有価証券報告書-第31期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/21 11:48
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対処すべき課題

当社グループは、変化の激しいインターネットサービスにおいて、常にお客様に満足していただけるサービスを提供し続けるため、投資対効果の評価サイクルのスピードアップによるビジネス効率化を通じて、中長期的に成長性と収益性に富んだ強固な経営基盤づくりを進めてまいります。
当社グループは、ISP事業での収益基盤の強化を図っていくとともに、Webサービス事業を従来の情報提供型ポータルサービスからマーケットプレイス型への転換を図ることにより拡大してまいります。クラウド事業では「ニフティクラウド」の拡販を図るとともに、「ニフティクラウド」を基盤に当社とともにさまざまなソリューション展開に協力いただけるパートナー企業との協業を通じて事業を発展させてまいります。さらに、これらに加えて、強みである顧客基盤やサービス運営のノウハウを活かし、コンシューマー向け事業を展開している企業とのビジネス・アライアンスに力を入れるほか、グループ内のノウハウやリソースを相互に活用することで全体のシナジーを高め、グループ全体の企業価値の持続的な向上を図ってまいります。
当社グループは、中長期的目標の実現のため、引き続き以下の重要課題に取り組んでまいります。
(1) ISP事業の収益基盤の強化
ISP事業につきましては、安定的に収益を得るため、顧客基盤の改善と様々な価値提供に努めてまいります。
ブロードバンドサービスの主力であるFTTH接続サービスの成長が鈍化傾向にあり、ISP事業者間の獲得競争が激化する中で、当社FTTH接続会員について、NTT東日本、NTT西日本が提供するフレッツ光の卸サービスに対応した「@nifty光」への転用を進め、利益率の改善を図ることにより収益基盤を強化してまいります。一方、急拡大しているモバイルブロードバンド接続会員について、LTE高速データ通信・音声通話対応のMVNOサービス「NifMo」の拡販を積極的に推進し、会員数の増加を図ってまいります。また、コールセンターの運営費、データセンターの設備投資、回線費用等の効率化による徹底したコストダウンを追求することで、ISP事業の収益基盤の強化を図ってまいります。また、セキュリティ、アウトソーシング(小規模法人向けのインターネット利用支援サービス)、電話や訪問によるトラブル解決サポート、PCやタブレット機器のレンタル等の付加価値サービスにつきましては、サービスの充実による顧客満足度の向上と拡販を通じて事業を拡大してまいります。
(2) Webサービス事業のビジネス拡大
Webサービス事業につきましては、マーケットプレイス型事業モデルへの転換とスマートデバイス向けサービス開発に注力してまいります。
従来の情報提供型ポータルモデルからマーケットプレイス型事業モデルへの転換を加速してまいるとともに、スマートデバイスの急拡大に伴い、スマートデバイスに対応したサービスへのシフトを急速に進め、利用者が求めるサービスの提供に努めてまいります。また、主婦を対象にしたスーパーマーケットのチラシ情報を掲載する無料サービス「シュフモ」につきましては、外部サイトとの連携強化により会員数の拡大を図るほか、機能を拡張して情報閲覧中心のサービスからお買い物行動での接点を拡大してまいります。さらに、当社サービスとのシナジー効果が見込める企業への出資や提携を積極的に進めてまいります。
(3) クラウド事業のビジネス拡大
クラウド事業につきましては、注力事業として、積極的な事業拡大を進めてまいります。
パブリッククラウドコンピューティングサービスである「ニフティクラウド」につきましては、「高性能・高信頼」、「エンタープライズへの対応」、「パートナーシップ」という3つのコアバリューを活かして、さまざまな業種の企業に向けて拡販してまいります。さらに今後は、「ニフティクラウド」を基盤としてソリューション展開に協力いただけるパートナー企業とともに、さまざまなサービスや機能を提供することによりさらなる拡大を図ってまいります。また、小型の専用機器を宅内LANにつなぐだけでセキュアなネットワークを構築できる次世代ネットワークサービス「スマートサーブ」では、新たな使い方の提案を行い、積極的に拡販してまいります。
(4) 顧客視点の向上
接続サービスの会員からWebサービスの利用登録者まで、当社グループのあらゆるサービスの利用情報を基に、サポートやマーケティングのノウハウを活かした積極的コミュニケーションを行ってまいります。コールセンターにおきましても、顧客視点に立った改善に引き続き取り組んでまいります。
(5) パートナー連携強化による事業拡大
当社グループの強みである顧客資産やサービス運営のノウハウを活用して、パートナー企業と戦略的に連携し、新しいインターネットサービスを展開するビジネス・アライアンスに力を入れてまいります。また、グループ内事業シナジーを高め、当社グループ全体の事業拡大に努めてまいります。
(6) 優れた社内人材の育成
当社グループの最大の資源は人材であり、顧客満足度を高める魅力的なインターネットサービスの開発、提供を継続的に行っていくために、優れた感性、実行力、技術力と現場感覚を合わせ持った人材の育成と獲得を進めてまいります。特に、ビジネス・アライアンスをはじめとするプロジェクトの遂行においては、当社グループとパートナー企業の持つサービス、商材、顧客、営業力、技術力等をうまく組み合わせて、利用者にとって魅力あるサービスを企画、開発、運営することで、最良の結果を出せるような総合力を持った社員の養成に積極的に取り組んでまいります。また、社員がやりがいをもって生き生きと働き、その能力を最大限発揮できるよう、さまざまなワークスタイルでメリハリある働き方ができる環境作りに取り組んでまいります。
(7) 外部環境の認識
自社サービスの利便性向上や競争力強化のためには、業界動向や競合他社の戦略展開を迅速かつ的確に把握することが極めて重要です。このため、他社とのベンチマークを行うとともに、全ての社員が自社サービスの改善提案活動に積極的に取り組んでまいります。
(8) 先進的な技術やビジネスモデル開拓への取り組み
インターネットの関連技術やビジネスモデルは日々目覚ましい速度で進歩・変化しており、企業グループとして成長していくためには、常にこれらを先取りした事業展開を行っていくことが必要と考えております。
当社グループは、積極的な開発投資や他社との提携による先進的な技術の獲得に注力しております。また、特長ある技術やビジネスモデルを持つベンチャー企業に対しては、投資ファンド「投資事業有限責任組合GB-Ⅲ」などによる投資を通じて、当社グループとの事業シナジーを追求し、より良いサービスの提供、新しいビジネス機会の発掘、投資先企業の育成に注力してまいります。また、米国の投資ファンドを通じて、海外の有望なベンチャー企業への投資を行い、インターネット関連技術やビジネスモデルに関する情報収集に努めてまいります。
(9) 内部統制体制の強化
当社グループは、コーポレート・ガバナンスの一層の充実が経営の重要課題であることを認識し、経営の監督強化に努めてまいります。また、「NIFTY Way」および「ニフティグループ行動規範」の社員への一層の周知徹底を行ってまいります。
当社グループは、今後とも業務の適正を確保するために、金融商品取引法に基づく内部統制体制の整備・強化はもとより、業務プロセス改革、業務の可視化を進めるとともに、現場・現実を見据えて、経営の透明性、迅速性、公平性、健全性のさらなる強化を推進し、経営品質の向上に努めてまいります。
(10) CSRへの取り組み
当社グループは、お客様に、そして社会に受け入れられ、持続的に発展する良き企業グループとなることをめざしております。グループの企業及び社員による「NIFTY Way」の実践を徹底することにより、企業の社会的責任を果たしてまいります。
当社グループは、企業成長のためのさまざまな課題解決に取り組むとともに、社会の一員としての責務を果たすことにも努力を重ねております。次の時代を担う子どもたちに、今や重要な社会インフラとなったインターネットの利便性と危険性の両面を正しく伝えるため、地域の教育委員会と連携した小学校における情報モラル教育やWebサイトによる体験型教材の提供を行うとともに、小中学生の保護者に対し、子どもがインターネットを介したトラブルの被害者、加害者のいずれにもならないようにするため、家庭での取り組みについて啓発活動を行ってまいります。
(11) 危機管理への取り組み
近年、インターネット利用のすそ野の広がりに呼応して被害が拡大しているコンピューターウイルス・フィッシング詐欺・スパイウェア、また国際情勢の不安定化によって脅威が高まっていると言われるサイバーテロ等への対策強化はインターネットサービス事業者にとって重要な課題であります。また、「個人情報の保護に関する法律」により、 個人情報の管理に関して厳重な対応が求められております。
当社グループは、ウイルスからサイバーテロまで様々な脅威を考慮したデータセンター設備を構築するとともに、サービス提供機器のセキュリティ対策や監視強化について継続的な投資を行っております。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)等の第三者評価認証制度による認証の取得等、外部の客観的なチェック機構も積極的に活用しております。
危機発生時の総合的な対応を検討・実行する社内マネジメント体制としては、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しております。また、執行役員会が設置する委員会が、情報セキュリティ・情報資産等の運用に関するポリシーや施策方針の決定・実施、並びに、顧客サービスの品質向上に関するポリシーや施策方針の決定・実施を行い、定期的な活動を通じてリスクの軽減に取り組んでおります。
更に、情報通信業界における情報セキュリティ対策の充実を目的に設立された「Telecom-ISAC Japan」に加入し、第三者機関との連携によるセキュリティ情報のいち早い入手と対処を実施しております。今後も新たなリスク要因の発生に備え、これらの取り組みを継続してまいります。
(12) 環境保全への取り組み
近年、企業の社会的責任として、地球環境の保全や改善に向けた取り組みが求められております。
当社グループは、森林間伐活動、エコキャップ運動への参加、さらには富士通グループの一員として国際環境規格ISO14001に基づく環境活動を推進するとともに、インターネットを通じたさまざまな環境保護活動の紹介、支援等にも取り組んでまいります。
(13) 事業継続への取り組み
当社グループは、省エネの徹底、サービス提供拠点および接続機能の分散、柔軟な勤務体制の整備など、さまざまな対策を進めてまいります。また、地震、風水害などのさまざまな災害を想定し、策定している事業継続計画を早期に整備し、お客様が安全安心にインターネットサービスの利用を継続出来るようにしてまいります。