有価証券報告書-第31期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/28 16:08
【資料】
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【項目】
124項目

業績等の概要

(1)業績
当社グループは、平成24年12月期(平成24年1月1日~平成24年12月31日)から平成26年12月期(平成26年1月1日~平成26年12月31日)まで、総合エンターテインメント事業やソフトウェア基盤技術を中心とした事業から、テクノロジー事業への転換を行ってまいりました。平成25年12月期(平成25年1月1日~平成25年12月31日)から総合エンターテインメント事業の撤退を開始し、平成26年12月期はゲームやアニメーションの事業を売却、当連結会計年度は旧来のソフトウェア基盤技術事業を終了したため、4期連続となる売上高の著しい減少、営業損失の計上及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しておりますが、当該事業構造への転換が、より安定的に収益を伸ばせる体質への改革につながり、ひいては株主価値の向上につながると考えております。
(a)テクノロジー事業
テクノロジー事業では、家電製品や家庭用品等のIoT化に必要な通信モジュール等のハードウェアだけでなく、スマートフォン用のアプリケーション、ビッグデータに対応するクラウドサービス等を総合的に提供しており、国内外における営業活動、及び展示会への出展やメディアへのパブリシティ等のプロモーション活動等により、メーカーによる採用が進んでおります。
本事業の中核となるIoTサービス「お知らせビーコン」は、欧州大手アロマディフューザーブランドのNaeoや、米国大手ペット用品メーカーのOurPet's Company、浄水器メーカー等に採用され、消耗品や消費財の補充を適切なタイミングで通知するとともにネット通販につなげ、当社とレベニューシェアする契約を締結したことを発表いたしました。また、「お知らせビーコン」を防災情報に対応させ、照明器具に組み込み緊急速報で自動的に部屋の明かりを点けたり、暖房器具や調理家電等に組み込んで地震波が来る前に電熱器等をシャットダウンする等、家庭やオフィスでの安心安全を実現するソリューションや、Bluetooth方式の通信機能を持つIoTデバイスにWi-Fi通信を加えた独自技術を搭載する「BLE/Wi-Fiゲートウェイ」等の提供を開始いたしました。更にビーコン技術を活用してスマートフォンと連携することにより、ボタンを押すだけで商品を注文できる「お届けビーコン」、ポスター等に貼付しボタンを押すだけで手軽に気になる商品のツイートができるIoT技術を使ったマーケティングツールとなる「リアルTwitterボタン」といった製品を開発し、提供を開始したことを発表いたしました。
第4四半期連結会計期間におきましては、重力式浄水器向けIoT対応非接触型水量センサーを世界で初めて開発し、海外大手重力式浄水器メーカーへ供給するとともに交換用フィルターの売上をレベニューシェアする契約を締結したことや、浄水器の利用状況を把握できるだけでなく、フィルターを交換する作業やフィルターが正規の新しいものに交換されたことも自動的に通知するIoT対応水量センサーを開発し、飲食店向け業務用浄水器の海外大手メーカーとフィルターの売上をレベニューシェアする契約を締結したことを発表いたしました。浄水器の世界市場において当社のIoT技術の採用が進んでおり、先行している浄水器のIoT技術と採用実績を武器に、既に契約締結済みの様々な国や方式の大手メーカーに加え、今後はグローバルな総合大手メーカーとの契約締結を増やしていき、市場規模が4兆円を超える浄水器のグローバルマーケットにおける確固たる地位を固め、交換用フィルターや維持メンテナンスのサービスから得るレベニューシェアにより、利益率の高いビジネスモデルの構築を目指してまいります。
他方、位置情報を取得する手段の1つとして多様な業界や自治体、公共事業等において実用化が進み、普及期を迎えている「MyBeaconシリーズ」では、GPS電波が届かない地下や屋内でも利用可能であるビーコンの特性を最大限に活かすための実験・検証を1年以上前から繰り返し行い、その運用ノウハウ等を蓄積してまいりました。その結果9月には、防水、防塵、難燃規格を高い水準でクリアした強化型「MyBeacon MB901 Ac(以下「MB901」)」が、東京メトロ東西線のトンネルの一部区間で採用されたことを発表いたしました。
更に、家電製品をIoT製品にするために必要となるアナログインタフェースを1チップにしたIoT用アナログ半導体を世界で初めて開発したことを発表いたしました。当社では、様々なアナログ電子部品の種類に合わせた変換回路の設計開発をほぼ網羅的に経験できたことにより、一般的な家電製品で使われているアナログ電子回路をほとんどすべて変換できる回路を設計することが可能となり、家電製品向けIoT用アナログ半導体を実現することができました。当社のIoT用アナログ半導体がIoT家電製品の起爆剤となり、今後の収益の柱となるIoT事業の圧倒的な競争優位性を確固たるものにする根幹的な技術になっていくと考えております。
なお当社のIoTサービスは、日本経済新聞社による「2015年日経優秀製品・サービス賞」の優秀賞を受賞するとともに、日経グループの日経トレンディ誌の「2016年ヒット予測」で、第2位にランクインする等、平成28年は、オムニ家電とも呼ばれる「IoT家電元年」とされ、IoT家電を支える当社のIoT技術は、市場を先行する優位性を有しているとして市場から高い注目を集めております。
(b)出版映像等事業
当連結会計年度におけるコミックの単行本につきましては、新刊42点を刊行し、増刷を65回実施いたしました。
アニメ化もされシリーズ累計320万部突破の大ヒットとなったロボットコミック作品「ブレイクブレイド」の最新刊発売を筆頭に、最新刊投入に際して更なる読者拡大を目指しテレビCMや交通広告等の大型広告展開を行った学園ラブコメディ「お前ら全員めんどくさい!」が累計30万部を突破したのに加え、同じく展開を行った人気タイトル「危ノーマル系女子」が累計40万部を突破する等、多彩なラインナップが売上に大きく貢献しています。
特に第4四半期連結会計期間においては、20~30代女性読者向けのハートフルなコメディラインナップの売上拡大がめざましく、平成27年2月に第1巻を発売し、以降も増刷を重ねているラブコメディ「オデットODETTE」は、10月の第2巻発売で累計20万部を突破し、また読者に最も影響力のある年間アワード「このマンガがすごい!2016」(宝島社)オンナ編において第6位に入賞したことによる入賞効果で書店店頭露出が更に広がり、同じく増刷を重ねている女性向け人気タイトル「Baby,ココロのママに!」、「同居人はひざ、時々、頭のうえ。」とともに、出荷が好調に推移しました。
絵本・児童書作品では、前連結会計年度において読書感想文コンクール(毎日新聞社主催)課題図書に選定された「ミルクこぼしちゃだめよ!」に続き、当連結会計年度においても「クレヨンからのおねがい!」が当該課題図書に選定され、4月~7月で8万部を超える出荷となりました。
また全世界で約300万部が読まれた児童書「Wonder ワンダー」を7月に当社グループより発売いたしましたが、多くの雑誌・インターネットサイト等で紹介される等好評を博し、発売後3か月で5回の増刷を行い、4万部以上を出荷いたしました。
更に古今東西のクイズを網羅するクイズカルチャーマガジン「QUIZ JAPAN」本誌及び関連書籍や、戦時下のウォルト・ディズニー社等、様々なアニメスタジオが米軍に提供したキャラクター画の図案集を紹介する「キャラクターズ・オブ・ミリタリー ~ディズニースタジオ&アニメーター製作の軍用マスコット集~」等を刊行したほか、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公開に合わせて同シリーズの創始者と作品を紹介した「ジョージ・ルーカス究極コレクション」、同じくスター・ウォーズに関連して、全世界50人のトップクリエイターが創作した作品を紹介した「アート・オブ・フィルム 第1号 スター・ウォーズ篇」等を翻訳刊行する等、これまでの絵本・児童書とは異なる読者層の獲得にも努めております。
これらの結果、当連結会計年度のテクノロジー事業の売上高は353,267千円(前連結会計年度の売上高1,115,337千円)、出版映像等事業の売上高は1,179,606千円(前連結会計年度の売上高1,057,270千円)となりました。
営業損益につきましては、テクノロジー事業の営業損失は1,397,036千円(前連結会計年度の営業損失1,360,509千円)、出版映像等事業の営業損失は74,532千円(前連結会計年度の営業損失172,449千円)となりました。
また、当連結会計年度においてセグメント損失の調整額が935,012千円(前連結会計年度のセグメント損失の調整額1,233,518千円)発生しております。セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は1,532,874千円(前連結会計年度の売上高2,172,608千円)となりました。
営業損益につきましては、2,406,580千円の営業損失(前連結会計年度の営業損失2,766,476千円)となりました。
経常損益につきましては、受取利息及び為替差益の計上等により、2,391,785千円の経常損失(前連結会計年度の経常損失2,672,078千円)となりました。
当期純損益につきましては、減損損失の計上等により、2,903,394千円の当期純損失(前連結会計年度の当期純損失3,311,797千円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2,287,589千円減少し1,427,438千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果減少した資金は2,416,870千円(前連結会計年度は1,019,280千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を2,843,131千円計上したものの、現金支出を伴わない減価償却費を97,545千円、のれん償却費を80,370千円、減損損失を479,190千円計上したこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果減少した資金は、158,998千円(前連結会計年度は118,033千円の減少)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出が108,891千円発生したこと及び無形固定資産の取得による支出が48,262千円発生したこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果増加した資金は、290,884千円(前連結会計年度は40,516千円の減少)となりました。これは主に、株式を発行したことによる収入300,679千円及び新株予約権を発行したことによる収入3,155千円を計上したこと等によるものであります。