有価証券報告書-第63期(2022/04/01-2023/03/31)
b.戦略
イ.人財戦略の策定の狙い
当社で働く全ての社員を当社の持続的成長における重要な「財産」として捉え、さらなる経営基盤の強化を図るべく、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画の重点戦略の一つとして「新たな人財戦略」を策定しております。これは、社員と会社の関係性が、これまでの「雇う側-雇われる側」という関係から、自分が大切にしていることを実現するための場所へと、「互いに選び・選ばれるもの(Win-Winの関係)」に変えていく必要があり、2030年の当社のめざす社会・めざす姿を構想した経営戦略の実現に向けて、中長期的な視点で、社員と会社の在り方を根本的に捉えなおしたものであります。
人財戦略の策定にあたっては、取締役及び執行役員の意見を反映させるほか、組織内の幅広い関係者と議論を重ね、以下の3つの要素が必要であると考えました。
・社員を惹きつける魅力ある組織の実現に資する戦略
・事業・組織・プロセスの変革を後押しする戦略
・変革の実行を実現するために、制度や仕組みを変えるだけでなく、役員・社員に対して思考・行動様式の改革を促す戦略
ロ.人財戦略のめざす姿と人事基本方針
人財戦略を通じてめざす姿には、「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げています。このめざす姿には、会社と社員がともに必要な存在として絆を深めながら、社員が成長・活躍し、会社が持続的に成長する関係を築き上げていきたいという想いを込めております。
人財戦略の遂行にあたっては、「人事ビジョン」を定めるとともに、その実現の両輪として、社会的規範を重視した行動様式を踏まえつつ、社員に変革・改善を通じた価値創造を求めていく中で、残すべき・取り戻すべきオリコらしさを発展的・未来志向的に進化させた「求める人材像」、及び会社のコミットメントとして思考・行動の改革を後押しし支援する「人財マネジメントポリシー」を定めております。
ハ.重点実施事項
「社員エンゲージメントの最大化」を実現するために、中期経営計画において重点的に実施すべき事項として、以下の2つを設定しております。
[多様性に富んだ人材集団づくり -個性ある多様な人材が活躍する組織へ-]
中期経営計画における人財戦略の重要な取り組みの一つが、多様性に富んだ人材ポートフォリオの実現であります。
具体的な取組内容は以下のとおりであります。
(ⅰ)社員一人ひとりの成長意欲を高め、強みを伸ばすキャリア支援の拡充
全ての社員が自分自身の特徴や特性を知り、自身の成長や強みを活かせるキャリアを考えていくためには、能力開発と自律的なキャリア形成が必要と考えております。その実現に向けた社員への挑戦機会の提供として、以下の取組みを行っております。
・社内公募 全部室・全営業店、国内グループ会社を応募対象としたキャリア公募制度
・社外トレーニー 銀行等の他企業で経験を積む
・海外トレーニー 異国文化に触れながら海外事業を学ぶ
・レンタル移籍 イノベーション企業や提携先で、事業開発プロセスや経営を学ぶ
・社外副業・兼業 スタートアップ等の異業種企業でアイデアや企画プロセス等新たな知見を学ぶ
社外の就業経験を得られるレンタル移籍や社外副業では、2023年3月期は入社3年目の若手社員から40代後半の管理職まで幅広く参加する等、活発な参加意欲がみられました。当社は、社員の自律的なキャリア形成支援を目的として、2025年4月より、社員が希望するポストや職種を選択する「ジョブポスティング」を導入するとともに、価値観やライフステージに合わせた働き方を尊重するために、社員が望まない転居を伴う転勤を廃止します。これまでの会社主導による人事異動を見直し、自らの意思で仕事を選び、ポストをつかむといった自律的なキャリア形成支援に向けて、社員の本拠地の設定や転居転勤の意向確認等、社内体制を段階的に整えてまいります。
(ⅱ)女性や外国人等、様々なバックグラウンドや個性を持つ人材の幹部登用の加速
企業価値の向上のための戦略上の重要な取組みとして、インクルージョン&ダイバーシティの推進に注力しています。2023年4月に、取組みを強化すべく、従来のダイバーシティ推進の考え方(ビジョン・基本方針・宣言)を見直し、インクルージョンの実現にフォーカスした「インクルージョン&ダイバーシティの基本方針」を新たに制定しております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/inclusion-diversity/policy.html
社員一人ひとりの異なる考え方や視点、価値観を受け入れ、活かしていくことで、お客さまの多様なニーズに応えつつ、社員のエンゲージメントを高め、競争力と企業価値の向上につなげていきます。そのために当社で働く社員の多様性を高めることに加えて、組織の受容性を高めること、一人ひとりが最大限にパフォーマンスを発揮できること、公平に挑戦できることによって、誰もが自分らしく活躍できる組織をめざします。今後は、2023年4月に制定したインクルージョン&ダイバーシティ基本方針に基づいた新たな行動計画を2024年3月期中に策定し、具体的な取組みを推進してまいります。また、取組の状況は定期的に経営会議に報告してまいります。
⦅⦅女性活躍に関する取組⦆⦆
女性社員は、性別に関わらず、さまざまな分野で活躍しています。今後、当社が更に発展するためには、これまで以上に女性が活躍の領域を広げ、力を最大限発揮できるようにしていくことが必要であると考え、そのための女性活躍推進施策として、キャリア形成支援、意識改革、ワーク・ライフ・バランスの観点からさまざまなサポートを展開しております。
■女性活躍に関する行動計画
2016年4月1日施行「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」に基づき、当社は下記のとおり女性活躍に関する新たな行動計画(2022年4月1日~2027年3月31日)を策定しております。
■研修
当社では、管理職となった女性を対象に、案件処理能力・コミュニケーション能力・企画立案能力等のリーダーに必要なスキル強化を目的とする「女性管理職研修」や、課長補佐・主任の女性を対象にリーダーとしての意識付けを図る「選抜リーダーシップ強化研修」、28歳の女性を対象にキャリアプランの構築を促す「Life Map Cafe 28」等の社内研修を行っております。
また、他社と交流を図り、多様な考え方や価値観に触れながらリーダーシップのノウハウを学ぶ「異業種合同女性管理職研修」や、他社合同の「ファシリテーション研修」のほか、女性管理職同士が悩みを共有し、相談し合える社内ネットワーク「Orico Women's Network」も用意しながら、女性の活躍推進に取り組んでおり、2023年3月期は各研修あわせて226時間、319人の女性社員が参加しました。
(ⅲ)新規ビジネス創出等の核となる専門人材の確保・育成・活躍
中期経営計画における事業戦略上重要性の高い専門人材の採用・育成を積極的に行っております。特に、[1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等 ◆DX戦略 戦略③ DX人材の育成・DXカルチャーの醸成]に記載のとおり、DXを推進する人材の育成は最も重要であると考えており、DXの推進・実行に必要なスキル・マインドを有する人材の確保に向けて、社内の異動や外部採用の強化、育成プログラムの開発・実施等、全社的な取り組みとして進めております。
2025年3月期までに、DX素養を有する人材(DX推進人材)を3,000人に拡大する目標を掲げるなか、DX人材育成プログラムをリリース、2023年3月期で3,000人以上が認定を受け、3年後の目標を前倒しで達成しました。引き続き、追加のプログラムの受講を促進し、更なるレベルアップを図るとともに、DXを実現する推進役として、将来の経営幹部候補者となる人材や、その取組みに伴走し変革を支援する人材の育成にも力を入れていきます。
[新時代のための人事の基盤づくり -これからのオリコに相応しい評価・処遇・育成の制度・運用へ-]
中期経営計画における人財戦略の重要な取り組みの一つが、多様性のある様々な人材を活かしていくための新しい評価・処遇・育成の実現であります。具体的な取組内容は以下のとおりであります。
(ⅰ)年功・職能に基づく人事から仕事・ミッションを軸とした新たな人事への転換
年功・職能を中心とした従来の考え方から、個人の担う仕事の内容や果たすべきミッションを軸とした人事への転換を進めています。ミッションとは、目の前にあるタスクではなく、当社がめざす姿を実現するために、組織または社員一人ひとりが果たすべき使命であります。仕事の目的(価値や意義)を一人ひとりが理解し、やりがいと誇りをもって働けるよう、ミッションを軸として、各ポジションの職務要件や人材要件を明確化し、社員一人ひとりの課題把握や自己啓発、公正な評価・処遇の実現、自律的キャリア形成の促進等に繋げていきます。
2023年3月期は、こうした取り組みの土台となるミッション定義書を策定しました。ミッション定義書には、所属する組織やポジションごとに異なるミッションを記載しており、加えて、ミッション実現に必要な職務要件を満たすための主要KPI、権限・責任、行動特性、スキルといった内容を記載し、ミッション定義書に定めた行動特性やスキルのレベルと本人とのギャップを、「行動評価」や「スキル評価」に反映します。
2024年3月期は、ミッション定義書の全社理解・浸透をより推進し、ミッションを通じて、仕事で果たすべきことを明らかにすることで、会社がめざしていることを社員が自分事として捉え、会社と社員の向かうべき方向性を一致させていきます。
(ⅱ)「求める人材像」に即した評価軸の見直しと客観性・透明性を高める多面評価の導入
仕事・ミッションを軸とした新たな人事制度を推進していくため、評価制度・報酬制度を見直しました。会社が社員に期待する行動軸を定め、それに対する評価基準を示すとともに、評価者のスキル向上に注力することで、公正かつメリハリのある評価・処遇を実現し、年齢とともに上昇する年功的な処遇運用からの脱却をめざします。
加えて、会社の掲げる戦略や目標の実現に向けて社員も一体となって取組み、ともに達成する喜びを分かち合える賞与制度の仕組みもあわせて構築しました。社員自らが挑戦し行動する意欲を引き出し、会社はそれに対し処遇面でしっかり報いていくことで、社員一人ひとりの高い成果発揮や生産性向上に資する思考や行動変革を促します。
また、評価の客観性・透明性を高めるために、360度サーベイ等の多面評価を導入しております。2023年3月期は、部長・室長及び営業店の支店長を対象とした360度サーベイを開始し、結果の共有と内容の理解を深めるためのフィードバック研修を実施し、その内容をもとに各人がアクションプランを策定・実践することを開始しました。全体の結果分析を行うとともに、その結果を踏まえた組織課題の特定のみならず、個人の能力開発への展開も検討しています。
(ⅲ)能力開発とタフ・アサインメント付与を通じた次世代を担う中核人材の育成
中核人材の育成は、組織運営上の重要な基盤になるという考えのもと、経営戦略の実現を牽引する中核人材の育成に力を入れています。中核人材の育成対象者は、部長、室長、支店長、副部長、課長、部長代理等の全管理職であります。2023年3月期より、本社の部室長及び営業店の支店長を対象とした中核人材育成プログラムを開始し、役員参加のもと、計4回のWEBセッションと計20回の集合セッションを行いました。2024年3月期からは、上記対象者に加えて、副部長以下の各管理職層への展開も検討しています。また、適所適材の観点から、若手社員の営業店課長への抜擢登用等を行う等、将来キャリアを展望できるアサイメントを積極的に行っております。
⦅⦅職場環境に関する取組⦆⦆
社員の生産性やモチベーション向上に向けて、働き方改革や健康経営の推進等、すべての社員が生き生きと活躍できる職場づくりに力を入れて取組んでおります。
(ⅰ)働き方改革
テレワークや週休3日制、社員が任意に就業時間を選択できるスライドワーク等、多様な働き方の拡充に加え、生活スタイルに合わせて取得できるプライム休暇(特別休暇)の導入や職場ごとに「労働時間に関する協議会」を開催する等、より良い職場環境の構築に向けて取り組んでおります。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/healthmanagement/optimization.html
(ⅱ)健康経営の推進
社員が公私ともに生き生きとした生活を送ることができるよう、社員一人ひとりを尊重しながら、生活習慣病予防及び重症化予防対策・女性の健康増進・がん対策・感染症対策・喫煙対策・メンタルヘルス対策等、働きやすい心身の健康維持・増進を支援する健康経営に取り組みながら、安心・安全の更なる構築や労働生産性の向上に努めております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/healthmanagement/
(ⅲ)人権尊重に関する取組
差別やハラスメントのない人権尊重に根ざした職場環境の実現に向けて、さまざまな人権に関する実践的な研修や人権啓発活動を継続的に実施しております。また、内部通報制度「オリコ・ヘルプライン」として社内外に相談窓口を設置し、グループ会社の社員や退職者も含めた救済措置体制を整えております。なお、2023年4月、人権尊重が今後ますます重要性を増していくとの考えのもと、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、新たに人権基本方針を定めました。差別やハラスメントの排除及び周知徹底を図るとともに、経営レベルでの社内体制の整備等を通じて、人権デュー・ディリジェンス等を実施し、人権への取組みをサステナビリティの基盤と捉え、人権尊重責任を果たしてまいります。また、人権に関する取組状況については定期的に取締役会及び経営会議に報告しております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/humanrights/
(ⅳ)妊娠・育児・介護に関する各種制度
妊娠・育児に関する各種制度を整え、全ての社員が仕事と育児を両立できるよう、育児関連制度の整備・啓発を行っております。女性の育児休業・短時間勤務制度の利用はもちろん、男性の育児休業についても取得を積極的に推進しながら、育児休業取得率100%をめざしております。このような当社の取組みが評価され、2022年11月、次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として「プラチナくるみんプラス」の認定を受けました。また、仕事と介護を両立する社員のための様々な支援制度も設けております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/inclusion-diversity/childcare.html
(ⅴ)社員エンゲージメントサーベイの実施
人財戦略の中核指標として活用するために、これまで実施してきた年1回の社員意識調査を見直し、2022年4月より社員エンゲージメントサーベイを年2回実施しております。あわせて、エンゲージメント向上プログラムを導入し、職場ごとに抱える課題に対して、部室長・支店長が社員とコミュニケーションを取りながら、より良い職場づくりと改善に向けたPDCAに取組んでおります。
イ.人財戦略の策定の狙い
当社で働く全ての社員を当社の持続的成長における重要な「財産」として捉え、さらなる経営基盤の強化を図るべく、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画の重点戦略の一つとして「新たな人財戦略」を策定しております。これは、社員と会社の関係性が、これまでの「雇う側-雇われる側」という関係から、自分が大切にしていることを実現するための場所へと、「互いに選び・選ばれるもの(Win-Winの関係)」に変えていく必要があり、2030年の当社のめざす社会・めざす姿を構想した経営戦略の実現に向けて、中長期的な視点で、社員と会社の在り方を根本的に捉えなおしたものであります。
人財戦略の策定にあたっては、取締役及び執行役員の意見を反映させるほか、組織内の幅広い関係者と議論を重ね、以下の3つの要素が必要であると考えました。
・社員を惹きつける魅力ある組織の実現に資する戦略
・事業・組織・プロセスの変革を後押しする戦略
・変革の実行を実現するために、制度や仕組みを変えるだけでなく、役員・社員に対して思考・行動様式の改革を促す戦略
ロ.人財戦略のめざす姿と人事基本方針
人財戦略を通じてめざす姿には、「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げています。このめざす姿には、会社と社員がともに必要な存在として絆を深めながら、社員が成長・活躍し、会社が持続的に成長する関係を築き上げていきたいという想いを込めております。
人財戦略の遂行にあたっては、「人事ビジョン」を定めるとともに、その実現の両輪として、社会的規範を重視した行動様式を踏まえつつ、社員に変革・改善を通じた価値創造を求めていく中で、残すべき・取り戻すべきオリコらしさを発展的・未来志向的に進化させた「求める人材像」、及び会社のコミットメントとして思考・行動の改革を後押しし支援する「人財マネジメントポリシー」を定めております。
ハ.重点実施事項
「社員エンゲージメントの最大化」を実現するために、中期経営計画において重点的に実施すべき事項として、以下の2つを設定しております。
① 多様性に富んだ人材集団づくり -個性ある多様な人材が活躍する組織へ- |
多様性に富んだ人材を育み、個人の特性をより活かすことをめざし、一人ひとりの成長意欲を高め、強みを伸ばすキャリア支援の拡充のほか、女性や外国人等、様々なバックグラウンドや個性を持つ人材の幹部登用の加速、新規ビジネス創出等の核となる専門人材の確保・育成・活躍の推進等を行っております。 |
② 新時代のための人事の基盤づくり -これからのオリコに相応しい評価・処遇・育成の制度・運用へ- |
従来の人事制度や仕組みを抜本的に見直し、社員が魅力を感じ、社員を惹きつける組織の実現をめざし、年功・職能に基づく人事から仕事・ミッションを軸とした新たな人事への転換、「求められる人材像」に即した評価軸の見直しと客観性を高める多面評価の導入、能力開発とタフ・アサインメント付与を通じた次世代を担う中核人材の育成等を行っております。 |
[多様性に富んだ人材集団づくり -個性ある多様な人材が活躍する組織へ-]
中期経営計画における人財戦略の重要な取り組みの一つが、多様性に富んだ人材ポートフォリオの実現であります。
具体的な取組内容は以下のとおりであります。
(ⅰ)社員一人ひとりの成長意欲を高め、強みを伸ばすキャリア支援の拡充
全ての社員が自分自身の特徴や特性を知り、自身の成長や強みを活かせるキャリアを考えていくためには、能力開発と自律的なキャリア形成が必要と考えております。その実現に向けた社員への挑戦機会の提供として、以下の取組みを行っております。
・社内公募 全部室・全営業店、国内グループ会社を応募対象としたキャリア公募制度
・社外トレーニー 銀行等の他企業で経験を積む
・海外トレーニー 異国文化に触れながら海外事業を学ぶ
・レンタル移籍 イノベーション企業や提携先で、事業開発プロセスや経営を学ぶ
・社外副業・兼業 スタートアップ等の異業種企業でアイデアや企画プロセス等新たな知見を学ぶ
社外の就業経験を得られるレンタル移籍や社外副業では、2023年3月期は入社3年目の若手社員から40代後半の管理職まで幅広く参加する等、活発な参加意欲がみられました。当社は、社員の自律的なキャリア形成支援を目的として、2025年4月より、社員が希望するポストや職種を選択する「ジョブポスティング」を導入するとともに、価値観やライフステージに合わせた働き方を尊重するために、社員が望まない転居を伴う転勤を廃止します。これまでの会社主導による人事異動を見直し、自らの意思で仕事を選び、ポストをつかむといった自律的なキャリア形成支援に向けて、社員の本拠地の設定や転居転勤の意向確認等、社内体制を段階的に整えてまいります。
(ⅱ)女性や外国人等、様々なバックグラウンドや個性を持つ人材の幹部登用の加速
企業価値の向上のための戦略上の重要な取組みとして、インクルージョン&ダイバーシティの推進に注力しています。2023年4月に、取組みを強化すべく、従来のダイバーシティ推進の考え方(ビジョン・基本方針・宣言)を見直し、インクルージョンの実現にフォーカスした「インクルージョン&ダイバーシティの基本方針」を新たに制定しております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/inclusion-diversity/policy.html
社員一人ひとりの異なる考え方や視点、価値観を受け入れ、活かしていくことで、お客さまの多様なニーズに応えつつ、社員のエンゲージメントを高め、競争力と企業価値の向上につなげていきます。そのために当社で働く社員の多様性を高めることに加えて、組織の受容性を高めること、一人ひとりが最大限にパフォーマンスを発揮できること、公平に挑戦できることによって、誰もが自分らしく活躍できる組織をめざします。今後は、2023年4月に制定したインクルージョン&ダイバーシティ基本方針に基づいた新たな行動計画を2024年3月期中に策定し、具体的な取組みを推進してまいります。また、取組の状況は定期的に経営会議に報告してまいります。
⦅⦅女性活躍に関する取組⦆⦆
女性社員は、性別に関わらず、さまざまな分野で活躍しています。今後、当社が更に発展するためには、これまで以上に女性が活躍の領域を広げ、力を最大限発揮できるようにしていくことが必要であると考え、そのための女性活躍推進施策として、キャリア形成支援、意識改革、ワーク・ライフ・バランスの観点からさまざまなサポートを展開しております。
■女性活躍に関する行動計画
2016年4月1日施行「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」に基づき、当社は下記のとおり女性活躍に関する新たな行動計画(2022年4月1日~2027年3月31日)を策定しております。
取組内容 | 目標 (2025年3月期) | 目標 (2027年3月期) | |
目標① | 課長クラス以上に占める女性社員比率 | 27%以上 | 30%以上 |
目標② | 部室長相当職に占める女性社員比率 | 9%以上 | 12%以上 |
目標③ | 男性の育児休業取得率 | 100% | 100% |
■研修
当社では、管理職となった女性を対象に、案件処理能力・コミュニケーション能力・企画立案能力等のリーダーに必要なスキル強化を目的とする「女性管理職研修」や、課長補佐・主任の女性を対象にリーダーとしての意識付けを図る「選抜リーダーシップ強化研修」、28歳の女性を対象にキャリアプランの構築を促す「Life Map Cafe 28」等の社内研修を行っております。
また、他社と交流を図り、多様な考え方や価値観に触れながらリーダーシップのノウハウを学ぶ「異業種合同女性管理職研修」や、他社合同の「ファシリテーション研修」のほか、女性管理職同士が悩みを共有し、相談し合える社内ネットワーク「Orico Women's Network」も用意しながら、女性の活躍推進に取り組んでおり、2023年3月期は各研修あわせて226時間、319人の女性社員が参加しました。
(ⅲ)新規ビジネス創出等の核となる専門人材の確保・育成・活躍
中期経営計画における事業戦略上重要性の高い専門人材の採用・育成を積極的に行っております。特に、[1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等 ◆DX戦略 戦略③ DX人材の育成・DXカルチャーの醸成]に記載のとおり、DXを推進する人材の育成は最も重要であると考えており、DXの推進・実行に必要なスキル・マインドを有する人材の確保に向けて、社内の異動や外部採用の強化、育成プログラムの開発・実施等、全社的な取り組みとして進めております。
2025年3月期までに、DX素養を有する人材(DX推進人材)を3,000人に拡大する目標を掲げるなか、DX人材育成プログラムをリリース、2023年3月期で3,000人以上が認定を受け、3年後の目標を前倒しで達成しました。引き続き、追加のプログラムの受講を促進し、更なるレベルアップを図るとともに、DXを実現する推進役として、将来の経営幹部候補者となる人材や、その取組みに伴走し変革を支援する人材の育成にも力を入れていきます。
[新時代のための人事の基盤づくり -これからのオリコに相応しい評価・処遇・育成の制度・運用へ-]
中期経営計画における人財戦略の重要な取り組みの一つが、多様性のある様々な人材を活かしていくための新しい評価・処遇・育成の実現であります。具体的な取組内容は以下のとおりであります。
(ⅰ)年功・職能に基づく人事から仕事・ミッションを軸とした新たな人事への転換
年功・職能を中心とした従来の考え方から、個人の担う仕事の内容や果たすべきミッションを軸とした人事への転換を進めています。ミッションとは、目の前にあるタスクではなく、当社がめざす姿を実現するために、組織または社員一人ひとりが果たすべき使命であります。仕事の目的(価値や意義)を一人ひとりが理解し、やりがいと誇りをもって働けるよう、ミッションを軸として、各ポジションの職務要件や人材要件を明確化し、社員一人ひとりの課題把握や自己啓発、公正な評価・処遇の実現、自律的キャリア形成の促進等に繋げていきます。
2023年3月期は、こうした取り組みの土台となるミッション定義書を策定しました。ミッション定義書には、所属する組織やポジションごとに異なるミッションを記載しており、加えて、ミッション実現に必要な職務要件を満たすための主要KPI、権限・責任、行動特性、スキルといった内容を記載し、ミッション定義書に定めた行動特性やスキルのレベルと本人とのギャップを、「行動評価」や「スキル評価」に反映します。
2024年3月期は、ミッション定義書の全社理解・浸透をより推進し、ミッションを通じて、仕事で果たすべきことを明らかにすることで、会社がめざしていることを社員が自分事として捉え、会社と社員の向かうべき方向性を一致させていきます。
(ⅱ)「求める人材像」に即した評価軸の見直しと客観性・透明性を高める多面評価の導入
仕事・ミッションを軸とした新たな人事制度を推進していくため、評価制度・報酬制度を見直しました。会社が社員に期待する行動軸を定め、それに対する評価基準を示すとともに、評価者のスキル向上に注力することで、公正かつメリハリのある評価・処遇を実現し、年齢とともに上昇する年功的な処遇運用からの脱却をめざします。
加えて、会社の掲げる戦略や目標の実現に向けて社員も一体となって取組み、ともに達成する喜びを分かち合える賞与制度の仕組みもあわせて構築しました。社員自らが挑戦し行動する意欲を引き出し、会社はそれに対し処遇面でしっかり報いていくことで、社員一人ひとりの高い成果発揮や生産性向上に資する思考や行動変革を促します。
また、評価の客観性・透明性を高めるために、360度サーベイ等の多面評価を導入しております。2023年3月期は、部長・室長及び営業店の支店長を対象とした360度サーベイを開始し、結果の共有と内容の理解を深めるためのフィードバック研修を実施し、その内容をもとに各人がアクションプランを策定・実践することを開始しました。全体の結果分析を行うとともに、その結果を踏まえた組織課題の特定のみならず、個人の能力開発への展開も検討しています。
(ⅲ)能力開発とタフ・アサインメント付与を通じた次世代を担う中核人材の育成
中核人材の育成は、組織運営上の重要な基盤になるという考えのもと、経営戦略の実現を牽引する中核人材の育成に力を入れています。中核人材の育成対象者は、部長、室長、支店長、副部長、課長、部長代理等の全管理職であります。2023年3月期より、本社の部室長及び営業店の支店長を対象とした中核人材育成プログラムを開始し、役員参加のもと、計4回のWEBセッションと計20回の集合セッションを行いました。2024年3月期からは、上記対象者に加えて、副部長以下の各管理職層への展開も検討しています。また、適所適材の観点から、若手社員の営業店課長への抜擢登用等を行う等、将来キャリアを展望できるアサイメントを積極的に行っております。
⦅⦅職場環境に関する取組⦆⦆
社員の生産性やモチベーション向上に向けて、働き方改革や健康経営の推進等、すべての社員が生き生きと活躍できる職場づくりに力を入れて取組んでおります。
(ⅰ)働き方改革
テレワークや週休3日制、社員が任意に就業時間を選択できるスライドワーク等、多様な働き方の拡充に加え、生活スタイルに合わせて取得できるプライム休暇(特別休暇)の導入や職場ごとに「労働時間に関する協議会」を開催する等、より良い職場環境の構築に向けて取り組んでおります。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/healthmanagement/optimization.html
(ⅱ)健康経営の推進
社員が公私ともに生き生きとした生活を送ることができるよう、社員一人ひとりを尊重しながら、生活習慣病予防及び重症化予防対策・女性の健康増進・がん対策・感染症対策・喫煙対策・メンタルヘルス対策等、働きやすい心身の健康維持・増進を支援する健康経営に取り組みながら、安心・安全の更なる構築や労働生産性の向上に努めております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/healthmanagement/
(ⅲ)人権尊重に関する取組
差別やハラスメントのない人権尊重に根ざした職場環境の実現に向けて、さまざまな人権に関する実践的な研修や人権啓発活動を継続的に実施しております。また、内部通報制度「オリコ・ヘルプライン」として社内外に相談窓口を設置し、グループ会社の社員や退職者も含めた救済措置体制を整えております。なお、2023年4月、人権尊重が今後ますます重要性を増していくとの考えのもと、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、新たに人権基本方針を定めました。差別やハラスメントの排除及び周知徹底を図るとともに、経営レベルでの社内体制の整備等を通じて、人権デュー・ディリジェンス等を実施し、人権への取組みをサステナビリティの基盤と捉え、人権尊重責任を果たしてまいります。また、人権に関する取組状況については定期的に取締役会及び経営会議に報告しております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/humanrights/
(ⅳ)妊娠・育児・介護に関する各種制度
妊娠・育児に関する各種制度を整え、全ての社員が仕事と育児を両立できるよう、育児関連制度の整備・啓発を行っております。女性の育児休業・短時間勤務制度の利用はもちろん、男性の育児休業についても取得を積極的に推進しながら、育児休業取得率100%をめざしております。このような当社の取組みが評価され、2022年11月、次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として「プラチナくるみんプラス」の認定を受けました。また、仕事と介護を両立する社員のための様々な支援制度も設けております。
※詳細については当社Webサイトをご覧ください
https://www.orico.co.jp/company/corporate/efforts/inclusion-diversity/childcare.html
(ⅴ)社員エンゲージメントサーベイの実施
人財戦略の中核指標として活用するために、これまで実施してきた年1回の社員意識調査を見直し、2022年4月より社員エンゲージメントサーベイを年2回実施しております。あわせて、エンゲージメント向上プログラムを導入し、職場ごとに抱える課題に対して、部室長・支店長が社員とコミュニケーションを取りながら、より良い職場づくりと改善に向けたPDCAに取組んでおります。