有価証券報告書-第50期(平成28年6月1日-平成29年5月31日)

【提出】
2017/08/25 11:45
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、一部に改善の遅れが見られるものの、企業の設備投資や雇用・所得環境の改善傾向が見られるなど、緩やかな回復基調が継続しました。世界経済も緩やかに回復する一方で、英国のEU離脱懸念や米国の政権交代に伴う海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動などから、先行きが不透明な状態で推移しました。
情報サービス産業を取り巻く環境につきましては、自動運転、IoT、ビックデータ、AIなどIT活用の多様化と企業収益の改善を背景として、堅調に推移しました。
こうした環境の中、当社は、「社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする中期経営計画(平成27年6月~平成30年5月)に基づき、IoT、自動車、環境・エネルギーをキーワードとし、次なる中核ビジネスに注力することと、継続的な発展のために人材へ重点投資することに取り組んでまいりました。注力分野としている自動車では、これまでも、制御システム事業部においては車載制御システム開発、組込システム事業部ではモバイル端末や車載情報システムの開発により関連する技術を長年蓄積しており、前期には、社内の技術を結集して先進運転支援システム(ADAS)分野の車載カメラシステム開発に参画しました。こうしたことから、当期より各事業部の自動車関連部門を結集して自動車システム事業部を新設し、自動車システム事業の拡大と自動運転に向けた技術者育成の強化に取り組んでおります。
また、これまでも継続してきたソフトウェアの要件定義から開発・運用・保守までをトータルにサービスすることで顧客に最大のメリットを提供するという基本方針については、各ビジネスユニットごとに目標と評価方法を明確にし、計画に従ったPDCAサイクルを回す取り組みも継続して推進しております。
経営成績につきましては、自動車システムの車載制御システムで作業量が増加したこと、産業・公共システムの駅務機器開発で大規模開発請負案件が計画通り検収されたことなどで堅調でしたが、自動車システムの車載情報システムで機種開発が収束したことなどにより、売上、営業利益、経常利益は前年を下回りました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、法人税等負担額の減少により、前年に比べて微増となりました。
こうした結果、売上高は5,567百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は407百万円(前年同期比4.2%減)、経常利益は464百万円(前年同期比3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は306百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
なお、当期は創立50周年となることから、記念配当を1株当たり15円とし株主の皆様に還元するとともに、社員につきましては更なるモチベーション向上を目的として通常の業績連動賞与のほかに特別賞与を支給することといたしました。また、当社グループは、コーポレートガバナンスの基本方針に基づきCSR(企業の社会的責任)の一環として寄付を毎年実施しており、2つの財団(公益財団法人SBI子ども希望財団、特定非営利活動法人日本紛争予防センター)に合計3百万円を寄付いたしました。今後も継続的に利益の一部を社会貢献に役立ててまいります。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(制御システム)
制御システムでは、エネルギー関連は、プラント制御用コントローラーシステムは横ばいで推移したものの、火力発電所向け監視・制御システムは作業量が減少しました。一方、電力広域システムで作業量が増加しましたが、エネルギー関連全体では、売上、利益とも概ね横ばいとなりました。
交通関連は、新幹線の運行管理システムは保守フェーズが継続し横ばいで推移しましたが、在来線の運行管理システムは請負開発の複数案件が検収されたことで、交通関連全体では、売上、利益とも前年を上回りました。
この結果、売上高は965百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は229百万円(前年同期比17.9%増)となりました。
(自動車システム)
自動車システムでは、車載情報システムは通信ミドルウェア開発が横ばいで推移したものの、機種開発が収束したため前年より体制を大きく縮小しました。一方、車載制御システムはエンジン制御、無段階変速機(CVT)制御とも作業量が増加しました。また、先進運転支援システムは車載カメラシステムや車載ネットワーク制御システムとも堅調に推移しました。こうしたことから自動車システム全体では、売上、利益とも前年を上回りました。
この結果、売上高は1,308百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は249百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
(特定情報システム)
特定情報システムでは、先進運転支援システムの画像認識システムは堅調に推移し、地理情報関連は横ばいで推移しました。一方、危機管理関連は方式設計業務でピークを過ぎ作業量が減少したことや、一部の案件で開発フェーズが終了し体制を縮小したことなどで、特定情報システム全体では、売上、利益とも前年を下回りました。
この結果、売上高は478百万円(前年同期比5.5%減)、セグメント利益は83百万円(前年同期比17.7%減)となりました。
(組込システム)
組込システムでは、ストレージデバイス開発は企業向けで新たにファームウェア検証を受注したことなどで作業量が増加したものの、コンシューマー向けやHDD開発は作業量が減少しました。医療向けシステムは堅調に推移し、先進運転支援システムの車載カメラ基盤システムは横ばいで推移しました。また、今期に受注した建設機械のIoT案件が順調に推移したことなどで、売上、利益とも前年を上回りました。
この結果、売上高は622百万円(前年同期比2.1%増)、セグメント利益は145百万円(前年同期比17.4%増)となりました。
(産業・公共システム)
産業・公共システムでは、駅務機器開発は第3四半期に大規模開発案件が検収され、ICカード開発は複数案件の開発が並走するなど堅調でした。準天頂衛星システムはピークアウトしたものの次案件の衛星システム開発がピークとなり体制を拡大、鉄道事業者向け保守支援システムは担当範囲を拡大するなど堅調に推移しました。一方、鉄道子会社向けのエンジニアリングサービスは作業量が減少したことで体制を縮小しました。
この結果、売上高は1,301百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は328百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
(ITサービス)
ITサービスでは、検証業務は戦略的に製品検証業務から構築業務に軸足を移しているため、売上、利益とも前年を下回りました。構築業務は堅調に推移し、保守・運用業務は会計システムで作業量が減少し体制を大きく縮小しましたが、その他は堅調に推移しました。
この結果、売上高は890百万円(前年同期比12.6%減)、セグメント利益は126百万円(前年同期比30.6%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ852百万円増加し、2,113百万円(前年同期比67.6%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、770百万円(前年同期は186百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益及び売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、266百万円(前年同期は433百万円の獲得)となりました。これは主に有価証券の償還によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、184百万円(前年同期は172百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。