有価証券報告書-第175期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 14:06
【資料】
PDFをみる
【項目】
147項目
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。当社グループが他の企業の議決権の過半数を所有している場合には、原則として支配していると判断し、子会社に含めております。また、当社グループが保有する議決権が過半数未満の場合であっても、当社グループが他の企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、企業に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当該企業を支配していると判断し、子会社に含めております。
子会社の財務諸表については、支配獲得日から支配喪失日までの期間を連結財務諸表に含めております。子会社が適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、当社グループの会計方針と整合させるため、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。
支配が継続する子会社に対する当社グループの持分変動については資本取引として会計処理し、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、当社の株主に帰属する持分として資本に直接認識しております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は損益で認識しております。
② 関連会社及びジョイント・ベンチャー
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業であります。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を所有する場合には、原則として関連会社に含めております。
当社グループが保有する議決権が20%未満の場合であっても、役員の派遣等により、重要な影響力が認められると判断される場合には、関連会社に含めております。
ジョイント・ベンチャーとは、当社グループを含む複数の当事者が取決めに対する契約上合意された支配を共有し、関連性のある活動に関する意思決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要としており、かつ、当社グループが当該取決めの純資産に対する権利を有している企業をいいます。
関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資は、持分法を適用して会計処理しております。関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資は、持分法適用後の帳簿価額から減損損失累計額を控除した額をもって計上しており、帳簿価額には取得時に認識したのれんが含まれております。
連結財務諸表は、重要な影響力又は共同支配の獲得日から喪失日までの関連会社及びジョイント・ベンチャーの損益及びその他の包括利益の変動に対する当社グループの持分を含んでおります。関連会社及びジョイント・ベンチャーが適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、当社グループの会計方針と整合させるため、必要に応じて当該持分法適用会社の財務諸表に調整を加えております。
関連会社又はジョイント・ベンチャーに対する重要な影響力を喪失し、持分法の適用を中止する場合は、売却持分に係る売却損益を損益として認識するとともに、残存している持分について公正価値で再測定し、当該評価差額をその期の損益として認識しております。
③ 連結上消去される取引
連結グループ内の債権債務残高及び取引高、並びに連結グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。関連会社及びジョイント・ベンチャーとの取引から発生した未実現損益は、被投資企業に対する当社持分を上限として投資から加減算しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定され、該当する場合は条件付対価を取得対価に含めております。
取得日において識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日における公正価値で認識しております。
① 繰延税金資産(又は繰延税金負債)及び従業員給付契約に関連する負債(又は資産)は、それぞれIAS第12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しております。
② IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って測定しております。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を上回る場合はのれんとして計上し、下回る場合には、直ちに損益として認識しております。
企業結合の当初の会計処理が企業結合が生じた決算日までに完了していない場合、当該完了していない項目については最善の見積りに基づく暫定的な金額で測定しております。取得日から1年以内の測定期間に入手した新たな情報が、取得日時点で認識された金額の測定に影響を及ぼすものである場合には、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。
条件付対価は取得時に公正価値で認識し、取得後の公正価値変動は、上記測定期間中の測定に該当する場合には取得コストを修正し、そうでない場合には公正価値の変動として損益に認識しております。
当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額に対する非支配持分の比例割合で測定するかを個々の企業結合取引ごとに選択しております。
企業結合を達成するために取得企業で発生した費用は、負債性金融商品及び資本性金融商品の発行に関連する費用を除き、発生時に損益で認識しております。
なお、当社グループは、すべての共通支配下における企業結合取引について、継続的に帳簿価額に基づき会計処理しております。共通支配下における企業結合とは、企業結合当事企業もしくは事業のすべてが、企業結合の前後で同一の企業により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的でない場合の企業結合であります。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引の換算
外貨建取引は、取引日における為替レートにて当社グループの各機能通貨に換算しております。
決算日における外貨建貨幣性資産及び負債、公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、決算日の為替レートにて機能通貨に換算しており、この結果生じる換算差額は、損益に認識しております。
外貨建取得原価にて測定される非貨幣性項目は、取引日の為替レートにて換算しております。
② 在外営業活動体の換算
在外営業活動体の財務諸表については、資産及び負債は報告期間の決算日の為替レートで円貨に換算し、収益及び費用は著しい変動のない限り、対応する報告期間における平均為替レートで円貨に換算しております。この結果生じる換算差額は、その他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素において認識しております。
当社グループの在外営業活動体が処分される場合、当該在外営業活動体に関連した為替換算差額の累計額は処分時に損益に振り替えております。
(4) 金融商品
① デリバティブを除く金融資産
(ⅰ) 当初認識及び測定
当社グループは、営業債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社グループが当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
また、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びその他の債権は、当初認識時に取引価格で測定しております。
デリバティブを除く金融資産は、当該金融資産の当初認識時点において、以下2つの要件をともに満たすものを償却原価で測定する金融資産に分類し、それ以外のものを公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
公正価値で測定する金融資産は、取得後の公正価値変動を損益に計上する金融資産(以下、「損益を通じて公正価値で測定する金融資産」)と取得後の公正価値変動をその他の包括利益に計上する金融資産(以下、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」)に分類しております。
当初認識時において償却原価測定の基準を満たさない負債性金融商品を、損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
売買目的保有でない資本性金融商品については、原則として当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しております。
すべての金融資産は、損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類される場合を除き、公正価値に当該金融資産に直接起因する取引コストを加算した金額で測定しております。
(ⅱ) 事後測定
金融資産の当初認識後は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) 損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識後、各決算日において公正価値で再測定し、公正価値の変動及び配当金等の収益を損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識後の公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、認識を中止した場合又は公正価値が著しく下落した場合に利益剰余金に振り替えております。当該金融資産からの配当金については損益として認識しております。
(ⅲ) 認識の中止
金融資産は、キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は譲渡し所有に伴うすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合に認識を中止しております。
② 金融資産の減損
当社グループは償却原価で測定される金融資産に係る予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
信用リスクの著しい増大の判定
当社グループは、期末日ごとに、金融資産の債務不履行発生のリスクを期末日現在と当初認識日現在で比較し、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価しております。
なお、当社グループは、信用リスクが著しく増加しているかどうかを当初認識以降の債務不履行の発生リスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行の発生リスクに変化があるかどうかを評価するのにあたっては、主に期日経過の情報を考慮し、以下も考慮しております。
・金融資産の外部信用格付の著しい変化
・内部信用格付の格下げ
・借手の経営成績の悪化
予想信用損失アプローチ
予想信用損失は、契約に基づいて当社グループが受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の現在価値であります。金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権及び契約資産については、常に、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
予想信用損失の測定に当たっては、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において利用可能な合理的で裏付け可能な情報を用いており、個別に重要な金融資産は個別に予想信用損失を評価し、個別に重要ではない金融資産は所在地、期日超過の日数、保全の状況、外部の信用格付等を基に信用リスクの特徴が類似する資産ごとにグルーピングを行い、集合的に予想信用損失を評価し、貸倒引当金を計上しております。
また、債務者が支払期限到来後90日以内に支払いを行わない場合など、金融資産の全部又は一部について回収ができない、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行としております。
債務不履行に該当した場合、又は発行者又は債務者の著しい財政的困難が存在する場合、信用減損しているものと判断しております。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。貸倒引当金の戻入が発生した場合、純損益で認識しております。
なお、債務者が当社グループと合意した返済計画を遂行できないなど、回収が合理的に見込めない場合においては、金融資産を直接償却しております。これには通常、借手が直接償却対象の金額を返済するために十分なキャッシュ・フローを生み出す資産又は収益源を有していないと当社グループが判断した場合が該当します。当社グループでは、直接償却した金融資産に対しても、期日経過債権を回収できるよう、履行強制活動を継続しております。
③ デリバティブを除く金融負債(株式買取債務を含む。条件付対価は「(2)企業結合」を参照)
(ⅰ) 当初認識及び測定
当社グループは、当社グループが発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。企業結合により生じる条件付対価及び非支配株主から持分を購入する株式買取債務については、当社グループが、被取得企業の支配を獲得した日に認識しております。その他の金融負債はすべて、当社グループが当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しております。
デリバティブを除く金融負債は、当該金融負債の当初認識時点において、損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債とに分類しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。また、株式買取債務は将来の償還金額の現在価値で測定しております。
(ⅱ) 事後測定
金融負債は当初認識後に、その分類に応じて以下のとおり測定しております。ただし、株式買取債務は償還金額の現在価値で測定しており、その変動は損益として認識しております。
(a) 償却原価で測定する金融負債
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) 損益を通じて公正価値で測定する金融負債
当初認識後、各決算日において公正価値で再測定し、公正価値の変動は損益として認識しております。
(ⅲ) 認識の中止
金融負債は、義務が履行されたか、免除されたか、又は失効した場合に認識を中止しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスクや金利変動リスクをそれぞれヘッジするために、為替予約取引、金利スワップ取引等のデリバティブを利用しております。
当社グループは、ヘッジ開始時に、ヘッジ対象とヘッジ手段の関係並びにヘッジに関するリスク管理目的及び戦略について、指定及び文書化を行っております。当該文書は、ヘッジ関係、リスク管理目的及びヘッジの実行に関する戦略並びにヘッジの有効性の評価を含んでおります。
これらのヘッジは、公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺する上で非常に有効であることが見込まれますが、ヘッジ期間中にわたり実際に非常に有効であったか否かを判断するために、ヘッジ関係を継続的に評価しております。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しております。
なお、ヘッジ会計については、経過措置によりIAS第39号を引き続き継続して適用しております。
(ⅰ) キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得及び損失のうちヘッジが有効である部分については、公正価値の変動額をその他の包括利益に認識し、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが損益に影響を与えた時点でヘッジ対象とともに損益に認識しております。ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の資本の構成要素として認識されている金額は、その他の包括利益を通じて、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジが有効でない部分については、公正価値の変動額を損益に認識しております。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジがヘッジ会計の要件を満たしていない場合及びヘッジ指定を取り消した場合には、ヘッジ会計を中止しております。
(ⅱ) 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資のヘッジから発生する換算差額については、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様の方法で会計処理しております。
ヘッジ手段に係る利得及び損失のうち、有効部分はその他の包括利益で認識し、非有効部分は損益として認識しております。
在外営業活動体の処分時には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を損益に振り替えております。
(ⅲ) ヘッジ指定されていないデリバティブ
デリバティブの公正価値の変動は損益として認識しております。
⑤ 金融商品の相殺
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ純額ベースで決済するか又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、純額で計上しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は主にスポーツ、エンタテインメントの作品及び権利で構成され、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額により測定しております。取得原価は主として個別法に基づいて算定しております。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の当初認識後の測定について原価モデルを採用しており、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、資産の解体、除去及び原状回復費用が含まれております。
土地等の償却を行わない資産を除き、有形固定資産は見積耐用年数にわたり、主として定額法により減価償却を行っております。
主要な有形固定資産の見積耐用年数は、以下のとおりであります。
・建物及び構築物 : 0~100年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は決算日において見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは償却を行わず、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で測定しております。
② 無形資産
無形資産の当初認識後の測定について原価モデルを採用しており、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定し、企業結合で取得した無形資産の取得原価は、取得日時点の公正価値としております。
自己創設無形資産は、資産の認識規準を最初に満たした日以降に発生する支出の合計額を取得原価としております。
無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたり定額法で償却しております。
主要な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりであります。
・ソフトウエア : 2~5年
・顧客との関係 : 効果の及ぶ期間(主として2年~18年)
有限の耐用年数を有する無形資産の償却方法及び耐用年数は決算日において見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(9) リース
① 借手としてのリース
当社グループは、契約の開始時に、当該契約がリース又はリースを含んだものであるのかどうかを判定しております。
契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでおります。
リースの開始日において、使用権資産及びリース債務を認識しております。使用権資産は開始日において取得原価で測定しております。開始日後においては、原価モデルを適用して、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数又はリース期間の終了時のいずれか早い時まで定額法で減価償却しております。
リース債務は、開始日において同日現在で支払われていないリース料の現在価値で測定しております。開始日後においては、リース債務に係る金利や、支払われたリース料を反映するようにリース債務の帳簿価額を増減しております。リース債務を見直した場合又はリースの条件変更が行われた場合には、リース債務を再測定し使用権資産を修正しております。 なお、短期リース及び少額資産のリースについてIFRS第16号第6項を適用し、リース料をリース期間にわたり定額法により費用認識しております。
② セール・アンド・リースバック取引
セール・アンド・リースバック取引は売手である借手から買手である貸手への資産の譲渡が売却に該当するか否かをIFRS第15号に基づいて判断しております。資産の売却に該当する場合は、売手である借手は、リースバックから生じた使用権資産を、資産の従前の帳簿価額のうち売手である借手が保持した使用権に係る部分で測定し、リースバックされなかった部分の損益のみを認識しております。資産の売却に該当しない場合は、売手である借手は、譲渡した資産を引き続き認識するとともに、譲渡収入と同額の金融負債を認識し、金融取引として処理しております。
(10) 非金融資産の減損
当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。
のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損テストの詳細については、「15.のれん及び無形資産」をご参照ください。
資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。
のれんについて認識した減損損失は、以後の期間において戻入れを認識しておりません。のれん以外の資産について過年度に認識した減損損失については、決算日において、認識した減損損失がもはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合には、回収可能価額の見積りを行い、当該回収可能価額が資産の帳簿価額を上回る場合には、減損損失の戻入れを認識しております。減損損失の戻入れ額は、減損損失を認識しなかった場合の減価償却又は償却控除後の帳簿価額を上限としております。
なお、持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区分して認識しないため、個別に減損テストを実施しておりません。持分法適用会社に対する投資が減損の兆候が存在する場合には、投資全体の帳簿価額について単一の資産として減損テストを行っております。
(11) 売却目的で保有する非流動資産
継続的使用ではなく、主に売却取引により回収される非流動資産又は資産グループは、現状で直ちに売却することが可能であり、経営者が売却計画の実行を確約し、1年以内で売却が完了する予定である場合に売却目的保有に分類しております。
当社グループは売却目的保有に分類された非流動資産又は資産グループを、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い方の金額で測定しております。
(12) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度及び確定拠出制度を設けております。
確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額を負債又は資産として認識しております。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を使用して制度ごとに算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した決算日時点の優良社債の利回りに基づき算定しております。
確定給付型退職給付制度の勤務費用及び利息費用は損益として認識し、利息純額の算定には前述の割引率を使用しております。また、確定給付型退職給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振替えております。過去勤務費用は、発生した期の損益として認識しております。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期間に損益として認識しております。
② 解雇給付
当社グループは、当社グループが構造改革に伴い通常の退職日前に従業員の雇用を終了する場合、又は一部の国内連結子会社で従業員が給付と引き換えに自発的に退職する場合に解雇給付を支給します。当社グループが、従業員を解雇することに関する詳細な公式の計画を有しており、その撤回可能性がない場合には、雇用の終了が確約された時点で解雇給付を費用として計上しております。
(13) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に引当金を認識しております。
貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。
また、リストラクチャリング引当金については詳細な公式計画を有し、かつ計画の実施や公表を通じて、影響を受ける関係者に当該リストラクチャリングが確実に実施されると予期させた時点で認識しております。
(14) 収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、顧客に対して広告業、情報サービス業及びその他の事業を提供しております。
広告業においては、主に各種メディアへの広告出稿及びクリエーティブ・サービスを含む広告制作や各種コンテンツサービス等のサービスの提供を行っております。
各種メディアへの広告出稿に関しては、主にメディアに広告出稿がなされた時点で当該サービスに対する支配が顧客に移転し、当社グループの履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。
広告制作に関しては、企画、制作、撮影、編集、完成までの一連の管理業務が履行義務になります。当該管理業務は、その性質上、履行義務の充足が均一であると考えられ、経過期間に応じて履行義務は進捗するため、収益は当該履行義務が充足される契約期間における期間按分にて、一定の期間にわたり収益を認識しております。
各種コンテンツサービス等のサービスの提供については、その主なサービスは、スポーツイベントのマーケティング権等の権利ビジネスであります。スポーツイベントのマーケティング権等の権利ビジネスにおいては、顧客に対してマーケティング権等の権利を使用できる状態にすることが履行義務になります。当該取引のうち、顧客が複数の権利を複数の時点で享受する複合的な権利に関する取引については、一定の期間において当該権利を顧客が使用可能となり、その性質上、履行義務の充足が均一であると考えられ、主に契約期間の経過とともに履行義務が充足されるため、収益は当該履行義務が充足される契約期間における期間按分にて、当該一定の期間にわたり収益を認識しております。それ以外の取引については、権利が使用可能となった当該一時点において、当該権利の使用権が顧客に移転し、当社グループの履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。
広告業の収益は、約束の履行に対する主たる責任、在庫リスク、価格設定の裁量権等を考慮すると、主として代理人としての性質が強いと判断されるため、当社グループが提供するサービスに対する報酬として顧客から受領する対価から関連する原価を控除した純額、あるいは手数料としての一定の報酬対価により計上しております。ただし、本人としての性質が強いと判断される一部の取引に関しては、顧客から受領した対価と原価を総額で計上しております。
なお、各取引において、当社グループが代理人なのか本人なのかの判断、及び、収益認識の時期に関する判断は、収益の金額に影響を与えるため、「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」における、連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針を適用する過程で行った判断に該当します。
広告業における取引の対価は、履行義務を充足してから主として1年以内に受領しており、重大な金融要素は含んでおりません。
情報サービス業においては、主にソフトウェア製品・商品の販売、受託システム開発、アウトソーシング・運用保守サービス等のサービスの提供を行っております。
ソフトウェア製品・商品の販売に関しては、顧客への納品時点で当該製商品の支配が顧客に移転し、当社グループの履行義務が充足されるため、当該時点で収益を認識しております。受託開発のソフトウェアに関しては、開発の進捗に応じて顧客の資産が増価するとともに顧客が当該資産の支配を獲得し、これに応じて当社グループの履行義務が充足されるため、開発の進捗度に応じて収益を認識しております。開発の進捗度は、履行義務の充足に使用されたインプット(発生したコスト)が、当該履行義務を完全に充足するまでに予想されるインプット合計に占める割合に基づいて算出しております。また、運用保守サービスに関しては契約期間の経過とともに履行義務が充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間における期間按分にて計上しております。
情報サービス業の収益は、販売契約における対価から、値引きなどを控除した金額で算定しております。また、約束の履行に対する主たる責任、在庫リスク、価格設定の裁量権等を考慮すると、本人としての性質が強いと判断されるため、収益及び原価を総額で計上しております。
情報サービス業における取引の対価は、履行義務を充足してから主として1年以内に受領しており、重大な金融要素は含んでおりません。
その他の事業においては、コーポレート領域の専門機能の提供、事務所賃貸、ビルサービス等の事業を行っております。
(15) 金融収益及び金融費用
金融収益は主として、受取利息及び受取配当金から構成され、受取利息は実効金利法に基づき発生時に認識し、受取配当金は配当を受ける権利が確定した時点で認識しております。
金融費用は主として借入金及び社債に対する支払利息から構成され、支払利息は実効金利法に基づき発生時に認識しております。
(16) 法人所得税
法人所得税費用は当期法人所得税と繰延法人所得税から構成されております。これらは、その他の包括利益又は資本で直接認識する項目から生じる場合及び企業結合から生じる場合を除き、損益として認識しております。
当期法人所得税は、税務当局に対する納付もしくは税務当局から還付が予想される金額で測定され、税額の算定に使用する税率又は税法は、決算日までに制定もしくは実質的に制定されているものであります。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異に対して認識しております。単一の取引から資産と負債の両方を同額で認識する特定の取引については、認識される資産に係る将来加算一時差異に対し繰延税金負債を、認識される負債に関する将来減算一時差異に対し繰延税金資産を、それぞれ当初認識する方法を採用しています。なお、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異については、繰延税金負債を認識しておりません。
子会社、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債を認識しております。ただし、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内において一時差異が解消しない可能性が高い場合には認識しておりません。子会社、関連会社及びジョイント・ベンチャーに係る将来減算一時差異から発生する繰延税金資産は、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、かつ予測可能な将来に解消されることが予期される可能性が高い範囲でのみ認識しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日に制定又は実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現される又は負債が決済される年度に適用される税率を見積り、算定しております。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しております。
(17) 資本
① 資本金及び資本剰余金
当社が発行する資本性金融商品は、資本金及び資本剰余金に計上しております。また、その発行に直接起因する取引費用は資本から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除して表示しており、自己株式の購入、売却又は消却において損益は認識しておりません。
自己株式を売却した場合の帳簿価額と売却時の対価との差額は資本として認識しております。
③ 非支配持分へ付与されたプット・オプション
当社グループが非支配持分の所有者に対して付与した子会社株式の売建プット・オプションについて、付与時点において非支配持分を認識し、のれんの金額の算定には含めておりません。
また、売建プット・オプションについて、その償還金額の現在価値をその他の金融負債として当初認識し、同額を利益剰余金から減額しております。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して算定しております。
(19) 株式報酬
当社及び一部の子会社は、株式報酬制度として、持分決済型及び現金決済型の株式報酬制度を採用しております。
持分決済型の株式報酬は、受領した役務及びそれに対応する資本の増加を付与日における資本性金融商品の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を資本の増加として認識しております。
現金決済型の株式報酬は、受領した役務及び発生した負債を当該負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を負債の増加として認識しております。また、当該負債の公正価値は決算日及び決済日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(20) 調整後営業利益
調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用
一時的要因の例示:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など
調整後営業利益はIFRSで定義されている指標ではありませんが、経営者は当該情報が財務諸表利用者にとって有用であると考えていることから、連結損益計算書及び「6.セグメント情報」に自主的に開示しております。
なお、2022年11月にロシア事業の譲渡契約を締結したことから、譲渡が完了するまでの期間に発生するロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として当連結会計年度の調整後営業利益には含めておりません。これに伴い、前連結会計年度については、前連結会計年度に調整後営業利益に含めていたロシア事業に係る営業損益を排除して組替表示しております。
(21)会計方針の変更
当社グループは、2023年5月に公表された、IAS第12号「法人所得税」の改訂を当連結会計年度より適用しております。当該改訂は、OECDによるBEPSの第2の柱GloBE(グローバル・ミニマム課税)ルールを導入するために制定された又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に、IAS第12号が適用されることを明確化した上で、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しないことを要求する一時的な例外措置を定めております。また、当該改訂は公表後直ちに遡及適用するよう定められており、当社グループは当該例外措置を当連結会計年度より遡及適用し、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しておりません。