四半期報告書-第19期第1四半期(平成28年4月1日-平成28年6月30日)

【提出】
2016/08/05 9:20
【資料】
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【項目】
24項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用環境の改善や小幅ながらも賃金の上昇がみられたものの個人消費は伸び悩み、期初からの大幅な為替の円高進行により、景気は悪化基調で推移し、先行き不透明感が増してまいりました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現に向け、新製品の開発が相次ぐとともに、産学連携による共同研究も活発化いたしました。
このような環境の中で、当社グループは、ジェノミクス事業においては、遺伝子改変マウス作製受託サービスの作製期間の短縮、さらにコスト低減が図れるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用した受注に注力するとともに、コスト面では人件費をはじめとする固定費の効率化に取り組みました。
CRO※1事業においては、既存の顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に注力し受注強化を図りました。また、非臨床試験の更なる受注拡大に向け、顧客(主に製薬企業)の多様なニーズに応えるため、新しい病態モデルの研究開発に取り組みました。
先端医療事業においては、本年4月26日に㈱理研ジェネシスとの間でリキッドバイオプシー※2遺伝子解析に関する協業の協定を締結し、同社が開発した「LBx® Probe」を使用し、リキッドバイオプシーによる遺伝子変異の受託解析サービスを提供することができるようになりました。これにより、従来の受託解析サービスに加えてcfDNA※3解析を治験、臨床研究等で実施することが可能となり、製薬企業等に対してコンパニオン診断薬を見据えた多様な提案を行うことができるようになりました。
病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に当第1四半期連結累計期間は、子宮頸がんの早期発見に向け、自己採取を含むHPV※4併用検査サービスの受注拡大に注力してまいりました。また、本年4月1日からは、臨床サイドからの、院内電子カルテに対応する報告や迅速な診断を望む声に応えるため、病理診断WEB報告システムのサービスを開始いたしました。
新規事業への取組みとしては、本年4月20日、㈱CURED(横浜市、抗体医薬品の研究開発)が有する抗HIV抗体を抗体医薬品として実用化を推進するため、資本業務提携先の㈱免疫生物研究所と共同で、同社が実施する第三者割当増資(5月11日払込期日)の引受を決議・実施いたしました。
一方、本年7月22日、資産の有効活用の観点から、当社が特許独占実施許諾権を受けている持分法適用関連会社の㈱イムノキック(神戸市、知的財産権管理)の全株式を本年9月30日に譲渡することを決議いたしました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高394,220千円(前年同期比28.6%増)、営業損失34,906千円(前年同期102,125千円)、経常損失47,872千円(前年同期102,851千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は37,222千円(前年同期73,442千円)となり、大幅増収及び大幅損益改善の結果となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
※1 CRO :Contract Research Organization 医薬品開発業務受託機関
※2 リキッドバイオプシー :(liquid biopsy)血液などの体液サンプルを使ってがん等の診断や治療効果予測を行う技術
※3 cfDNA :cell-freeDNA(細胞外遊離DNA)
※4 HPV :Human papillomavirus ヒトパピローマウイルス
① ジェノミクス事業
当事業では、遺伝子破壊マウスの作製受託、モデルマウスの販売及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。当第1四半期連結累計期間の業績は、マウス作製受託の好調により、売上高は80,869千円(前年同期65,118千円)、営業利益は24,231千円(前年同期は営業損失3,056千円)となり、増収及び大幅損益改善の結果となりました。
② CRO事業
期首時点の豊富な受注残高に加え積極的な営業・受注活動により、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は157,003千円(前年同期85,354千円)となり、また、固定費の比重の高い非臨床試験における損益分岐点を上回る増収の結果、営業利益は12,346千円(前年同期は営業損失39,464千円)と大幅増収及び大幅損益改善の結果となりました。なお、第2四半期以降の売上となる受注残高につきましても、当第1四半期末時点で509,379千円(前年同期337,429千円)と拡大傾向を維持しております。引き続き、受注強化に努め、通期黒字幅の拡大を目指してまいります。
③ 先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス、個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高については、57,757千円(前年同期57,265千円)と微増となりましたが、今後の業容拡大に向けた増床に伴う設備投資及び家賃増等により、営業損益につきましては営業損失26,396千円(前年同期20,593千円)となりました。今後は、成長分野と位置付ける個別化医療に向けた創薬支援サービスの受注に注力し、業績拡大を図ります。
④ 病理診断事業
当事業は㈱ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当第1四半期連結累計期間の業績は、受託検体数の伸び悩みにより、売上高は99,594千円(前年同期99,921千円)と微減になり、また、増床に伴う設備投資及び家賃増等により営業利益は1,492千円(前年同期10,236千円)と減益になりました。今後は、受託検体数の増加及び新規サービスの自己採取HPV検査の普及に取り組んでまいります。
(2) 財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は1,477,062千円となり、前連結会計年度末に比べ242,158千円減少いたしました。これは主に商品及び製品、仕掛品、その他の流動資産がそれぞれ、11,939千円、71,956千円、13,100千円増加した一方、現金及び預金並びに受取手形及び売掛金がそれぞれ、90,390千円、245,760千円減少したことによるものであります。固定資産は2,288,048千円となり、前連結会計年度末に比べ101,824千円増加いたしました。これは主に有形固定資産の「建物及び構築物」及び「その他」並びに投資その他資産の「投資有価証券」がそれぞれ、48,229千円、37,468千円、23,674千円増加したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は459,242千円となり、前連結会計年度末に比べ35,374千円減少いたしました。これは主に未払金が21,833千円増加した一方、買掛金、未払法人税等、その他流動負債がそれぞれ12,395千円、11,417千円、27,136千円減少したことによるものであります。固定負債は255,454千円となり前連結会計年度末に比べ85,591千円減少いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債及び長期未払金がそれぞれ、20,000千円、57,805千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は3,050,414千円となり、前連結会計年度末に比べ19,367千円減少いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の転換及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ、29,464千円、29,464千円増加する一方、親会社株主に帰属する四半期純損失37,222千円の計上及びその他有価証券評価差額金の減少40,545千円によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
買収防衛策について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社グループは「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通じて基盤研究および医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援および対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化および収益化が求められます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト
(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
ⅰ 当社取締役会は、上記②の取組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ⅱ 当社取締役会は、上記②の取組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、12,452千円(前年同期14,163千円)であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。