有価証券報告書-第149期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は1920年に、東京都新宿区新宿に於いて映画館「武蔵野館」を開館させて以来、社会に映画を中心とした健全な娯楽を提供することを主要な事業目的・経営の基本方針とし、その後、長期にわたり映画興行事業を中心とした事業展開を行ってまいりました。しかしながら、娯楽の形態も時代の変遷とともに多様な変化を遂げるなか、当社も映画興行事業を会社の主力事業と認識し経営の軸に据えながらも、不動産賃貸事業やフィットネスクラブ運営等のスポーツ・レジャー事業(現在営業中止中)、また連結子会社で展開する自動車教習事業など、複合的な事業展開によって、グループ全体の安定的な経営基盤を構築維持してまいりました。
2020年6月には「武蔵野館」開館100周年を迎え、今後も、新型コロナウイルス感染症拡大等の経営環境の変化に柔軟に対応していくことのできる経営体質の確立をひとつの目標としながら、複合的な事業からなる経営基盤を安定的に構築維持していくことを礎とし、創業の地・新宿において、映画興行のみならず映画配給も手掛ける包括的な映画事業を長期安定的に手掛ける会社として、健全かつ快適で安全な娯楽空間を提供し、より多くの方々に映画を楽しんでいただくことが、創業以来の会社の経営の基本方針と考えております。
(2)当社グループを取り巻く経営環境
当連結会計年度末における当社グループの経営環境につきましては、当社グループの不動産事業においては、間接的に国内外経済等の影響下にはあるものの、主軸である不動産賃貸事業は、主要な賃貸物件は東京都新宿区や東京都目黒区、また埼玉県さいたま市大宮区等、首都圏の利便性の高い場所に所在しており、比較的安定した顧客の確保を維持しておりますが、一方で建物の老朽化も進んでおり、今後は設備の維持に係るコストも懸念されます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、入居テナントの経営状態に与える影響を的確に把握し、以前にも増して関連業者や顧客との関係性に気を配り、入居テナントの退出や賃料の減少等のリスクに備えるため、今まで以上に入居テナントの動向や不動産市況等の経営環境に細心の注意を払いながらプロパティ・マネジメントを行っていく必要があるものと考えております。
自動車教習事業は、少子化による運転免許取得資格者の減少や若年層の自動車運転免許離れといった需要が厳しくなる経営環境の中での近隣の自動車教習所との競合に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により新規教習生の獲得が難しくなる中、同感染症の予防対策をしっかりと行ったうえ安全性に配慮した実績を積み上げることで、地域との信頼関係を築き、また、きめ細かい送迎ルートの提供等、サービス面での充実を心がけながら競合する近隣の同業他社との差別化をはかることで、自動車運転免許の取得需要の掘り起こしに注力してまいります。
そして、当社の主力事業である映画事業を取り巻く経営環境につきましては、2019年においては、シネコンを中心に邦画、洋画ともにヒット作が多く、業界全体として歴代最高の映画興行収入を記録したものの、ミニシアター向けの作品に限ると、ヒット作と呼べるような興行収入を記録した作品は少なく、ミニシアター系劇場の収益は全体的にほぼ横ばいとなりました。ミニシアターは、上映回数や上映期間、劇場のキャパシティ等、上映環境は限定されており、さらには、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により予定していた作品の上映機会喪失や上映回数の減少、座席の隔席販売やインターネット販売の制限といった入場者数の制約も重なり、厳しい経営環境にあります。当社におきましても、シネコンのラインナップとは一線を画したミニシアターならではの作品の魅力を認知していただくため、新型コロナウイルス感染症の予防に努めながら、上映ニーズの高い旧作等の企画上映や劇場内におけるディスプレイ等でのPRに加え、お客様のニーズを的確に反映した番組編成を行い、SNS等を活用した口コミによる情報の広がりにも注意を払うなど、その経営環境に対し臨機応変に対応してまいりますが、現状の経営環境の中で事業を継続していくには、さらなる経費節減や映画関連グッズ販売・売店売上等の充実など、経営環境の変化に応じた事業構造の見直しが必要と考えており、引き続き事業の継続に向けて、経営戦略の見直しを行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、具体的な目標とする中長期的な経営指標を設定しておりませんが、将来の復配を視野に、営業利益の積み上げによる安定的な内部留保の充実を実現することをひとつの目標としております。なお、2021年3月期(連結)の業績見込につきましては、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、当面は、お客様、従業員、関係者の安全に重点を置きながら、事業を継続し収益を確保していくことが現状の課題であると考えているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が今後の当社の事業に及ぼす影響を見極めるには、現時点における同感染症拡大の影響も踏まえ、しばらくの時間が必要と考えていることから、現時点で未定とさせていただいております。加えて、今後の経営環境を踏まえると、基幹事業の営業利益による内部留保の積み上げには今しばらくの時間を要するものと考えております。そのため今後も、経営基盤の安定化を目指すため、特に映画事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による経営環境の変化への対応を念頭に、人件費等の経費節減を行うと同時に、将来のセグメント利益の確保に向けて、映画興行のみならず映画配給も手掛けることで事業コンテンツの多様化・バランスをはかり収益力の向上を目指すなど、引き続き、将来の復配を目標とした前向きな経営施策を講じてまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略
中長期的な会社の経営戦略として、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の大きな変化の中、殊にミニシアター経営に係る映画事業を取り巻く経営環境も、販売座席数の制限等もあり入場者数が減少するなど厳しさを増している中で、主軸である映画事業を今後も継続して行くため、映画興行に加え映画配給も手掛ける総合的な映画事業会社として事業構造の見直しを行っていくとともに、映画事業以外でも当社グループの事業資産のポテンシャルをしっかりと引き出し、有効活用していくことが重要であると考えております。
当社は「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としており、その役割を現在担っているのが映画事業であると考えております。しかしながら、映画事業は個人消費の動向や上映作品の持つ集客力、流行、また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大により入場者数の減少を余儀なくされるなど、事業の脆弱な側面をあらためて認識したこともあり、経営環境の変化に影響を受けやすく、主力事業として企業イメージに対する数字に表れない貢献はあるものの、収益面で常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難い側面があることも否めません。当社の映画館が所在する東京都新宿区におきましても、多くのシネコンが開設されている現状では、当社のようなミニシアターでは上映作品の選定においても厳しい環境にあるといえます。さらに新型コロナウイルス感染症拡大が社会全体に影響を及ぼす経営環境の中にあって、ミニシアターの存在価値をより高めるために、劇場のカラーに見合った作品を自ら選別し発信していく力が必要があると考え、番組編成の強化に加えて、映画の自社買付配給にも力を入れてまいります。当社は映画興行と映画配給は車の両輪であると認識しており、映画配給に関するノウハウを蓄積し、包括的に映画事業を手がける会社として映画事業のポートフォリオ化をはかり経営戦略を練り直してまいります。
また、収益的に不確実性が伴う映画事業を継続的に運営していくには、会社の経営基盤の安定が不可欠であり、そのためには、不動産賃貸事業を中心とした不動産事業や自動車教習事業において確実に収益を上げていくことが重要であります。従いまして、映画事業に加えて不動産事業や自動車教習事業も含めたグループ全体の事業資産をより有効に活用し、また今まで以上にコスト削減を徹底することで、確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続していくことが経営戦略として重要であると考えております。今後も当社では、主要な事業目的である映画事業を主軸とした「社会に健全な娯楽を提供すること」を安定的に継続していくために、さらなる経営基盤の充実を心がけてまいります。
(5)会社が対処すべき課題
主力事業である映画事業をはじめ、基幹事業による営業利益を長期継続的に確保し、復配を実現することが当社グループの課題であります。当連結会計年度におきましては、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことに加え、年度末の新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、映画事業をはじめとした基幹事業の収益による安定的な内部留保の積み上げには、時間を要するものと考えております。
そのため今後も、新型コロナウィルス感染症が事業に与える影響を把握し、経費の節減や資金の確保に充分に配慮しながら、あらためて、営業利益による自己資本の充実と将来の利益配分に向けて、映画の自社買付配給等、映画に関連した新たなビジネス・コンテンツの開発も継続して行うことで映画事業の収益力改善を目指すとともに、不動産事業、自動車教習事業のより一層の安定化を進め、グループの収益力の強化と復配に向け、経営の全力を傾注してまいります。
具体的には、映画事業におきましては、新型コロナウィルス感染症対策として、従業員の検温やマスクの着用、隔席でのチケット販売や、換気、三密を回避した各種安全対策を行ったうえで、映画館の安全な運営を心掛けてまいります。また、「シネマカリテ」における映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクションⓇ(通称『カリコレⓇ』)」の2020年度の開催は、新型コロナウィルス感染症拡大を受けて中止いたしましたが、2020年6月に「武蔵野館」が100周年を迎えるにあたっての記念上映・記念企画につきましては、開催を延期し、然るべき時期での開催に向けて新たなプランを検討してまいります。それとともに、お客様のニーズを把握するために業界の情報・動向を把握し、当社が所有する東京都新宿地区5スクリーンの連携により、良作・話題作に富んだ魅力的な番組編成を行い、さらには付帯する映画関連グッズの販売もインターネットを活用した販売方法の見直しを行い、業績の回復を目指してまいります。また、映画の自社買付配給につきましては、当連結会計年度は香港映画『淪落の人』を公開し好評を博しました。今後も映画の規模や品質、収益性等のバランスを考慮し、より良い映画を買い付け配給していくことで映画興行との相乗効果をはかってまいります。
不動産事業におきましては不動産賃貸事業が主軸でありますが、今後は、主要テナントビルの老朽化等による大規模修繕・減価償却費の増加もより顕著になってくることに加え、新型コロナウィルス感染症拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、殊に入居テナントの経営状態等を従来以上に的確に把握し、細心の注意を払いながら、安定的な賃貸収入を確保していく必要があると認識しております。そのため、以前にも増して関連業者や顧客との連絡を密にし、経済環境や社会動向、またテナントビルの大規模修繕等に係る資金繰りにも気を配りながらプロパティ・マネジメントを行っていくことで、引き続き安定した収益の確保をはかってまいります。
自動車教習事業におきましては、新型コロナウィルス感染症の影響による教習生の減少に加え、少子化や若年層の運転免許離れ、また近隣の自動車教習所との競合といった厳しい経営環境が今後の業績に影響を及ぼすものと認識しております。そのような経営環境の中、普通自動車運転免許以外にも、準中型自動車や大型自動車、大型特殊自動車、大型二輪、さらには高齢者教習など、多様な教習メニューを受けられるコンテンツを充実させ、きめ細かな送迎ルートによる通い易い自動車教習所を目指し、また、映画事業と同様に新型コロナウィルス感染症予防対策にも気を配りながら、収益の確保に努めてまいります。
商事事業におきましては、東京都目黒区にて経営委託している飲食店「ピーターラビット ガーデンカフェ」の営業成績が収益の中心となっておりますが、新型コロナウィルス感染症拡大により、営業時間の縮小や来店者減少等、飲食店経営が大きな影響を受ける中、今後も経営委託先と連携を密に、店舗運営のみならずキャラクターグッズ販売等による収益源の強化をはかり、同感染症予防対策を確実に行い、経営環境の変化に対応できる経営体制を構築してまいります。
以上のように、各事業部門において経営環境に留意しながら諸施策を実施することにより、対処すべき課題の解消に向けて、全社挙げて全力で取り組んでまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は1920年に、東京都新宿区新宿に於いて映画館「武蔵野館」を開館させて以来、社会に映画を中心とした健全な娯楽を提供することを主要な事業目的・経営の基本方針とし、その後、長期にわたり映画興行事業を中心とした事業展開を行ってまいりました。しかしながら、娯楽の形態も時代の変遷とともに多様な変化を遂げるなか、当社も映画興行事業を会社の主力事業と認識し経営の軸に据えながらも、不動産賃貸事業やフィットネスクラブ運営等のスポーツ・レジャー事業(現在営業中止中)、また連結子会社で展開する自動車教習事業など、複合的な事業展開によって、グループ全体の安定的な経営基盤を構築維持してまいりました。
2020年6月には「武蔵野館」開館100周年を迎え、今後も、新型コロナウイルス感染症拡大等の経営環境の変化に柔軟に対応していくことのできる経営体質の確立をひとつの目標としながら、複合的な事業からなる経営基盤を安定的に構築維持していくことを礎とし、創業の地・新宿において、映画興行のみならず映画配給も手掛ける包括的な映画事業を長期安定的に手掛ける会社として、健全かつ快適で安全な娯楽空間を提供し、より多くの方々に映画を楽しんでいただくことが、創業以来の会社の経営の基本方針と考えております。
(2)当社グループを取り巻く経営環境
当連結会計年度末における当社グループの経営環境につきましては、当社グループの不動産事業においては、間接的に国内外経済等の影響下にはあるものの、主軸である不動産賃貸事業は、主要な賃貸物件は東京都新宿区や東京都目黒区、また埼玉県さいたま市大宮区等、首都圏の利便性の高い場所に所在しており、比較的安定した顧客の確保を維持しておりますが、一方で建物の老朽化も進んでおり、今後は設備の維持に係るコストも懸念されます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、入居テナントの経営状態に与える影響を的確に把握し、以前にも増して関連業者や顧客との関係性に気を配り、入居テナントの退出や賃料の減少等のリスクに備えるため、今まで以上に入居テナントの動向や不動産市況等の経営環境に細心の注意を払いながらプロパティ・マネジメントを行っていく必要があるものと考えております。
自動車教習事業は、少子化による運転免許取得資格者の減少や若年層の自動車運転免許離れといった需要が厳しくなる経営環境の中での近隣の自動車教習所との競合に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により新規教習生の獲得が難しくなる中、同感染症の予防対策をしっかりと行ったうえ安全性に配慮した実績を積み上げることで、地域との信頼関係を築き、また、きめ細かい送迎ルートの提供等、サービス面での充実を心がけながら競合する近隣の同業他社との差別化をはかることで、自動車運転免許の取得需要の掘り起こしに注力してまいります。
そして、当社の主力事業である映画事業を取り巻く経営環境につきましては、2019年においては、シネコンを中心に邦画、洋画ともにヒット作が多く、業界全体として歴代最高の映画興行収入を記録したものの、ミニシアター向けの作品に限ると、ヒット作と呼べるような興行収入を記録した作品は少なく、ミニシアター系劇場の収益は全体的にほぼ横ばいとなりました。ミニシアターは、上映回数や上映期間、劇場のキャパシティ等、上映環境は限定されており、さらには、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により予定していた作品の上映機会喪失や上映回数の減少、座席の隔席販売やインターネット販売の制限といった入場者数の制約も重なり、厳しい経営環境にあります。当社におきましても、シネコンのラインナップとは一線を画したミニシアターならではの作品の魅力を認知していただくため、新型コロナウイルス感染症の予防に努めながら、上映ニーズの高い旧作等の企画上映や劇場内におけるディスプレイ等でのPRに加え、お客様のニーズを的確に反映した番組編成を行い、SNS等を活用した口コミによる情報の広がりにも注意を払うなど、その経営環境に対し臨機応変に対応してまいりますが、現状の経営環境の中で事業を継続していくには、さらなる経費節減や映画関連グッズ販売・売店売上等の充実など、経営環境の変化に応じた事業構造の見直しが必要と考えており、引き続き事業の継続に向けて、経営戦略の見直しを行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、具体的な目標とする中長期的な経営指標を設定しておりませんが、将来の復配を視野に、営業利益の積み上げによる安定的な内部留保の充実を実現することをひとつの目標としております。なお、2021年3月期(連結)の業績見込につきましては、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、当面は、お客様、従業員、関係者の安全に重点を置きながら、事業を継続し収益を確保していくことが現状の課題であると考えているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が今後の当社の事業に及ぼす影響を見極めるには、現時点における同感染症拡大の影響も踏まえ、しばらくの時間が必要と考えていることから、現時点で未定とさせていただいております。加えて、今後の経営環境を踏まえると、基幹事業の営業利益による内部留保の積み上げには今しばらくの時間を要するものと考えております。そのため今後も、経営基盤の安定化を目指すため、特に映画事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による経営環境の変化への対応を念頭に、人件費等の経費節減を行うと同時に、将来のセグメント利益の確保に向けて、映画興行のみならず映画配給も手掛けることで事業コンテンツの多様化・バランスをはかり収益力の向上を目指すなど、引き続き、将来の復配を目標とした前向きな経営施策を講じてまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略
中長期的な会社の経営戦略として、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の大きな変化の中、殊にミニシアター経営に係る映画事業を取り巻く経営環境も、販売座席数の制限等もあり入場者数が減少するなど厳しさを増している中で、主軸である映画事業を今後も継続して行くため、映画興行に加え映画配給も手掛ける総合的な映画事業会社として事業構造の見直しを行っていくとともに、映画事業以外でも当社グループの事業資産のポテンシャルをしっかりと引き出し、有効活用していくことが重要であると考えております。
当社は「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としており、その役割を現在担っているのが映画事業であると考えております。しかしながら、映画事業は個人消費の動向や上映作品の持つ集客力、流行、また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大により入場者数の減少を余儀なくされるなど、事業の脆弱な側面をあらためて認識したこともあり、経営環境の変化に影響を受けやすく、主力事業として企業イメージに対する数字に表れない貢献はあるものの、収益面で常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難い側面があることも否めません。当社の映画館が所在する東京都新宿区におきましても、多くのシネコンが開設されている現状では、当社のようなミニシアターでは上映作品の選定においても厳しい環境にあるといえます。さらに新型コロナウイルス感染症拡大が社会全体に影響を及ぼす経営環境の中にあって、ミニシアターの存在価値をより高めるために、劇場のカラーに見合った作品を自ら選別し発信していく力が必要があると考え、番組編成の強化に加えて、映画の自社買付配給にも力を入れてまいります。当社は映画興行と映画配給は車の両輪であると認識しており、映画配給に関するノウハウを蓄積し、包括的に映画事業を手がける会社として映画事業のポートフォリオ化をはかり経営戦略を練り直してまいります。
また、収益的に不確実性が伴う映画事業を継続的に運営していくには、会社の経営基盤の安定が不可欠であり、そのためには、不動産賃貸事業を中心とした不動産事業や自動車教習事業において確実に収益を上げていくことが重要であります。従いまして、映画事業に加えて不動産事業や自動車教習事業も含めたグループ全体の事業資産をより有効に活用し、また今まで以上にコスト削減を徹底することで、確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続していくことが経営戦略として重要であると考えております。今後も当社では、主要な事業目的である映画事業を主軸とした「社会に健全な娯楽を提供すること」を安定的に継続していくために、さらなる経営基盤の充実を心がけてまいります。
(5)会社が対処すべき課題
主力事業である映画事業をはじめ、基幹事業による営業利益を長期継続的に確保し、復配を実現することが当社グループの課題であります。当連結会計年度におきましては、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことに加え、年度末の新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、映画事業をはじめとした基幹事業の収益による安定的な内部留保の積み上げには、時間を要するものと考えております。
そのため今後も、新型コロナウィルス感染症が事業に与える影響を把握し、経費の節減や資金の確保に充分に配慮しながら、あらためて、営業利益による自己資本の充実と将来の利益配分に向けて、映画の自社買付配給等、映画に関連した新たなビジネス・コンテンツの開発も継続して行うことで映画事業の収益力改善を目指すとともに、不動産事業、自動車教習事業のより一層の安定化を進め、グループの収益力の強化と復配に向け、経営の全力を傾注してまいります。
具体的には、映画事業におきましては、新型コロナウィルス感染症対策として、従業員の検温やマスクの着用、隔席でのチケット販売や、換気、三密を回避した各種安全対策を行ったうえで、映画館の安全な運営を心掛けてまいります。また、「シネマカリテ」における映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクションⓇ(通称『カリコレⓇ』)」の2020年度の開催は、新型コロナウィルス感染症拡大を受けて中止いたしましたが、2020年6月に「武蔵野館」が100周年を迎えるにあたっての記念上映・記念企画につきましては、開催を延期し、然るべき時期での開催に向けて新たなプランを検討してまいります。それとともに、お客様のニーズを把握するために業界の情報・動向を把握し、当社が所有する東京都新宿地区5スクリーンの連携により、良作・話題作に富んだ魅力的な番組編成を行い、さらには付帯する映画関連グッズの販売もインターネットを活用した販売方法の見直しを行い、業績の回復を目指してまいります。また、映画の自社買付配給につきましては、当連結会計年度は香港映画『淪落の人』を公開し好評を博しました。今後も映画の規模や品質、収益性等のバランスを考慮し、より良い映画を買い付け配給していくことで映画興行との相乗効果をはかってまいります。
不動産事業におきましては不動産賃貸事業が主軸でありますが、今後は、主要テナントビルの老朽化等による大規模修繕・減価償却費の増加もより顕著になってくることに加え、新型コロナウィルス感染症拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、殊に入居テナントの経営状態等を従来以上に的確に把握し、細心の注意を払いながら、安定的な賃貸収入を確保していく必要があると認識しております。そのため、以前にも増して関連業者や顧客との連絡を密にし、経済環境や社会動向、またテナントビルの大規模修繕等に係る資金繰りにも気を配りながらプロパティ・マネジメントを行っていくことで、引き続き安定した収益の確保をはかってまいります。
自動車教習事業におきましては、新型コロナウィルス感染症の影響による教習生の減少に加え、少子化や若年層の運転免許離れ、また近隣の自動車教習所との競合といった厳しい経営環境が今後の業績に影響を及ぼすものと認識しております。そのような経営環境の中、普通自動車運転免許以外にも、準中型自動車や大型自動車、大型特殊自動車、大型二輪、さらには高齢者教習など、多様な教習メニューを受けられるコンテンツを充実させ、きめ細かな送迎ルートによる通い易い自動車教習所を目指し、また、映画事業と同様に新型コロナウィルス感染症予防対策にも気を配りながら、収益の確保に努めてまいります。
商事事業におきましては、東京都目黒区にて経営委託している飲食店「ピーターラビット ガーデンカフェ」の営業成績が収益の中心となっておりますが、新型コロナウィルス感染症拡大により、営業時間の縮小や来店者減少等、飲食店経営が大きな影響を受ける中、今後も経営委託先と連携を密に、店舗運営のみならずキャラクターグッズ販売等による収益源の強化をはかり、同感染症予防対策を確実に行い、経営環境の変化に対応できる経営体制を構築してまいります。
以上のように、各事業部門において経営環境に留意しながら諸施策を実施することにより、対処すべき課題の解消に向けて、全社挙げて全力で取り組んでまいります。