重要な会計方針 (11)金融商品」に記載しております。なお、2022年4月1日時点で分類変更された金額は1,362,678百万円です。
(4)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、上記の資本性金融商品に対する投資が投資先との取引関係の維持、強化を目的として保有しているため、これらをその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産にしております。
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の内訳と主な銘柄ごとの公正価値
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の内訳及び受取配当金は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||
公正価値 | |||
上場株式 | 137,893 | 122,161 | |
非上場株式 | 61,714 | 55,929 | |
合計 | 199,607 | 178,090 |
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
受取配当金 | |||
上場株式 | 2,597 | 2,704 | |
非上場株式 | 3,390 | 5,206 | |
合計 | 5,987 | 7,910 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に対する投資の主な銘柄は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
銘柄 | 前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | ||
上場株式 | ||||
トヨタ自動車株式会社 | 88,839 | 75,148 | ||
株式会社ローソン | 9,864 | 11,837 | ||
グリー株式会社 | 8,696 | 5,520 | ||
ぴあ株式会社 | 5,184 | 5,035 | ||
株式会社インターネットイニシアティブ | 3,448 | 4,617 | ||
株式会社グリムス | 3,829 | 4,067 | ||
日本空港ビルデング株式会社 | 3,404 | 4,019 | ||
株式会社JTOWER | 4,007 | 2,712 | ||
東日本旅客鉄道株式会社 | 2,124 | 2,191 | ||
株式会社Finatextホールディングス | 2,306 | 2,057 | ||
その他 | 6,191 | 4,958 | ||
小計 | 137,893 | 122,161 | ||
非上場株式 | ||||
株式会社コミュニティネットワークセンター | 6,316 | 5,050 | ||
株式会社日本共創プラットフォーム | 5,000 | 5,000 | ||
WiL Fund II, L.P. | 4,221 | 4,205 | ||
WILLER株式会社 | - | 2,053 | ||
株式会社エブリー | 2,212 | 1,868 | ||
その他 | 43,964 | 37,753 | ||
小計 | 61,714 | 55,929 | ||
合計 | 199,607 | 178,090 |
② 期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループでは、定期的なポートフォリオの見直しやリスクアセットの管理等を目的として、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却を行っており、その売却日における公正価値、売却に係る累積利得・損失及び受取配当金は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
売却日時点の公正価値 | 7,320 | 1,897 | |
売却に係る累積利得・損失 | 2,863 | △514 | |
受取配当金 | 2 | 0 |
③ 利益剰余金への振替
当社グループでは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動による累積利得または損失は、投資を処分した場合等に利益剰余金に振り替えることとしております。利益剰余金へ振り替えたその他の包括利益累計額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ2,813百万円及び△430百万円であります。
(5)償却原価で測定する金融資産の認識の中止により生じた利得及び損失の分析及び認識の中止の理由
(単位:百万円) | |||
償却原価で測定する金融資産の 認識の中止により生じた利得(損失は△) | |||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
金融事業の貸出金 | 11,647 | - |
前連結会計年度において、auじぶん銀行株式会社にて、住宅ローン債権等の売却により、連結財政状態計算書中「金融事業の貸出金」の一部の認識を中止しています。