有価証券報告書-第27期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 15:21
【資料】
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【項目】
131項目
34.金融商品
(1)資本管理
当社グループの資本管理は、当社グループの持続的な成長と企業価値増大を実現するため、事業発展に充分な資金を確保できる堅固な財務体質維持と効率的な資本構成の両立を方針としております。
当社が資本管理において用いる主な指標には、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)があります。
前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
資本(親会社の所有者に帰属する持分)(百万円)62,13495,738
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)(%)17.138.4

これらの指標については、経営者に定期的に報告され、モニタリングしております。
また、当社グループの借入金のうち、シンジケート方式のコミットメントライン契約には資本に関する規制を含む財務制限条項が付されていますが、要求される水準を維持するようにモニタリングしております。なお、コミットメントライン契約に関する詳細については、「20. 社債及び借入金」をご参照ください。
(2)財務リスク管理
① 財務リスク管理の基本方針
当社グループは、経営活動を行う過程において、信用リスク、流動性リスク、為替リスク、金利リスク、株価変動リスク等の様々な財務上のリスクに晒されており、当該財務上のリスクを軽減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。
また、当社グループは、投機目的でのデリバティブ取引は行っておりません。
② 信用リスク
ⅰ.信用リスク管理及び信用リスクに対する最大エクスポージャー
信用リスクは、保有する金融資産の相手先が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失を発生させるリスクであります。
当社グループは、与信管理規程に従い、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としております。
なお、当社グループでは特定の相手先に対する過度に集中した信用リスクはありません。
保証債務を除き、当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示している金融資産の減損後の帳簿価額であり、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において保証債務に係る信用リスクはありません。
ⅱ.貸倒引当金の増減
貸倒引当金の増減は以下のとおりであります。
当社グループでは、重大な金融要素を含んでいない営業債権及び契約資産に対し、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を設定しております。
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
営業債権
及び契約資産
営業債権及び
契約資産以外の債権
営業債権
及び契約資産
営業債権及び
契約資産以外の債権
百万円百万円百万円百万円
期首残高13401295
当期増加額(繰入額)1356962
当期減少(目的使用)△0-△4△35
当期減少(戻入)△6△0△6△2
その他の増減△8---
期末残高129511120

ⅲ.信用リスクの分析
営業債権及び契約資産の期日経過別の帳簿価額の総額及び営業債権及び契約資産以外の債権の社内管理区分ごとの帳簿価額の総額はそれぞれ以下のとおりであります。
営業債権及び契約資産
前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
百万円百万円
期日経過30日以内
(未経過を含む)
9,0167,472
期日経過30日超90日以内169
期日経過90日超1919
合計9,0517,500

営業債権及び契約資産以外の債権
前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
百万円百万円
一般債権20,11018,871
滞留債権114139
合計20,22419,009

滞留債権は、信用リスクが当初認識以降に著しく増大したと判断した金融資産又は債務者の財務状況の悪化等により信用減損したと判断した金融資産であります。一般債権は滞留債権以外の債権であります。
滞留債権は、予想残存期間の全期間に係る予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を測定しております。一般債権は、報告期間の末日後12ヶ月以内に生じる予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を測定しております。
③ 流動性リスク
ⅰ.流動性リスク管理
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払を実行できなくなるリスクであります。
当社グループは、金融機関からの借入、社債発行により資金を調達しておりますが、資金調達環境の悪化などにより支払期日にその支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されております。
当社グループは、年間事業計画に基づく資金計画を適時に作成、更新することにより、借入金及び社債の支払いのための資金を計画的に確保しております。
また、外部環境の急激な悪化等へ機動的に対応できるように、金融機関より信用枠を確保するとともに、シンジケート方式のコミットメントライン契約を締結することで資金調達余力を拡大する等、資金調達方法の多様化を進めることにより、流動性リスクを低減しております。
なお、連結会計年度末におけるコミットメントライン契約の状況については、「20. 社債及び借入金」をご参照ください。
ⅱ.金融負債の期日別残高
金融負債の期日別残高は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2021年3月31日)
帳簿価額契約上のキャッシュ・フロー1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
営業債務及びその他の債務39,91139,91139,911-----
借入金21,01921,1599,8095,6321,0951,0361,5182,069
社債24,59825,000--25,000---
その他の金融負債
(リース負債)
12,12912,1731,7251,6421,5971,5891,5694,052
その他の金融負債
(リース負債を除く)
1,7511,75128257651,680
合計99,40899,99551,4737,30027,6982,6313,0927,801

当連結会計年度(2022年3月31日)
帳簿価額契約上のキャッシュ・フロー1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
営業債務及びその他の債務43,90043,90043,900-----
借入金25,16925,3949,2923,0292,9533,4812,3884,251
社債24,76425,000-25,000----
その他の金融負債
(リース負債)
10,51010,5411,6771,6141,6121,5991,5472,493
その他の金融負債
(リース負債を除く)
1,8381,8384976551,766
合計106,181106,67454,91829,6504,5725,0853,9398,511

④ 為替リスク
ⅰ.為替リスク管理
当社グループは、インキュベーションテクノロジー事業において米国やアジア等への出資活動の展開に伴い、外貨建営業投資有価証券を保有していること等から、為替変動が業績に影響致します。
当該外国為替相場の変動リスクを低減するために、為替相場の継続的なモニタリング等を行っております。
ⅱ.為替感応度分析
当社グループが各年度末において保有する金融商品において、他のすべての変数が一定であると仮定した上で、日本円が米ドルに対して1%円高となった場合に税引前利益に与える影響は、以下のとおりであります。
なお、在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を表示通貨に換算する際の影響は含んでおりません。
通貨前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
百万円百万円
税引前利益への影響額米ドル△319△716

⑤ 金利リスク
ⅰ.金利リスク管理
当社グループは、適正な資本コスト率の維持及び成長投資のための財務基盤の強化を目的として長期借入金や社債により資金調達を行っております。長期の資金調達においては、金利市場の動向により、変動金利と固定金利のバランスを考慮して決定しており、短期の資金調達においては、原則として変動金利としております。
ⅱ.金利感応度分析
当社グループが各年度末において保有する変動金利の借入金において、他のすべての変数が一定であると仮定した上で、金利が1%上昇した場合の税引前利益に与える影響は、以下のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
百万円百万円
税引前利益への影響額△51△192

⑥ 株価変動リスク
ⅰ.株価変動リスク管理
当社グループの保有する有価証券のうち、活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できる銘柄については市場の株価変動リスクにさらされております。また、活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できない銘柄については、投資先の業績悪化や資金調達の環境悪化といった投資価値の減少につながる事象に由来する株価変動リスクにさらされております。
有価証券については、定期的に投資先の時価、財務状況、資金調達状況及び競争環境等を把握することにより継続的なリスクのモニタリングを行うとともに、当社グループの財務状況とリスクのバランスを適切に管理しております。また、リスクや投資先との関係を勘案しながら、投資ポートフォリオを継続的に見直しております。
ⅱ.株価変動感応度分析
当社グループが各年度末において保有する有価証券において、他のすべての変数が一定であると仮定した上で、期末日の株価が1%下落した場合の税引前利益及びその他の包括利益(税引前)に与える影響は、以下のとおりであります。
a.活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できる銘柄
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
百万円百万円
税引前利益への影響額△17△24
その他の包括利益(税引前)への影響額△34△60

b.活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できない銘柄
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
百万円百万円
税引前利益への影響額△479△909
その他の包括利益(税引前)への影響額△1△0

(3)金融商品の分類
金融商品の分類及び帳簿価額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
百万円百万円
金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
営業投資有価証券47,17077,950
投資有価証券(その他の金融資産)2,42515,335
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
投資有価証券(その他の金融資産)3,5035,994
償却原価で測定する金融資産
現金及び現金同等物37,98943,415
営業債権及びその他の債権26,57424,462
その他の金融資産2,8612,266
合計120,523169,422
金融負債
償却原価で測定する金融負債
短期借入金3,8506,500
営業債務及びその他の債務39,91143,900
社債24,59824,764
長期借入金(注)117,16918,669
その他の金融負債(注)21,7511,838
合計87,27995,671

(注)1.1年内に返済予定の残高を含んでおります。
2.IFRS第16号「リース」が適用されるリース負債は含んでおりません。
(4)金融商品の公正価値
① 金融商品の公正価値と帳簿価額
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産は、帳簿価額を公正価値で測定していることから、公正価値と帳簿価額は一致しております。
社債及び長期借入金を除く償却原価で測定する金融資産及び金融負債については、短期間で決済されること等から、公正価値と帳簿価額は近似しており、帳簿価額を公正価値とみなしております。
社債及び長期借入金の公正価値及び帳簿価額は以下のとおりであります。
前連結会計年度
(2021年3月31日)
当連結会計年度
(2022年3月31日)
帳簿価額公正価値帳簿価額公正価値
百万円百万円百万円百万円
社債24,59824,67524,76424,784
長期借入金17,16917,18218,66918,590

社債及び長期借入金の公正価値はレベル3に分類しております。
② 金融商品の公正価値の測定方法
金融商品の公正価値の測定方法は、以下のとおりであります。
ⅰ.営業投資有価証券、投資有価証券
活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できる場合の公正価値は、当該取引相場価格を使用して測定しております。
活発な市場における同一銘柄の取引相場価格が入手できない場合において、直近の独立した第三者間取引やファイナンス価格の情報が利用可能な場合、公正価値は当該直近の取引価格に基づいて評価しております。なお、直近の取引価格について取引発生後一定期間は有効であるものと仮定しております。
しかしながら、投資先の業績悪化やファイナンス環境悪化といった投資価値の減少につながる事象が生じた場合、公正価値の下落による評価損を認識するリスクが顕在化し、将来の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
これらの直近の取引情報が利用できない場合には、直近の取引価格に調整を加えた価格又は評価対象会社の貸借対照表上の純資産に基づいて評価しております。
直近の取引価格に調整を加えた価格は、直近の取引価格に評価対象会社の財務諸表数値や評価対象会社と比較可能な類似会社の企業価値/収益等の調整倍率を用いて算定しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における調整倍率は、それぞれ0.1倍から1.2倍、0.1倍から1.3倍であります。公正価値は、調整倍率の上昇(低下)により増加(減少)します。
ⅱ.社債、長期借入金
元利金の合計額を新規に同様の契約を実行した場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。
③ 金融商品の公正価値の分類
当初認識後に経常的に公正価値で測定する金融商品は、測定に使用したインプットの観察可能性及び重要性に応じて、公正価値を以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1:活発な市場における、同一の資産及び負債の取引相場価格
レベル2:直接的又は間接的に観察可能なレベル1以外のインプット(類似の資産及び負債の取引相場価格、活発でない市場における取引相場価格等)
レベル3:市場データが僅か又は皆無であり、当社グループが独自に確立する観察不能なインプット
公正価値の測定に異なるレベルに区分される複数のインプットを使用している場合には、その公正価値の全体の測定にとって重大なインプットのうち、最も低いレベルのインプットに区分しております。
公正価値で測定する金融商品のレベル間の振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識しております。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル1とレベル2の間における振替はありません。
(連結財政状態計算書)
前連結会計年度(2021年3月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
百万円百万円百万円百万円
金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
営業投資有価証券1,663-45,50747,170
投資有価証券--2,4252,425
その他の包括利益を通じて公正価値で測定
する資本性金融資産
投資有価証券3,397-1063,503
合計5,059-48,03953,098

当連結会計年度(2022年3月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
百万円百万円百万円百万円
金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
営業投資有価証券2,408-75,54177,950
投資有価証券--15,33515,335
その他の包括利益を通じて公正価値で測定
する資本性金融資産
投資有価証券5,971-245,994
合計8,379-90,90099,279

(連結損益計算書)
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
百万円百万円百万円百万円
営業投資有価証券に関する収益2,963-8,06811,031
金融収益(△は金融費用)--3939
合計2,963-8,10711,070

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
百万円百万円百万円百万円
営業投資有価証券に関する収益2,254-26,01528,269
金融収益(△は金融費用)--12,58112,581
合計2,254-38,59640,850

レベル3に分類した金融商品については、当社グループで定めた公正価値測定の評価方針及び手続に従い、評価担当者が対象となる金融商品の評価方法を決定し、公正価値を測定しております。
また、公正価値の測定結果については適切な責任者が承認しております。
レベル3に分類した金融商品について、インプットがそれぞれ合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の著しい増減は想定しておりません。
レベル3に分類された経常的に公正価値で測定する金融商品の増減は、以下のとおりであります。
金融資産前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
百万円百万円
期首残高37,29648,039
利得及び損失
純損益 (注)18,10738,596
その他の包括利益 (注)2△11615
購入5,3766,309
売却△182△658
IPOによる振替△1,671△1,807
その他 (注)3△876△194
期末残高48,03990,900

(注)1.純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書の「営業投資有価証券に関する収益」及び「金融収益(損失の場合は金融費用)」に含まれております。なお、各期末に保有する金融商品に係る未実現の利得及び損失は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ7,481百万円及び38,414百万円であります。当未実現の利得及び損失には、IPOによる振替としてレベル1に振替えた金融商品に係る利得及び損失は含まれておりません。
2.その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」に含まれております。
3.在外営業活動体の換算差額、償還等によるものであります。