有価証券報告書-第35期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/21 15:22
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149項目
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。 なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ経営
人口問題や気候変動、災害リスクの高まり等、社会を取り巻く環境の変化に加えて、IT・デジタルの普及によって企業活動から消費・生活スタイルまで社会トレンドも変化する中で、企業が対応しなければならない社会課題やニーズは複雑化・多様化しています。
当社グループは、この大きな変化の局面を更なる成長の機会と捉え、長期的な視点でサステナビリティ経営を推進していきます。
① ガバナンス
当社グループにおいて、サステナビリティを巡る課題は、取締役会で議論、戦略の方針を示したうえでモニタリングを実施しています。代表取締役社長のリーダーシップのもと、経営戦略の主管組織である事業戦略室及び関係主管組織とサステナビリティ経営推進部を中心に議論を行い、方針や目標、施策などを企画策定・実行するとともに、中期経営計画(2022~2025年度)で定めた各種計画の進捗について監督しています。また、当社グループが持続的に成長し続けることができるよう、長期的なサステナビリティを巡る課題に関する検討・議論を継続しています。
また、当社は社会課題やグローバルビジネスに見識を持つ企業経営者・学識専門家等5人で構成される「アドバイザリーボード」を設置しており、当社グループが抱える経営課題の解決や、グローバルビジネスの拡大に向けた取り組みについて、専門的な視点から助言を受けています。
外部有識者の知見を得ながら、今後の外部環境の変化に対応し、全社的なサステナビリティ推進に反映させていきます。
※ガバナンスの詳細は、「統合レポート」「サステナビリティレポート」「コーポレートガバナンス報告書」をご参照ください。
NTTデータ 統合レポート2022 : https://www.nttdata.com/jp/ja/ir/library/ar/
NTTデータ サステナビリティレポート2022 Databook : https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/
コーポレートガバナンス報告書 : https://www.nttdata.com/jp/ja/ir/library/ga/
■サステナビリティ経営推進体制

② 戦略
当社グループは、創立以来、「情報技術で新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、お客様や社会へのサービス提供に邁進することで事業を拡大してきました。2022年度からスタートした中期経営計画では、「Realizing a Sustainable Future」というスローガンのもと、未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことで、お客様とともにサステナブルな社会の実現をめざしています。
また中期経営計画において、社会環境及び事業環境が大きく変化し続ける現在の局面を、更なる成長の機会と捉え、より長期的な視点を持ったサステナビリティ経営を推進するために、以下の3つの軸を定め、9つのマテリアリティ(重要課題)を設定しました。
「Regenerating Ecosystems 未来に向けた地球環境の保全」
「Clients' Growth サステナブルな社会を支える企業の成長」
「Inclusive Society 誰もが健康で幸福に暮らせる社会の実現」
■中期経営計画でめざす姿

■サステナビリティ経営

■マテリアリティ

③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ経営を推進するため、事業に関わるリスクと機会を分析したうえで9つのマテリアリティを策定しています。サステナビリティ関連のリスクと機会を非財務指標として整理し、定量目標と主管組織を定めて、進捗状況をモニタリングしています。
全社的な視点での当社グループのリスクマネジメントについては、リスクマネジメントを統括・推進する役員及びリスクマネジメント部門を設置し、グループで連携したリスクマネジメント体制を整備しています。
当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」、気候変動におけるリスク管理の詳細については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」、人的資本に関するリスク管理の詳細については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本」をご参照ください。
④ 指標及び目標
9つのマテリアリティに関する指標や2022年度目標及び実績は以下のとおりです。
マテリアリティ指標2022年度
全社目標
2022年度
全社実績
共通サステナビリティ関連オファリング数非開示達成
Environment
Regenerating
Ecosystems
Carbon Neutrality社会やお客様の脱炭素に向けたイノベーションを創出し、気候変動問題の解決に貢献するCO2 削減量*2020年度対比30kt2020年度対比78kt(NTT Ltd.は含まず)
一般車両のEV化推進非開示達成
Circular Economyごみを減らし、製品やサービスの価値が循環し続ける社会を実現する廃棄物リサイクル率一般・産業廃棄物99%以上
建設廃棄物87%
一般・産業廃棄物99%
建設廃棄物95%
Nature Conservation自然資本の保全・回復によって、健全な地球環境を創出し、人々の豊かな生活に貢献する環境保全イニシアティブへの参加人数5,000人以上約9,000人
紙使用量2020年度比25%削減29%削減
Economy
Clients'
Growth
Smart X Co-
innovation
スマートでイノベーティブな社会の実現に向けて、様々な企業との共創により新しい価値を創出するB2B2X収益額非開示達成
Trusted Value Chainセキュリティやデータプライバシーを守り、安心安全でレジリエントな企業活動を実現するサイバー攻撃・サービス停止数*0件0件
重大な個人データ流失件数*0件2件
セキュリティインシデント発生数*0件0件
長時間故障件数非開示達成
倫理規範研修受講率100%99.5%
反競争的・贈収賄違反件数0件0件
重要なサプライヤとの直接対話実施率100%100%
Future of WorkパフォーマンスとEXを高める新しい働き方を提供し、社会全体の働き方改革を推進するリモートワーク率70%71.1%
社員満足度非開示達成
離職率非開示3.3%
Society
Inclusive
Society
Human Rights &DEI多様な人々が互いの人権を尊重し、活き活きと活躍する公平な社会の実現に取り組む女性新任管理職登用率30%27.6%
女性管理職比率15%(2025年度末まで)9.0%
女性役員比率25%(2025年度末まで)20.6%
外部人財採用率30%48.1%
人権及びDEIに関する研修受講率100%100%
確認された人権に関する違反0件2件
多様性向上に向けた情報発信52件以上72件
Digital Accessibility基本的ニーズへ誰もが等しくアクセスできるサービスを実現し、人々のQOL向上を実現する社会課題解決につながる社内ワークショップへの参加、または、社外支援活動等の参加率50%以上81.6%
Community Engagement地域社会の発展に向けた課題やニーズを理解し、暮らしを豊かにするサービスを提供する

*海外グループ会社含む
(2)気候変動
文中の将来に関する事項は、提出日時点において当社グループが判断したものです。
[当社グループにおける取り組み・体制等]
・当社グループにおける気候変動への取り組み
気候変動が世界的に深刻化し、世の中の脱炭素の動きも野心的な目標を掲げるフェーズから、CO2排出量の削減を実行するフェーズに移行しつつあります。
当社グループは、グローバル社会でのNet-Zeroに向けた要請の更なる高まりへ対応し、2020年度に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やBusiness Ambition for 1.5℃にも賛同しています。また、NTT DATA NET-ZERO Vision 2040にて、2035年には自社オペレーションでの直接・間接排出量(Scope1・2)を実質ゼロ、2040年にサプライチェーンを含めた排出量(Scope1~3)の実質ゼロをめざしています。
これまで、自社のサプライチェーンを通じた脱炭素の推進に加え、グリーンコンサルティングサービスや温室効果ガス排出量可視化プラットフォームの提供を通して、お客様の脱炭素実現の支援を本格化させてきました。
グローバルでお客様や社会のNet-Zeroに向けてグリーンイノベーションで貢献すべく、2022年3月に国際環境NGOであるCDPよりゴールド認定パートナー(気候変動コンサルティング&ソフトウェアパートナー)を受けており、2022年4月にはCDP Supply Chainプログラム Premiumメンバーとなり、CDPとともに社会全体のNet-Zeroに向けた活動を推進しています。2022年度のCDP気候変動調査においては、気候変動に対するガバナンス、戦略や先進的な取り組みへの透明性の高い情報開示が評価され、最高評価のAリスト企業に認定されました。
更に、ソフトウェアのCO2排出量の削減をめざすGreen Software Foundationに、Steering Member(運営メンバー)として加盟し、ソフトウェア開発におけるグリーン化のグローバルスタンダードの策定や啓発活動に取り組んでいます。
企業活動や事業が環境負荷に与える影響に対して責任を持つのはもちろんのこと、環境問題が当社グループの企業経営及び当社の提供する社会インフラを支える各種システムに与える影響を把握し、対策を講じることが重要だと認識しています。2040年Net-Zeroの実現に向けて、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンの温室効果ガス排出量削減のみならず、お客様や社会のグリーン化へ貢献します。
① ガバナンス(気候変動マネジメント体制)
気候変動に関する当社グループの取り組みを主導するため、2020年11月に気候変動アクション推進委員会(現グリーンイノベーション推進委員会)を設置しました。また、2021年10月には「グリーンイノベーション推進室」をグリーン専任組織として新設し、グリーンイノベーション推進委員会をリードしながら、当社グループ全体の取り組みを推進しています。
グリーンイノベーション推進委員会では、委員長である代表取締役副社長執行役員(当連結会計年度末現在)が、気候変動に関する取り組みの最高責任を負っています。2023年4月時点では、グリーンイノベーション推進委員会内に戦略に基づく主要な12のタスクフォースとその実行を支える分科会等を設置し、各タスクフォースでは、執行役員等がリーダーとして全社横断で関係者を含めた取り組みを推進しています。
取締役会はグリーンイノベーション推進委員会で協議した内容の報告を受け、重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定に加え、気候変動問題への実行計画等について監督を行っています。当社はサステナビリティに関して高い専門性を有した社外取締役を選任しており、気候変動対応に対しても、客観的かつ専門性を持った監督を実施しています。また、2022年度からは役員や社員の報酬と連動した気候変動関連のKPIも設定し、目標達成に対する社員や経営層の関与の深化を図っています。
2021年度より、内部統制推進委員会での全社リスクマネジメントにおいても、「気候変動」を重要リスクとして位置づけています。さらに、気候関連リスク・機会については、TCFDのフレームワークに沿った分析・評価を実施し、より長期の気候関連リスク・機会においての対策検討を進めています。
■気候変動ガバナンス体制

② 戦略(気候関連リスク及び機会に関する戦略)
当社グループは、以下⦅気候変動シナリオ分析の概要⦆記載のとおり気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握しています。その結果を中期経営計画(2022年度~2025年度)に取り込むことにより、サステナブルな社会の実現に向け、企業・業界の枠を超えた革新的なサービスの提供を一層推し進める戦略を遂行しています。
また、当社グループでは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し対応するため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、各部門とグループ会社にCRO・リスクマネジメント推進責任者を配置しています。年3回の内部統制推進委員会において、リスク低減に関する施策を討議するとともに、有効性に関する評価等を行い、その結果を取締役会に報告しています。
最高責任者の代表取締役副社長執行役員(当連結会計年度末現在)がグリーンイノベーション推進委員長及び環境保護推進委員長として、半期に一度、各々の会議体を通じ、全社リスクマネジメントの中で気候変動及び環境全般に関するリスク管理を行っています。また、リスクの内容と顕在化した際の影響、及びリスクへの対応策に関しては③リスク管理 表1(気候関連のリスク)をご参照ください。
⦅気候変動シナリオ分析の概要⦆
当社グループでは、気候変動に関する事業影響を把握し、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しています。具体的には、パリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと、現状予想される以上に気候変動対策が実施されない4℃シナリオを中心に分析を行っています。
1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が強化される一方、気候変動の物理的な影響は2022年3月末レベルにとどまり、それ以上の深刻な影響は発生しないと仮定しています。4℃シナリオでは、気候対策は2022年3月末レベルである一方、異常気象の激甚化等の気候変動の物理的な影響が生じると仮定しています。
分析の結果、当社グループでは、1.5℃シナリオによる持続可能な社会において、社会の移行に伴うリスクと機会の両方が影響すると考えています。それ以外のシナリオによる社会では、リスクの影響が大きくなる可能性が高いことが明らかとなりました。また、各シナリオによるリスク・機会は、それぞれの影響度・発生可能性等を考慮し、事業戦略へ反映しています。
2022年度には、上記に加えて、半年間にわたり、気候変動シナリオ分析のスコープ・時間軸の具体化によるグループ連結でのレジリエンス強化を図ることを目的とした当社グループ横断のシナリオ分析検討会を実施しました。事業部門、コーポレート部門、海外グループ会社等から選抜メンバーが参画し、外部動向調査・知見に基づく各種基礎データ等をインプットとした検討結果を、今後のサステナビリティ経営及び長期の経営戦略に反映することをめざしています。
※気候変動シナリオの詳細は、サステナビリティレポートをご参照ください。
NTTデータ サステナビリティレポート2022 Databook : https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/
③ リスク管理
[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]
・リスクと機会
当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。
気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を高・中高・中・低の4段階、発生可能性をほぼ確実・非常に高い・高い・低い、の4段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」のとおりです。
※各評価項目の詳細は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の注記参照
※「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の内容にNTT Ltd.連結拡大の影響を含まず
表1(気候関連のリスク)
項目カテゴリ
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期間

1
影響度※2発生可能性リスクの内容と顕在化した際の影響財務上の影響(想定)リスクへの対応策対策費投資額 ※3
リスク1「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク移行リスク
・ 評判
短期ほぼ確実気候変動への対応が遅れることで、海外ESG投資家や国内金融機関からの評価が下がる。仮に海外投資家と国内金融機関からの評価が下がり、株価時価総額が1%下落した場合の株価影響額として試算株価時価総額
(期末時点)
▲240億円
NTTデータグループのサプライチェーンを通じた脱炭素や、お客様・社会のグリーン化の対応加速に向けた専任組織としてグリーンイノベーション推進室を設置し、グリーンイノベーション推進委員会による活動を推進。グリーンイノベーション推進室による活動費・イノベーション投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上50億円
リスク2異常気象による災害リスク増加物理的リスク
・ 急性
短期中高ほぼ確実IPCC第6次報告書の地域毎リスクが高い場所にも拠点があり、ハザードマップ等から様々な対策を講じて、事業継続性を確保している。仮に、台風により、首都圏を中心とする主要なデータセンタの通信等が5日間ダウンした場合の売上影響額を試算売上影響
▲140億円
データセンタ・オフィス・通信等のBCPを最大限高めている。事業継続性のためのデータセンタ、リモートアクセス・メンテナンス環境等の増強・更改費用(2022年度〜2025年度累計)計上90億円
リスク3カーボンプライシングによるコスト増加移行リスク
・ 規制
長期中高ほぼ確実グローバル社会で2050年までのNet-Zero対応が社会的コンセンサスとなり、企業へも法令等による対応要請が高まる。2022年度〜2040年度までの残存排出量に対し、国際エネルギー機関IEAネットゼロシナリオのカーボンプライスを掛けてコスト影響額を試算
※2025年度~2035年度 累計 300億円
営業利益影響
▲70億円
※3
省エネによる炭素排出削減、再エネ導入による自社サプライチェーンの脱炭素化を推進。
省エネ対応・再エネ導入等への投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上
50億円

表2 (気候関連機会)
項目カテゴリ
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期間※1影響度
※2
発生可能性機会の内容と影響財務上の影響(想定)機会実現の対応策投資額 ※3
機会1サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加製品
・ サ
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ビス
短期非常に高いお客様の脱炭素の取り組みが加速し、各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大及び、技術革新によるデジタル技術適用の機会増加を想定。2025年度のサステナビリティ関連の新規オファリング創出による売上高を影響額として試算2025年度
売上影響
+2,000億円
社会全体や各企業における気候変動の適応と緩和等に貢献する技術開発やサステナビリティ関連オファリングの創出に向けた投資額を計上510億円
機会2サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加製品
・ サ
|
ビス
短期中高非常に高い各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大に伴い、コンサルティングサービスの機会増加を想定。当社全体のコンサルティング売上高のうち、サステナビリティ関連のビジネスが占める割合を想定し影響額を試算2025年度
売上影響
+400億円
サステナビリティ関連のコンサルティング人財創出・育成投資や関連する環境整備等コンサルティング強化施策に関連する投資を計上40億円
機会3レジリエントなクラウドへのニーズ増加製品
・ サ
|
ビス
短期非常に高い台風や局地的豪雨等の異常気象の増加に加え、脱炭素化要請の高まりから共同利用・機器集約による省エネや再生可能エネルギー導入等が進み、レジリエントかつ脱炭素に貢献するクラウドへの移行ニーズが増加すると想定。当社全体のクラウド関連売上の増分を影響額として試算2025年度
売上影響
+2,100億円
クラウド関連の技術開発やグローバルデリバリセンタ強化などのクラウド関連投資額を計上250億円

※1 期間の定義は以下のとおりです。
評価内容期間備考
短期〜2025年度まで2022年度に2025年度までの短期目標・削減計画を設定・策定済
中期~2030年度までSBT認定の2030年までの中期目標を設定済
長期~2040年度までNTT DATA Net-Zero Vision 2040として長期目標を設定済

※2 影響度の定義は以下のとおりです。
評価内容影響金額
売上高1,000億円以上、営業利益100億円以上、または株価影響100億円以上
中高売上高100億円以上~1,000億円未満、営業利益10億円以上〜100億円未満、または株価影響10億円以上~100億円未満
売上高10億円以上~100億円未満、営業利益1億円以上〜10億円未満、または株価影響1億円以上~10億円未満
売上高10億円未満、営業利益1億円未満、または株価影響1億円未満

※3 2022年度~2025年度の累計額
・資本配備
中期経営計画期間(2022年度~2025年度)における気候関連の対策費・投資額の予定は、「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の「対策費・投資額」のとおりです。(以下再掲)
項目対策費・投資額
リスク1「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク50億円
リスク2異常気象による災害リスク増加90億円
リスク3カーボンプライシングによるコスト増加50億円
機会1サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加510億円
機会2サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加40億円
機会3レジリエントなクラウドへのニーズ増加250億円
気候関連対策費・投資予定総額約990億円

※NTT Ltd.連結拡大の影響を含まず
④ 指標及び目標(気候関連リスク・機会の管理指標と目標)
気候関連のリスク管理及び機会実現の戦略のために、当社グループで定めている指標と目標はそれぞれ以下のとおりです。
指標カテゴリー指標・目標・実績等
温室効果ガス排出量(指標)Scope1~3の各排出量
(目標)温室効果ガス排出量の目標は以下のとおりです。
長期:2040年までにNet-Zero(Scope1~3)
中期:2030年までに2021年度比で次の削減を行う。
Scope1・2 68%減(SBT1.5℃レベル), Scope3 42%減
短期:2025年度までに2021年度比で次の削減を行う。
Scope1・2 50,000トン削減
(実績)2022年度の温室効果ガス排出量実績に関しては、統合レポートまたはサステナビリティレポートに掲載予定です。過去の実績に関しても、同様に掲載しております。
統合レポート
https://www.nttdata.com/jp/ja/ir/library/ar/
サステナビリティレポート Databookhttps://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/
移行リスクリスク・機会の財務上の影響(想定)及び対策費・投資額
物理的リスク
機会
資本配備
内部炭素価格内部炭素価格(2023年度):6,500円/トンCO2※NTTグループ統一価格(毎年更新予定)
報酬気候関連の役員報酬及び従業員賞与連動あり。
※監査等委員でない取締役に関しては、温室効果ガス排出量の削減計画を達成した場合に、5%の評価ウェイトにて報酬連動あり。
※従業員に関しては、気候変動対応等についての年間KPI目標の達成及びサステナビリティ貢献表彰制度等に応じた報酬連動あり。


(3)人的資本
① ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
[人財戦略―すべての戦略を支える「人財・組織力の最大化」]
技術の進化が著しいITサービス業界において、顧客ニーズや技術のトレンドを掴み、イノベーションを生み出し続けるためには、多様かつ優秀な人財が不可欠です。また、長期にわたる強固な顧客基盤から得たお客様業務ノウハウやアプリケーションノウハウは人と組織に蓄積されるため、人財は当社グループの競争力の源泉であり、最も重要な経営資源です。
Group Vision「Trusted Global Innovator(お客様から長期的に信頼されるパートナー)」にも示すとおり、当社グループは長期的な視点で、働く一人ひとりの多様性を尊重することによって、グローバルに通用する創造力を培い、刺激し、更に成長させていきます。
そのような考えから、2022年度~2025年度の中期経営計画においても、「人財・組織力の最大化」をサステナブルな社会を実現するための土台と位置付け、最優先で取り組むべきテーマとしています。
Foresight起点のビジネス構想力(コンサル人財)、先進技術活用力(テクノロジー人財)の向上により、顧客提供価値を高めるとともに、グループシナジーを発揮することで、真のグローバル企業をめざします。
■中期経営計画(2022~2025年度)戦略の全体像

[人財育成方針・DEI推進方針・社内環境整備方針(Best Place to Workの実現)]
当社グループは、高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力しており、社員の多様な専門性・志向に応じた育成体系及び幅広いコンテンツの整備に加え、コミュニティ学習を通じた共創や学びあうカルチャーの醸成を推進しています(Advanced Training)。
また、性別・国籍・性的指向・障がい・スキル・職歴等によらず多様な人財が活躍できるカルチャーを実現します。高い専門性に応じた多様なキャリアパスを実現する制度を整備しています(Promote Diversity Equity & Inclusion)。
業務プロセスと目的に応じて働く場所や時間を柔軟に設定できる環境を整備することで、一人ひとりが活躍しやすい企業へと変革していきます(Future Workplace)。
これらを通じて、各戦略の実行を支える人財・組織力を最大化し、 Best Place to Work を実現することで将来にわたっての企業価値を高めていきます。
■中期経営計画(2022~2025年度)戦略5「人財・組織力の最大化」の全体像

1.「Advanced Training」
(高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財の育成)
・社員が高度な専門性と変化対応力を有するプロフェッショナル人財となることを目的に、当社におけるめざすべき人財像や成長の道筋を示し、その専門性とレベルを認定する制度として「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」を2003年以降、約20年にわたり運用しています。「プロフェッショナルCDP」は、若手社員から役員までの一人ひとりの自律的な成長を支援するもので、「プロがプロを育てる」という思想にもとづき、所属組織のタテの関係性のみでなく、組織を越えた専門性のカテゴリーによるヨコ、ナナメで指導しあう仕組みとして機能しています。2022年度には国内外*で19,400人が新規認定され、延べ106,300人超が当社グループで認定されています。
・プロフェッショナルCDPは、事業環境、テクノロジーの変化に応じて進化を続けています。2019年度には「ビジネスディベロッパ」、「データサイエンティスト」、2020年度にはITスペシャリストの専門分野に「クラウド」を追加、2021年度にはデジタルビジネスを牽引する人財として「デジタルビジネスマネージャ」、エンドユーザー視点で新たな価値を提案する「サービスデザイナ」、プロジェクトマネージャの新たな区分として「アジャイル」を追加、2022年度には「ITサービスマネージャ」に顧客価値向上の観点を追加しています。
■プロフェッショナルCDPの人財タイプ

*国内会社においては、プロフェッショナルCDP の名称で実施。海外会社においてはNTT DATA Learning
Certification Institute (NLCI)の名称で同等の内容で実施しており、認定者数等は合算値。
(グローバルマーケットで活躍できる人財の育成)
・海外事業の急速な拡大に伴い、市場や競争環境の変化に応じて柔軟に活躍することのできるグローバル人財を育成するために、主として(i)「グローバルに活躍できる幹部人財の育成」と(ii)「日本国内で採用した人財のグローバル化」を軸とした取り組みを実施しています。
i. グローバルに活躍できる幹部人財の育成として、全世界のグループ会社合同で、次世代を担う経営層を育成するためのGlobal Leadership Program(GLP)を2009年から実施しています。GLP では、グローバル/ローカル両面の戦略に対する課題を検討し、その両面からOne NTT DATA を実現するためには何が必要か、何をすべきかを自分ごととして考えることを目的としており、このようなグローバルのプログラムから輩出された卒業生は900 人となりました(2022年度のGLP新規修了者は31名)。
ⅱ. 日本国内で採用した人財に向けては、グローバルビジネスで活躍できる人財の育成を目的としたプログラムを各階層に展開しています。例えば若年層向けにはReadiness Drive プログラムを実施しています。このプログラムでは、演習やグループワークを通じて、異文化対応力の強化、自社のグローバルビジネスの理解、英語力の向上を図るとともに、海外企業に対しビジネス提案や、多国籍チームで働く実践トレーニングも行います。また、グローバルな実務経験を有する社員を育成するため、海外案件への派遣を支援するBAA(Business Acceleration Assignments) プログラムや、オンラインで各国の若手社員が学びを共有するコミュニティNINGEN(NTT DATA's International Network of NextGEN)の形成を通じ、社員がグローバル対応力を強化できる多様な「場」を提供しています。世界50カ国・地域超に広がる社員の多様性と個性とを尊重し合える育成の場を実現することは、当社グループのダイナミズムそのものであり、より高みのあるビジネスに挑戦する原動力となっています。
■「日本国内で採用した人財」向けの階層別グローバル人財育成フレーム

・また、世界トップクラスの先進技術活用力の獲得をめざし、2022年8月に世界6か国に立ち上げたイノベーションセンタでは、先進技術に対する感度が高いイノベータ顧客と共創R&Dを行い、世界トップクラスの先進技術の活用ノウハウを有したグローバルチームを組成しており、世界各地域でのプロジェクトへの参加・ネットワーク形成を通じて日本国内で採用した人財の育成にもつながっています。
■イノベーションセンタのコンセプト

2.「Promote Diversity Equity & Inclusion」(多様な人財が活躍できるカルチャーの醸成)
・当社グループでは、グループビジョンである「Trusted Global Innovator」の3本柱のひとつとして、“働く一人ひとりの多様性を尊重することにより創造力を高めていくこと”を掲げ、全世界共通の「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン・ステートメント – “Bloom the Power of Diversity”」のもと、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しています。性別・国籍・性的指向・障がい・スキル・職歴等を問わず多様な価値観を持つ社員がともに働き、時代の変化に対応した、当社ならではの価値を生み出すことをめざしています。
■Bloom the Power of Diversityのコンセプト

・女性活躍について、当社では2025年度末までに女性管理職比率15%*とすることをNTTグループ全体の目標として2022年度に掲げ、継続的かつ積極的に取り組みを進めています。女性リーダー候補層を対象とした研修、育児休職中等の社員を対象としたキャリア形成支援セミナー、仕事と育児の両立事例セミナーなどの取り組みを進めており、女性採用比率は2016年から継続して30%超、女性の育児休職からの復職率はほぼ100%など、各種女性比率の向上や、管理職を担う女性社員の増加などの成果をあげています。当社の経営に携わる執行役員におけるダイバーシティの推進も重要と考えており、女性経営幹部数(役員、組織長等)は毎年増加し、2022年度は14名となりました。また、女性活躍及び社員の働き方変革の一環から、男性の育児休職取得の推進にも積極的に取り組んでいます。
■女性管理職数の推移

*「一般事業主行動計画(2021年4月から2026年3月の5年間)」では、女性管理職比率10%をめざすものとして策定。
・また、採用にあたっては国内外で多くの経験者採用を実施しており、入社後の早期定着、社員のリテンションに積極的に取り組んでいます。特に流動性の高い海外市場においては、経験者採用者には都度各地におけるオンボーディングセッションの実施、Values(私たちが大切にする価値観) について社員同士が語り合うグローバル全体でのValues Weekワークショップや表彰等の取り組みを通じて、単一組織の域を超え、世界中の社員が等しく多様に交流できる機会を提供しています。
(自律的なキャリア構築を促進する専門性に応じた多様なキャリアパス)
・社員の有する多様なスキルの更なる発揮にあたって職務に応じて社員をマッチングさせる仕組みを取り入れることが必要と考えています。このことから、Advanced Professional(ADP)制度を2018年12月に創設し、卓越した知見を持った旬のビジネスを牽引する即戦力人財を外部からも獲得できるようにしました。加えて、2019年10月にはスペシャリストのキャリアパスを実現するTechnical Grade(TG)制度を創設しました。また、2020年7月には社員の多様な強みの発揮による価値創出を最大限に引き出すために、その職務が生み出す価値をベースとしたジョブ型雇用制度であるFlexible Grade制度(FG制度)を創設し、2022年7月より管理職すべてに適用しました。
・社員自身のキャリア像については、従来、直属上司とのコミュニケーションの中ですり合わせをおこなっていましたが、2023年度は、更なる自律的キャリア構築を促す取り組みとして、従来の取り組みに加え、より上位の上長が社員とキャリア面談を実施し、社員が描く中長期的なキャリアビジョンを把握し、ありたい姿の実現に向けた行動の支援に繋げていきます。初年度の取り組み目標としては、一般社員のキャリア面談実施率75%をめざします。多様な専門性を有する人財が共存し、相互に支え、刺激し合うことで個人の成長、ビジネスの発展を実現するため、タイムリーな制度の推進・拡充に取り組み、多様なスキルやパフォーマンス発揮に対応する「プロフェッショナリティのベストミックス」を実現していきます。
■キャリアパス体系

3.「Future Workplace」(業務プロセスと目的に応じて働く場所や時間を柔軟に設定できる環境の整備)
・働き方変革を実現する具体的な施策のひとつとして、2018年4月には、働く空間・時間のフレキシビリティを高めることをめざして従来のテレワーク制度を見直し、実施日数上限の撤廃や、自宅以外の場所での実施を実現した結果、当社全社員が当制度を活用するようになっています。更に2020年10月には、在宅勤務率の上昇に伴い増えてきた社員の諸経費負担への対応としてリモートワーク手当を創設しました。2022年11月から、多様な働き方を支援するため新たなリアルとリモートのベストミックスによるハイブリッドワークに対応する制度を実施しています。全社一律ではなく、組織・プロジェクトの状況などに応じて各組織で働き方改革方針を議論し、業務目的に応じたリアルとリモートの服務制度、働き方の選択が可能となっています。(2022年度のリモートワーク率71%)
・場所にとらわれない働き方のほか、勤務時間に関しても柔軟な働き方を推進することを目的に導入したフレックスタイム制度及び裁量労働制の利用者数はそれぞれ全社員の半数を超えています。加えて、2020 年10 月にはコアタイムを撤廃したスーパーフレックス制度を導入し、より一層の柔軟な働き方の実現・適用範囲の拡大を実現しました。また、社員のワーク・ライフ・バランス推進のため、リフレ休暇、アニバーサリー休暇等を設けて、有給休暇の積極活用を奨励しており、2022年度の有給休暇取得率は85.2%となりました。制度や労働環境の整備、開発生産性向上や顧客・取引先との協力による長時間労働を是正し、「労働市場に『選ばれる』企業」をめざしています。
■Future Workplaceのコンセプト

・また、IT環境としてEmployee Centric(従業員を中心に考える)をコンセプトに、利用者である従業員の行動を中心にとらえた設計で、業務・意思決定プロセスの高度化、組織間連携強化、ナレッジ共有の加速等を実現する仕組みであるEmployee Experience Platformを提供することにより、社員の生産性やエンゲージメントの向上のみならず、事業成長、顧客提供価値の最大化をめざしています。
■Employee Centricのコンセプト

③ リスク管理
当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。これによって、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、重要リスクであると認識しています。詳細については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク(10)人財確保に関するリスク」[リスクへの対応策]をご参照ください。
④ 指標及び目標
当社では、各取り組みの進捗をモニタリングしながら、3つの方針である「Advanced Training」、「Promote Diversity Equity & Inclusion」、「Future Workplace」によって人財・組織力の最大化をめざします。
当社グループで定めている指標及び目標は以下のとおりです。
取り組み指標実績
(2022年度)
目標
(2023年度)
Advanced Trainingプロフェッショナル人財の育成プロフェッショナルCDP新規認定者数1,470名*1
(19,400名*2 )
1,500名*1・社員エンゲージメント率
73%以上*3
・社員エンゲージメントサーベイ
人財戦略3項目の
向上率10%以上*4
(2025年度までに)
グローバルに活躍できる
人財の育成
グローバル経営人財育成プログラム(GLP)
新規修了者数
31名*220名*2
Promote Diversity Equity&Inclusion多様な人財が
活躍できる
カルチャーの醸成
性別*5女性管理職比率9.0%15%以上
(2025年度)
女性新卒採用比率35.2%30%超
男女育休取得率(男性)
75.4%
(女性)
101.7%
100%
男女育休復職率(男性)
99.3%
(女性)
97.6%
100%
障がい者障がい者雇用率2.3%2.3%以上
経験者経験者採用率48.1%30%
DEI理解人権及びDEIに関する研修受講率100%100%
高い専門性に応じた
多様なキャリアパスの実現
一般社員のキャリア面談実施率-75%
Future Workplace働く時間と場所を柔軟に設定できる
環境の整備
リモートワーク環境適用率100%100%
有給休暇取得率85.2%87%

(注) 特に記載がない限り、当社単体の集計値を記載
*1 当社単体、国内グループ会社及び一部海外グループ会社の集計値
*2 当社グループ連結(国内、海外グループ会社含む)の集計値
*3 社員エンゲージメント率について国内は毎年調査、海外は隔年調査(海外を含めた当社グループ連結の2021年度実績は76%)
*4 社員エンゲージメントサーベイの、成長の機会、多様性の受容、カルチャー・風土に関する3つの設問の向上率の合計が2022年度実績から10%以上となることをめざす
*5 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。