有価証券報告書-第31期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/28 16:08
【資料】
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【項目】
124項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループは連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りは、過去の実績や現在の状況を勘案し様々な要因に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積もりによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
2.当連結会計年度における経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は1,532,874千円(前連結会計年度の売上高2,172,608千円)、営業損失は2,406,580千円(前連結会計年度の営業損失2,766,476千円)、経常損失は2,391,785千円(前連結会計年度の経常損失2,672,078千円)、当期純損失は2,903,394千円(前連結会計年度の当期純損失3,311,797千円)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
3.当連結会計年度における財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,223,510千円減少し2,740,680千円となりました。これは、現金及び預金が1,888,002千円、有価証券が400,000千円、商品及び製品が124,090千円、ソフトウェアが156,479千円それぞれ減少したこと等によるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して570,309千円減少し938,419千円となりました。これは、未払金が347,082千円、前受金が130,189千円減少したこと等によるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して2,653,201千円減少し1,802,260千円となりました。これは、主に当期純損失を2,903,394千円計上したことに伴い利益剰余金が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して9.1ポイント減少し、65.6%となりました。
4.資金の流動性及び資本の源泉の分析
(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2,287,589千円減少し1,427,438千円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(2)資金需要
当社は、今後成長ドライバーとなるIoT等のテクノロジー事業に資金を集中的に投入しております。
テクノロジー事業においては、通信モジュール等のIoT技術の提供による収益だけでなく、IoTを活用したネット通販やインターネット経由で提供される各種サービスを実現するプラットフォームを提供し、購入される製品からのアフィリエイト収入や広告収入を利益率の高い収益として確保できると考えております。当社では、このような収益性の高い新たなビジネスモデルを遂行するために、平成27年3月9日開催の取締役会において、ドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当によるアプリックスIPホールディングス株式会社第D-1回乃至第D-3回新株予約権を決議いたしましたが、当社の株価が新株予約権行使価額を下回ることから行使に至っておりません。引き続き当社企業価値向上による行使を目指しつつ、増産の費用等の調達も視野に入れた事業提携や増資等による資金調達の話も進めてまいります。
5.戦略的現状と見通し
当社グループでは、以下の取り組みを推進すること等により、企業価値の更なる向上を図っております。
① 事業構造の転換
当社グループでは、総合エンターテインメント事業や旧来のソフトウェア基盤技術を中心とした事業構造から、IoT等のテクロノジー事業を中心とする事業構造への転換を行っております。当該事業構造への転換が、より安定的に収益を伸ばせる体質への改革につながり、ひいては株主価値の向上につながると考えております。
② 戦略的な知的財産の活用
当社は、社名に「IP」を冠するとおり、知的財産を重要な経営資産として位置付けており、特許戦略を経営戦略の一環を成す重要なファクターと考えております。当社グループにおける知的財産活動は、IoT等のテクノロジー事業等の国内及び海外展開を円滑に推進するための出願戦略や、それぞれの国及び地域における適切な知的財産の取得・維持・活用等、その重要性が増しております。
そのため、当社グループの知的財産を総合的に管轄する「IP戦略室」を平成25年6月に新設し、当社グループの知的財産戦略から知的財産の権利化、ライセンス等を含む知的財産の活用までを含めたIP戦略を強力に推進しております。リスク回避や防衛手段としての活動に留まらず、IoT等のテクノロジー事業をはじめとする当社グループの各事業に資する効率的で効力の大きい知的財産を創出し、権利を戦略的に獲得・活用していくための活動にも取り組んでおります。
③ 優秀な人材の確保
当社グループの成長戦略を実行して収益性を高め、ひいてはステークホルダーの皆様の利益に貢献するためには、当社国内外において優秀な人材を確保することが必要不可欠です。平成25年4月には、成果を出したい人がより積極的に働き、かつ多様な働き方を寛容できる環境の実現を目的とした当社グループの働き方に関する基本ポリシーを制定し、長期的かつ安定的な人材の確保及び優秀な人材の獲得につなげております。
6.継続企業の前提に関する重要事象等を解消又は改善するための対応策
当社グループは、平成24年12月期から平成26年12月期まで、総合エンターテインメント事業やソフトウェア基盤技術を中心とした事業から、テクノロジー事業への転換を行ってまいりました。平成25年12月期から総合エンターテインメント事業の撤退を開始し、平成26年12月期はゲームやアニメーションの事業を売却、当連結会計年度は旧来のソフトウェア基盤技術事業を終了したため、4期連続となる売上高の著しい減少、営業損失の計上及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しております。また当連結会計年度においても、前連結会計年度と比較して29.5%の売上高の減少、2,406,580千円の営業損失、2,391,785千円の経常損失、2,903,394千円の当期純損失を計上するに至ったことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループは、こうした状況を解消するため、以下の施策を実施し、当該状況の解消又は改善に努めております。
テクノロジー事業においては、通信モジュールからスマートフォン用のアプリケーション、クラウドまでIoT製品化に必要なトータルソリューションを提供し、顧客のIoT化ニーズの実現と今後の更なる受注拡大を目指します。また、IoT製品化に伴う設計・試作から検査までを含めた技術的な支援や、顧客と顧客の製造委託先の間に入った英語・中国語によるプロジェクトマネジメント等を提供し、IoT製品化に要する期間の短縮とIoT関連の製造分野における当社の優位性確立に努めてまいります。
出版映像等事業においては、新刊1点当たりの発行部数及び増刷の増加や固定費の削減、業務プロセスの改善による効率化等を今後も継続的に実施し、より多くの読者に支持いただけるような作品作りに努めてまいります。なお、事業の収益管理の強化や事業運営の効率化等を図るため、平成28年1月、当社の出版事業を分割し、アプリックスIPパブリッシング株式会社を設立しております。
コスト削減については、平成27年12月期までに実施した総合エンターテインメント事業からの撤退及び旧来のソフトウェア基盤技術事業の終了により、過去の事業にかかるコスト削減は完了したと考えておりますが、当社の成長軌道への回帰を早期に実現するため、人件費の圧縮や人員削減、業務の効率化等による継続的なコスト削減等を実施し、更なる体質強化と収益性の改善に努めてまいります。
財務面においては、事業構造の転換や収益性の高い新たなビジネスモデルを遂行するために、平成27年3月9日開催の取締役会において、ドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当によるアプリックスIPホールディングス株式会社第D-1回乃至第D-3回新株予約権を決議いたしました。当社では、企業価値向上による第D-1回乃至第D-3回新株予約権の行使を目指してまいりましたが、株式市場の低迷及び当社の業績回復に時間を要したこと等から、当社の株価が新株予約権行使価額に到達せず未だ行使されておりません。
財務面を強化し、且つ今後の拡大が予想されるIoT市場において、顧客からの受注を積極的に拡大するための施策として、平成28年2月12日開催の取締役会において、マッコーリー・バンク・リミテッドに対する第M-1回新株予約権(第三者割当)の発行を決議いたしました。当新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が平成28年2月29日から平成30年2月28日までの2年間となっていることから、すでに新株予約権の一部については行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては当初想定していた金額が全額調達できない可能性があります。したがって現時点においては、依然として継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。