有価証券報告書-第36期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:29
【資料】
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【項目】
123項目
2.2.営業収益
(会計方針)
IFRS第9号に基づく利息・配当収益やIFRS第4号に基づく保険料収入、IFRS第16号に基づく不動産賃貸収入やリース収入等を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客に移転する財やサービスとの交換により、その権利を得ると見込む金額を収益として認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するに応じて)収益を認識する。
また、顧客との契約獲得のための増分コスト及び履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しています。契約獲得の増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったものです。また、履行コストとは、顧客に財又はサービスが移転する前に発生する契約を履行するためのものです。NTTグループは移動音声関連サービス及びIP系・パケット通信サービスにおける、工事料収入・契約事務手数料収入及びポイントプログラム等並びにシステムインテグレーションサービスに係るもの以外のものについてはIFRS第15号第94項の実務上の便法を適用し、認識するはずの資産の償却期間が1年以内である場合には、契約獲得の増分コストを発生時に費用として認識しています。
NTTグループにおいては、移動通信事業、地域通信事業、長距離・国際通信事業、データ通信事業、その他の事業の5つの事業セグメントにおいて、固定音声関連サービス、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス及びその他のサービスの6つのサービスを提供しています。
① 固定音声関連サービス
地域通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメントにおいて、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送などの固定音声関連サービスを顧客に提供しており、これらの提供に従い収益を認識しています。固定音声関連サービスは月次で請求しています。
② 移動音声関連サービス
移動通信事業セグメントにおいて、LTE(Xi)、5G等における音声通話サービスなどの移動音声関連サービスを顧客に提供しており、これらの提供に従い収益を認識しています。移動音声関連サービスは月次で請求しています。なお、一部の料金プランでは、料金プラン毎に定額料金の範囲内で利用可能な通信分(通話)を定めており、利用可能な通信分のうち当月未使用分を自動的に繰越すサービスを提供しています。これらのサービスでは、当月に使用されず、翌月以降に使用が見込まれる分の収益を繰延べ、繰越金額が使用される時点において、収益として認識しています。
また、移動音声関連サービスの利用に応じて進呈するポイントと引き換えに、顧客が商品購入時の支払いや通信料金への充当等が可能なポイントプログラムを提供しています。取引価格は、通信サービス及びポイントに対して、それぞれの独立販売価格の比率に基づいて配分されます。ポイントに配分された取引価格のうち、未使用部分については契約負債として「その他の流動負債」に計上し、その後のポイントの使用に従って収益として認識します。この独立販売価格の見積りには、ポイント失効の見込みやポイントの交換対象となる商品・サービスの価値などの判断を伴う仮定が含まれています。
③ IP系・パケット通信サービス
移動通信事業セグメントにおいて、LTE(Xi)、5G等のパケットサービスやドコモ光などのIP系・パケット通信サービスを、地域通信事業セグメントにおいてフレッツ光(コラボ光※含む)など、長距離・国際通信事業セグメントにおいてArcstar Universal One、IP-VPN、OCNなどを顧客に提供し、主な履行義務を下記のとおりに識別して、収益を認識しています。
※コラボ光:NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者(コラボ光事業者)に卸提供している光アクセスサービスなど。
移動通信事業セグメント
NTTグループは、IP系・パケット通信サービスの提供に従い、収益として認識しています。
なお、一部の料金プランでは、料金プラン毎に定額料金の範囲内で利用可能な通信分(データ通信)を定めており、利用可能な通信分のうち当月未使用分を自動的に繰越すサービスを提供しています。
これらのサービスでは、当月に使用されず、翌月以降に使用が見込まれる分の収益を繰延べ、繰越金額が使用される時点において、収益として認識しています。
地域通信事業セグメント
コラボ光事業者に支払った新規販売奨励金は、連結財政状態計算書の「その他の非流動資産」として繰延べ、支払時より見積平均契約期間にわたって、収益から控除しています。また、将来1年毎の契約更新時に継続利用販売奨励金として支払われる金額は、変動対価として過去の実績等に基づき見積もり、当初の契約時又は直近の契約更新時から1年間にわたって収益から控除しています。
地域通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント
NTTグループは、IP系・パケット通信サービスの提供に従い収益を認識しています。IP系・パケット通信サービスは一般消費者向けの場合、月次で請求しており、法人事業者向けの場合、契約により合意された時点で請求しています。
工事料収入・契約事務手数料収入などの初期一括収入は繰延べ、最終顧客とのフレッツ光及び光コラボレーションモデルの見積平均契約期間にわたって収益として認識しています。
移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント
IP系・パケット通信サービスの利用に応じて進呈するポイントと引き換えに、顧客が商品購入時の支払いや通信料金への充当等が可能なポイントプログラムを提供しています。取引価格は、通信サービス及びポイントに対して、それぞれの独立販売価格の比率に基づいて配分されます。ポイントに配分された取引価格のうち、未使用部分については契約負債として「その他の流動負債」に計上し、その後のポイントの使用に従って収益として認識します。この独立販売価格の見積りには、ポイント失効の見込みやポイントの交換対象となる商品・サービスの価値などの判断を伴う仮定が含まれています。
④ 通信端末機器販売
移動通信事業セグメントにおいて、通信端末機器を販売代理店等へ販売しています。NTTグループは、販売代理店等へ端末機器を引渡した時点で収益を認識しています。また、販売代理店等への引渡時に、通信端末機器販売に係る収益から代理店手数料及び契約者に対するインセンティブの一部を控除した額を収益として認識しています。なお、販売代理店等が契約者へ端末機器を販売する際に12ヶ月もしくは24ヶ月の分割払いを選択可能としています。分割払いが選択された場合、契約者及び販売代理店等と締結した契約に基づき、NTTグループが契約者に代わって端末機器代金を販売代理店等に支払い、この立替えた端末機器代金については、分割払いの期間にわたり、月額基本使用料及び通信料収入に合わせて契約者に請求しています。端末機器の販売については、販売代理店等へ引渡した時点で収益として認識しているため、端末機器代金の立替え及び契約者からの資金回収は、NTTグループの収益に影響を与えません。
NTTグループは、移動通信事業セグメントにおける端末機器の販売において、36回分割支払い契約及び利用した端末機器の返品を条件に、最大12か月分の分割支払額について支払いを不要とするプログラムを提供しています。当該プログラムの利用によって支払いを受けられなくなると見込む額を端末機器の販売時に収益から減額し、返金負債として「その他の流動負債」、「その他の非流動負債」に計上しています。返金負債の見積りについては、プログラム加入者による当該プログラムの利用率や、商品の種類ごとに過去の経験等に基づいて算出した端末取替時期等を基礎数値として将来支払いを受けられないと見込む額を算定し、翌年度以降に重大な収益の戻入れが生じないように見積りを行っており、顧客による通信端末機器の返品割合や返品時期に関する見込みなどの仮定が含まれています。返金負債については、「注記3.13.その他の負債」に記載しています。また、NTTグループは、返金負債の決済時にプログラム加入者から端末機器を回収する権利を連結財政状態計算書において「その他の流動資産」、「その他の非流動資産」にそれぞれ含めて資産計上しています。当該資産は、帳簿価額から回収のための予想コスト(返品された商品の企業にとっての価値の潜在的な下落を含む)を控除した額で端末機器の販売時に測定しています。
⑤ システムインテグレーションサービス
地域通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメントにおいてシステム開発などの、長距離・国際通信事業セグメント及びデータ通信事業セグメントにおいて統合ITソリューションサービスなどのシステムインテグレーションサービスを、顧客に提供しており、工事の進捗に従って顧客に成果が移転するため、工事期間にわたり収益を認識しています。原価の発生が工事の進捗度に比例すると判断しているため、収益の認識には原価比例法を用いています。契約対価は通常、引渡時に請求します。
また、損失の発生が予測される場合の損失引当は、引渡時に見込まれる全ての収益及び費用の見積りに基づいて認識しています。これにより、給付が完了するまでの様々な段階で収益及び費用の合理的見積りが可能となります。認識された損失は、契約の進捗にしたがって見直すことがあり、その原因となる事実が判明した連結会計年度において計上されます。
⑥ その他のサービス
移動通信事業セグメントにおいて、動画・音楽・電子書籍等の配信サービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス、生活関連サービス、及びケータイ補償サービス等のサービスを提供しています。
地域通信事業セグメント及びその他の事業セグメントにおいて、不動産賃貸、建築物の保守、システム開発、金融、電力、研究開発等のサービスを提供しています。
NTTグループは、これらのサービスについて、引渡しが完了又はサービスが提供された時点で収益を認識しています。
(見積り及び見積りを伴う判断)
収益の認識に関して、上記の会計方針に記載のとおり見積りを行っています。また、契約コストから認識した資産の回収可能性について見積りを行っています。

(1)収益の分解
① 顧客との契約及びその他の源泉から認識した収益
(単位:百万円)

前連結会計年度
(2019年4月 1日から
2020年3月31日まで)
当連結会計年度
(2020年4月 1日から
2021年3月31日まで)
顧客との契約から認識した収益11,432,94411,505,488
その他の源泉から認識した収益466,471438,478
合計11,899,41511,943,966

その他の源泉から認識した収益は、IFRS第16号に基づく不動産賃貸収入やリース収入、IFRS第9号に基づく利息及び配当収益等やIFRS第4号に基づく保険料収入等です。
② 分解した収益とセグメント収益の関連
(単位:百万円)

主要な
サービス
前連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日)
セグメント
移動通信事業地域通信事業長距離・国際通信事業データ
通信事業
その他の事業合計
固定音声関連サービス-825,853173,570--999,423
移動音声関連サービス966,501----966,501
IP系・パケット通信サービス2,081,1501,121,520411,272-5,3423,619,284
通信端末機器販売607,57975,3808,859--691,818
システムインテグレーションサービス-152,2111,412,4212,131,13335,6333,731,398
その他のサービス※930,895208,50080,066-671,5301,890,991
合計4,586,1252,383,4642,086,1882,131,133712,50511,899,415
顧客との契約から認識した収益4,556,0462,257,2351,925,3982,131,133563,13211,432,944
その他の源泉から認識した収益30,079126,229160,790-149,373466,471

※ 前第2四半期連結会計期間より、一部の子会社が「長距離・国際通信事業」から「移動通信事業」へセグメント間を異動しています。これによる影響額は「注記2.1.セグメント情報」に記載しており、主に「その他のサービス」に含まれます。
(単位:百万円)

主要な
サービス
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)
セグメント
移動通信事業地域通信事業長距離・国際通信事業データ
通信事業
その他の事業合計
固定音声関連サービス-774,636160,676--935,312
移動音声関連サービス1,115,777----1,115,777
IP系・パケット通信サービス1,945,4141,129,539413,032--3,487,985
通信端末機器販売575,43969,23929,379--674,057
システムインテグレーションサービス-269,9671,296,8052,172,85661,9263,801,554
その他のサービス1,003,625259,88159,149-606,6261,929,281
合計4,640,2552,503,2621,959,0412,172,856668,55211,943,966
顧客との契約から認識した収益4,605,1152,364,1111,799,0852,172,856564,32111,505,488
その他の源泉から認識した収益35,140139,151159,956-104,231438,478

NTTグループにおいては、移動通信事業、地域通信事業、長距離・国際通信事業、データ通信事業、その他の事業の5つの事業セグメントにおいて、固定音声関連サービス、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス及びその他のサービスの6つのサービスを提供しています。詳細については、当注記の「会計方針」に記載しています。
(2)契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債に関する情報
(単位:百万円)

前連結会計年度末
(2020年3月31日)
当連結会計年度末
(2021年3月31日)
顧客との契約から生じた債権
(営業債権及びその他の債権)
2,078,7132,269,891
契約資産(その他の流動資産)96,523130,080
契約負債
(その他の流動負債及びその他の非流動負債)
818,395850,607

契約資産は主に、システムインテグレーションについて報告日時点で顧客の支配する資産を創出しているがまだ請求していない作業に係る対価に対するNTTグループの権利に関連するものです。契約資産は、支払いに対する権利が無条件になった時点で債権に振り替えられます。契約負債は主に、携帯電話やフレッツ光などの利用に伴って顧客に付与するポイントの未行使分、フレッツ光やドコモ光に係る初期工事料収入、新規契約事務手数料収入の繰延収益について、顧客から受け取った前受対価に関連するものです。
前連結会計年度及び当連結会計年度中に認識した収益のうち期首現在の契約負債残高に含まれていたものは、それぞれ330,948百万円及び341,469百万円です。
過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益の金額に重要性はありません。
(3)残存履行義務に配分した取引価格
(単位:百万円)
履行義務の種類前連結会計年度末
(2020年3月31日)
当連結会計年度末
(2021年3月31日)
予想される充足見込時期に関する説明
移動音声関連サービス及びIP系・パケット通信サービスにおける、工事料収入・契約事務手数料収入及びポイントプログラム等405,031386,256概ね16年以内に充足する見込です。
システムインテグレーションサービスにおける、統合ITソリューション及びシステム・ソフトウェア開発2,989,0193,118,669概ね4年以内に充足する見込です。
上記以外のもの(解約不能な賃貸契約における共益費、建設工事等)117,730123,151解約不能な賃貸契約における共益費は概ね20年、建設工事は概ね20年、その他は概ね12年以内に充足する見込です。

残存履行義務に関して、移動音声関連サービス及びIP系・パケット通信サービスにおける、工事料収入・契約事務手数料収入及びポイントプログラム等並びにシステムインテグレーションサービスについては、IFRS第15号第121項の実務上の便法を適用せず、予想期間が1年以内の契約に係る履行義務を含めています。なお、上記以外のものについては、実務上の便法を適用し、予想期間が1年以内の契約に係る履行義務を含めていません。
(4)顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
(単位:百万円)

前連結会計年度末
(2020年3月31日)
当連結会計年度末
(2021年3月31日)
契約獲得のためのコストから認識した資産276,914280,390
契約履行のためのコストから認識した資産60,46862,707
合計337,382343,097

NTTグループは、顧客との契約獲得のための増分コスト及び履行のためのコストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、連結財政状態計算書上は「その他の非流動資産」に計上しています。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。また、履行のためのコストは顧客に財又はサービスが移転する前に発生する契約を履行するためのものです。
NTTグループにおいて資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に顧客を獲得するために発生した販売代理店に対する手数料等であり、契約を獲得しなければ発生しなかった増分コストです。契約履行のためのコストは、主に新規契約時に発生する受付事務に係る直接人件費等であり、顧客に提供するサービスに直接関連するコストです。当該契約獲得のための増分コスト及び契約履行のためのコストを資産計上する際には、顧客(契約者)の解約率等を加味したうえで、回収が見込まれる金額のみを資産として認識しています。また、当該資産については、関連するサービスの見積平均契約期間に亘り償却しています。
また、契約コストから認識した資産については四半期ごとに回収可能性の検討を行っています。検討に当たっては、当該資産の帳簿価額が、解約率等を加味した関連するサービスが顧客に提供される契約期間に企業が受け取ると見込んでいる対価の残りの金額から、当該財又はサービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識されていないコストを差し引いた金額を超過しているかどうか判断を行っています。これらの見積り及び仮定は、前提とした状況が変化すれば、契約コストから認識した資産に関する減損損失を損益に認識することにより、契約コストから認識した資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があるため、NTTグループでは、当該見積りは重要なものであると判断しています。
契約コストから認識した資産から生じた前連結会計年度及び当連結会計年度における償却費は、それぞれ133,847百万円及び129,656百万円であり、減損損失は生じていません。