訂正有価証券報告書-第26期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2022/03/25 9:05
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事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
①当社グループの事業を取り巻く環境について
当社グループは、Web運用やDXにおけるコンサルティング・プランニング・プロジェクトマネジメント、インターネット広告代理における付帯業務等、付加価値の高いサービスの提供を強みとしております。しかし、デジタルビジネス領域およびインターネット関連業界は、参入障壁が低く、技術進歩のスピードが速いことから、今後の新規参入、新技術・サービスの出現等によって当社グループの強みが消失し、当社グループ主力業務の規模縮小、価格競争の激化等の可能性があります。
また、一般に広告市場は景気の動向に左右されやすい傾向があります。インターネット広告は他の広告に比して成長市場ではありますが、景気動向により成長率が鈍化する可能性があります。したがって、わが国経済の景気変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②新規事業等に伴う業績推移について
当社グループは、新規事業等を積極的に展開してまいりましたが、必ずしも全ての新規事業が計画通りの成果をあげたわけではございません。当社グループは今後も事業内容を陳腐化させないよう、デジタルビジネス領域の業務に軸足を置いたうえで新規事業の展開を積極的に進めていく予定でありますが、新規事業の開始後、社会のニーズに合致しないこととなる場合もありえます。その場合には投資額の回収が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③売上及び利益計上の季節性について
当社グループは顧客からWebサイト制作業務、広告代理業務等を受託する受注型の業務の割合が比較的高いため、第2四半期末・年度決算期末の9月、3月に納品が集中し、売上収益が大きくなる傾向にあります。また、優秀なデジタルクリエイターの確保を目的として、計画的に多数の新卒人材の採用・育成を行っており、期初に販管費が先行して増える傾向にあります。新卒スタッフのスキル・生産性の向上による稼働率の増加とともに、受注高が期末にかけて高まる事業形態であることから、利益額は年度決算期末にかけて増加する傾向にあります。
前連結会計年度及び当連結会計年度の業績変動の状況は以下のとおりであります。
前連結会計年度(2019年4月1日 至 2020年3月31日)
第2四半期累計通期
売上収益(千円)
(構成比)
4,899,516
(46,2%)
10,607,876
(100%)
営業利益(千円)
(構成比)
350,811
(28.1%)
1,249,603
(100%)
当期利益(千円)
(構成比)
221,396
(25.3%)
873,652
(100%)

当連結会計年度(2020年4月1日 至 2021年3月31日)
第2四半期累計通期
売上収益(千円)
(構成比)
5,411,183
(44.8%)
12,087,276
(100%)
営業利益(千円)
(構成比)
146,970
(11.6%)
1,261,855
(100%)
当期利益(千円)
(構成比)
119,563
(13.3%)
896,363
(100%)

④広告業界の取引慣行について
広告業界の取引慣行として、広告会社は、自己の名と責任でメディア会社等と取引を行うこととなっており、そのことはインターネット広告業界においても変わりはありません。したがって、当社グループは、広告主が倒産等により広告料を支払うことが不能となった場合でも、メディア会社等に対しては広告料の支払義務を負うこととなり、広告主の信用リスクを負担しております。当社グループは当該信用リスクを極小化させるために、一定の信用力のある優良企業と取引することが通常ではありますが、当該リスクはなお残ります。
また、広告業界の取引慣行として、一般に、インターネット広告を含めた広告取引に係る契約について契約書その他の書面が取り交わされることは少ないといえます。これは、広告取引においては取引当事者の信頼関係を基礎として迅速かつ柔軟に契約の締結・変更に対応する必要性が高いためですが、反面、取引当事者の合意事項について齟齬が生じてトラブルに発展するリスクがあります。当社グループは、このリスクを可及的に回避するために、広告取引に当たって顧客に発注書の提出を要請する等契約内容を書面で残す努力を行っておりますが、顧客によっては発注書の提出要請に応じない場合もあります。したがって、書面化されていない広告取引に係る契約の成立又は内容についてトラブルが発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤外注の活用について
当社グループでは、専門業務分野ごとに特定のパートナー企業を選定し、相互協力してサービスを提供しております。その場合、そのパートナー企業に不測の事態が生じ又は市場の逼迫等によりパートナー企業への発注費用が上昇すると、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、パートナー企業の選定を、その業績、業界での評判、従前の当社グループとの取引関係等を勘案して慎重に行っており、これに加えて、パートナー企業選定後も、パートナー企業の業務運営の監督及びその提供する成果物の検収、品質レベル評価を厳正に行っております。しかし、パートナー企業の提供する成果物に隠れたる瑕疵が存在する可能性がないとはいえず、当該瑕疵により当社グループの顧客が損害を蒙った場合、当社グループに対する損害賠償の請求その他の責任追及又は当社グループの社会的信用の失墜等によって当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥システムトラブルについて
当社グループの業務はコンピューターシステムに依存しており、またインターネット回線を通じての顧客企業との取引もあることから、ほぼ全てのサーバーをデータセンターへ設置し、オフィスの選定に関してもシステム保守・保全の点を重視するなどの対策を講じております。しかしながら、想定を超えたシステム障害、自然災害、サイバー攻撃、テロ等によりコンピューターシステムが停止し、又はインターネット回線の接続が不能となった場合、当社グループの業務の遂行に支障を来すリスクがあり、当該リスクが顕在化すると、機会損失の発生、代金の返還、損害賠償の支払、社会的信用の失墜等によって当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦情報セキュリティ及び個人情報保護について
当社グループは、システム上の瑕疵、コンピューターウィルス、不正アクセス等に起因するシステム障害、情報の流出・漏洩・改竄等のリスクを未然に防止して情報セキュリティを確保することにより、顧客の機密情報及び個人情報を適切に保護することが、当社グループに対する顧客の信用の根幹をなすものであり、経営上の最重要課題であると考えております。そのため、当社グループは、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が付与適格しているプライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001(JISQ27001)」を取得し、これらの管理手法に基づく情報の適正管理を継続的に行うことにより情報セキュリティ体制を構築・運営しております。しかしながら、こうした対策を講じていても、情報セキュリティ体制に完全はなく、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、顧客の機密情報又は個人情報の漏洩、改竄、不正使用等が生じる余地が考えられ、その場合、当社グループに対する損害賠償の請求その他の責任追及や当社グループの社会的信用の失墜等によって当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧法的規制について
ⅰインターネット広告に関する規制
現在のところ、当社グループの事業の阻害要因となる直接的な法規制又はインターネット広告業界の自主規制はありません。しかし、インターネット取引が普及する一方で、インターネット広告を悪用した犯罪が頻発する等、社会情勢が大きく変化すると、インターネット広告事業等に係る法規制又はインターネット広告業界の自主規制が強化される可能性があります。現時点でその規制内容を予測することは困難ではありますが、その内容如何によっては、当社グループの事業展開に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
また、広告主を規制する法律としては、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律等があります。広告主がこれらの法律に違反しても直ちに広告代理事業者の広告取引が違法となるわけではありませんが、広告代理事業者である当社グループの行為が広告主の違法行為を助長するものとして損害賠償の対象となり又は当社グループの社会的評判が失墜するリスクがあります。当社グループは、一定の信用力のある広告主とのみ広告取引を行い、風俗営業に係る広告取引を行わないことを基本方針としており、違法な広告の掲載に関与しないための防止策をとっておりますが、上記リスクが顕在化する余地がないとはいえません。
また、当社グループは既述のように、サービス提供に当たって外注業者等と相互協力しておりますが、当社グループが小規模事業者を外注先として選定して取引する場合、当社グループがその相対的な優越的地位を濫用して代金支払の遅延等を行うと、下請代金支払遅延等防止法に違反するものとして、公正取引委員会からその是正を勧告され又は原状回復措置を求められるリスクがあります。当社グループでは現在までこうしたリスクが顕在化した例はなく、また、顕在化しないように契約管理をしておりますが、当該リスクが完全にないとはいえません。
ⅱ派遣サービスに関する規制
当社グループが提供するサービスの内、PGT事業における人材派遣ビジネスは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)に基づいた一般労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けてサービス提供を行っています。
労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、当社グループが一般労働者派遣事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)、及び、当該事業許可の取消事由(同法第14条)に該当した場合には、厚生労働大臣が事業許可の取消、業務の停止を命じることができる旨を定めております。
現時点において認識している限りでは、当社グループはこれらの法令に定める欠格事由及び取消事由に該当する事実はありません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社グループのサービス運営に多大な支障を来すとともに、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
⑨知的財産権について
当社グループは、第三者の特許権、著作権等の知的財産権を侵害することのないように、システム開発、ホームページの制作等の業務を行っておりますが、当社グループ開発物・制作物の全てにつき特許権等の侵害の有無を厳密に調査することは不可能であり、当該開発物・制作物が第三者の知的財産権を侵害していない保証はありません。万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該開発物・制作物の使用の差止請求、損害賠償請求、使用許諾料の支払請求等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩新たな会計制度や税制等の変更について
当社グループは、わが国の会計制度および税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。
しかしながら予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、税制等の改正や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
⑪のれんの減損損失のリスクについて
当社グループは、事業の成長加速のためM&Aも必要に応じて実施しております。その結果、のれんを有しております。
のれんについて、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状態及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑫人材の確保、育成及び労務について
当社グループが、参入障壁が低く技術進歩のスピードが速いデジタルビジネス領域およびインターネット業界において、高付加価値のサービスの提供を継続し、拡大するためには、高度な専門知識・能力を有する人材の確保・育成が最重要課題であります。しかし、デジタルビジネス領域およびインターネット業界は比較的新しくかつ急成長している業界であることから人材の裾野は狭く、また、昨今のデジタルビジネス領域を中心に技術者に対する需要の高まりから、優秀な人材の採用が困難となっております。
当社グループでは、優秀な人材の中途採用や既存の従業員の離職率を抑えることのほか、新卒を採用して教育する方針を強め、また、仙台を始めとする地方拠点での採用やグローバル採用も強化しておりますが、日本国内の人口減少や少子高齢化の一層の加速に伴う人材確保の難航、事業拡大の速度に比して中途採用の確保、新卒採用者の戦力化が遅れる場合、又は採用・育成した社員の離職率が高い場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは諸規程の整備及び運用など適宜、内部管理体制及び教育制度等を整備しております。適切な内部統制システムの整備及び運用については、事業展開の状況に応じて徹底を図っており、内部通報制度の整備、リスク・コンプライアンス委員会の設置等、不法行為の防止およびコンプライアンスの遵守に取り組んでおります。しかしながら、当社グループ及び役職員の瑕疵に関わらず、役職員間で予期せぬトラブルが発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬配当政策について
当社グループは、株主の皆様への利益還元の充実とさらなる企業価値の向上を図る観点から、長期的な利益成長に向けた新たな事業投資及び業容の拡大に備えるための内部留保を行うとともに、経営成績の伸長に見合った成果の配分や配当金額の継続的な増額を基本方針とし、中期的には連結親会社所有者帰属持分配当率(DOE)は5%程度を目標としております。しかしながら、将来の経営成績、財政状態等によっては、株主への配当等による利益還元が困難となる場合があります。
⑭ストック・オプションについて
当社グループは、長期的な企業価値の向上に対する役員及び従業員等の士気を高める目的等のため、ストック・オプションを発行しております。現在発行し又は今後発行するストック・オプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があり、この株式価値の希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑮自然災害等について
当社グループは既述のように、サーバーのデータセンター設置やオフィス選定において災害・事故への対策を講じており、伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック)、地震・洪水等の大規模災害、テロ等の犯罪行為、情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても、その影響を最小限に抑えるべく、テレワーク・在宅勤務制度の拡充および事業継続計画(BCP)の整備を行っています。
しかしながら、想定を超える自然災害等が発生した場合は、オフィス、設備、人的被害も含め甚大な損失が生じる可能性があり、当社グループにおける全ての事業又は一部の事業が一時的又は中長期的に中断され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、災害による停電や電力制限、計画停電等により電力供給が十分得られなかった場合、当社グループの事業活動やサービスの提供が停止し、当社グループの経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
なお、当社グループが直接被災しない場合であっても、自然災害等に起因する世界経済の減速、顧客企業、協力会社の被災、災害等に起因する個人消費の落込みや企業の広告自粛により、企業の広告宣伝費及び販売促進費等の抑制につながる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯気候変動の及ぼす影響
国際社会において気候変動問題は、早急な解決が求められる重要な社会課題と認識されており、世界全体で脱炭素化に向けた取り組みが進められています。日本においても、ESG投資の加速や炭素税の本格的な導入が議論されるなど、気候変動問題が企業経営にもたらす影響は一層増大することが予想されます。
当社では、2030年の目指す姿を示した「VISION2030」において、最も重要な社会課題のひとつに「地球温暖化および気候変動による環境変化」を挙げており、2021年4月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。
今後、気候変動が当社における事業に与える影響を分析し、リスク及び機会の抽出・対応を講じるとともに、関連する情報の開示を行い、持続可能な社会の構築に向けて取り組んでまいります。