四半期報告書-第17期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/02/06 9:33
【資料】
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【項目】
29項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減もあり、個人消費などに弱さがみられるものの、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康及び予防医学への関心の高まりを背景とした、異業種による個人向け遺伝子検査ビジネスへの参入や、iPS細胞を用いた世界初の移植手術の実施等、様々な話題がありました。
このような外部環境の中で、当社グループは、ジェノミクス事業において平成26年7月に「炎症ストレス可視化マウス作製とその応用」に関して熊本大学及び群馬大学と共同で国際特許出願を行い、製品化に向け開発を進めております。
一方、先端医療事業におきましては、平成26年8月に株式会社サインポストと共同で個人向け遺伝子検査ビジネスを開始することについて合意し、平成26年11月より事業を開始いたしました。また、日本国内で既に成立している「膵がんマーカー」につきまして、平成26年11月に米国においても特許が成立し、当社のライセンス活動を強力にサポートすることが可能になりました。
なお、グループ全体の経営体制につきましては、平成26年4月にCRO事業の集約を行い事業運営の効率化を図ったほか、平成26年8月1日付で連結子会社2社を株式交換により完全子会社化し、機動的な経営体制を構築いたしました。
また、株式会社GMJより同社を退職した役員及び従業員の当社による雇用に関して提起されていました損害賠償請求訴訟について、平成26年12月26日付で、平成25年10月30日付第一審判決と概ね同一の条件での、和解による解決をいたしました。これにより、企業イメージへの悪影響や営業活動に係る障害なども除去されたものと考えております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,159,668千円(前年同期975,723千円)、営業損失116,259千円(前年同期187,296千円)となり、上記に加えて訴訟関連費用の計上により、経常損失129,715千円(前年同期221,748千円)、四半期純損失129,682千円(前年同期172,870千円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① ジェノミクス事業
ジェノミクス事業におきましては、遺伝子改変マウス作製受託サービスが堅調に推移し、当第3四半期連結累計期間の売上高は186,902千円(前年同期183,121千円)と増収になりましたものの、受託体制強化に伴う営業費用の増加により営業利益は18,654千円(前年同期27,257千円)にとどまりました。
② CRO(Contract Research Organization 医薬品開発業務受託機関)事業
平成26年4月に当社CRO事業を子会社である株式会社新薬リサーチセンターへ事業譲渡し、営業体制の強化を図った結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は362,697千円(前年同期360,644千円)と小幅ながらも増収となり、営業損失につきましては、事業運営効率化により21,700千円(前年同期は営業損失92,395千円)と大幅な改善となっております。受注活動は引き続き好調を維持しており、当第3四半期連結会計期間末繰越受注残高は420,922千円(前年同期比101,184千円増加)となっております。
③ 先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス、抗体作製受託サービス及び抗体試薬販売を行っております。売上高については、前第2四半期連結会計期間より株式会社ジェネティックラボを連結の範囲に加えたことにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は324,383千円(前年同期271,461千円)と増収となりましたが、当社及び株式会社プライミューンにおける抗体製品販売が不調であったことから、営業損益につきましては営業利益1,341千円(前年同期18,578千円)にとどまりました。
④ 病理診断事業
当事業は前第2四半期連結会計期間より連結の範囲に加えた株式会社ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による組織病理学的解析及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当第3四半期連結累計期間の売上高は297,320千円(前年同期は5ヵ月間で160,496千円)と大幅な増収となり、営業利益は26,901千円(前年同期は営業損失8,936千円)と順調に推移いたしました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
買収防衛策について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通じて基盤研究および医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」を経営理念とし、主としてジェノミクス事業、CRO事業、先端医療事業及び病理診断事業を展開するバイオベンチャーであります。これらの事業は、生命資源を取り扱うことや日進月歩で技術革新が進む事業分野であることから、高い倫理観やバイオテクノロジーに関する専門的な知識・ノウハウが要求されます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびにバイオ関連ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する従業員、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの理解が不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
ⅰ 当社取締役会は、上記②の取組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するためのものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ⅱ 当社取締役会は、上記②の取組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、34,145千円(前年同期31,405千円)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 経営者の問題認識と今後の方針について
「1 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループは、前年同期比大幅に改善したものの継続的な営業損失が発生しております。当該重要事象を解消するため、各事業における販売強化、事業間の連携促進、新規サービスへの参入を図り、収益拡大及び業績改善を目指します。また、M&Aも引き続き推進してまいります。資金につきましても、当第3四半期連結会計期間末時点での「現金及び預金」と「有価証券」の合計額は1,322,883千円であり、財務面に支障はないものと考えております。