有価証券報告書-第23期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/23 9:34
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有報資料


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「投資家の皆様の資産形成に役立つ」ことを事業目的としております。「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つ」ファイナンシャル・サービス事業と「投資家の皆様の資産形成に役立つために、投資家にとって望ましい投資信託を提供する」アセットマネジメント事業を拡大し、投資家の皆様の資産形成に役立つことで、金融を中心とした情報社会に不可欠な企業グループとして成長していきたいと思っております。
(2)経営環境
① 基本的経営環境
金融庁の「平成27事務年度 金融レポートについて」は、「我が国の家計金融資産の構成等を他の先進国と比較してみると、現預金比率が高く、株式・投信等の比率が低いといった特徴がある。株式・投信等を直接に保有している比率は、米国が3割を超えているのに対し、我が国では1割強に留まっている。(47頁)」、我が国の預金は長期にわたり、低金利が続いていますので、「家計金融資産の構成にこうした違いがあることは、米英と比べ、我が国の家計金融資産の伸びが緩やかなものに留まっていることの一因となっているものと考えられる(47頁)」、「高齢化が進む中でいかに老後の資産を形成するか、また、勤労世代の資産形成をいかに行っていくかが重要な課題である。公的年金等にも自ずと財政的な制約がある中では、勤労世帯の自助努力を促し、安定的な資産形成を進めることを実現していくことが重要であると考えられる。(49頁)」として、いわゆる「貯蓄から資産形成」を政府として進めていく旨が記載されています。
その一環として、国民の資産形成のために、NISA、つみたてNISAやiDeCoなど資産形成を税務上優遇する制度が創設されました。
前述のとおり、当社グループは、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つ」ファイナンシャル・サービス事業と「投資家の皆様の資産形成に役立つために、投資家にとって望ましい投資信託を提供する」アセットマネジメント事業を行っていますので、当社グループの事業目的は、政府の指針・政策に適合しています。当社グループの事業には、我が国の現状と政府の指針・政策を背景とする需要が存在しますので、当社グループの基本的な経営環境は良好であると考えております。
また、当社グループは、国内外の投資信託をはじめとする金融情報をデータベースに蓄え、このデータベースを基盤として、順次提供情報の質的・量的拡充に努めてまいりました。また、より多くの一般投資家の皆様に当社グループの比較・評価情報の意義・内容を理解していただき、当社グループの客観的な比較・評価情報を入手する機会を増加させ、投資信託をはじめとする金融情報なら「モーニングスター」とのブランドを社会的に確立し、多くの一般投資家の信頼と利用を拡大してきました。これらの金融情報を金融機関、一般投資家へ提供するASPやアプリケーションの開発にもかなりの資金を投資してきました。
このように、一般投資家に金融情報についての社会的ブランドを確立し、金融情報のデータベースを構築し、さらにそれを収益化することは容易ではなく、当社グループと同じ事業形態で、ファイナンシャル・サービス事業に参入するのは困難であり、投資信託を中心とする金融情報に関しては、当社グループは他の追随を許さないリーディングカンパニーとなっています。
当社の大株主であり、かつ、提携先であるモーニングスター・インクグループ(Morningstar, Inc. 米国モーニングスター・インクとその子会社および関連会社)は、投資信託を中心に、様々な金融商品に関する調査分析情報を提供するグローバルな運用調査機関であり、北米、欧州、アジア・オセアニアの20カ国の拠点でビジネスを展開しています。
当社は、モーニングスター・インクとの間でライセンシング・アグリーメントを締結し、モーニングスター・インクの商標および評価方法の使用等を認められています。米国での知名度および評価が高いモーニングスター・インクの「モーニングスター」のライセンスを使用できることは、当社にとって大きなメリットがあります。
また、当社グループは、モーニングスター・インクとの提携で、モーニングスター・インクの米国を中心とする海外金融データベースや様々な金融商品に関する調査分析情報を利用できるなど、海外金融情報に関して優位な立場にあります。
当社グループのアセットマネジメント事業は、当社グループの金融情報のデータベースやモーニングスター・インクの海外金融情報を利用して、投資信託を組成、運用することができます。
当社グループは、親会社であるSBIホールディングス株式会社とその傘下に擁する金融関連のグループ企業各社と緊密な関係を保つことで、相互のシナジー効果によって競争力の強化を図ることができ、効率的な経営と事業展開を追求していくことができます。
② 現在の経営環境
2 事業等のリスク に記載のとおり、当社グループは、投資信託を中心とした金融情報を提供し、投資信託を組成、運用しています。
そのため、投資信託市況に影響を受け、投資信託の構成要素である株式市況および株価、為替、市場金利の影響も受けます。
当社グループのアセットマネジメント事業は、運用する投資信託の運用残高の一定割合の信託報酬を得ています。
特に、子会社 SBIアセットマネジメント株式会社が運用する公募追加型株式投資信託は、投資信託への資金流出入額と投資している株式の株価により、運用残高が変動し、信託報酬が変動します。
投資信託市場全体の公募追加型株式投資信託への純資金流入額は、2018年3月期(2017年4月1日から2018年3月31日まで)の4兆1,951億円から2019年3月期(2018年4月1日から2019年3月31日まで)は1兆3,983億円と2兆7,968兆円(△66.7%)の減少となり、さらに、2020年3月期(2019年4月1日から2020年3月31日まで)は1兆102億円(△72.3%)減少し、3,882億円となりました。
この影響を受け、SBIアセットマネジメント株式会社が運用する公募追加型株式投資信託の運用残高が減少し、信託報酬も減少いたしました。
このような投資信託市場全体の公募追加型株式投資信託への純資金流入額の減少がさらに続くとは考えづらく、実際に純資金流入額は2020年3月期後半より増加に転じ、SBIアセットマネジメント株式会社が運用する公募追加型株式投資信託の運用残高も増加し始めました。
しかしながら、2020年3月に新型コロナウイルス感染症による株価下落が生じ、運用残高も減少しました。
そのため、公募追加型株式投資信託は、基本的には回復基調にあると思われますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、その回復時期が遅くなるものと考えております。
また、当社グループのファイナンシャル・サービス事業は、資産運用セミナーに2000人から3000人を集客できる集客力がありますが、新型コロナウイルス感染症への対応として、密閉・密集・密接の3密を避けることを求められており、当社の資産運用などのセミナーも現在、中止・延期となっています。そのため、ファイナンシャル・サービス事業のメディア・ソリューションの売上に影響が生じています。
このように、ファイナンシャル・サービス事業のメディア・ソリューションとアセットマネジメント事業の公募追加型株式投資信託の運用に関して、現時点の経営環境は、厳しいものになっています。
ただし、株価は2020年6月中旬には、2020年3月中旬よりかなり回復しています。
また、2020年3月期の連結売上のうち、セミナーなど新型コロナウイルス感染症による影響を受ける可能性がある売上の割合は、6.6%未満であり、比較的小さいものとなっております。
そのため、新型コロナウイルス感染症が当社グループの2021年3月期の通期連結業績へ与える影響に、重要性はないと考えております。(2 事業等のリスク (10) 新型コロナウイルス感染症による影響について 参照)
一方、ファイナンシャル・サービス事業のデータ・ソリューションは、金融機関の販売員の方に顧客への商品説明に使っていただくタブレットアプリによるファンドデータの提供を中心に、株価や新型コロナウイルス感染症の影響をあまり受けることはなく、堅調に推移しています。
また、2019年12月に地域金融機関の資金運用のサポートを目的として、私募の債券型投資信託を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社化いたしましたが、私募の債券型投資信託は株価下落の影響は小さく、新型コロナウイルス感染症の影響も少なく、順調に運用残高を増加しています。
2021年3月期(2020年4月1日から2021年3月31日)は、2020年3月期と比べ、SBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を連結する期間が増加(2020年3月期は3ケ月、2021年3月期は12ケ月)します。2社の連結する期間の増加は、2021年3月期の売上および利益の大きな増加要因となります。
(3)経営戦略
当社グループは、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つこと」を事業目的に、金融を中心とした情報社会に不可欠な企業グループとして成長していきたいと考えております。
そのために、当社グループの信用力・ブランド力の向上を図るとともに、提供情報・商品を発展・拡充して、投資家のためにより有用な情報を提供すること、投資家の本位の投資信託を提供すること、そのための情報提供チャネル、販売チャネルを開拓していくこと、フィデューシャリー・デューティー(金融機関の顧客本位の業務運営)へ適格に対応することなどにより、中長期の事業運営を行なっていく所存です。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
具体的には以下の施策に重点を置いて中長期の事業運営を行なってまいります。
(新型コロナウイルス感染症への対応について)
新型コロナウイルス感染症の影響は現時点で予測しがたく、国内外の経済は先行き不透明な状況が続くことが予想されます。新型コロナウイルス感染症への対応として、密閉・密集・密接の3密を避けることを求められており、当社の資産運用などのセミナーも現在、中止・延期となっています。この状況が続けば、当社グループのファイナンシャル・サービス事業の売上に影響がでる可能性があります。当社では、インターネット上で集客して、2020年4月末にリニューアルした「公式YouTube」チャンネルを活用したセミナーを展開することで、セミナー会場で開催するセミナーの減少による影響をカバーする予定です。2020年3月に生じた新型コロナウイルス感染症による株価下落が再び生じ、その後も厳しいマーケットが続けば、子会社SBIアセットマネジメント株式会社が運用する公募追加型株式投資信託の純資産残高が減少し、信託報酬が減少する可能性があります。これに対して、当社は、2019年12月に株価下落の影響が小さい私募の債券型ファンドを運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社化しており、新子会社2社自体の増収と連結する期間の増加(2020年3月期は3ケ月、2021年3月期は12ケ月)で公募追加型株式投資信託の信託報酬の減少を十分にカバーできるものと考えております。
(主な課題とその施策)
当社グループは、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つこと」を事業目的に、金融を中心とした情報社会に不可欠な企業グループとして成長していきたいと考えております。そのために、当社グループの信用力・ブランド力の向上を図るとともに、提供情報・商品を発展・拡充して、投資家・消費者のためにより有用な情報を提供すること、そのための情報提供チャネルを開拓していくことなどにより、中長期の事業運営を行なっていく所存です。
中長期の経営目標を達成するために、具体的には以下の施策に重点を置いて中長期の事業運営を行なってまいります。
① 評価情報の中立性および信頼性の更なる向上
当社グループの営業基盤は、当社グループが行なう各種の評価情報の客観性と中立性にあると考えております。そのため、ユーザーからの当社グループの信頼性が損なわれないように、評価情報が客観的事実に基づくものか否かのチェック体制を構築しております。今後も評価情報の客観性を高め、中立性の確保を図り、信頼性をさらに向上させる必要があると考えております。
② ブランディング
当社グループの知名度(ブランディング)を更に強固なものにするために、より多くの一般投資家・消費者の皆様に当社グループの比較・評価情報の意義・内容を理解していただく必要があり、当社グループの客観的な比較・評価情報を入手する機会を増加させる必要があります。そのためには、「モーニングスター」「ゴメス」「株式新聞」「サーチナ」「SBIアセットマネジメント」「Carret Asset Management」「SBIボンド・インベストメント・マネジメント」「SBI地方創生アセットマネジメント」のブランドを社会的に確立する努力が不可欠であり、ブランドの確立により、ウェブサイトほかの広告価値や提供データの利用価値を高め、業績の向上を図りたいと考えております。
③ フィデューシャリー・デューティー(金融機関の顧客本位の業務運営)への対応
政府が2016年6月2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」のなかに「金融機関に対しては、利益相反の適切な管理や運用高度化等を通じ、真に顧客・受益者の利益にかなう業務運営がなされるよう、フィデューシャリー・デューティーの徹底を図ることとし、これにより、国民の安定的な資産形成への貢献を促す」とあります。これは当社の事業の目的と合致するものであります。
また、金融庁は2016年9月15日に公表した「平成27事務年度金融レポート」のなかで、金融機関に対し、(1) 良質な金融商品の提供と投資信託選定プロセスの透明化、(2) 金融機関と顧客の間にある「情報の非対称性」の解消と顧客本位の業務運営、(3) 顧客の金融リテラシー強化と顧客の「投資への興味促進」を求めています。当社は、これらのソリューションとなるサービスを金融機関に提供してまいりました。
(1)について、当社は、金融機関に投資信託のラインナップ分析や導入ファンドの選定支援などのファンドレポートを提供しております。(2)について、当社は、投資信託の販売員の方が顧客に適切な投資信託の提案をするツールとしてタブレットアプリを提供しております。(3)について、当社は投資家の皆様に金融情報をWEB上で無料提供し、資産運用セミナーには無料でご招待しております。
今後も金融機関が進めるフィデューシャリー・デューティーに適合するより良いソリューションを提供し、金融市場の健全化に伴って、当社グループも健全な成長をしていきたいと考えております。
④ 提供情報の拡大および情報環境の変化に迅速かつ適切に対応できる体制の構築
当社は、国内外の投資信託をはじめとする金融情報をデータベースに蓄え、このデータベースを基盤として、順次提供情報の質的・量的拡充に努めてまいります。また、スマートフォンやスマートタブレットなどの最新の情報端末による金融情報提供を行ない、金融市場、インターネット環境の変化に適宜対応する努力をしてまいりました。
2011年3月期に開始したタブレットアプリによるファンドデータの提供は、当連結会計年度末には91,594台となり、当社の収益の大きな柱となりました。また、最近では、ETF(上場投資信託)の評価情報、仮想通貨アプリ、「株式新聞」アプリなどの提供を開始いたしました。
当社グループは、国内・海外のファンドデータ、株式、企業情報、仮想通貨等のデータをさらに拡充し、他社の追随を許さない総合的金融情報を提供する体制を整え、情報環境の変化に対応できる体制を構築し、常に最新の情報機器、コミュニケーションツールを活用した商品・サービスを提供していきたいと考えております。
そのために、29ページに記載の(3)設備投資の状況に記載のとおり、提供サービスの品質向上、情報データベースの拡充のための設備投資を怠りなく実施していきたいと考えております。
⑤ アセットマネジメント事業の強化
当社グループは、アセットマネジメント事業の強化を図ってきました。
当社グループは、これまで子会社SBIアセットマネジメント株式会社が行なっている公募追加型株式投資信託の運用を中心にアセットマネジメント事業を行なってきましたが、2019年2月に米国の資産運用会社Carret Asset Management LLCを子会社とし、同社が運用する海外債券型ファンド等について、アセットマネジメント事業の範囲を拡大いたしました。
2019年12月に、主として、地域金融機関の自己資金を受託する私募の債券型投資信託を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社といたしました。
これにより、運用する投資信託の種類・範囲と残高が拡大し、グローバル・アセット・アロケーションの進展に対応し、収益の安定、拡大を図ることが可能な体制となりました。
また、当社グループが運用するファンドの運用資産残高は、2018年3月末の4,096億円から2019年3月末に、6,377億円、2020年3月末には 17,304億円と大幅かつ急速に拡大いたしました。
当社は、2019年9月3日に、アセットマネジメント事業の中間持株会社として、SBIアセットマネジメント・グループ株式会社を設立いたしました。これによりアセットマネジメント会社を統合的に運用し、また、モーニングスターのファンドのデータベースを有効に活用することで、様々なニーズに適合する、より優れたパフォーマンスの商品を投資家の皆様にお届けしたいと考えております。

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