有価証券報告書-第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における世界経済は、通商問題を巡る動向や中国経済の先行き、英国のEU離脱等の動向に留意が必要な状況で推移する中、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制され、急速に減速しました。
我が国の経済は、消費税率引き上げ後の消費者マインドの低下が続くなか、感染症による個人消費の落ち込み、輸出・生産の弱含み、雇用情勢の悪化等、大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。今後も感染症の影響は続くと見込まれ、先行きが見通せない状況にあります。
当業界におきましては、少子化による受験競争の大幅な緩和や異業種からの参入など、競争が厳しくなっております。一方、政府によるGIGAスクール構想による全国の学校でのICT環境整備、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止による全国の小学・中学・高校の休校対応によるオンライン学習サービスへの需要の増加など、変化に直面しております。
そのような状況の中、当社グループは、未来を生き抜くためのたくましい知性としなやかな感性を育む教育を提供する総合教育ソリューション企業として、積極的なM&Aや既存事業の見直しなどを通じ、対象年齢層の拡大、事業構造改革を加速してまいりました。
このような事業構造改革に伴う費用の増大、予備校事業の再編による売上高の減少及び新型コロナウイルス感染症が拡大した影響により、当連結会計年度は売上高、営業利益、経常利益とも業績予想を下回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、6,746百万円(前年同期比2.8%減)、営業損失は679百万円(前年同期の営業損失は385百万円)、経常損失は658百万円(前年同期の経常損失は359百万円)、3月に横浜校の土地建物を売却し、1,178百万円の固定資産売却益を特別利益に計上したことから親会社株主に帰属する当期純利益が299百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失は540百万円)となりました。
a.教育事業
教育事業におきましては、従来の集団授業を行う「城南予備校」の運営を本年3月に全て終了し、AIを使った自立学習とプロ講師による指導、徹底したICT学習管理を行う「城南予備校DUO」へ移行しました。「城南予備校DUO」は3月末時点で東京都に6校、神奈川県に6校、千葉県に1校、埼玉県に1校の全14校舎となりました。
個別指導部門では、個別指導教室「城南コベッツ」を全国に展開しております。城南予備校DUOでの好評を受け、「城南コベッツ」にもAIによる個別最適化学習を導入し、一定の売上高を確保しております。
映像授業部門では、「河合塾マナビス」が、映像授業のニーズ拡大を背景に、これまで培ったノウハウを活かして規模を拡大しており、安定した売上高となっております。
児童教育部門におきましては、積極的なM&Aにより事業の拡大を進めてまいりました。昨年11月には連結子会社である株式会社ジー・イー・エヌを吸収合併し、経営管理の一元化、業務の合理化、事業運営の拡大を推進しました。昨年12月には保育園を運営する連結子会社JBSナーサリー株式会社を株式会社城南ナーサリーへ社名変更するなど、グループ内での連携強化に努めてまいりました。また、2020年度に開校する育脳とSTEAM教育の複合型スクール「城南ブレインパーク」を自由が丘と立川に開校するための準備・プロモーション活動を行いました。この「城南ブレインパーク」は、当社複数の乳幼児向け教育サービスを1か所で受講できるものとなっております。
“経済産業省「未来の教室」実証事業”に採択された、当社のWEB学習システム「デキタス」は多くの学校、自治体、学習塾で導入が進んでおります。さらに「デキタス」「デキタス・コミュ」「Jシリーズ映像授業」は、経済産業省「学びを止めない未来の教室」に参画しており、新型コロナウイルス感染症による学校休業対策としても国内外にサービスの提供を行っております。
この結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は6,388百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
b.スポーツ事業
子会社である「株式会社久ケ原スポーツクラブ」には、約3千人が在籍しております。当クラブの在籍者において、当クラブが運営する学童保育やWEB学習システム「デキタス」の利用者も増加しております。その結果、スポーツと勉強の両立が可能となり、スポーツクラブの定着率が向上しております。
この結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は357百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,846百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、168百万円の支出となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益398百万円を計上したこと、減損損失191百万円、減価償却費188百万円があったことなどに対して、固定資産売却益を1,178百万円計上していることによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,393百万円の収入となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が1,672百万円、敷金及び保証金の回収による収入が240百万円あったことなどに対して、有形固定資産の取得による支出が429百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、131百万円の支出となりました。これは配当金の支払額が83百万円、リース債務の返済による支出が35百万円あったことなどによるものであります。
② 販売の状況
a. 販売方法
主に募集要項に基づき、直接生徒を募集しております。
b. 販売実績
(単位:千円)
| セグメント・部門別 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 予備校部門(現役高校生) | 703,498 | △45.1 | |
| 予備校部門(高校卒業生) | 248,713 | △46.3 | |
| 個別指導部門(直営) | 1,726,250 | △4.3 | |
| 個別指導部門(FC) | 307,193 | 0.1 | |
| 映像事業部門 | 1,373,723 | 8.8 | |
| デジタル教材・児童教育部門 | 1,629,948 | 39.4 | |
| その他 | 399,231 | 31.6 | |
| 教育事業 計 | 6,388,560 | △3.1 | |
| スポーツ部門 | 357,636 | 2.2 | |
| スポーツ事業 計 | 357,636 | 2.2 | |
| 合計 | 6,746,196 | △2.8 | |
(注) 1.予備校部門におきましては、校舎の統合・再編を進めており、売上が減少しております。
2.デジタル教材・児童教育部門におきましては、保育園の新規開園等により売上が増加しております。
3.上記の販売実績は内部売上消去後の金額となります。
4.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は、教育事業の予備校部門において、校舎の統合・閉鎖を行ったことにより、売上が減少しました。一方、児童教育部門における子会社増加や、映像授業部門の「河合塾マナビス」の売上は増加しました。また、スポーツ事業のスポーツ部門「久ケ原スポーツクラブ」において、会員増加や全身型EMSトレーニングや学童保育、スイミングに通う生徒へのWEB学習システム提供により売上増が増加しました。その結果、6,746百万円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は5,366百万円(前連結会計年度比0.8%増)、販売費及び一般管理費は2,058百万円(同2.7%増)となりました。これは広告宣伝費や人件費など減少した一方、前連結会計年度において、株式会社アイベック、株式会社フェアリィーを連結子会社化したことなどによるものです。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は35百万円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。また、営業外費用は和解金を計上したことなどにより14百万円(同51.0%増)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度における特別利益は1,363百万円となりました(前連結会計年度比937.7%増)。これは城南予備校横浜校1号館を売却したことにより固定資産売却益を計上したこと、保育事業に係る補助金を計上したことなどによるものです。また、特別損失は307百万円(同39.3%増)となりました。これは減損損失を191百万円、固定資産圧縮損を73百万円計上したことなどによります。
(財政状態)
当連結会計年度末の総資産につきましては、6,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ63百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,092百万円、関係会社株式が35百万円増加した一方、建物及び構築物が158百万円、土地が281百万円、のれんが174百万円、敷金及び保証金が340百万円、投資有価証券が93百万円減少したことなどによるものであります。
負債につきましては、2,622百万円となり、前連結会計年度末に比べ41百万円減少いたしました。これは主に未払金が53百万円、未払法人税等が22百万円、前受金が82百万円増加した一方、資産除去債務が315百万円減少したことなどによるものであります。
純資産につきましては、3,941百万円となり、前連結会計年度末に比べ104百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が55百万円増加、土地再評価差額金を取り崩したことにより160百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が81百万円減少したことなどによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、財務体質と経営基盤の強化を図るとともに成長のための投資やリスク対応の資金の確保と、株主への安定的な利益還元との最適なバランスを考慮し実施していくことを基本としております。
当連結会計年度においては、近年の多様化するニーズに対応できるよう、新たな教育コンテンツの開発への対応に加え、事業ポートフォリオ改善のスピードを上げるべく、積極的に投資を進めてまいりました。中でも、今後、成長が期待される個別指導部門の「城南コベッツ」や映像授業部門の「河合塾マナビス」、更に、AIによる個別学習とプロ講師による個別指導を提供する新たな形態の「城南予備校DUO」など、新規開校やリニューアル開校への投資を行ってまいりました。また、戦略的なM&A・アライアンスによる企業価値向上も図ってまいりました。この結果、当連結会計年度における有形固定資産の取得による支出は429百万円、無形固定資産の取得による支出は52百万円となりました。
これらの投資のための資金は、自己資金にて賄っております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。