有価証券報告書-第55期(2022/04/01-2023/03/31)
3.重要な会計方針
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、他の記載がない限り、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しております。従来の子会社に対する持分を保持する場合には、その持分は支配喪失日の公正価値で測定します。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しております。
関連会社に対する投資は、取得時に取引コストを含む取得原価で認識されております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれん相当額が含まれております。また、重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
持分法適用会社の会計方針は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、投資先に対する当社グループの持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で控除しております。
損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、その投資の帳簿価額をゼロまで減額し、当社グループが被投資企業に代わって債務を負担し又は支払いを行う場合を除き、それ以上の損失は認識しておりません。
(2) 企業結合
当社グループは、取得法に基づき企業結合の会計処理をしております。非支配持分は、取得日における被取得企業の識別可能純資産に対する比例的持分で当初測定しております。
支払対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額及び段階取得の場合における取得企業が以前より保有していた被取得企業に対する持分の支配獲得日の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額(通常、公正価値)を上回る場合に、その超過額をのれんとして認識しております。一方、この対価の総額が、識別可能資産及び引受負債の正味価額を下回る場合、その差額を利得として純損益に認識しております。
企業結合に関連して発生した取得費用は、負債性金融商品及び資本性金融商品の発行費用を除き、発生時に費用として処理しております。
企業結合の当初の会計処理が期末日までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で計上しております。取得日時点で存在し、なおかつそれを知っていたならば取得日で認識した金額の測定に影響したであろう事実及び状況に関する情報を、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報により資産と負債の追加での認識が発生する場合があります。測定期間は最長で1年間であります。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートでグループ企業の各機能通貨に換算しております。
外貨建貨幣性資産・負債は、報告日の為替レートで機能通貨に換算しております。外貨建の公正価値で測定される非貨幣性資産・負債は、その公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しております。外貨建の取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートで換算しております。換算及び決済により生じる換算差額は、純損益で認識しております。
ただし、以下の項目の換算により発生する為替換算差額は、その他の包括利益で認識しております。
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定する区分に指定された資本性金融資産に対する投資
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産・負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含め、報告日の為替レートで表示通貨に換算しております。在外営業活動体の売上高及び費用は、期間中の為替レートが著しく変動していない限り、対応する期間の平均為替レートで表示通貨に換算しております。為替換算差額はその他の包括利益で認識し、為替換算差額を非支配持分に配分している部分を除き、為替換算調整勘定に累積しております。在外営業活動体の一部又はすべてを処分し、支配、重要な影響力又は共同支配を喪失する場合には、その在外営業活動体に関連する為替換算調整勘定の累積金額を、処分に係る利得又は損失の一部として純損益に組み替えております。当社グループが、子会社の持分を部分的に処分するものの、支配は保持する場合、累積金額のうち処分した部分に相当する金額を非支配持分に再配分しております。また、当社グループが、重要な影響力を保持する一方で、関連会社を部分的にのみ処分する場合には、累積金額のうち処分した部分に相当する金額を純損益に組み替えております。
(4) 金融商品
金融商品は、当社グループが金融商品の契約当事者となった日に認識しております。なお、通常の方法で購入した金融資産は取引日において認識しております。
① 非デリバティブ金融資産
金融資産はその当初認識時に、金融資産の管理に関する事業モデル及び金融資産の契約上のキャッシュ・フローの両方に基づき、償却原価で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、認識を中止しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しております。また、当初認識後は実効金利法を適用した総額の帳簿価額から減損損失を控除しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
公正価値で測定する金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されたもの以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産には、資本性金融資産及び負債性金融資産が含まれております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する取引コストは、発生時に純損益で認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する負債性金融資産のうち、次の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するため、及び売却するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産は、当初認識時に、公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、利息、為替差損益及び減損損失は、純損益として認識し、これらを除いた公正価値の変動額をその他の包括利益として認識しております。
また、売買目的ではない資本性金融資産への投資については、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行い、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産は、当初認識時に、公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合(もしくは公正価値が著しく低下した場合)にその累積額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えておりません。なお、配当については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて純損益として認識しております。
② 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産については、報告期間の末日ごとに、当該資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを判定しております。著しく信用リスクが増加している場合には、全期間の予想信用損失と同額の貸倒引当金を認識し、著しい信用リスクの増加が認められない場合には、12か月の予想信用損失と同額の貸倒引当金を認識しております。
ただし、営業債権、契約資産及びリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、全期間の予想信用損失と同額で貸倒引当金を認識しております。
金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増加しているか否かを判定する際、及び予想信用損失を見積もる際に、当社は、過度のコストや労力をかけずに入手可能で、目的適合性があり合理的で裏付け可能な関連情報を考慮しております。これには、当社の過去の経験や十分な情報に基づいた信用評価に基づく定量的情報と定性的情報及び分析が含まれ、将来予測的な情報も含まれております。
当社は、金融資産が30日超期日超過している場合にその信用リスクが著しく増加しているとみなしております。
金融資産の信用減損を示す客観的証拠としては、債務者による支払不履行又は滞納、当社グループが債務者に対して、そのような状況でなければ実施しなかったであろう条件で行った債権の回収期限の延長、債務者又は発行企業が破産する兆候等が挙げられます。なお、貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。
③ 非デリバティブ金融負債
当初認識時には公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しております。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しております。
金融負債は、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し又は失効となったときに認識を中止しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループでは、為替変動リスクをヘッジするために、先物為替予約取引のデリバティブ取引を行っております。
当社グループでは、ヘッジの開始時においてヘッジ関係並びにヘッジの実施についてのリスク管理目的及び戦略の公式な指定及び文書化を行っております。当該文書にはヘッジ手段の特定、ヘッジの対象となる項目又は取引、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺するに際してのヘッジ手段の有効性の評価方法が含まれております。また、当社グループでは、これらのヘッジについて、ヘッジされたリスクに起因する公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し極めて有効であると見込んでおります。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は次のとおり処理しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値変動のうち有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識しております。デリバティブの公正価値の変動のうちの非有効部分は、即時に純損益に認識されます。
その他の包括利益に認識した金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える会計期間においてその他の資本の構成要素から純損益に振り替えております。ただし、予定取引のヘッジがその後において非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益に認識した金額を当該非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジ比率を調整してもなお、ヘッジの適格要件を満たさなくなった場合には、ヘッジ会計を将来に向けて中止しております。予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、その他の包括利益として認識した金額は、即時にその他の資本の構成要素から純損益に振り替えております。
⑤ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済する又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合に、相殺して純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で測定しております。取得原価には、購入原価、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストのすべてを含んでおり、原価の算定にあたっては、商品については主として個別法を用いております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額であります。
(7) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、資産の解体及び除去費用、原状回復費用の当初見積額、並びに資産計上の要件を満たす借入コストが含まれております。有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計上しております。
② 取得後の支出
有形固定資産の取得後に発生した支出のうち、通常の修繕及び維持については発生時に費用として処理し、主要な取替及び改良に係る支出については、その支出により将来当社グループに経済的便益がもたらされることが見込まれる場合に限り資産計上しております。
③ 減価償却
土地、建設仮勘定以外の有形固定資産は、使用が可能となった時点から、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で減価償却しております。主要な有形固定資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
建物及び構築物 :2~50年
工具、器具及び備品 :2~15年
なお、減価償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは償却を行わず、事業を行う地域及び事業の種類に基づいて識別された資産、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識されますが、戻入れは行っておりません。
当初認識後、のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
② 無形資産
無形資産については、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産の取得原価は企業結合日の公正価値で測定しております。
内部発生の研究費用は発生時に費用として認識しております。
内部発生の開発費用は信頼性をもって測定可能で、技術的かつ商業的に実現可能であり、将来的に経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資質を有している場合にのみ、上記の認識条件のすべてを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計額を無形資産として資産計上しております。
事後的な支出は、その支出に関連する特定の資産に伴う将来の経済的便益を増加させる場合にのみ資産計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主要な無形資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
・ソフトウェア : 3~5年
・その他無形資産 : 5~20年
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎年同時期に、加えて減損の兆候が存在する場合にはその資産の回収可能価額を見積っております。
なお、償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(9) リース
当社グループは、契約の締結時に契約がリースであるか又はリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでおります。契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転するか否かを評価するために、当社グループはIFRS第16号「リース」におけるリースの定義を用いております。
(借手)
当社グループは、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識しております。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定しております。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しております。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しております。さらに、使用権資産は、該当ある場合、減損損失により減額され、リース負債の特定の再測定について調整されております。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しております。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いており、一般的に、当社グループは追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債の測定に含めるリース料総額は、以下で構成されております。
・固定リース料(実質的な固定リース料を含む)
・指数又はレートに基づいて算定される変動リース料。当初測定には開始日現在の指数又はレートを用いる
・残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額
・当社グループが行使することが合理的に確実である場合の購入オプションの行使価格、延長オプションを行使することが合理的に確実である場合のオプション期間のリース料、及びリースの早期解約に対するペナルティの支払額(当社グループが早期解約しないことが合理的に確実な場合を除く)
リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しております。指数又はレートの変動により将来のリース料が変動した場合、残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の見積りが変動した場合、又は購入、延長、あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債は再測定されております。このようにリース負債を再測定する場合、対応する修正は使用権資産の帳簿価額を修正するか、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には損益として認識しております。
短期リース及び少額資産のリース
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及びIT機器のリースを含む少額資産のリースについて、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(貸手)
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類しております。それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しております。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類しております。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討しております。
契約がリース要素と非リース要素を含む場合、当社グループは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用して契約における対価を按分しております。
当社グループは、オペレーティング・リースによるリース料をリース期間にわたり定額法により収益として認識し、「売上高」に含めて表示しております。
(10) 減損
棚卸資産、繰延税金資産及び売却目的で保有する非流動資産を除く非金融資産については、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。
減損の兆候が存在する場合には、個別の資産又は資金生成単位ごとの回収可能価額を測定しております。なお、のれん、未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎期同時期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。
減損テストにおいて、資産は、継続的な使用により他の資産又は資金生成単位のキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループに集約しております。企業結合から生じたのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で算定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。
個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には純損益にて減損損失を認識し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失は、減損損失がもはや存在しないか又は減少している可能性を示す兆候が存在する場合に当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が減損処理後の帳簿価額を上回った場合には減損損失の戻入れを行っております。なお、減損損失の戻入れは過去の期間において当該資産に認識した減損損失がなかった場合の帳簿価額を超えない範囲を上限として回収可能価額と帳簿価額との差額を純損益にて認識しております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を採用しております。
(a) 確定給付制度
退職後給付制度のうち、確定拠出制度(下記(b)参照)以外のものを確定給付制度としております。確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額を負債又は資産として認識しております。確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した決算日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
勤務費用及び確定給付負債の純額に係る利息純額は、純損益にて認識しております。
確定給付制度の再測定により発生した増減額は、発生した期においてその他の包括利益に一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。また過去勤務費用は発生時に全額純損益に認識しております。
(b) 確定拠出制度
退職後給付制度のうち、一定の掛金を他の独立した事業体に支払い、その拠出額以上の支払いについて法的債務又は推定的債務を負わないものを、確定拠出制度としております。
確定拠出制度については、当該制度の支払うべき拠出額を、従業員が関連する勤務を提供したときに費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算を行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(12) 株式に基づく報酬
① 持分決済型のストック・オプション制度
当社グループは、当社の取締役(除く社外取締役)及び執行役員に対する報酬制度として、持分決済型のストッ
ク・オプション制度を採用しておりました。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、過年度に費用として認識し、同額
を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラ
ック・ショールズ・モデル等を用いて算定しております。
② 譲渡制限付株式報酬制度
当社グループは、株式報酬制度として、譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
譲渡制限付株式報酬制度では、受領したサービスの対価を付与日における当社株式の公正価値で測定しており、算定されたサービスの対価は権利確定期間にわたって費用と資本を認識しております。
(13) 引当金
引当金の計算は、決算日における将来の経済的便益の流出金額に関する最善の見積りに基づいて行っております。見積りに使用した仮定と異なる結果が生じることにより、翌年度以降の連結財務諸表において引当金の金額に重要な修正を行う可能性があります。当社グループが計上している引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期は次のとおりであります。
① 工事損失引当金
当社グループは、顧客との契約に係る損益の発生状況を継続的にモニタリングしております。顧客との契約による義務を履行するための見積総原価が、契約金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額について信頼性のある見積りができる場合は、当該契約の進捗状況や将来の損益見込みを検討し、将来の損失見込額を工事損失引当金として認識しております。
工事損失引当金を認識するためには、請負契約等の総原価を受注時に合理的に見積り、着手後には適時かつ適切に総原価の見直しを行う必要があります。請負契約等は顧客要望によって仕様が異なる等、開発内容に個別性があります。また、着手後に新たに判明した事実や状況変化により、作業内容の変更や工数の見直しが必要となる場合があります。これらの開発内容の個別性や事実及び状況変化により、総原価の見積りには不確実性が伴います。総原価の見積りは、開発内容に応じた作業内容や工数等、一定のデータ及び仮定を用いた原価積算方法に基づき行われますが、経営者のこれらに対する判断が、総原価の見積りに重要な影響を及ぼします。
なお、経済的便益の流出が予測される時期は、契約の進捗等により影響を受けますが、この債務の大部分は翌連結会計年度中に実現すると見込んでおります。
② 資産除去債務
資産除去債務は、資産の解体・除去費用、原状回復費用、並びに資産を使用した結果生じる支出に関して引当金を認識するとともに、当該資産の取得原価に加算しております。将来の見積費用及び適用された割引率は毎年見直され、修正が必要と判断された場合は会計上の見積りの変更として処理しております。
(14) 資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しており、自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失を純損益として認識しておりません。なお、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
③ 配当金
当社の株主に対する配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(15) 売上高
当社グループは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下「IFRS第15号」)の範囲に含まれる取引について、次の5ステップを適用することにより売上高を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)売上高を認識する。
顧客との契約における別個の履行義務の特定
当社グループは、システム開発及び保守運用・サービスの提供、並びにシステム販売に関する顧客との契約から売上高を認識しております。これらの契約から当社グループは別個の約束された財又はサービス(履行義務等)を特定し、それらの履行義務に対応して売上高を配分しております。
当社グループは、約束された財又はサービスが別個のものである場合、すなわち、財又はサービスを顧客に移転するという約束が契約のなかの他の約束と区分して識別可能であり、かつ、顧客がその財又はサービスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができる場合は、区分して会計処理しております。
具体的には、ソフトウェア販売とその後の保守サービス、あるいはハードウェア販売とその付帯サービスなどのように複数の財又はサービスが一つの契約に含まれるものについて、以下の要件を共に満たす場合には、別個の履行義務として識別しております。
・顧客に約束している財又はサービスは、顧客がその財又はサービスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができる(すなわち、当該財又はサービスが別個のものとなり得る)。
・財又はサービスを顧客に移転する企業の約束が契約の他の約束と区分して識別可能である(すなわち、当該財又はサービスが契約の観点において別個のものである)。
取引価格の算定
当社グループは、取引価格を顧客との契約に示されている対価に基づいて測定し、第三者のために回収する金額は除いております。また、取引価格を算定するにあたり、変動対価、変動対価の見積りの制限、契約における重大な金融要素の存在、現金以外の対価及び顧客に支払われる対価からの影響を考慮しております。
当社グループは、顧客から受け取る対価が事後的に変動する可能性がある場合には、変動対価を見積り、売上高に含めて処理しております。なお、変動対価を見積る場合、その不確実性が解消される際に認識した売上高の累計額に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い部分に限り取引価格に含めております。
契約が金融要素を含んでいるかどうか、及び金融要素が契約にとって重大であるかどうかを評価する際には約束した対価の金額と約束した財又はサービスの現金販売価格との差額、約束した財又はサービスを顧客に移転する時点と、顧客が当該財又はサービスに対して支払いを行う時点との間の予想される期間の長さ、関連性のある市場での実勢金利を考慮し判断しております。なお、当社グループでは、契約開始時点で、財又はサービスを顧客に移転する時点と、顧客が支払いを行う時点との間が1年以内であると見込まれるため、実務上の便法を使用し、重大な金融要素の調整は行っておりません。
取引価格の履行義務への配分
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転するのと交換に権利を得ると見込んでいる対価の金額を描写する金額で取引価格をそれぞれの履行義務へ配分しております。取引価格をそれぞれの履行義務に独立販売価格の比率で配分するため、契約におけるそれぞれの履行義務の基礎となる別個の財又はサービスの契約開始時の独立販売価格を算定し、取引価格を当該独立販売価格に比例して配分しております。独立販売価格が直接的に観察可能ではない場合には、独立販売価格を以下の方法により見積っております。
・システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約については、主に予想コストにマージンを加算するアプローチに基づき独立販売価格を見積っております。
・システム販売に関する顧客との契約については、主に調整後市場評価アプローチに基づき独立販売価格を見積っております。
履行義務の充足
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足したときに、又は一定期間にわたり履行義務を充足するにつれて、売上高を認識しております。財又はサービスに対する支配を一定の期間にわたり移転し履行義務を充足する場合とは、以下のいずれかに該当する場合であり、売上高を一定期間にわたり認識しております。
(a) 当社グループの履行によって提供される便益を、履行するにつれて同時に受け取って消費する
(b) 履行が資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価につれてそれを支配する
(c) 履行が他に転用できる資産を創出せず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制可能な権利を有している
上記以外の場合には、資産に対する支配が顧客に移転したと判断した一時点で売上高を認識しております。
財又はサービスの種類ごとの履行義務及び売上高の測定方法
(システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約)
システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約の主な内容は、ITコンサルティング、基幹系システム等のシステム開発、専用データセンターの構築・運営管理、通信ネットワークシステムの保守・運用サービス、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、BPOサービス等であります。
上記サービスの提供は、通常、(a) 顧客が、当社グループの履行によって提供される便益を、当社グループが履行するにつれて同時に受け取って消費する、(b) 当社グループの履行が、資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価につれてそれを支配する、又は、(c) 当社グループの履行が、当社グループが他に転用できる資産を創出せず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制可能な権利を有している場合のいずれかに該当するため、一定の期間にわたり充足される履行義務と判断しております。サービスの提供の売上高は、履行義務の完全な充足に向けた進捗度を合理的に測定できる場合は進捗度の測定に基づいて、進捗度を合理的に測定できない場合は履行義務の結果を合理的に測定できるようになるまで発生したコストの範囲で、認識しております。対価の回収に関して重要な不確実性が認められる場合は、売上高を認識しておりません。
請負等のシステム開発のうち、一定の要件を満たす契約(以下、「請負契約等」)は、見積総原価に対する連結会計年度末までの発生原価の割合で進捗度を測定する方法に基づいて売上高を認識しております。
請負契約等は顧客要望によって仕様が異なる等、開発内容に個別性があります。また、着手後に新たに判明した事実や状況変化により、作業内容の変更や工数の見直しが必要となる場合があります。これらの開発内容の個別性や事実及び状況変化により、総原価の見積りは不確実性が伴っております。総原価の見積りは、開発内容に応じた作業内容や工数等、一定のデータ及び仮定を用いた原価積算方法に基づき行われますが、経営者のこれらに対する判断が、総原価の見積りに重要な影響を及ぼします。なお、総原価の見積りに変更が生じた場合は、当該変更に伴う累積的影響額を、見積りの変更が生じた連結会計年度に純損益で認識しております。
上記以外のシステム開発及び継続して役務の提供を行う保守運用・サービスの提供に関する契約は、原則としてサービスが提供される期間に対する提供済期間の割合で進捗度を測定する方法に基づいて売上高を認識しております。単位あたりで課金されるサービスは、サービスの提供が完了し、請求可能となった時点で売上高を認識しております。
システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約に係る請求書は契約条件に従い発行しており、支払期限は通常請求書発行月の翌月末であります。
(システム販売に関する顧客との契約)
システム販売に関する顧客との契約の主な内容は、ハードウェア(各種サーバー、クライアント機器、ストレージ機器、通信ネットワーク関連機器)、パッケージ・ソフトウェア等の販売であります。
当社グループは、これらに係る契約について財やサービスに対する支配が顧客に移転したと判断した時点で売上高を認識しております。支配が顧客へ移転した時点を決定するにあたり、(a) 資産に対する支払いを受ける権利を有している、(b) 顧客が資産に対する法的所有権を有している、(c) 資産の物理的占有を移転した、(d) 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクと経済価値を有している、(e) 顧客が資産を検収しているか否か等を考慮しております。一般的に、支配の顧客への移転の時期は顧客の検収に対応しております。各種サーバー、ネットワーク機器など、据付等のサービスを要するハードウェアの販売による売上高は、原則として、顧客の検収時に認識しております。それ以外の標準的なハードウェアの販売による売上高は、原則として、当該ハードウェアに対する支配が顧客に移転する引渡時に認識しております。システム販売に関する顧客との契約に係る請求書は契約条件に従い発行しており、支払期限は通常請求書発行月の翌月末であります。
代理人取引
当社グループが商品又はサービスを顧客に移転する前に、当該商品又はサービスを支配している場合には、本人取引として売上高を総額で認識し、支配していない場合や当社グループの履行義務が商品又はサービスの提供を手配することである場合には代理人取引として売上高を純額(手数料相当額)で認識しております。
契約資産及び契約負債
契約資産は、顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件付きの権利であります。
契約負債は顧客に財又はサービスを移転する義務のうち、企業が顧客から対価を受け取っている、又は対価の金額の期限が到来しているものであります。
当社グループでは、請負契約等の対価に対して契約資産を計上しております。契約資産は、支払に対する権利が無条件になった時点で営業債権に振り替えられております。また、請負契約等に基づいて受領した契約時の一時金を契約負債として計上しております。契約負債は、履行義務の充足に関する進捗度の測定方法に従い、予想される契約時間等の一定期間にわたり売上高として認識しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、デリバティブ利益(その他の包括利益で認識されるヘッジ手段に係る利益を除く)等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
金融費用は、支払利息、デリバティブ損失(その他の包括利益で認識されるヘッジ手段に係る損失を除く)等から構成されております。支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金と繰延税金の合計として表示しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付の見積りに、前年までの未払法人所得税及び未収法人所得税を調整しております。未払法人所得税又は未収法人所得税の金額は、法人所得税に関連する不確実性(該当ある場合)を反映した、支払う、又は受け取ると見込まれる税金金額の最善の見積りによるものであります。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、当期の純損益にて認識しております。未収法人所得税及び未払法人所得税は、特定の要件を満たす場合に相殺しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額の差額である一時差異並びに繰越欠損金に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、それらを利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識しております。
なお、企業結合ではなく、取引時に会計上の利益にも課税所得にも影響しない取引における当初認識から生じる一時差異については、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。また、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を認識しておりません。
子会社、支店、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来加算一時差異については、繰延税金負債を認識しております。ただし、一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合には認識しておりません。また、子会社、支店、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来減算一時差異については、一時差異が予測し得る期間内に解消し、かつ課税所得を稼得する可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課される法人所得税に関するものである場合に相殺しております。
(18) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在的普通株式による影響を調整して算定しております。
(19) 借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を要する資産に関して、その資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。その他の借入コストはすべて、発生した期間に費用として認識しております。
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、他の記載がない限り、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しております。従来の子会社に対する持分を保持する場合には、その持分は支配喪失日の公正価値で測定します。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しております。
関連会社に対する投資は、取得時に取引コストを含む取得原価で認識されております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれん相当額が含まれております。また、重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
持分法適用会社の会計方針は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、投資先に対する当社グループの持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で控除しております。
損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、その投資の帳簿価額をゼロまで減額し、当社グループが被投資企業に代わって債務を負担し又は支払いを行う場合を除き、それ以上の損失は認識しておりません。
(2) 企業結合
当社グループは、取得法に基づき企業結合の会計処理をしております。非支配持分は、取得日における被取得企業の識別可能純資産に対する比例的持分で当初測定しております。
支払対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額及び段階取得の場合における取得企業が以前より保有していた被取得企業に対する持分の支配獲得日の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額(通常、公正価値)を上回る場合に、その超過額をのれんとして認識しております。一方、この対価の総額が、識別可能資産及び引受負債の正味価額を下回る場合、その差額を利得として純損益に認識しております。
企業結合に関連して発生した取得費用は、負債性金融商品及び資本性金融商品の発行費用を除き、発生時に費用として処理しております。
企業結合の当初の会計処理が期末日までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で計上しております。取得日時点で存在し、なおかつそれを知っていたならば取得日で認識した金額の測定に影響したであろう事実及び状況に関する情報を、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報により資産と負債の追加での認識が発生する場合があります。測定期間は最長で1年間であります。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートでグループ企業の各機能通貨に換算しております。
外貨建貨幣性資産・負債は、報告日の為替レートで機能通貨に換算しております。外貨建の公正価値で測定される非貨幣性資産・負債は、その公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しております。外貨建の取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートで換算しております。換算及び決済により生じる換算差額は、純損益で認識しております。
ただし、以下の項目の換算により発生する為替換算差額は、その他の包括利益で認識しております。
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定する区分に指定された資本性金融資産に対する投資
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産・負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含め、報告日の為替レートで表示通貨に換算しております。在外営業活動体の売上高及び費用は、期間中の為替レートが著しく変動していない限り、対応する期間の平均為替レートで表示通貨に換算しております。為替換算差額はその他の包括利益で認識し、為替換算差額を非支配持分に配分している部分を除き、為替換算調整勘定に累積しております。在外営業活動体の一部又はすべてを処分し、支配、重要な影響力又は共同支配を喪失する場合には、その在外営業活動体に関連する為替換算調整勘定の累積金額を、処分に係る利得又は損失の一部として純損益に組み替えております。当社グループが、子会社の持分を部分的に処分するものの、支配は保持する場合、累積金額のうち処分した部分に相当する金額を非支配持分に再配分しております。また、当社グループが、重要な影響力を保持する一方で、関連会社を部分的にのみ処分する場合には、累積金額のうち処分した部分に相当する金額を純損益に組み替えております。
(4) 金融商品
金融商品は、当社グループが金融商品の契約当事者となった日に認識しております。なお、通常の方法で購入した金融資産は取引日において認識しております。
① 非デリバティブ金融資産
金融資産はその当初認識時に、金融資産の管理に関する事業モデル及び金融資産の契約上のキャッシュ・フローの両方に基づき、償却原価で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、認識を中止しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しております。また、当初認識後は実効金利法を適用した総額の帳簿価額から減損損失を控除しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
公正価値で測定する金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されたもの以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産には、資本性金融資産及び負債性金融資産が含まれております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する取引コストは、発生時に純損益で認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する負債性金融資産のうち、次の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するため、及び売却するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産は、当初認識時に、公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、利息、為替差損益及び減損損失は、純損益として認識し、これらを除いた公正価値の変動額をその他の包括利益として認識しております。
また、売買目的ではない資本性金融資産への投資については、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行い、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産は、当初認識時に、公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合(もしくは公正価値が著しく低下した場合)にその累積額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えておりません。なお、配当については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて純損益として認識しております。
② 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産については、報告期間の末日ごとに、当該資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを判定しております。著しく信用リスクが増加している場合には、全期間の予想信用損失と同額の貸倒引当金を認識し、著しい信用リスクの増加が認められない場合には、12か月の予想信用損失と同額の貸倒引当金を認識しております。
ただし、営業債権、契約資産及びリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、全期間の予想信用損失と同額で貸倒引当金を認識しております。
金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増加しているか否かを判定する際、及び予想信用損失を見積もる際に、当社は、過度のコストや労力をかけずに入手可能で、目的適合性があり合理的で裏付け可能な関連情報を考慮しております。これには、当社の過去の経験や十分な情報に基づいた信用評価に基づく定量的情報と定性的情報及び分析が含まれ、将来予測的な情報も含まれております。
当社は、金融資産が30日超期日超過している場合にその信用リスクが著しく増加しているとみなしております。
金融資産の信用減損を示す客観的証拠としては、債務者による支払不履行又は滞納、当社グループが債務者に対して、そのような状況でなければ実施しなかったであろう条件で行った債権の回収期限の延長、債務者又は発行企業が破産する兆候等が挙げられます。なお、貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。
③ 非デリバティブ金融負債
当初認識時には公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しております。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しております。
金融負債は、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し又は失効となったときに認識を中止しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループでは、為替変動リスクをヘッジするために、先物為替予約取引のデリバティブ取引を行っております。
当社グループでは、ヘッジの開始時においてヘッジ関係並びにヘッジの実施についてのリスク管理目的及び戦略の公式な指定及び文書化を行っております。当該文書にはヘッジ手段の特定、ヘッジの対象となる項目又は取引、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺するに際してのヘッジ手段の有効性の評価方法が含まれております。また、当社グループでは、これらのヘッジについて、ヘッジされたリスクに起因する公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し極めて有効であると見込んでおります。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は次のとおり処理しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値変動のうち有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識しております。デリバティブの公正価値の変動のうちの非有効部分は、即時に純損益に認識されます。
その他の包括利益に認識した金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える会計期間においてその他の資本の構成要素から純損益に振り替えております。ただし、予定取引のヘッジがその後において非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益に認識した金額を当該非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジ比率を調整してもなお、ヘッジの適格要件を満たさなくなった場合には、ヘッジ会計を将来に向けて中止しております。予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、その他の包括利益として認識した金額は、即時にその他の資本の構成要素から純損益に振り替えております。
⑤ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済する又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合に、相殺して純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で測定しております。取得原価には、購入原価、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストのすべてを含んでおり、原価の算定にあたっては、商品については主として個別法を用いております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額であります。
(7) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、資産の解体及び除去費用、原状回復費用の当初見積額、並びに資産計上の要件を満たす借入コストが含まれております。有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計上しております。
② 取得後の支出
有形固定資産の取得後に発生した支出のうち、通常の修繕及び維持については発生時に費用として処理し、主要な取替及び改良に係る支出については、その支出により将来当社グループに経済的便益がもたらされることが見込まれる場合に限り資産計上しております。
③ 減価償却
土地、建設仮勘定以外の有形固定資産は、使用が可能となった時点から、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で減価償却しております。主要な有形固定資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
建物及び構築物 :2~50年
工具、器具及び備品 :2~15年
なお、減価償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは償却を行わず、事業を行う地域及び事業の種類に基づいて識別された資産、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識されますが、戻入れは行っておりません。
当初認識後、のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
② 無形資産
無形資産については、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産の取得原価は企業結合日の公正価値で測定しております。
内部発生の研究費用は発生時に費用として認識しております。
内部発生の開発費用は信頼性をもって測定可能で、技術的かつ商業的に実現可能であり、将来的に経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資質を有している場合にのみ、上記の認識条件のすべてを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計額を無形資産として資産計上しております。
事後的な支出は、その支出に関連する特定の資産に伴う将来の経済的便益を増加させる場合にのみ資産計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主要な無形資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
・ソフトウェア : 3~5年
・その他無形資産 : 5~20年
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎年同時期に、加えて減損の兆候が存在する場合にはその資産の回収可能価額を見積っております。
なお、償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(9) リース
当社グループは、契約の締結時に契約がリースであるか又はリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでおります。契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転するか否かを評価するために、当社グループはIFRS第16号「リース」におけるリースの定義を用いております。
(借手)
当社グループは、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識しております。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定しております。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しております。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しております。さらに、使用権資産は、該当ある場合、減損損失により減額され、リース負債の特定の再測定について調整されております。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しております。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いており、一般的に、当社グループは追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債の測定に含めるリース料総額は、以下で構成されております。
・固定リース料(実質的な固定リース料を含む)
・指数又はレートに基づいて算定される変動リース料。当初測定には開始日現在の指数又はレートを用いる
・残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額
・当社グループが行使することが合理的に確実である場合の購入オプションの行使価格、延長オプションを行使することが合理的に確実である場合のオプション期間のリース料、及びリースの早期解約に対するペナルティの支払額(当社グループが早期解約しないことが合理的に確実な場合を除く)
リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しております。指数又はレートの変動により将来のリース料が変動した場合、残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の見積りが変動した場合、又は購入、延長、あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債は再測定されております。このようにリース負債を再測定する場合、対応する修正は使用権資産の帳簿価額を修正するか、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には損益として認識しております。
短期リース及び少額資産のリース
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及びIT機器のリースを含む少額資産のリースについて、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(貸手)
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類しております。それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しております。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類しております。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討しております。
契約がリース要素と非リース要素を含む場合、当社グループは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用して契約における対価を按分しております。
当社グループは、オペレーティング・リースによるリース料をリース期間にわたり定額法により収益として認識し、「売上高」に含めて表示しております。
(10) 減損
棚卸資産、繰延税金資産及び売却目的で保有する非流動資産を除く非金融資産については、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。
減損の兆候が存在する場合には、個別の資産又は資金生成単位ごとの回収可能価額を測定しております。なお、のれん、未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎期同時期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。
減損テストにおいて、資産は、継続的な使用により他の資産又は資金生成単位のキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループに集約しております。企業結合から生じたのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で算定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。
個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には純損益にて減損損失を認識し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失は、減損損失がもはや存在しないか又は減少している可能性を示す兆候が存在する場合に当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が減損処理後の帳簿価額を上回った場合には減損損失の戻入れを行っております。なお、減損損失の戻入れは過去の期間において当該資産に認識した減損損失がなかった場合の帳簿価額を超えない範囲を上限として回収可能価額と帳簿価額との差額を純損益にて認識しております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を採用しております。
(a) 確定給付制度
退職後給付制度のうち、確定拠出制度(下記(b)参照)以外のものを確定給付制度としております。確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額を負債又は資産として認識しております。確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した決算日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
勤務費用及び確定給付負債の純額に係る利息純額は、純損益にて認識しております。
確定給付制度の再測定により発生した増減額は、発生した期においてその他の包括利益に一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。また過去勤務費用は発生時に全額純損益に認識しております。
(b) 確定拠出制度
退職後給付制度のうち、一定の掛金を他の独立した事業体に支払い、その拠出額以上の支払いについて法的債務又は推定的債務を負わないものを、確定拠出制度としております。
確定拠出制度については、当該制度の支払うべき拠出額を、従業員が関連する勤務を提供したときに費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算を行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(12) 株式に基づく報酬
① 持分決済型のストック・オプション制度
当社グループは、当社の取締役(除く社外取締役)及び執行役員に対する報酬制度として、持分決済型のストッ
ク・オプション制度を採用しておりました。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、過年度に費用として認識し、同額
を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラ
ック・ショールズ・モデル等を用いて算定しております。
② 譲渡制限付株式報酬制度
当社グループは、株式報酬制度として、譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
譲渡制限付株式報酬制度では、受領したサービスの対価を付与日における当社株式の公正価値で測定しており、算定されたサービスの対価は権利確定期間にわたって費用と資本を認識しております。
(13) 引当金
引当金の計算は、決算日における将来の経済的便益の流出金額に関する最善の見積りに基づいて行っております。見積りに使用した仮定と異なる結果が生じることにより、翌年度以降の連結財務諸表において引当金の金額に重要な修正を行う可能性があります。当社グループが計上している引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期は次のとおりであります。
① 工事損失引当金
当社グループは、顧客との契約に係る損益の発生状況を継続的にモニタリングしております。顧客との契約による義務を履行するための見積総原価が、契約金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額について信頼性のある見積りができる場合は、当該契約の進捗状況や将来の損益見込みを検討し、将来の損失見込額を工事損失引当金として認識しております。
工事損失引当金を認識するためには、請負契約等の総原価を受注時に合理的に見積り、着手後には適時かつ適切に総原価の見直しを行う必要があります。請負契約等は顧客要望によって仕様が異なる等、開発内容に個別性があります。また、着手後に新たに判明した事実や状況変化により、作業内容の変更や工数の見直しが必要となる場合があります。これらの開発内容の個別性や事実及び状況変化により、総原価の見積りには不確実性が伴います。総原価の見積りは、開発内容に応じた作業内容や工数等、一定のデータ及び仮定を用いた原価積算方法に基づき行われますが、経営者のこれらに対する判断が、総原価の見積りに重要な影響を及ぼします。
なお、経済的便益の流出が予測される時期は、契約の進捗等により影響を受けますが、この債務の大部分は翌連結会計年度中に実現すると見込んでおります。
② 資産除去債務
資産除去債務は、資産の解体・除去費用、原状回復費用、並びに資産を使用した結果生じる支出に関して引当金を認識するとともに、当該資産の取得原価に加算しております。将来の見積費用及び適用された割引率は毎年見直され、修正が必要と判断された場合は会計上の見積りの変更として処理しております。
(14) 資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しており、自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失を純損益として認識しておりません。なお、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
③ 配当金
当社の株主に対する配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(15) 売上高
当社グループは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下「IFRS第15号」)の範囲に含まれる取引について、次の5ステップを適用することにより売上高を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)売上高を認識する。
顧客との契約における別個の履行義務の特定
当社グループは、システム開発及び保守運用・サービスの提供、並びにシステム販売に関する顧客との契約から売上高を認識しております。これらの契約から当社グループは別個の約束された財又はサービス(履行義務等)を特定し、それらの履行義務に対応して売上高を配分しております。
当社グループは、約束された財又はサービスが別個のものである場合、すなわち、財又はサービスを顧客に移転するという約束が契約のなかの他の約束と区分して識別可能であり、かつ、顧客がその財又はサービスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができる場合は、区分して会計処理しております。
具体的には、ソフトウェア販売とその後の保守サービス、あるいはハードウェア販売とその付帯サービスなどのように複数の財又はサービスが一つの契約に含まれるものについて、以下の要件を共に満たす場合には、別個の履行義務として識別しております。
・顧客に約束している財又はサービスは、顧客がその財又はサービスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができる(すなわち、当該財又はサービスが別個のものとなり得る)。
・財又はサービスを顧客に移転する企業の約束が契約の他の約束と区分して識別可能である(すなわち、当該財又はサービスが契約の観点において別個のものである)。
取引価格の算定
当社グループは、取引価格を顧客との契約に示されている対価に基づいて測定し、第三者のために回収する金額は除いております。また、取引価格を算定するにあたり、変動対価、変動対価の見積りの制限、契約における重大な金融要素の存在、現金以外の対価及び顧客に支払われる対価からの影響を考慮しております。
当社グループは、顧客から受け取る対価が事後的に変動する可能性がある場合には、変動対価を見積り、売上高に含めて処理しております。なお、変動対価を見積る場合、その不確実性が解消される際に認識した売上高の累計額に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い部分に限り取引価格に含めております。
契約が金融要素を含んでいるかどうか、及び金融要素が契約にとって重大であるかどうかを評価する際には約束した対価の金額と約束した財又はサービスの現金販売価格との差額、約束した財又はサービスを顧客に移転する時点と、顧客が当該財又はサービスに対して支払いを行う時点との間の予想される期間の長さ、関連性のある市場での実勢金利を考慮し判断しております。なお、当社グループでは、契約開始時点で、財又はサービスを顧客に移転する時点と、顧客が支払いを行う時点との間が1年以内であると見込まれるため、実務上の便法を使用し、重大な金融要素の調整は行っておりません。
取引価格の履行義務への配分
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転するのと交換に権利を得ると見込んでいる対価の金額を描写する金額で取引価格をそれぞれの履行義務へ配分しております。取引価格をそれぞれの履行義務に独立販売価格の比率で配分するため、契約におけるそれぞれの履行義務の基礎となる別個の財又はサービスの契約開始時の独立販売価格を算定し、取引価格を当該独立販売価格に比例して配分しております。独立販売価格が直接的に観察可能ではない場合には、独立販売価格を以下の方法により見積っております。
・システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約については、主に予想コストにマージンを加算するアプローチに基づき独立販売価格を見積っております。
・システム販売に関する顧客との契約については、主に調整後市場評価アプローチに基づき独立販売価格を見積っております。
履行義務の充足
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足したときに、又は一定期間にわたり履行義務を充足するにつれて、売上高を認識しております。財又はサービスに対する支配を一定の期間にわたり移転し履行義務を充足する場合とは、以下のいずれかに該当する場合であり、売上高を一定期間にわたり認識しております。
(a) 当社グループの履行によって提供される便益を、履行するにつれて同時に受け取って消費する
(b) 履行が資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価につれてそれを支配する
(c) 履行が他に転用できる資産を創出せず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制可能な権利を有している
上記以外の場合には、資産に対する支配が顧客に移転したと判断した一時点で売上高を認識しております。
財又はサービスの種類ごとの履行義務及び売上高の測定方法
(システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約)
システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約の主な内容は、ITコンサルティング、基幹系システム等のシステム開発、専用データセンターの構築・運営管理、通信ネットワークシステムの保守・運用サービス、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、BPOサービス等であります。
上記サービスの提供は、通常、(a) 顧客が、当社グループの履行によって提供される便益を、当社グループが履行するにつれて同時に受け取って消費する、(b) 当社グループの履行が、資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価につれてそれを支配する、又は、(c) 当社グループの履行が、当社グループが他に転用できる資産を創出せず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制可能な権利を有している場合のいずれかに該当するため、一定の期間にわたり充足される履行義務と判断しております。サービスの提供の売上高は、履行義務の完全な充足に向けた進捗度を合理的に測定できる場合は進捗度の測定に基づいて、進捗度を合理的に測定できない場合は履行義務の結果を合理的に測定できるようになるまで発生したコストの範囲で、認識しております。対価の回収に関して重要な不確実性が認められる場合は、売上高を認識しておりません。
請負等のシステム開発のうち、一定の要件を満たす契約(以下、「請負契約等」)は、見積総原価に対する連結会計年度末までの発生原価の割合で進捗度を測定する方法に基づいて売上高を認識しております。
請負契約等は顧客要望によって仕様が異なる等、開発内容に個別性があります。また、着手後に新たに判明した事実や状況変化により、作業内容の変更や工数の見直しが必要となる場合があります。これらの開発内容の個別性や事実及び状況変化により、総原価の見積りは不確実性が伴っております。総原価の見積りは、開発内容に応じた作業内容や工数等、一定のデータ及び仮定を用いた原価積算方法に基づき行われますが、経営者のこれらに対する判断が、総原価の見積りに重要な影響を及ぼします。なお、総原価の見積りに変更が生じた場合は、当該変更に伴う累積的影響額を、見積りの変更が生じた連結会計年度に純損益で認識しております。
上記以外のシステム開発及び継続して役務の提供を行う保守運用・サービスの提供に関する契約は、原則としてサービスが提供される期間に対する提供済期間の割合で進捗度を測定する方法に基づいて売上高を認識しております。単位あたりで課金されるサービスは、サービスの提供が完了し、請求可能となった時点で売上高を認識しております。
システム開発及び保守運用・サービスの提供に関する顧客との契約に係る請求書は契約条件に従い発行しており、支払期限は通常請求書発行月の翌月末であります。
(システム販売に関する顧客との契約)
システム販売に関する顧客との契約の主な内容は、ハードウェア(各種サーバー、クライアント機器、ストレージ機器、通信ネットワーク関連機器)、パッケージ・ソフトウェア等の販売であります。
当社グループは、これらに係る契約について財やサービスに対する支配が顧客に移転したと判断した時点で売上高を認識しております。支配が顧客へ移転した時点を決定するにあたり、(a) 資産に対する支払いを受ける権利を有している、(b) 顧客が資産に対する法的所有権を有している、(c) 資産の物理的占有を移転した、(d) 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクと経済価値を有している、(e) 顧客が資産を検収しているか否か等を考慮しております。一般的に、支配の顧客への移転の時期は顧客の検収に対応しております。各種サーバー、ネットワーク機器など、据付等のサービスを要するハードウェアの販売による売上高は、原則として、顧客の検収時に認識しております。それ以外の標準的なハードウェアの販売による売上高は、原則として、当該ハードウェアに対する支配が顧客に移転する引渡時に認識しております。システム販売に関する顧客との契約に係る請求書は契約条件に従い発行しており、支払期限は通常請求書発行月の翌月末であります。
代理人取引
当社グループが商品又はサービスを顧客に移転する前に、当該商品又はサービスを支配している場合には、本人取引として売上高を総額で認識し、支配していない場合や当社グループの履行義務が商品又はサービスの提供を手配することである場合には代理人取引として売上高を純額(手数料相当額)で認識しております。
契約資産及び契約負債
契約資産は、顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件付きの権利であります。
契約負債は顧客に財又はサービスを移転する義務のうち、企業が顧客から対価を受け取っている、又は対価の金額の期限が到来しているものであります。
当社グループでは、請負契約等の対価に対して契約資産を計上しております。契約資産は、支払に対する権利が無条件になった時点で営業債権に振り替えられております。また、請負契約等に基づいて受領した契約時の一時金を契約負債として計上しております。契約負債は、履行義務の充足に関する進捗度の測定方法に従い、予想される契約時間等の一定期間にわたり売上高として認識しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、デリバティブ利益(その他の包括利益で認識されるヘッジ手段に係る利益を除く)等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
金融費用は、支払利息、デリバティブ損失(その他の包括利益で認識されるヘッジ手段に係る損失を除く)等から構成されております。支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金と繰延税金の合計として表示しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付の見積りに、前年までの未払法人所得税及び未収法人所得税を調整しております。未払法人所得税又は未収法人所得税の金額は、法人所得税に関連する不確実性(該当ある場合)を反映した、支払う、又は受け取ると見込まれる税金金額の最善の見積りによるものであります。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、当期の純損益にて認識しております。未収法人所得税及び未払法人所得税は、特定の要件を満たす場合に相殺しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額の差額である一時差異並びに繰越欠損金に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、それらを利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識しております。
なお、企業結合ではなく、取引時に会計上の利益にも課税所得にも影響しない取引における当初認識から生じる一時差異については、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。また、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を認識しておりません。
子会社、支店、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来加算一時差異については、繰延税金負債を認識しております。ただし、一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合には認識しておりません。また、子会社、支店、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来減算一時差異については、一時差異が予測し得る期間内に解消し、かつ課税所得を稼得する可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課される法人所得税に関するものである場合に相殺しております。
(18) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在的普通株式による影響を調整して算定しております。
(19) 借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を要する資産に関して、その資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。その他の借入コストはすべて、発生した期間に費用として認識しております。