有価証券報告書-第50期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/22 12:25
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127項目

金融商品関係

(金融商品関係)
1.金融商品の状況に関する事項
(1) 金融商品に対する取組方針
当社グループは、当社グループが管理運営するファンドへの出資を通じて、日本・アジア・米国を中心に未上場株式等を対象とする投資運用業を行っております。こうした投資運用業を行うための資金は、自己資本の範囲内での投資を原則としつつ、必要に応じて銀行借入による間接金融などによって調達しております。また、一時的な余資は安全性及び流動性の高い金融資産で運用しており、投機的取引は行わない方針であります。デリバティブも利用しておりません。
(2) 金融商品の内容及びそのリスク
当社グループが保有する営業投資有価証券並びに主に事業推進目的で保有する投資有価証券のうち、上場株式については、市場価格の変動リスクに晒されております。また、外貨建営業投資有価証券については、上記リスクのほか為替変動リスクに晒されております。
当社グループの主たる投資対象である未上場企業は、上場企業に比べ、収益基盤や財務基盤が不安定で経営資源も制約されるため、経済環境等の影響を受けやすく、未上場株式等への投資には、以下のようなリスクが存在します。
①投資によってキャピタルゲインが得られるかどうかについての確約はありません。
②投資によってはキャピタルロスが発生する可能性があります。
③投資対象は、ファンドの運営期間中に株式上場、売却等が見込める企業を前提としていますが、株式上場時期・売却等が当初の見込みと大幅に異なる可能性があります。
④未上場株式等は、上場企業の株式等に比べ流動性が著しく劣ります。そのため、未上場段階で売却する場合は、当社グループが希望する条件で売却できない可能性があります。
借入金は、主に投資運用業を行うための資金調達を目的としたものであり、流動性リスクに晒されております。
(3) 金融商品に係るリスク管理体制
①未上場株式等への投資のリスクの管理
当社グループの投資運用事業は、投資資金の増殖回収を目的としており、主な投資対象は、将来、株式上場や企業買収、トレードセール等によるキャピタルゲインが期待できる未上場企業であります。未上場企業への投資については、投資部門で、投資候補先企業に対する、事業性、技術力、財務状況、経営者評価等の観点から評価を行うとともに、投資部門から独立した投資調査担当でも並行して評価を行った上で、所定の委員会で投資の可否を決定しております。
投資後は、投資部門等が、投資先企業の経営状況を随時かつ定期的にモニタリングし、財務状況の悪化、事業計画の遅延等の早期把握に努め、一定以上の損失が見込まれる場合には、投資損失引当金を計上することにより、将来の損失に備えております。
また、投資先企業が業績その他の理由で上場の見通しが立たない場合、もしくは企業価値の増加が見込めないと判断した場合は、未上場段階で第三者等へ売却することによって流動化を図っております。
②市場リスク(市場価格や為替等の変動リスク)の管理
当社グループは、市場リスクに関する定量的分析に代えて、上場営業投資有価証券については、継続的に時価や発行体の経営状況等を把握し、適切な価格、タイミングで流動化を図っており、外貨建営業投資有価証券については、為替変動の継続的モニタリングを行っております。
また、投資有価証券については、主に業務上の関係を有する企業の株式でありますが、定期的に時価や経営状況を把握するとともに、当社との関係等を勘案して継続的に保有状況を見直すことで、定量的分析に代えてリスク管理を行っております。
リスク変数の変動を合理的な範囲で想定した場合の開示情報
・株価リスク
(国内上場営業投資有価証券・投資有価証券)
当社グループにおいて、国内株式市場の株価リスクの影響を受ける主たる金融商品は、国内株式市場に上場している「営業投資有価証券」、「投資有価証券」であり、その連結貸借対照表計上額は105,161百万円であります。
その他すべてのリスク変数が一定の場合、2022年3月31日現在の株価が仮に10%低ければ、当該金融資産と金融負債相殺後の純額(資産側)の時価は10,516百万円減少するものと考えられます。反対に、株価が10%高ければ、10,516百万円増加するものと考えられます。
(海外上場営業投資有価証券)
当社グループにおいて、海外株式市場の株価リスクの影響を受ける主たる金融商品は、海外株式市場に上場している「営業投資有価証券」であり、その連結貸借対照表計上額は6,045百万円であります。
その他すべてのリスク変数が一定の場合、2022年3月31日現在の株価が仮に10%低ければ、当該金融資産と金融負債相殺後の純額(資産側)の時価は604百万円減少するものと考えられます。反対に、株価が10%高ければ、604百万円増加するものと考えられます。
・外国為替リスク
当社グループにおいて、外国為替レート(主として円・米ドルレート)のリスクの影響を受ける主たる金融商品は、「営業投資有価証券」の上場外貨建株式であり、その連結貸借対照表計上額は6,367百万円であります。
その他すべてのリスク変数が一定の場合、2022年3月31日時点で、円が対米ドルで仮に10%円安になれば、当該金融資産と金融負債相殺後の純額(資産側)の時価は636百万円増加するものと考えられます。反対に、円が対米ドルで10%円高になれば、636百万円減少するものと考えられます。
③資金調達に関する流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)の管理
借入金は流動性リスクに晒されていますが、当社グループでは、各社が適時に資金繰計画を作成・更新するなどの方法により管理しております。
(4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が変動することがあります。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりであります。なお、前連結会計年度末においては、時価を把握することが極めて困難と認められるものは含まれておりません。また、当連結会計年度末においては、非上場株式等については含まれておりません((注2)参照)。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円)

連結貸借対照表計上額時 価差 額
(1) 営業投資有価証券16,44416,444-
(2) 投資有価証券82,17882,178-
資産計98,62298,622-
(1) 長期借入金1151150
負債計1151150

当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)

連結貸借対照表計上額時 価差 額
(1) 営業投資有価証券17,81917,819-
(2) 投資有価証券96,08796,087-
資産計113,906113,906-
(1) 長期借入金1831830
負債計1831830

(注1)「現金及び預金」については、現金であること、及び預金は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似するものであることから、当連結会計年度より、比較情報も含め記載を省略しております。
(注2)保有目的ごとの(1)営業投資有価証券、(2)投資有価証券に関する注記事項については、(有価証券関係)注記をご参照ください。
(注3)上表に含めていない営業投資有価証券及び投資有価証券
(単位:百万円)

区 分前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
営業投資有価証券に属するもの
非上場株式(*1)(*2)61,06070,361
非上場内国・外国債券(*3)(*4)1,271-
その他(*3)(*4)770-
投資有価証券に属するもの
非上場株式(*1)(*2)988800
その他(*5)(*6)412364

(*1)前連結会計年度末の「非上場株式」については、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められること、又は取引所若しくは店頭において取引されているが実際の売買事例が極めて少ないことから「(1)営業投資有価証券」「(2)投資有価証券」には含まれておりません。
(*2)当連結会計年度末の「非上場株式」については、市場価格がないため「(1)営業投資有価証券」及び「(2)投資有価証券」には含まれておりません。なお、これまで、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められる、又は取引所若しくは店頭において取引されているが実際の売買事例が極めて少ないとしていたその他の上場株式(TOKYO PRO Market及びTaipei Exchange(TPEx)のEmerging Stock Board(ESB)に上場している株式)は、時価算定会計基準等の適用に伴い、当連結会計年度の期首から時価を算定しており、「(1)営業投資有価証券」に含めて表示しております。
(*3)前連結会計年度末の営業投資有価証券に属するもののうち、「非上場内国・外国債券」及び「その他」については、市場価格がなく、かつ、将来キャッシュ・フローを見積もることなどができず、時価を把握することが極めて困難と認められることから「(2)営業投資有価証券」には含まれておりません。なお、「その他」は新株予約権等であります。
(*4)当連結会計年度末の営業投資有価証券に属するもののうち、「非上場内国・外国債券」及び「その他」については、時価算定会計基準等の適用に伴い、当連結会計年度の期首から時価を算定しており、「(1)営業投資有価証券」に含めて表示しております。
(*5)前連結会計年度末の投資有価証券に属するもののうち、「その他」は、他社ファンドへの出資であり、出資先のファンド財産が非上場株式など時価を把握することが極めて困難と認められるもので構成されているものであるため、「(2)投資有価証券」には含まれておりません。
(*6)当連結会計年度末の投資有価証券に属するもののうち、「その他」は、他社ファンドへの出資であります。当該出資は、連結貸借対照表に持分相当額を純額で計上しているため、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日)第24-16項を適用し、「(2)投資有価証券」には含めておりません。なお、当連結会計年度末における、当該出資に係る連結貸借対照表計上額の合計額は364百万円であります。
(注4)金銭債権の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円)

1年以内1年超
5年以内
5年超
10年以内
10年超
現金及び預金107,517---
合計107,517---

当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)

1年以内1年超
5年以内
5年超
10年以内
10年超
現金及び預金52,603---
合計52,603---

(注5)長期借入金の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円)

1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
長期借入金15100----
合計15100----

当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)

1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
長期借入金1343415---
合計1343415---

3.金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
金融商品の時価を、時価の算定に係るインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1の時価:観察可能な時価の算定に係るインプットのうち、活発な市場において形成される当該時価の算定の対象となる資産又は負債に関する相場価格により算定した時価
レベル2の時価:観察可能な時価の算定に係るインプットのうち、レベル1のインプット以外の時価の算定に係るインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:観察できない時価の算定に係るインプットを使用して算定した時価
時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類しております。
(1)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
区分時価
レベル1レベル2レベル3合計
営業投資有価証券14,2662093,34317,819
投資有価証券96,087--96,087
資産計110,3532093,343113,906

(2)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品以外の金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
区分時価
レベル1レベル2レベル3合計
長期借入金-183-183
負債計-183-183

(注1)時価の算定に用いた評価技法及び時価の算定に係るインプットの説明
営業投資有価証券
営業投資有価証券のうち、上場株式の時価は取引所の価格によっております。上場株式は活発な市場で取引されているため、その時価をレベル1の時価に分類しております。
また、営業投資有価証券のうち、TOKYO PRO Market及びTaipei Exchange(TPEx)のEmerging Stock Board(ESB)に上場している株式は、原則として、時価は取引所の価格によっており、これらの市場の流動性等を考慮し、レベル2の時価に分類しております(なお、上記のうち著しく流動性の低い一部の株式については、投資先企業の実情を勘案し、回収予想金額に基づき時価を算定しております。これは、主に観察できないインプットを用いて時価を算定していることから、レベル3に分類しております。)。
さらに、営業投資有価証券のうち、未上場投資先の新株予約権や新株予約権付社債等の株式以外の投資の時価については、類似会社の市場価格に基づく評価技法や、最終取引価格や種類株式の優先条件等を考慮した取引事例に基づく評価技法等により株主価値を算定しております。そして、オプション・プライシング・モデル等により、当該株主価値を各投資の時価に配分しております。これらは、主に観察できないインプットを用いて時価を算定していることから、レベル3に分類しております。
これらのレベル3に分類された営業投資有価証券の時価の算定に用いられた観察できないインプットは、主に評価倍率、非流動性ディスカウント、ボラティリティ、予想残存期間等であります。
投資有価証券
株式の時価は取引所の価格によっております。上場株式は活発な市場で取引されているため、その時価をレベル1の時価に分類しております。
長期借入金
長期借入金のうち、変動金利によるものは、短期間で市場金利を反映し、また、当社の信用状態は実行後大きく異なっていないことから、時価は帳簿価額と近似していると考えられるため、当該帳簿価額によっております。固定金利によるものは、一定の期間ごとに区分した当該長期借入金の元利金の合計額を同様の借入において想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。これらの長期借入金の時価は、レベル2の時価に分類しております。
(注2)時価をもって連結貸借対照表計上額とする金融資産及び金融負債のうちレベル3の時価に関する情報
(1)重要な観察できないインプットに関する定量的情報
区分評価技法重要な観察できないインプットインプットの範囲
営業投資有価証券類似会社の市場価格に基づく評価技法売上高倍率1.8倍~20.0倍
EBITDA倍率9.2倍~10.1倍
非流動性ディスカウント12.3%~29.6%
オプション・プライシング・モデルボラティリティ50.2%~105.8%
予想残存期間1.0年~5.0年

(*1) 上表では、当社グループが保有する未上場投資先の新株予約権や新株予約権付社債等の株式以外の投資の時価評価に関するインプットを記載しております。
(2)期首残高から期末残高への調整表
(単位:百万円)
営業投資有価証券
期首残高3,587
その他の包括利益に計上 (*1)△166
取得522
売却△20
未上場投資先の新株予約権や新株予約権付社債等から株式への転換△581
その他2
期末残高3,343

(*1) その他の包括利益に計上した金額(税効果考慮後)は、連結包括利益計算書の「その他有価証券評価差額金」に含まれております。
(3)時価の評価プロセスの説明
レベル3に分類した金融商品については、社内の時価算定の方針及び手続に従い、評価担当者がこれに沿って対象となる金融商品の性質、特性及びリスクを適切に反映できる評価技法を決定し、用いられた評価技法及びインプットの妥当性を確認のうえ、時価を算定及び分析しております。また、時価の算定結果については適切な責任者が承認しております。
(4)重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明
類似会社の市場価格に基づく評価技法において、類似会社の売上高倍率及びEBITDA倍率が著しく上昇(下落)した場合、営業投資有価証券の時価の著しい増加(減少)が生じます。一方で、非流動性ディスカウントが著しく上昇(下落)した場合、営業投資有価証券の時価の著しい減少(増加)が生じます。
また、オプション・プライシング・モデルにおいて、ボラティリティ及び予想残存期間が著しく上昇(下落)した場合、オプション価値の著しい増加(減少)が生じ、結果として営業投資有価証券の時価が変動します。なお、ボラティリティや予想残存期間、非流動性ディスカウント等のインプットは、各々が必ずしも独立したものではなく、これらの間の相関関係は、複数の組み合わせがあり、営業投資有価証券の時価もその組み合わせにより増加又は減少します。