有価証券報告書-第34期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 12:41
【資料】
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、継続する円安を背景に自動車、電機・機械などの製造業・輸出産業を中心に業績を伸ばしてまいりました。また一部で価値が評価される高品質商品の販売で伸びが見られるものの、全体としては将来不安から貯蓄する傾向が強く個人消費には大きな伸びが見られません。さらに、物販・外食・運輸産業などにおいては深刻な人手不足の状況となっております。
当業界におきましては、2014年に学習指導要領が改訂されました。そして、2020年には大学入試制度が大きく変わることとなります。これに先立って全国の公立高校の入試問題が全体として難化傾向となっており、学習塾に対するニーズが高まっております。一方、少子化はさらに進行しており、結果として市場規模は横ばい状況で推移しております。
このような情勢のもと当社グループにおきましては、
① 市場の構造的変化に対応した教育サービスを提供できる体制を早急に整えること
② 小中学部の集団授業・個別指導・iD予備校の校舎を機動的に展開すること
③ 市場規模の縮小等により生徒数が減少した校舎においてはテナント校舎への移転を進め、健全な企業体質を構築し、利益が出る体制にすること
④ 多様化した顧客ニーズのそれぞれに対応した教育サービスを開発・提供し、顧客満足と結果としての利益増を図ること
を経営の柱として取り組んでまいりました。特に小中学部、高校部におきましては、市場規模の縮小や競合関係等により業績悪化が著しい校舎を閉鎖し、業績向上が見込める部門に経営資源を集中する方策を取ってまいりました。
こうした取り組みによって、小中学部、高校部、その他の部門におきまして、それぞれ一定の成果を挙げ、また基盤を築くことができました。来期以降におきましては、さらに本格的な業績回復を図っていく計画であります。
営業費用におきましては、個別指導の拡大による講師給与の増加、税率改正による法人事業税の増加があったものの、前期において一部校舎の移転、閉鎖を行ったことにより賃借料及び校舎管理維持費用等が減少いたしました。
営業外損益におきましては、前期の校舎移転により建設協力金が減少したことに伴い、建設協力金の貸付けによる受取利息が減少したため、営業外収益が減少いたしました。
特別損益におきましては、不採算校舎の売却に伴い固定資産売却益による特別利益が発生しております。また、当初計画に対し9月、3月入学が不振であった3校舎及び閉鎖を決定した1校舎の減損損失を計上するとともに、今期末閉鎖を決定した校舎の解約金等につき、店舗閉鎖損失、店舗閉鎖損失引当金繰入額を特別損失として計上しております。
その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は10,927百万円(対前年同期比2.0%減)、営業利益は265百万円(対前年同期比1.0%減)、経常利益は199百万円(対前年同期比14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は353百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失970百万円)となりました。
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、前期まで「その他の教育事業」に含めておりました個別指導本部につき、地域別の営業管理体制をより強固にするため組織変更を行い、それに伴い報告セグメントの区分を「小中学部」に変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(小中学部)
小中学部におきましては、集団型の校舎においてはトップ高校への合格実績、個別型の校舎においては中堅高校への合格実績が不可欠であります。そのため通塾している生徒の学力向上とそれぞれの成績層に対応した合格実績の伸長を図ってまいりました。また夏の“宿泊合宿”と拠点校での“通塾合宿”を中3受験生と中2生を対象に行い参加生徒数を大きく増加させることができました。“通塾合宿”は秋にも開催いたしました。また、集団型の校舎に併設した個別指導部門におきましては、生徒数をさらに増加させることができました。全体としては、集団型の生徒数減少をほぼ補うところとなっております。
その結果、小中学部の売上高は9,264百万円(対前年同期比1.2%減)、セグメント利益は1,215百万円(対前年同期比0.7%減)となりました。
(高校部)
高校部におきましては、高1・2生に対して正社員教師による質問対応や面談などによる勉学意欲の維持・高揚、学力増進を図ってまいりました。また、高3受験生に対しては、“難関大学合格倶楽部”を設置し、合格実績の伸長を図り、一定の成果を挙げることができました。新しい学習形態の“ASSIST”に加え、今期からは、正社員教師による“1:1の個別指導”も導入し、それぞれのニーズに対応した教育サービスを提供してまいりましたが、新しいビジネスモデルの構築にはいたっておりません。
その結果、高校部の売上高は1,508百万円(対前年同期比6.7%減)、セグメント損失は63百万円(前年同期はセグメント損失137百万円)となりました。
(その他の教育事業)
その他の教育事業のon lineによる映像事業部門におきましては、自宅学習コースの新規の生徒募集方法に課題が生じ、生徒数が低迷するところとなっております。一方、映像校舎のFC展開の基盤が固まり、FC校舎数と生徒数増加に一定の成果を挙げることができました。
その結果、その他の教育事業の売上高は154百万円(対前年同期比0.8%増)、セグメント損失は13百万円(前年同期はセグメント利益18百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ143百万円増加し、1,051百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは245百万円の収入(前年同期181百万円の収入)となりました。これは主として、不採算校舎の移転・閉鎖に伴う資源の効率化によるコスト改善を行い、税金等調整前当期純利益となったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは430百万円の収入(前年同期114百万円の収入)となりました。これは主として、次期基幹システム導入のためのシステム投資による支出があったものの不採算校舎の売却による収入及び建設協力金の回収があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは533百万円の支出(前年同期577百万円の支出)となりました。これは主として、社債発行による収入があったものの長期借入金・リース債務の返済が進んだためであります。