有価証券報告書-第26期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 13:32
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【項目】
152項目
23 保険契約
(1)保険契約に係るリスク管理体制
当企業グループは、生命保険事業や損害保険事業などの保険事業を展開しており、保険契約に係るリスクの正確な把握・分析・評価と適切な管理・運営に努め、経営の安定性の確保を図っております。保険事業を営む各社においてリスク管理委員会を設置し、保険契約に係る広範なリスクの把握に努めるとともに、リスク管理の実効性を確実なものとするため、それぞれの取締役会等へ定期的・継続的にリスクの状況を報告しております。なお、当企業グループの保険契約に係るリスクに対しての主な取組みは次のとおりであります。
(a)市場リスクの管理
金利リスクの管理
特に保険契約負債の多くを占める生命保険事業においては、長期の負債特性に鑑み、債券を中心に資産運用を行っておりますが、運用において金利変動による不利な影響が生じないように、資産及び負債の総合管理(ALM)を行っております。
価格変動リスクの管理
市場リスク管理に関しては、現行のソルベンシー・マージン基準や今後導入される経済価値ベースでのソルベンシー規制を見据えた試行的な手法に基づくリスク把握に加えて、確率上の一定範囲内(信頼水準)でマーケットの変動による最大予想損失額を示すVaR(バリューアットリスク)や、市中金利の変動に対する債券ポートフォリオの価格変動幅を示すベーシスポイントバリューといった指標にも着目してリスク管理に取り組んでおります。
(b)ストレステストの実施
資産運用環境の大幅な悪化や保険事故発生率の悪化などのシナリオを想定し、財務の健全性に与える影響を分析するためのストレステストを定期的に実施し、リスク管理委員会等に報告しております。
(c)保険引受リスク
保険引受リスクに関して、保険事業を営む各社の担当部署にてその引受方針を決定し、リスクポートフォリオの管理、商品の改廃、引受基準の設定、販売方針の変更、再保険の設計・手配などにより、リスクコントロールを行っております。
(2)保険契約負債
(a)保険契約負債の期首残高と期末残高の調整表は次のとおりであります。
前期(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
残存カバーに係る負債発生保険金に係る負債合計
損失要素以外損失要素PAAを適用しない契約PAAを適用した契約
将来キャッシュ・フローの現在価値の見積り非金融に係るリスク調整
百万円百万円百万円百万円百万円百万円
期首残高118,1571,8031,42430,802175152,361
保険収益(80,537)----(80,537)
保険サービス費用
発生保険金及びその他の
保険サービス費用
--4,76772,886-77,653
保険獲得キャッシュ・
フローの償却
1,008----1,008
不利な契約に係る損失
及び損失の戻入
-81---81
発生保険金に係る負債の調整---(2,877)135(2,742)
投資要素及び保険料払戻(2,936)-2,936---
保険金融費用(収益)(2,073)----(2,073)
キャッシュ・フロー額
保険料の受取額83,034----83,034
保険金及びその他の
保険サービス費用支払額
(投資要素を含む)
--(7,881)(66,767)-(74,648)
保険獲得キャッシュ・フロー(2,185)----(2,185)
期末残高114,4681,8841,24634,044310151,952

当期(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
残存カバーに係る負債発生保険金に係る負債合計
損失要素以外損失要素PAAを適用しない契約PAAを適用した契約
将来キャッシュ・フローの現在価値の見積り非金融に係るリスク調整
百万円百万円百万円百万円百万円百万円
期首残高114,4681,8841,24634,044310151,952
保険収益(87,665)----(87,665)
保険サービス費用
発生保険金及びその他の
保険サービス費用
-(4)4,45077,234-81,680
保険獲得キャッシュ・
フローの償却
1,241----1,241
不利な契約に係る損失
及び損失の戻入
-(46)---(46)
発生保険金に係る負債の調整---(3,705)3(3,702)
投資要素及び保険料払戻(4,437)-4,437---
保険金融費用(収益)3,3000---3,300
キャッシュ・フロー額
保険料の受取額91,688----91,688
保険金及びその他の
保険サービス費用支払額
(投資要素を含む)
--(8,936)(71,886)-(80,822)
保険獲得キャッシュ・フロー(2,580)----(2,580)
期末残高116,0151,8341,19735,687313155,046

(b)PAAを適用しない契約に関する保険契約負債の構成要素別の期首残高と期末残高の調整表は次のとおりであります。
前期
(自2022年4月1日
至2023年3月31日)
当期
(自2023年4月1日
至2024年3月31日)
将来キャッシュ・フローの期待現在価値非金融リスクに係るリスク調整CSM将来キャッシュ・フローの期待現在価値非金融リスクに係るリスク調整CSM
百万円百万円百万円百万円百万円百万円
期首残高73,1815,9266,76764,0526,16510,417
現在のサービスに係る変動
提供したサービスについて
認識したCSM
--(824)--(961)
消滅したリスクに係る
非金融リスク調整の変動
-(347)--(358)-
キャッシュ・フローの
見積りに関する実績調整
727--(115)--
将来のサービスに係る変動
当期に当初認識した契約(2,046)6731,373(2,036)8631,215
CSMを修正する見積りの変更(3,193)973,096(3,052)(54)3,106
不利な契約に係る損失及び
損失の戻入
---45--
保険金融費用(収益)(1,894)(184)53,571(287)16
キャッシュ・フロー(2,723)--(3,235)--
期末残高64,0526,16510,41759,2306,32913,793

(c)保険契約の測定に係る重要な会計上の見積もり及び判断
①履行キャッシュ・フローの構成要素
履行キャッシュ・フローは、以下で構成されております。
・将来キャッシュ・フローの見積り
・貨幣の時間価値および将来キャッシュ・フローに係る金融リスク(当該金融リスクが将来キャッシュ・フローの見積りに反映されていない範囲で)を反映するための調整
・非金融リスクに係るリスク調整
②将来キャッシュ・フローの見積り
当社グループの将来キャッシュ・フローの見積りの目的は、生じ得る全ての範囲の結果を反映する一定範囲のシナリオの期待値を算定することであります。各シナリオから生じるキャッシュ・フローは期待現在価値を算出するために、割り引いて当該結果の見積り確率で加重平均しております。
将来キャッシュ・フローを見積る際に、当社グループは報告日現在で過大なコストや労力を掛けずに利用可能なすべての合理的で裏付け可能な情報を偏りのない方法で織り込んでいます。この情報は保険金及びその他の実績に関する内部及び外部の過去データを含み、将来の事象についての現在の予想を反映するように更新されます。
将来キャッシュ・フローを見積もるにあたり、主要なインプットである、死亡率及び羅患率の仮定は通常、国民生命表のデータ、業界の傾向、直近の実績を組み合わせることによって設定しております。実績は定期的な調査を通じて測定しており、その調査の結果は新商品の料率設定と既存契約の保険契約の測定の両方に反映しております。
③割引率
キャッシュ・フローは、当該キャッシュ・フロー特性と保険契約の流動性特性を反映するよう調整したイールド・カーブを用いて割り引いております。当該イールド・カーブは、国債等の観察可能な市場データに基づき、長期の実質金利とインフレ予想を考慮して、利用可能な最新の市場データと終局フォワードレートとで補間計算することにより算出しております。
保険契約のキャッシュ・フローを割り引くのに用いたイールド・カーブは次のとおりであります。
前期(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
1年5年10年15年20年30年
JPY0.023%0.242%0.531%0.945%1.230%1.489%

当期(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
1年5年10年15年20年30年
JPY0.201%0.521%0.909%1.338%1.717%2.083%

当期末における保険契約負債から生じる正味キャッシュ・アウトフローの見積もり時期は、次のとおりであります。なお、正味キャッシュ・アウトフローの金額にはPAAにより測定される残存カバーに係る負債を含めておりません。
1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超合計
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
保険契約負債20,18713,0877,8975,5594,44757,567108,744

(d)保険リスクに対する感応度
生命保険事業においては、当初認識時の前提条件を用いて保険契約から生じる全てのキャッシュ・フローの現在価値を見積もり、保険契約負債を計上しております。
前提条件には、割引率(金利)、死亡率、罹病率、更新率、事業費及びコミッション等が含まれます。死亡率、罹病率、事業費及びコミッションの増加が予想される場合には、将来キャッシュ・アウトフローの増加を通じて、将来の純損益及び資本が減少することが想定されます。
前提条件がそれぞれ合理的に考え得る合理的な範囲で変更した場合の保険契約負債、純損益及び資本に与える影響は、重要でないと認識しております。
(3)保険リスクの集中
当企業グループの保険契約ポートフォリオは地理的に分散しており、過度に集中した保険リスクを有しておりません。
(4)実際の保険金額とそれまでの見積もり額との比較(クレーム・ディベロップメント)
保険事業におけるクレーム・ディベロップメントは、次のとおりであります。
事故発生年度
2019年2020年2021年2022年2023年合計
百万円百万円百万円百万円百万円百万円
事故発生年度末27,27026,01730,19334,81837,189155,488
1年後27,48925,00728,08132,182-112,759
2年後28,04423,85227,383--79,279
3年後27,68823,187---50,875
4年後27,575----27,575
最終損害見積額27,57523,18727,38332,18237,189147,515
累計保険金26,69721,97323,90826,45320,584119,615
割引前将来キャッシュ・
アウトフロー
8781,2143,4755,72916,60527,900
その他9,297
発生保険金に係る負債37,197
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