有価証券報告書-第33期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 16:23
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【項目】
117項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成29年1月1日~平成29年12月31日)における我が国の経済は、内閣府による平成29年12月の月例経済報告で、個人消費の緩やかな持ち直し、企業収益や雇用情勢の改善等により「景気は、緩やかな回復基調が続いている」と報告されています。先行きについては同報告の中で「緩やかに回復していくことが期待される」とされながらも、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があると述べられています。
このような環境の下、当連結会計年度においては、平成24年12月期以降当社が取り組んでいた総合エンターテインメント事業からテクノロジー事業への転換について、平成29年3月31日付で出版事業に属する子会社3社の全株式の譲渡を実施したことにより当該転換が完了し、また平成29年3月28日開催の第32回定時株主総会における決議を以て新経営体制に移行する等、中核事業であるIoTソリューション事業により注力するための施策を積極的に行ってまいりました。
更に、当社では、当社が20年以上に渡って展開してきた組込みソフトウェア事業、及び10年以上に渡る半導体開発を含む組込みハードウェア事業の知識と経験による「総合的な組込み技術」をその根幹として、まだ繋がっていないモノとモノ、モノとサービス、サービスとサービス等を繋ぐことが当社の中核競争力(コアコンピタンス)であると再認識するとともに、当社の立ち位置、並びに現在市場から求められている技術及びサービス等をより的確に把握し、広範に対応できるようにすることが当社IoTソリューション事業の更なる成長のために必要であり、それらを実現するための新たな事業ビジョンの策定が必要不可欠と考えたことから、平成29年11月9日にIoTソリューション事業における新事業ビジョンを発表いたしました。当該新事業ビジョンにおいては、当社の役割を「まだ繋がっていないモノ・コトを繋げるコネクタ」であると再認識するとともに、同じ意味を表す「Connecting the Unconnected」をスローガンとして定めております。当社では、このスローガンを踏まえ、今後、より多くの市場ニーズ及び局面に対応した製品及びサービスを提供していくことを可能にするために、「広範な技術分野への対応等」、販売と取り扱いを容易にする「応用分野毎のサービス等のパッケージ化」、及び「販路拡大」の3点がまず第一段階の施策として必要であり、今後、当該3点の施策を着実に実行することにより当社の中長期的な業績向上及び企業価値の向上が実現できるものと考えております。
(a) テクノロジー事業
テクノロジー事業では、家電製品や家庭用品等のIoT化に必要な通信モジュール等のハードウェアだけでなく、スマートフォン用のアプリケーション、ビッグデータに対応するクラウドサービス等を総合的に提供しております。
当連結会計年度においては、スマートフォンのPUSH通知で動作するプラットフォーム「Aplix ConstantBridge IoT Platform」、米国Amazon.com, Inc.が提供する音声認識機能「Alexa」に対応した家電を開発するための「Amazon Alexa対応家電向けIoTソリューション」の提供を開始いたしました。またIoT機器向けのセキュリティスキャナー「Gumwheel」、浄水器をIoT化するためのオールインワンパッケージ「HARPS Aqua」の開発を発表いたしました。
また、「Sigfoxパートナープログラム」と「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)」へ参加するとともに、「Sigfox対応IoTソリューション」の提供開始と第5世代移動通信システム(5G)への対応を発表いたしました。
更に、当社IoTソリューションの更なる販路拡大及び販売強化を目的として、株式会社光通信と合弁会社を平成30年1月4日に設立することについて取締役会で決議し、発表いたしました。当社では本合弁会社設立により、株式会社光通信との相互協力関係のもと当社IoTソリューションの販路拡大及び販売強化が加速し、更なる当社企業価値向上が実現できるものと考えております。
上記に加えて、国内外における営業活動、及び展示会への出展やメディアへのパブリシティ等のプロモーション活動等に取り組んだ結果として、当社のIoTソリューションを採用した、スマートフォン対応IoT LEDライト「MAmoria it」が株式会社ブラザーエンタープライズから、浄水器用のフィルター・モニタリング・デバイス「FM100」がFrankeから、それぞれ当連結会計年度に発売される等、メーカーによる当社IoTソリューションの採用が進んでおります。
また米国Guardian Technologies LLC製の空気清浄機が「Amazon Alexa」に対応するためのAlexaスキルを、当社が開発いたしました。
「MyBeaconシリーズ」においては、「近接域特化型」と「防水防塵型」の後継機種を発売したほか、各種販促活動を行いました。
(b) 出版事業
平成29年3月31日に、出版事業に属するアプリックスIPパブリッシング株式会社、フレックスコミックス株式会社及び株式会社ほるぷ出版の全株式を譲渡いたしました。
これらの結果、当連結会計年度のテクノロジー事業の売上高は247,938千円(前連結会計年度の売上高492,675千円)、出版事業の売上高は309,699千円(前連結会計年度の売上高1,033,965千円)となりました。
営業損益につきましては、テクノロジー事業の営業損失は176,574千円(前連結会計年度の営業損失479,522千円)、出版事業の営業利益は42,210千円(前連結会計年度の営業利益38,033千円)となりました。
また、当連結会計年度においてセグメント損失の調整額が271,408千円(前連結会計年度のセグメント損失の調整額487,782千円)発生しております。セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は557,638千円(前連結会計年度の売上高1,526,640千円)となりました。
営業損益につきましては405,772千円の営業損失(前連結会計年度の営業損失929,271千円)となりました。
経常損益につきましては、421,911千円の経常損失(前連結会計年度の経常損失929,939千円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、946,405千円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失985,657千円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して292,786千円減少し811,196千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果減少した資金は363,908千円(前連結会計年度は1,203,149千円の減少)となりました。これは主に、売上債権が115,240千円減少したこと、事業再編損を465,696千円計上したこと等による増加と、税金等調整前当期純損失を919,071千円計上したこと等による減少によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果増加した資金は、91,438千円(前連結会計年度は24,760千円の増加)となりました。これは主に、投資事業組合の分配による収入16,050千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入61,370千円等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果減少した資金は、14,594千円(前連結会計年度は873,215千円の増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出12,870千円等によるものであります。