有価証券報告書-第35期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 15:01
【資料】
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注記事項-のれん及び無形資産、連結財務諸表(IFRS)

3.7.のれん及び無形資産
(会計方針)
のれん
NTTグループはのれんを、移転した対価と被取得企業の非支配持分の金額の合計が、支配獲得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しています。
のれんの償却は行わず、配分した資金生成単位または資金生成単位グループに減損の兆候がある場合、及び減損の兆候の有無に関わらず各年度の一定時期に減損テストを実施しています。
また、のれんは連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で計上されます。
無形資産
無形資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しています。NTTグループ内部で発生した研究開発費のうち資産計上の要件を満たす開発活動に対する支出を無形資産(自己創設無形資産)として認識し、資産計上の要件をすべて満たした日から、開発完了までに発生した支出の合計額で測定するとともに、それ以外の支出は発生時に費用として認識しています。費用に計上している研究開発費は「注記2.3.営業費用」に記載しています。
無形資産には、耐用年数を確定できるものとできないものがあります。
耐用年数を確定できる無形資産の償却費は、見積耐用年数にわたって、定額法により算定しています。
耐用年数を確定できる無形資産の主なものは、コンピュータ・ソフトウェアです。1年超の耐用年数を有する社内利用ソフトウェアは資産計上しており、社内利用ソフトウェアの事後の追加、変更、改良に要する費用は、当該ソフトウェアの機能が追加される場合に限り資産計上しています。ソフトウェアの保守、訓練費用は発生時に費用処理しています。資産計上したコンピュータ・ソフトウェアは、概ね5年から7年にわたり定額法で償却しています。
資産の償却方法、耐用年数及び残存価額は各年度末に見直し、変更がある場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない無形資産の主なものは、商標及び商号です。
これらの耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産は、償却は行っておらず、減損の兆候がある場合、及び減損の兆候の有無に関わらず各年度の一定時期に、減損テストを実施しています。これらの減損については「注記3.5.有形固定資産(3)減損損失」の会計方針と同様です。
(見積り及び見積りを伴う判断)
上記の会計方針に記載したとおり、無形資産の耐用年数に関する見積りを行っています。

(1)増減表
のれん及び無形資産の帳簿価額の増減及び取得原価、償却累計額及び減損損失累計額
帳簿価額
(単位:百万円)

のれん無形資産
ソフト
ウェア
施設
利用権
商標及び
商号
建物
取得権
その他合計
前連結会計年度期首
(2018年4月1日)
841,2831,224,10838,72949,22516,792260,5941,589,448
取得-7,5901,860--3,65613,106
内部開発による増加-442,933----442,933
企業結合による取得85,6931,947---35,42937,376
売却又は処分△14,183△8,704-△8,066-△530△17,300
償却-△378,454△1,699△660-△34,316△415,129
減損△39,443△5,304---△3,065△8,369
外貨換算調整額10,424△1,024△70210-2,3141,430
その他2,757△2,56227△2△15,7132,517△15,733
前連結会計年度末
(2019年3月31日)
886,5311,280,53038,84740,7071,079266,5991,627,762
取得-4,779835--15,74921,363
内部開発による増加-483,782----483,782
企業結合による取得104,0055,063---47,46552,528
売却又は処分△935△20,646△6△14-△265△20,931
償却-△383,828△1,712--△34,921△420,461
減損△2,933△1,867---△2,189△4,056
外貨換算調整額△27,905△2,683△143△718-△7,141△10,685
売却目的で保有する資産への振替-△1,318---△1,929△3,247
その他22,078△3,911△110△30,784-2,810△31,995
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
980,8411,359,90137,7119,1911,079286,1781,694,060

(注)償却は、連結損益計算書の「減価償却費」に、減損は「減損損失」にそれぞれ含まれています。
取得原価
(単位:百万円)

のれん無形資産
ソフト
ウェア
施設
利用権
商標及び
商号
建物
取得権
その他合計
前連結会計年度期首
(2018年4月1日)
962,4136,504,263354,42755,95216,792558,4657,489,899
前連結会計年度末
(2019年3月31日)
998,8506,718,486353,98241,2301,079589,8377,704,614
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
1,085,9396,903,474335,6329,7141,079624,6587,874,557

償却累計額及び減損損失累計額
(単位:百万円)

のれん無形資産
ソフト
ウェア
施設
利用権
商標及び
商号
建物
取得権
その他合計
前連結会計年度期首
(2018年4月1日)
121,1305,280,155315,6986,727-297,8715,900,451
前連結会計年度末
(2019年3月31日)
112,3195,437,956315,135523-323,2386,076,852
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
105,0985,543,573297,921523-338,4806,180,497

全額を減損損失として認識したのれんについては、取得原価及び減損損失累計額から除いています。
ソフトウェアに関連する自己創設無形資産の帳簿価額
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2019年3月31日)
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
ソフトウェア
自己創設無形資産1,259,6291,339,308

耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額
(単位:百万円)

前連結会計年度末
(2019年3月31日)
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
商標及び商号40,7079,191
建物取得権1,0791,079
その他20,14321,223
合計61,92931,493

商標及び商号や建物取得権など契約上年限が決定されておらず、かつ少額のコストで権利価値の維持が可能であることから耐用年数を確定できない無形資産については償却を行っていません。
商標及び商号は、企業結合により取得した耐用年数が特定できない無形資産です。
(2)担保提供資産
社債及び借入金等の担保に供されている無形資産の金額については、「注記4.5.短期借入債務及び長期借入債務」に記載しています。
(3)のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト
のれんの帳簿価額のセグメント別内訳
(単位:百万円)

前連結会計年度末
(2019年3月31日)
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
移動通信事業33,17730,518
長距離・国際通信事業423,896473,229
データ通信事業429,304461,543
その他の事業15415,551
合計886,531980,841

(会計方針)
減損の兆候の有無の判断、減損テストにおける回収可能価額の算定、使用価値の算定については、「注記3.5.有形固定資産(3)減損損失」の会計方針と同様です。
① 無形資産の減損
「注記3.5.有形固定資産(3)減損損失」の会計方針と同様です。また、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産は、償却は行っておらず、減損の兆候がある場合、及び減損の兆候の有無に関わらず各年度の一定時期に、減損テストを実施しています。
② のれんの減損
のれんは、企業結合の結果、便益を享受できると期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、その資金生成単位または資金生成単位グループに減損の兆候がある場合、及び減損の兆候の有無に関わらず各年度の一定時期に、減損テストを実施しています。減損テストにおいて資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失は資金生成単位または資金生成単位グループに配分されたのれんの帳簿価額から減額し、次に資金生成単位または資金生成単位グループにおけるのれん以外の資産の帳簿価額の比例割合に応じて各資産の帳簿価額から減額しています。
のれんの減損損失は損益として認識し、その後の期間に戻入れは行いません。
(見積り及び見積りを伴う判断)
無形資産及びのれんの減損に関する見積りを行っています。

重要なのれんを含む資金生成単位または資金生成単位グループ
前連結会計年度末 (2019年3月31日)
資金生成単位または資金生成単位グループの名称NTT DATA ServicesDimension DataのSystem Integration-ApacLux e-shelterSecure24
のれんの帳簿価額(百万円)335,13659,98557,06251,477
永久成長率(%)3.13.11.02.0
加重平均資本コストの割引率(%)※8.511.77.010.0
EBITDA倍率(倍)13.0--14.9
回収可能価額の測定方法処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法及び類似企業比較法
処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法
処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法
処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法及び類似企業比較法
所属セグメントデータ通信事業長距離・国際通信事業長距離・国際通信事業長距離・国際通信事業

※加重平均資本コストの割引率は税引後の数値です。以下の記載も同様です。
割引キャッシュ・フロー法では、経営者が承認した将来計画のキャッシュ・フロー見積額(5~11年)を、加重平均資本コストで割り引いて算定しています。類似企業比較法では、足元の業績に基づくEBITDAに上場している同業他社の企業価値との比率を乗じて価値を算定しています。「注記1.3.重要な会計方針(3)公正価値」で定義されている公正価値の測定に使用される仮定(インプット)の区分はレベル3に分類しています。
これらののれんについては、当該資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を上回っています。なお、前連結会計年度にてNTT DATA Services及びSecure24において割引率がそれぞれ0.5%、0.8%上昇した場合、減損損失が発生する可能性があり、それぞれ243億円、43億円当該資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を上回っています。
当連結会計年度末 (2020年3月31日)
資金生成単位または資金生成単位グループの名称NTT DATA ServicesNTT Ltd -
ICT infrastructure
のれんの帳簿価額(百万円)364,388153,804
永久成長率(%)3.11.9
加重平均資本コストの割引率(%)8.07.4
回収可能価額の測定方法処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法
処分コスト控除後の公正価値
割引キャッシュ・フロー法
所属セグメントデータ通信事業長距離・国際通信事業

割引キャッシュ・フロー法では、経営者が承認した将来計画のキャッシュ・フロー見積額(8~10年)を、加重平均資本コストで割り引いて算定しています。「注記1.3.重要な会計方針(3)公正価値」で定義されている公正価値の測定に使用される仮定(インプット)の区分はレベル3に分類しています。また、NTT DATA Servicesにおいて、前連結会計年度には類似企業比較法についても公正価値の算定に使用していましたが、当連結会計年度においてはIFRS第16号を適用した類似企業の情報が不十分なことから使用していません。
これらののれんについては、当該資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を上回っています。なお、当連結会計年度にてNTT DATA Services及びNTT Ltd -ICT infrastructureにおいて割引率がそれぞれ0.8%、0.3%上昇した場合、減損損失が発生する可能性があり、それぞれ856億円、500億円当該資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を上回っています。
資金生成単位の変更
NTTグループ全体のグローバル市場における競争力強化と収益性の向上をめざし、2019年7月にグローバル事業会社としてNTT Ltd.が営業を開始し、マネージドITサービスなどの高付加価値サービスへのシフトを推進しています。これに伴い、従来はNTTコミュニケーションズ配下にあったデータセンターサービス事業、ネットワークサービス事業等をNTT Ltd.配下に移管し、グローバルに高品質なサービスを提供する体制を立ち上げました。
これにより、データセンター事業、ネットワークサービス事業等の各事業を構成するLux e-shelterやRagingWireといった個別の資金生成単位を含むICT infrastructure事業を新たな資金生成単位グループとするなど、NTT Ltd.グループ配下において資金生成単位の再編成を行い、ICT infrastructure事業がNTT DATA Servicesと並びNTTグループにおける重要なのれんを含む資金生成単位グループとなりました。
のれんの減損
⦅前連結会計年度⦆
NTTグループの長距離・国際通信事業セグメントに帰属する資金生成単位であるNTTセキュリティについて減損テストを実施した結果、減損処理を実施しました。マネージド・セキュリティ・サービスやプロフェッショナルサービスに関する直近のマーケット環境等に基づき、中期的な事業見通しを見直した結果、資金生成単位の回収可能価額が減少したことによるものです。減損損失は全てのれんに配分しています。
資金生成単位の回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値であり、主に観察不能なインプットを用いた割引キャッシュ・フロー法によって測定しています。「注記1.3.重要な会計方針(3)公正価値」で定義されている公正価値の測定に使用される仮定(インプット)の区分はレベル3に分類しています。
減損損失計上額、回収可能価額及び回収可能価額の見積りに使用した主要な仮定
資金生成単位の名称NTT セキュリティ
減損損失(百万円)15,685
回収可能価額(百万円)9,983
永久成長率(%)1.0
加重平均資本コストの割引率(%)13.2

また、移動通信事業セグメントの一部の資金生成単位に配分されたのれんについて、23,758百万円の減損処理を実施しました。その対象は、主に海外におけるモバイルコンテンツの配信・課金等に関するプラットフォームを運営する事業であり、その回収可能価額は無価値(処分コスト控除後の公正価値により算定)であると見積もっています。
⦅当連結会計年度⦆
重要な減損は生じていません。