有価証券報告書-第176期(2024/01/01-2024/12/31)
② 気候変動に対する戦略
1-1 重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会の特定プロセス
当社グループは、現在および将来予測される気候条件の下での異常気象がもたらす気候関連リスク(物理的リスク)と、低炭素経済への移行に伴う気候関連リスクと機会(移行リスクと機会)に対する事業への影響について、シナリオ分析を実施し、その結果を気候変動に対する戦略と目標に反映しています。
特定された物理的リスクにはそれぞれに、潜在的な損害および/またはそれに伴い事業損失を表す「リスクの影響評価」と、気候ハザード/事象の発生可能性を表す「可能性評価」を割り当て、移行リスクと機会については、TCFDが示している分類(現在の規制、新たな規制、技術、法律、市場、レピュテーション)に沿って特定し、潜在的な時間軸も検討しています。
さらに重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会については、社内の重要な意思決定に対するインタビュー、対話型ワークショップ、ステークホルダーとのエンゲージメントを組み合わせて評価を実施し、さらにそれらに発生の可能性、重大性、財務的影響のスコアを割り当て、最も影響の大きい気候関連リスク・機会を判断しております。
当社グループの影響の区分は下記の表のとおりで、「低/中/高」は当社グループの事業に与えうる影響の度合いを示しております。シナリオ分析の定量的な分析のうち、任意の年に任意のリスクまたは機会が営業利益に与えうる影響については、該当するリスクまたは機会が顕在化した場合に生じる日本円(\)建て営業利益への影響を基礎とする「影響の区分」を割り当てております。
<電通グループの影響区分>
またシナリオ分析の実施に用いた時間軸と、物理的シナリオ、移行シナリオの詳細は以下の通りであります。
1-2 気候関連のリスクと機会が電通グループにもたらす影響の概要
当社グループでは前述のプロセスに基づき、3つの物理的リスクと8つの移行リスク・機会を、事業に最も重要な関連性を持つものと判断しました。
すなわち、物理リスクについては、i)異常気象に関連する直接的な業務への影響リスク(オフィス操業への影響、従業員の健康被害など)、ⅱ)サプライチェーンの混乱リスク、ⅲ)地震と気候変動の複合影響による事業中断のリスク、の3点であります。当社グループの事業の特性上、その影響はいずれも限定的と見積もっております。
また、移行リスク/機会については、i)世界的な(脱炭素に向けた)経済変動による減収、ⅱ)規制と開示要請の強化による対応コストの上昇、ⅲ)低炭素商品やサービスを求める生活者行動/嗜好の変化、ⅳ)セクター・エクスポージャー(炭素強度の高いクライアントとの取引)、ⅴ)経済の脱炭素化に合わせた優秀な人材の維持・確保、ⅵ)脱炭素経済への移行による新たな市場へのアクセス、ⅶ)脱炭素経済への移行による新興セクターのクライアントとの取引、ⅷ)自社やクライアントへのサービス提供に資する新たな脱炭素テクノロジーの登場、を特定しております。
詳細については、「電通グループ TCFDレポート2024」(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/TCFDreport2024.pdf)をご覧ください。

1-1 重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会の特定プロセス
当社グループは、現在および将来予測される気候条件の下での異常気象がもたらす気候関連リスク(物理的リスク)と、低炭素経済への移行に伴う気候関連リスクと機会(移行リスクと機会)に対する事業への影響について、シナリオ分析を実施し、その結果を気候変動に対する戦略と目標に反映しています。
特定された物理的リスクにはそれぞれに、潜在的な損害および/またはそれに伴い事業損失を表す「リスクの影響評価」と、気候ハザード/事象の発生可能性を表す「可能性評価」を割り当て、移行リスクと機会については、TCFDが示している分類(現在の規制、新たな規制、技術、法律、市場、レピュテーション)に沿って特定し、潜在的な時間軸も検討しています。
さらに重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会については、社内の重要な意思決定に対するインタビュー、対話型ワークショップ、ステークホルダーとのエンゲージメントを組み合わせて評価を実施し、さらにそれらに発生の可能性、重大性、財務的影響のスコアを割り当て、最も影響の大きい気候関連リスク・機会を判断しております。
当社グループの影響の区分は下記の表のとおりで、「低/中/高」は当社グループの事業に与えうる影響の度合いを示しております。シナリオ分析の定量的な分析のうち、任意の年に任意のリスクまたは機会が営業利益に与えうる影響については、該当するリスクまたは機会が顕在化した場合に生じる日本円(\)建て営業利益への影響を基礎とする「影響の区分」を割り当てております。
<電通グループの影響区分>
影響の区分 | 調整後営業利益へ影響(%) | 電通グループが設けている 同等のグローバル区分 (財務関連の区分) |
非常に高いリスク | 5~10%、または10%以上 | 4(大)/5(極大) |
高いリスク | 2.5~5% | 3(中) |
低い/中程度のリスク | 1~2.5% | 2(小) |
現状維持 | 1%未満 | 1(軽微)以下 |
小さな/中程度の機会 | 1~2.5% | 2(小)の逆数 |
大きな機会 | 2.5~5% | 3(中)の逆数 |
非常に大きな機会 | 5~10%、または10%以上 | 4(大)/5(極大)の逆数 |
またシナリオ分析の実施に用いた時間軸と、物理的シナリオ、移行シナリオの詳細は以下の通りであります。
物理的シナリオ | 移行シナリオ | ||||
高炭素排出 シナリオ | IPCC SSP5-8.5 | 追加的な気候政策がなく、2100年までにGHG排出量が3倍になると仮定した「現状維持」の軌道をたどる。今世紀末までに3.8℃以上気温が上昇する想定。 | 高炭素排出シナリオ | 現行政策シナリオ(CP)/公表政策シナリオ(STEPS) | 現在実施されている政策のみが保持される想定。今世紀末までに気温が3℃上昇し、大きな物理的気候リスクをもたらす。 |
低炭素排出 シナリオ | IPCC SSP1-2.6 | パリ協定に基づく現行の約束に沿って、2100年までの気温上昇は2℃以内に抑えられる。今世紀の後半にはネットゼロ排出になる。 | 中程度炭素排出シナリオ | 移行遅延シナリオ/表明公約シナリオ(APS) | 2030年まで、世界の年間排出量は減少しないと想定。2030年以降には、新たな気候政策が実施されるものの、現在実施されている政策がベースになるため、そのレベルは国や地域によって大きく異なる。今紀末までの気温上昇は1.6℃と想定。 |
低炭素排出シナリオ | 2050ネットゼロ排出/2050年までのネットゼロ排出シナリオ(NZE) | 厳しい気候政策、イノベーション、2050年までのGHGネットゼロ排出達成により、今世紀末までの地球における気温上昇が1.5℃以内に抑えられる。 | |||
時間軸 | 基準年、2030年および2050年 | 時間軸 | 2030年、2040年および2050年 |
1-2 気候関連のリスクと機会が電通グループにもたらす影響の概要
当社グループでは前述のプロセスに基づき、3つの物理的リスクと8つの移行リスク・機会を、事業に最も重要な関連性を持つものと判断しました。
すなわち、物理リスクについては、i)異常気象に関連する直接的な業務への影響リスク(オフィス操業への影響、従業員の健康被害など)、ⅱ)サプライチェーンの混乱リスク、ⅲ)地震と気候変動の複合影響による事業中断のリスク、の3点であります。当社グループの事業の特性上、その影響はいずれも限定的と見積もっております。
また、移行リスク/機会については、i)世界的な(脱炭素に向けた)経済変動による減収、ⅱ)規制と開示要請の強化による対応コストの上昇、ⅲ)低炭素商品やサービスを求める生活者行動/嗜好の変化、ⅳ)セクター・エクスポージャー(炭素強度の高いクライアントとの取引)、ⅴ)経済の脱炭素化に合わせた優秀な人材の維持・確保、ⅵ)脱炭素経済への移行による新たな市場へのアクセス、ⅶ)脱炭素経済への移行による新興セクターのクライアントとの取引、ⅷ)自社やクライアントへのサービス提供に資する新たな脱炭素テクノロジーの登場、を特定しております。
詳細については、「電通グループ TCFDレポート2024」(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/TCFDreport2024.pdf)をご覧ください。
