訂正有価証券報告書-第54期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
事業等のリスク
当社グループの事業その他に関するリスクについて、株主及び投資家の皆様の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。以下に記載するリスクが生じることにより、当社グループの業績及び財政状態が悪化する可能性があります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避並びに顕在化した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、今後リスク要因が増加する可能性も有しております。
(1) グループ全体または複数事業に及ぶ共通リスク
① 企業福利厚生制度の変遷について
当社グループの主力事業である企業福利厚分野に関連する事業においては、従来の日本型福利厚生制度ともいえる全従業員へ均等に提供する形態から、欧米型ともいえる成果主義・自己責任に基づく手当支給の形態へと制度を移行する企業も一部にあります。また、日本企業の世界展開が加速する環境の中、グローバル化によって賞与の制度等が欧米型に移行する企業が増加する可能性があります。
当社グループは、日本型福利厚生のアウトソーシングサービスを主力事業としており、今後ともこの事業分野に注力していく方針でありますが、海外における福利厚生の事例や制度を研究するとともに、当社独自のメニューの開発等にも力を入れ、今後の福利厚生制度の変遷に対応する対策を行っております。しかしながら、顧客企業の福利厚生制度が欧米型に変遷することなどに当社グループが適切に対応できない場合には、ビジネスモデルの変更などを迫られる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制の変更や会計基準改定について
当社グループは、顧客企業やその従業員の皆様に対し不動産取引(仲介・管理・賃貸・販売)、リフォーム・建築、旅行(ホテル・旅館)、物販など様々な分野にわたるサービスを提供しております。
これらの事業運営にあたっては、宅地建物取引業法、建設業法、旅行業法及び消防法等の各種免許や許認可等が必要となる他、それら業務手順などにおいても法律や規制の制限を受けております。当社グループは、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの事業に関する法令や会計基準等の改変又は新設に対し、当社グループが適切に対応できない場合などには、当社グループの事業展開、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社リロケーション・ジャパン
また、当社グループの提供するサービスは、会計に係る法律や規則に基づく制限も受けております。情報収集に努めるとともに、監査法人との対話を通じて適宜対応をしておりますが、会計基準等の改変又は新設に対し、適切に対応できない場合などには、当社グループの事業展開、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護について
当社グループでは、物件所有者や入居者、顧客企業の従業員の皆様やホテル利用者、別荘のタイムシェア事業における会員など、多くの個人情報を取り扱っており、それらをデータとして保持・管理しております。
当社グループでは、個人情報の取り扱いに関して厳格なルールと承認プロセスを定め、個人情報を取り扱う業務についてはそれらに基づき運用している他、個人情報に関する定期的な研修を開催し、グループの全役職員への教育を徹底することなどにより個人情報の漏洩防止を図っております。また、業務全般を恒常的にモニタリングする部署を設置し、個人情報の取り扱いに関する指導と不正防止の強化に取り組んでおります。しかしながら、個人情報の漏洩が社会問題ともなっておりますように、万一、何らかの理由により当社グループでそのような事態が発生した場合には、損害賠償や信用失墜といった有形無形の損害を被る可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 人の移動の停滞について
当社グループは、借上社宅管理事業において物件検索等による転居支援を提供するほか、賃貸管理事業においては顧客オーナーに替わり管理物件のテナント募集・仲介を行い、赴任支援事業では海外赴任に関わる手続きをサポートしております。海外事業においても、グローバル赴任管理サービスを企業へ提供しております。これらのサービスは人が移動する際に収益が発生するものであり、天災や紛争、感染症等の影響を受けて移動が制約された場合はサービスに対する需要が低下する可能性があります。
当社グループは、安定的な営業収益の確保に努めており、人の移動に関わらず継続的に得られる収益も一定程度有しております。しかしながら人の移動に制約が生じ、その制約が広範囲かつ長期に及ぶ場合は収益機会等が大きく変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報通信システムについて
当社グループでは、福利厚生事業におけるシステム投資を通じた成功事例をグループ全体で共有し、他の事業においても従来の利益成長率を上回る成長曲線を描くことを目的に事業基盤整備や業務効率化を企図したシステム投資を継続的に行っております。当社グループのシステム等を統括する専門部署を設置している他、CIO(最高情報責任者)を新設し、特に重要な事業会社の取締役に就任することでも各事業会社との連携に取り組んでおります。しかしながら、システム投資の費用が想定より増加した場合、計画策定時に企図した利益目標達成に寄与しない危険性があります。また、システムは当社グループにおける様々な事業運営に内在しており、それらにトラブルが発生し、その影響が広範囲かつ長期に及ぶ場合はシステムの機能回復等にかかる費用の発生、損害賠償や信用失墜といった有形無形の損害を被る可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 新規事業の育成について
当社グループは、留守宅管理サービスや福利厚生代行サービス、海外赴任支援サービスなど先駆的なビジネスモデルを創出し、これらの事業を拡大することにより成長してまいりました。今後も、さらなる成長に向けて、主力事業と関連性の高い事業領域で新規事業を立ち上げていくとともに、インキュベーション途上にある事業は、早期に事業基盤を確立し利益貢献を果たすよう育成してまいる所存ですが、新しい社会的な要請に対応可能なサービスを創出できず、当社グループとして適切に対応できない場合は事業展開、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 人材の獲得及び育成について
当社グループが継続的に成長を成し遂げていくために、人材の獲得及び育成は重要な要素のひとつとして挙げられます。創業当時から、当社グループでは「パートナーシップ経営」と称して当事者としての経営参加を従業員に推進し、表彰制度の拡充やストックオプションの提供等を通じた優秀な人材の確保とモチベーション向上による育成に取り組んでまいりました。また、社員に舞台を与える経営を基本方針とし、持株会社体制をとることで経営者人材の育成を図る他、将来の幹部候補をジュニアボードとして指名し、その成長を監督・支援するなど、後継者を育成する体制を構築しております。加えて、キャリアサポート制度を設置し、年次毎に異なるキャリア形成を促す取り組みを全社員に対し実施するなど、引き続き人材獲得及び育成に対応しております。
当社グループは継続的な成長を維持していくために、さらに業容を拡大する計画にありますが、事業の拡大に伴う必要人員の増加に対し、日本の労働人口の減少が進行することにより必要な人材の確保が難しくなる可能性があります。また、新規事業の開発等、適正な知見を持つ人材の採用において競合他社との競争環境が悪化することも予想されます。優秀な人材が採用できない場合や人材の育成が十分に進まなかった場合には、当社グループの成長を阻害する要因となる可能性があり、新規事業の開発が鈍化するなど業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害や新型コロナウイルスを含む感染症について
当社グループは、顧客企業の従業員の住居を含む福利厚生サービス提供する企業として事業活動を継続し社会機能を維持する役割を果たすため、災害や新型コロナウイルス感染症等に対応するための行動基準について整備するほか、救護や避難の訓練等を継続的に実施しております。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、代表取締役直下に複数部署にまたがる対策チームを設置し、各事業会社からの迅速な情報収集と適切な対応に努めるとともに、従業員に対してはリモートワークの活用や電子契約への対応といった体制の整備を通じて感染防止に努めております。
しかしながら、従業員や顧客の罹患等により営業活動に制約が生じた場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 減損会計について
当連結会計年度末時点で、当社グループでは、ホテルや会員制リゾートなどの滞在施設の一部を有形固定資産として計上しております。また、M&Aによる連結子会社の増加に伴いのれんを計上しております。M&Aにおいて当社グループは適切な買収対象の選定、投資の実行及び被買収事業のPMI等について複数の実績を有しておりますが、今後グループ入りした企業にて事業の収益性や市況等の動向による影響又はPMIの遅延が生じた場合、これらの資産について、減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 各事業におけるリスク
① リロケーション事業
i. 商習慣の変化について
当事業においては、顧客企業やその従業員、物件オーナー等に対し不動産取引(仲介・管理・賃貸・販売)、リフォーム・建築等多岐に渡るサービスを提供しており、各取引においては地域毎に存在する商習慣又は商習慣に基づく契約規格が存在します。
当社グループはそれら商習慣又は商習慣に基づく契約規格を前提としたビジネスモデルを構築し、現在にいたるまで成長を継続しておりますが、今後、敷金、仲介手数料といった商習慣に基づく契約規格に変化があった場合や、電子契約や重要事項説明の非対面化といった情報通信システムの発展に伴う手続きの簡便化や商習慣の変化等に対し、当社グループが適切に対応できず付加価値を提供できなくなった場合には、事業展開並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.M&A戦略について
当社グループは、「全国7ブロック展開」を企図し、中期経営計画等の事業計画においてもM&Aを戦略の一環として位置づけ、今後もその実行を検討してまいります。しかしながら、将来のM&Aについては、計画上必要な買収対象が市場にあるとは限らず、買収対象があった場合においても、当社グループにとって受入可能な条件で合意に達することができないなどの不確実性を伴います。継続的な情報収集に努めておりますが、M&Aによる戦略が奏功しなかった場合、事業計画策定時に企図した利益目標に寄与せず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅲ.債務保証について
当社グループでは、国内及び海外において管理している賃貸物件等に対する滞納家賃の督促・保証サービスを行っております。当該保証サービスの対象となる入居者の審査にあたっては当社グループの基準や各種法令に則り、適切に行っておりますが、急激な景気の悪化など、何らかの理由により滞納件数が想定を上回り、滞納債権が増加した場合などには、貸倒引当金の積み増しなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ.ビザの発行遅延や規制の変化について
当事業では日本から海外各地への赴任手続を代行するサービスを提供しておりますが、海外への渡航や就労にあたり必要なビザは世界の経済動向、天災や紛争、感染症等に影響を受けて発行が停止される場合があります。発行停止が長期間に及び赴任スケジュールに変更があった場合、また、規制等に変更が生じ、それらに対し適切に対応できない場合は当社グループの業績へ影響が及ぶ可能性があります。
② 福利厚生事業
ⅰ.市場の飽和について
当事業では顧客企業に替わり、従業員へ福利厚生サービスを提供しておりますが、都市部においては福利厚生代行サービスの利用の浸透に伴い同業他社との競合が激化しております。また、地方においては就業人口の高齢化と人口減少が進行しており、長期的には市場が縮小していく可能性があります。
当社グループは市場環境の変化に対応するため、顧客企業の従業員のニーズの変化や働き方改革に代表される社会の動向に沿ったサービスやコンテンツの開発を進めておりますが、料金やサービス品質等の面で利用者の期待に沿えない場合は競争力の低下を招き、顧客の流出や新規の顧客獲得が進まないことなどによる営業成績の悪化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外戦略事業
ⅰ.PMIの遅延について
当社グループは2020年3月期にBGRS Limitedを取得し連結子会社化いたしました。今後の事業計画については慎重に検討を重ねておりますが、PMIの遅延等により期待した効果を得られない可能性や、シナジーの創出を期待していた既存事業の成長が実現されない可能性があります。加えて、当社ミッションの共有と戦略の統合に想定以上の時間を有した場合、社員の流出やガバナンスの不明確につながり、期待する効果を得ることが困難になる可能性があります。
ⅱ.為替について
当事業においてはグローバル企業に対する赴任管理等のサービスを提供しており、これらサービスは日本国外で外貨を通して取引されます。為替ヘッジ取引を活用しておりますが、為替相場が短期間で変動し、かつヘッジ取引が十分に効果を発揮しなかった場合は当社グループの業績と財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
④ 観光事業
ⅰ.天候不順、感染症等について
当事業においてはホテル運営等の事業を展開しております。各宿泊施設においてはイールドマネジメント等により収益の確保に努めておりますが、悪天候や感染症等が長期に及ぶ場合、消費マインドの冷え込み等により一時的に宿泊数が減少する可能性があります。さらに影響が広範囲かつ長期に及ぶ場合は、悪天候や感染症等による二次被害を防ぐために必要な費用が増加する可能性があります。これらに対して当社グループが適切に対応できなかった場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.不動産市場環境について
ホテル運営事業では一部施設について当社グループが保有し、売却を行っておりますが、不動産市場は、景気動向、金利動向、地価動向等の影響を受けやすい傾向があります。
当社グループは適切な施設の選定及び運営、運営を通じて資産価値を引き出すことによる売却収益の獲得、売却後における運営受託等についてノウハウを有しておりますが、経済の不確実性や変化等により、不動産市場の環境が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、今後リスク要因が増加する可能性も有しております。
(1) グループ全体または複数事業に及ぶ共通リスク
① 企業福利厚生制度の変遷について
当社グループの主力事業である企業福利厚分野に関連する事業においては、従来の日本型福利厚生制度ともいえる全従業員へ均等に提供する形態から、欧米型ともいえる成果主義・自己責任に基づく手当支給の形態へと制度を移行する企業も一部にあります。また、日本企業の世界展開が加速する環境の中、グローバル化によって賞与の制度等が欧米型に移行する企業が増加する可能性があります。
当社グループは、日本型福利厚生のアウトソーシングサービスを主力事業としており、今後ともこの事業分野に注力していく方針でありますが、海外における福利厚生の事例や制度を研究するとともに、当社独自のメニューの開発等にも力を入れ、今後の福利厚生制度の変遷に対応する対策を行っております。しかしながら、顧客企業の福利厚生制度が欧米型に変遷することなどに当社グループが適切に対応できない場合には、ビジネスモデルの変更などを迫られる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制の変更や会計基準改定について
当社グループは、顧客企業やその従業員の皆様に対し不動産取引(仲介・管理・賃貸・販売)、リフォーム・建築、旅行(ホテル・旅館)、物販など様々な分野にわたるサービスを提供しております。
これらの事業運営にあたっては、宅地建物取引業法、建設業法、旅行業法及び消防法等の各種免許や許認可等が必要となる他、それら業務手順などにおいても法律や規制の制限を受けております。当社グループは、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの事業に関する法令や会計基準等の改変又は新設に対し、当社グループが適切に対応できない場合などには、当社グループの事業展開、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社リロケーション・ジャパン
許認可等の名称 | 有効期限 | 取消事由 | |
宅地建物取引業者 | 国土交通大臣 (4)第6164号 | 2021年7月2日 | 宅地建物取引業法 第66条及び第67条 |
また、当社グループの提供するサービスは、会計に係る法律や規則に基づく制限も受けております。情報収集に努めるとともに、監査法人との対話を通じて適宜対応をしておりますが、会計基準等の改変又は新設に対し、適切に対応できない場合などには、当社グループの事業展開、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護について
当社グループでは、物件所有者や入居者、顧客企業の従業員の皆様やホテル利用者、別荘のタイムシェア事業における会員など、多くの個人情報を取り扱っており、それらをデータとして保持・管理しております。
当社グループでは、個人情報の取り扱いに関して厳格なルールと承認プロセスを定め、個人情報を取り扱う業務についてはそれらに基づき運用している他、個人情報に関する定期的な研修を開催し、グループの全役職員への教育を徹底することなどにより個人情報の漏洩防止を図っております。また、業務全般を恒常的にモニタリングする部署を設置し、個人情報の取り扱いに関する指導と不正防止の強化に取り組んでおります。しかしながら、個人情報の漏洩が社会問題ともなっておりますように、万一、何らかの理由により当社グループでそのような事態が発生した場合には、損害賠償や信用失墜といった有形無形の損害を被る可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 人の移動の停滞について
当社グループは、借上社宅管理事業において物件検索等による転居支援を提供するほか、賃貸管理事業においては顧客オーナーに替わり管理物件のテナント募集・仲介を行い、赴任支援事業では海外赴任に関わる手続きをサポートしております。海外事業においても、グローバル赴任管理サービスを企業へ提供しております。これらのサービスは人が移動する際に収益が発生するものであり、天災や紛争、感染症等の影響を受けて移動が制約された場合はサービスに対する需要が低下する可能性があります。
当社グループは、安定的な営業収益の確保に努めており、人の移動に関わらず継続的に得られる収益も一定程度有しております。しかしながら人の移動に制約が生じ、その制約が広範囲かつ長期に及ぶ場合は収益機会等が大きく変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報通信システムについて
当社グループでは、福利厚生事業におけるシステム投資を通じた成功事例をグループ全体で共有し、他の事業においても従来の利益成長率を上回る成長曲線を描くことを目的に事業基盤整備や業務効率化を企図したシステム投資を継続的に行っております。当社グループのシステム等を統括する専門部署を設置している他、CIO(最高情報責任者)を新設し、特に重要な事業会社の取締役に就任することでも各事業会社との連携に取り組んでおります。しかしながら、システム投資の費用が想定より増加した場合、計画策定時に企図した利益目標達成に寄与しない危険性があります。また、システムは当社グループにおける様々な事業運営に内在しており、それらにトラブルが発生し、その影響が広範囲かつ長期に及ぶ場合はシステムの機能回復等にかかる費用の発生、損害賠償や信用失墜といった有形無形の損害を被る可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 新規事業の育成について
当社グループは、留守宅管理サービスや福利厚生代行サービス、海外赴任支援サービスなど先駆的なビジネスモデルを創出し、これらの事業を拡大することにより成長してまいりました。今後も、さらなる成長に向けて、主力事業と関連性の高い事業領域で新規事業を立ち上げていくとともに、インキュベーション途上にある事業は、早期に事業基盤を確立し利益貢献を果たすよう育成してまいる所存ですが、新しい社会的な要請に対応可能なサービスを創出できず、当社グループとして適切に対応できない場合は事業展開、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 人材の獲得及び育成について
当社グループが継続的に成長を成し遂げていくために、人材の獲得及び育成は重要な要素のひとつとして挙げられます。創業当時から、当社グループでは「パートナーシップ経営」と称して当事者としての経営参加を従業員に推進し、表彰制度の拡充やストックオプションの提供等を通じた優秀な人材の確保とモチベーション向上による育成に取り組んでまいりました。また、社員に舞台を与える経営を基本方針とし、持株会社体制をとることで経営者人材の育成を図る他、将来の幹部候補をジュニアボードとして指名し、その成長を監督・支援するなど、後継者を育成する体制を構築しております。加えて、キャリアサポート制度を設置し、年次毎に異なるキャリア形成を促す取り組みを全社員に対し実施するなど、引き続き人材獲得及び育成に対応しております。
当社グループは継続的な成長を維持していくために、さらに業容を拡大する計画にありますが、事業の拡大に伴う必要人員の増加に対し、日本の労働人口の減少が進行することにより必要な人材の確保が難しくなる可能性があります。また、新規事業の開発等、適正な知見を持つ人材の採用において競合他社との競争環境が悪化することも予想されます。優秀な人材が採用できない場合や人材の育成が十分に進まなかった場合には、当社グループの成長を阻害する要因となる可能性があり、新規事業の開発が鈍化するなど業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害や新型コロナウイルスを含む感染症について
当社グループは、顧客企業の従業員の住居を含む福利厚生サービス提供する企業として事業活動を継続し社会機能を維持する役割を果たすため、災害や新型コロナウイルス感染症等に対応するための行動基準について整備するほか、救護や避難の訓練等を継続的に実施しております。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、代表取締役直下に複数部署にまたがる対策チームを設置し、各事業会社からの迅速な情報収集と適切な対応に努めるとともに、従業員に対してはリモートワークの活用や電子契約への対応といった体制の整備を通じて感染防止に努めております。
しかしながら、従業員や顧客の罹患等により営業活動に制約が生じた場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 減損会計について
当連結会計年度末時点で、当社グループでは、ホテルや会員制リゾートなどの滞在施設の一部を有形固定資産として計上しております。また、M&Aによる連結子会社の増加に伴いのれんを計上しております。M&Aにおいて当社グループは適切な買収対象の選定、投資の実行及び被買収事業のPMI等について複数の実績を有しておりますが、今後グループ入りした企業にて事業の収益性や市況等の動向による影響又はPMIの遅延が生じた場合、これらの資産について、減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 各事業におけるリスク
① リロケーション事業
i. 商習慣の変化について
当事業においては、顧客企業やその従業員、物件オーナー等に対し不動産取引(仲介・管理・賃貸・販売)、リフォーム・建築等多岐に渡るサービスを提供しており、各取引においては地域毎に存在する商習慣又は商習慣に基づく契約規格が存在します。
当社グループはそれら商習慣又は商習慣に基づく契約規格を前提としたビジネスモデルを構築し、現在にいたるまで成長を継続しておりますが、今後、敷金、仲介手数料といった商習慣に基づく契約規格に変化があった場合や、電子契約や重要事項説明の非対面化といった情報通信システムの発展に伴う手続きの簡便化や商習慣の変化等に対し、当社グループが適切に対応できず付加価値を提供できなくなった場合には、事業展開並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.M&A戦略について
当社グループは、「全国7ブロック展開」を企図し、中期経営計画等の事業計画においてもM&Aを戦略の一環として位置づけ、今後もその実行を検討してまいります。しかしながら、将来のM&Aについては、計画上必要な買収対象が市場にあるとは限らず、買収対象があった場合においても、当社グループにとって受入可能な条件で合意に達することができないなどの不確実性を伴います。継続的な情報収集に努めておりますが、M&Aによる戦略が奏功しなかった場合、事業計画策定時に企図した利益目標に寄与せず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅲ.債務保証について
当社グループでは、国内及び海外において管理している賃貸物件等に対する滞納家賃の督促・保証サービスを行っております。当該保証サービスの対象となる入居者の審査にあたっては当社グループの基準や各種法令に則り、適切に行っておりますが、急激な景気の悪化など、何らかの理由により滞納件数が想定を上回り、滞納債権が増加した場合などには、貸倒引当金の積み増しなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ.ビザの発行遅延や規制の変化について
当事業では日本から海外各地への赴任手続を代行するサービスを提供しておりますが、海外への渡航や就労にあたり必要なビザは世界の経済動向、天災や紛争、感染症等に影響を受けて発行が停止される場合があります。発行停止が長期間に及び赴任スケジュールに変更があった場合、また、規制等に変更が生じ、それらに対し適切に対応できない場合は当社グループの業績へ影響が及ぶ可能性があります。
② 福利厚生事業
ⅰ.市場の飽和について
当事業では顧客企業に替わり、従業員へ福利厚生サービスを提供しておりますが、都市部においては福利厚生代行サービスの利用の浸透に伴い同業他社との競合が激化しております。また、地方においては就業人口の高齢化と人口減少が進行しており、長期的には市場が縮小していく可能性があります。
当社グループは市場環境の変化に対応するため、顧客企業の従業員のニーズの変化や働き方改革に代表される社会の動向に沿ったサービスやコンテンツの開発を進めておりますが、料金やサービス品質等の面で利用者の期待に沿えない場合は競争力の低下を招き、顧客の流出や新規の顧客獲得が進まないことなどによる営業成績の悪化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外戦略事業
ⅰ.PMIの遅延について
当社グループは2020年3月期にBGRS Limitedを取得し連結子会社化いたしました。今後の事業計画については慎重に検討を重ねておりますが、PMIの遅延等により期待した効果を得られない可能性や、シナジーの創出を期待していた既存事業の成長が実現されない可能性があります。加えて、当社ミッションの共有と戦略の統合に想定以上の時間を有した場合、社員の流出やガバナンスの不明確につながり、期待する効果を得ることが困難になる可能性があります。
ⅱ.為替について
当事業においてはグローバル企業に対する赴任管理等のサービスを提供しており、これらサービスは日本国外で外貨を通して取引されます。為替ヘッジ取引を活用しておりますが、為替相場が短期間で変動し、かつヘッジ取引が十分に効果を発揮しなかった場合は当社グループの業績と財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
④ 観光事業
ⅰ.天候不順、感染症等について
当事業においてはホテル運営等の事業を展開しております。各宿泊施設においてはイールドマネジメント等により収益の確保に努めておりますが、悪天候や感染症等が長期に及ぶ場合、消費マインドの冷え込み等により一時的に宿泊数が減少する可能性があります。さらに影響が広範囲かつ長期に及ぶ場合は、悪天候や感染症等による二次被害を防ぐために必要な費用が増加する可能性があります。これらに対して当社グループが適切に対応できなかった場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.不動産市場環境について
ホテル運営事業では一部施設について当社グループが保有し、売却を行っておりますが、不動産市場は、景気動向、金利動向、地価動向等の影響を受けやすい傾向があります。
当社グループは適切な施設の選定及び運営、運営を通じて資産価値を引き出すことによる売却収益の獲得、売却後における運営受託等についてノウハウを有しておりますが、経済の不確実性や変化等により、不動産市場の環境が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。