有価証券報告書-第41期(平成28年11月1日-平成29年10月31日)

【提出】
2018/01/30 15:35
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(2016年11月1日から2017年10月31日まで)におけるわが国経済は、米国での新大統領誕生以降の政策変更の動向、北朝鮮の核・ミサイル問題や英国のEU離脱問題に伴う世界経済への影響が定まらない中、国内においては政府の経済政策や日銀の金融緩和政策の継続に伴い、企業業績の回復基調は継続し、底堅く推移いたしました。
一方、個人消費については、所得環境は改善してはいるものの、節約志向の継続や可処分所得の伸びの鈍化の影響もあり、実感を伴った景気回復に向けては楽観視できない状況が続いております。
国内の雇用環境につきましては、厚生労働省発表の有効求人倍率は、2017年10月で1.55倍、正社員の有効求人倍率でみても1.03倍と、2004年11月の調査開始以降、初めて1倍を上回りました。完全失業率も総務省発表の労働力調査では2017年10月では2.8%と地域や業種によるばらつきはありますが、人手不足の状況は続いており、雇用情勢は改善傾向が継続しております。
このような環境の中、当社グループは、ITを軸とした12万5,000人の登録エージェントによるBPO事業と 子会社の株式会社アセットデザインを中心に展開しているコワーキングスペース事業の業容拡大とサービスの品質・効率の向上、強化に取り組んでまいりました。
また、2017年10月に各種業務システム・通信制御システムを主軸としたソフトウェア開発業務を手がけるオー・エイ・エス株式会社を子会社化するなど、M&Aを活用した事業拡大も進めております。
なお、前連結会計年度における当社グループの事業セグメントはBPO事業のみの単一セグメントとなっておりましたが、コワーキングスペース事業の比率が「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号)の定める量的な基準を超過したことや今後の事業展開からも重要性が増したため、当連結会計年度より、BPO事業とコワーキングスペース事業の2つのセグメントに分けて説明しております。各事業の詳細は以下の通りとなっております。
(BPO事業)
通信キャリアの新規顧客開拓や家電量販店での営業・販売支援サービスにおいては、海外PCメーカーの店頭販売支援サービス並びに家電量販店を中心とした販売支援業務において、人型ロボット等の新商材に対する営業を強化する一方、既存サービスにおいても効率的な運営に注力し、引き続き堅調に推移いたしました。
ITに特化した導入・設置・交換支援サービスにおいては、Windows 10への入替需要が一巡し、パソコン出荷台数減少からの回復の遅れは続いておりますが、底入れの兆しも見え始めております。同様に、スマートフォン・タブレット端末向けのキッティング業務や携帯電話・スマートデバイス無線通信の基地局案件についても、通信キャリアの設備投資抑制の動きは継続してはいるものの、前年度に実施した拠点の合理化や人員の適正配置の効果が出始め、収益性は向上しております。売上高も企業業績の回復に伴い、通信キャリア以外からのIoT案件やITを絡めた設備投資案件が増えており、今後は現状の収益性を維持しつつ、事業拡大を目指してまいります。
主にIT周辺機器やインターネット接続に関わるヘルプデスクを提供する運用支援サービス(コールセンターの運営等)においては、採用コスト並びに人件費の上昇の影響もあり、収益環境は厳しいものの、IT周辺のヘルプデスクのニーズは底堅く、引き続き安定的に推移いたしました。 2015年8月のWELLCOM IS株式会社、2016年2月の株式会社JBMクリエイトの子会社化により、当社グループのコールセンターは「東京・大阪・福岡・熊本」の4拠点となり、売上、収益とも着実に増加しております。今後は4拠点を活用したBCP(事業継続計画)対応やIoT関連のサポートセンター等の受注拡大を目指してまいります。
システム・エンジニアリング開発受託・技術者派遣事業は子会社スリープロウィズテック株式会社、2016年9月に子会社化したヒューマンウェア株式会社及び2017年10月に子会社化したオー・エイ・エス株式会社の3社で展開しております。IT技術者業界は慢性的な技術者不足が継続していることから、事業環境、業績とも堅調に推移する一方、IT技術者の採用のコスト及び難易度は上昇しております。今後は、営業・採用活動の一体化を進め、経営資源を集中することで、より一層収益性を高めてまいります。
当連結会計年度におけるBPO事業の売上高は119億78百万円(前連結会計年度比15.7%増)、セグメント利益は9億39百万円(前連結会計年度比27.0%増)となりました。
(注)BPO(Business Process Outsourcing)とは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称であり、顧客企業の業務処理(ビジネスプロセス)の一部を専門業者に外部委託することです。専門業者が業務プロセスを分析、企画することで顧客企業にとって業務プロセスの最適化、運用コストの変動費化等のメリットがあります。
(コワーキングスペース事業)
2015年11月に子会社化した株式会社アセットデザインにおいて展開しております。主に起業家や個人事業主支援を目的としたレンタルオフィス事業を首都圏中心に51拠点で運営しており、「必要な時に、必要な分だけ使う(借りる)」をテーマとしたコワーキングスペース(レンタルオフィス)を提供することで、利用者は低コストで高品質な施設利用が可能となっております。
業容拡大のための新規オフィスの開設を進めており、費用が先行するケースもありますが、利用企業社数は3,000社を突破、稼働率も高水準を維持しており、堅調に推移しております。今後は収益性の高い直営施設を増やしつつ、利用企業への人材提供やヘルプデスクの運営、コワーキングスペースを活用した起業支援等、当社BPO事業との融合も進めてまいります。
当連結会計年度におけるコワーキングスペース事業の売上高は14億97百万円(前連結会計年度比35.4%増)、セグメント利益は57百万円(前連結会計年度比162.1%増)となりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は134億54百万円(前連結会計年度比17.5%増)、営業利益は3億81百万円(前連結会計年度比42.6%増)、経常利益は4億1百万円(前連結会計年度比51.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億15百万円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
①当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要説明
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は15億60百万円となり、前連結会計年度末残高15億31百万円と比べて29百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
②各活動別の説明及び前連結会計年度比
(営業活動によるキャッシュ・フロー )
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、3億58百万円(前連結会計年度は2億68百万円の収入)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益4億2百万円、のれん償却額1億55百万円、減価償却費1億17百万円、未払賞与の増加額1億2百万円、預り金の増加額83百万円、前受金の増加額49百万円を計上した一方で、未払金の減少額3億78百万円、法人税等の支払額2億60百万円を計上したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー )
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、9億29百万円(前連結会計年度は98百万円の支出)となりました。これは、主として短期貸付けによる支出4億32百万円、有形固定資産の取得による支出2億46百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億24百万円、無形固定資産の取得による支出72百万円、差入保証金の差入による支出60百万円を計上したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー )
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、6億円(前連結会計年度は6億4百万円の支出)となりました。これは、主として長期借入れによる収入6億円、短期借入金の増加額2億99百万円を計上した一方で、社債償還による支出1億57百万円、長期借入金の返済による支出1億45百万円を計上したこと等によります。