有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 11:12
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電力の小売全面自由化から3年が経過し、来年4月までに送配電部門の法的分離への対応が必要になるなど、電気事業はまさに変革期にある。
当社グループにおいては、業務全般にわたる経営効率化に努めているものの、抜本的な経営基盤の回復・経営の安定化に不可欠な原子力発電所の稼働は依然見通しが立っておらず、競合他社との競争が激化する中、これまで以上に厳しい状況が続いている。
このような中、当社グループとしては、「信頼。創造。成長。」の企業理念のもと、コンプライアンス最優先の業務運営を基本としながら、中国電力グループ経営ビジョンの実現に向けて、以下の諸課題に取り組んでいく。


(1) 電力の小売全面自由化への対応及び新たな収益基盤の確立
電力の小売全面自由化を受け、中国地域においても大手電力会社を含めた多数の小売事業者が参入する中、当社では、新料金メニュー「ぐっとずっと。プラン」、会員制WEBサイト「ぐっとずっと。クラブ」を展開し、2019年4月1日時点で、新料金メニューが113万口、WEB会員が95万口に到達するなど、多くのお客さまから確かな評価をいただいている。
2019年度からは、当社がお届けするサービスを「ぐっとずっと。Eサービス」と総称するとともに、お客さまのニーズやライフスタイルに合わせたコミュニケーションを実施していくため、新たに「LINE」を活用するなど、それぞれのチャネル特性に合わせたサービスを展開していく。
このほかにも、家庭から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し、付加価値の高いサービスを提供していくことなどで、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指していく。
加えて、新たな収益基盤を確立するため、以下のような取り組みを進めている。
中国地域外では、首都圏での電気の販売において様々なサービスを展開することによりさらなる収益拡大を目指していくとともに、その他の地域についても事業拡大を積極的に進めていく。また、2017年4月にJFEスチール株式会社と共同で設立した千葉パワー株式会社で計画していた石炭火力発電所開発の検討は中止したが、引き続き天然ガス火力発電所開発の事業実現性検討を行っている。
海外では、マレーシア石炭火力発電事業が本年の営業運転開始に向けて概ね計画どおりに進捗している。また、昨年5月に米国天然ガス火力発電事業、本年3月にインドネシア水力発電事業に出資参画し、加えて本年4月には台湾洋上風力発電事業の株式売買契約を締結した。引き続き、新たな海外投資案件の発掘・具体化により、収益力強化に取り組んでいく。
さらに、本年4月に設置した新組織「エネルギア創造ラボ」により、事業環境の変化に対応し、既成概念にとらわれない新たな発想で、既存ビジネスの革新や新ビジネスの創出を推進していく。
今後も収益性及びリスクを見極め、時機を逸することなく、当社グループの強みが活かせる成長事業の育成・拡大に取り組んでいく。
(2) 島根原子力発電所の再稼働・運転開始に向けた取り組み
島根原子力発電所においては、新規制基準への適合はもちろんのこと、さらなる安全性を不断に追求し、みなさまに安心していただける原子力発電所を目指していく。
具体的には、緊急時対策所や航空機衝突その他のテロ行為による重大事故等に対処するための特定重大事故等対処施設の設置など、設備面の安全対策に取り組んでいく。また、社員の危機管理に対する意識を高め、緊急時の対応能力を維持・向上させる訓練・教育などを引き続き実施していく。
島根2号機については、原子力規制委員会における新規制基準への適合性審査が進められており、地震・津波関係の審査が概ね終了し、本年2月から設備関係の審査が再開された。再稼働に向けて着実に前進しているものと受け止めており、今後も総力をあげて対応していく。また、島根3号機については、昨年8月に原子力規制委員会へ適合性審査を申請し、同年9月に初回の審査会合が開催された。
引き続き、地域のみなさまのご理解をいただきながら、早期の再稼働・運転開始に向け、最大限取り組んでいく。
(3) 徹底した経営効率化の取り組み
島根原子力発電所の運転停止が長期化している中においても、収支の改善・財務体質の悪化抑制を図り、競争力を強化していくため、引き続き徹底した経営効率化に取り組んでいく。
具体的には、競争発注の拡大などによる請負・資機材等の調達コストの低減、燃料費の削減に取り組んでいる。また、RPAを使用した電算機入力業務の自動化やタブレット端末による事業所と作業現場間のリアルタイムな映像情報の共有などのIT技術の活用に加え、既存の概念にとらわれない新しい視点からの「業務リノベーション」に挑戦し、生産性の向上に努めている。今後も事業環境の変化を見据え、恒常的なコストの削減につながるよう、業務の進め方の抜本的な見直しに取り組んでいく。
(注)RPA=Robotic Process Automationの略。パソコン等の中で動作するソフトウェアロボットを利用して人間の定型作業を代行・自動化する概念。
(4) 安定供給確保に向けた取り組み
当社グループは、電源の競争力強化を図りつつ、将来にわたり、低廉で高品質な電気を安定的に供給するという当社の変わらぬ使命を果たすため、中長期的な展望に立った設備の形成・信頼度維持などに取り組んでいく。
資源の乏しいわが国においては、特定のエネルギー源に過度に依存することなく各種電源の特徴を活かしながらバランスよく活用していくことが必要である。とりわけ、重要なベースロード電源である原子力発電については、温室効果ガスの削減を継続的に進めていくためにも、一定比率維持していく必要がある。
当社としても、より一層安全性に優れた新規原子力発電所の開発を計画的に進めていくことが重要であると考えている。島根1号機の廃止を考慮すると、島根3号機の早期運転開始はもとより、新規原子力である上関原子力発電所の開発はこれまで以上に重要な経営課題であり、早期に着手できるよう、引き続き取り組んでいく。
また、経年化が進む既設火力発電所の代替として、最新鋭の発電技術を採用することによりCO₂排出削減にも配慮した三隅発電所2号機について、昨年11月に本体工事を開始した。周辺環境の保全に万全を期すとともに、地域のみなさまのご理解をいただきながら、営業運転開始に向け、着実に工事を進めていく。
さらに、トラブルの未然防止や災害への備えとして、設備の計画的かつ確実な点検・補修、更新工事など将来にわたる電力の安定供給確保に取り組むとともに、業務品質の維持・向上に向け、実践的な訓練や点検作業を通じ、グループの保有する技術・技能の向上と着実な継承に努めていく。
昨年7月に発生した豪雨災害においては、多数の当社電力設備に被害が発生した。当社は、これまでに得た教訓を活かし、今後大規模災害が発生した際に迅速・適切な対応を図ることができるよう、情報収集・情報発信体制の構築や自治体等とのさらなる連携など、今後も取り組みを実施していく。
(5) 地球温暖化問題への取り組み
地球温暖化問題については、パリ協定に基づき各国で取り組みを進めているところであり、当社グループにとっても重要な課題である。
当社を含む電気事業者は、電気事業全体のCO₂排出抑制目標を掲げ、低炭素社会の実現に向けて取り組んでいる。
当社グループとしては、安全確保を大前提とした原子力発電の活用や他事業者との共同出資によるバイオマス発電事業などの再生可能エネルギーの導入拡大、「大崎クールジェンプロジェクト」による高効率石炭火力発電とCO₂分離・回収技術の開発などに努めていくことにより、温室効果ガスの削減に引き続き取り組んでいく。
送配電部門の法的分離については、本年4月に分割準備会社「中国電力ネットワーク株式会社」を設立し、安定供給や効率性を阻害することなく円滑に移行できるよう、着実に準備を進めている。このように、経営環境が大きく変化する中においても、当社グループは、引き続き、「地域で選ばれ、地域をこえて成長する企業グループ」を目指して取り組んでいく。

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