有価証券報告書-第29期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 12:02
【資料】
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【項目】
123項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積りや前提条件の設定を必要とします。当社グループでは、特に以下の会計方針を重要と考えております。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)市場販売目的のソフトウェアの減価償却等
市場販売目的のソフトウェアの減価償却は、製品ごとの未償却残高を、見込販売数量又は見込販売収益を基準として販売数量又は販売収益に応じた割合に基づく償却額と、販売可能期間(3年以内)に基づく償却額のいずれか多い金額で償却を行うものとしております。見込販売数量又は見込販売収益が当初見込より著しく減少した場合、ソフトウェアの減価償却費が増加する可能性があります。
また、市場ニーズに合致しない場合等経済的価値が著しく減少していると判断する場合には、当該経済価値の減少部分について無形固定資産計上したソフトウェアを一時の費用又は損失として処理する必要が生じます。
(2)繰延税金資産
連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収予想額は、当社及び各連結子会社の将来の課税所得の見込み額に基づき算出され、十分な回収可能性があると考えておりますが、将来の課税見込み額の変化により繰延税金資産を取崩さなければならない可能性があります。
2.当連結会計年度における経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は5,775,458千円(前連結会計年度の売上高7,499,842千円)、営業損失は2,531,296千円(前連結会計年度の営業損失2,463,257千円)、経常損失は2,438,886千円(前連結会計年度の経常損失2,466,542千円)、当期純損失は2,997,481千円(前連結会計年度の当期純損失3,371,027千円)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
3.当連結会計年度における財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して2,860,076千円減少し9,720,755千円となりました。これは現金及び預金が1,246,989千円、受取手形及び売掛金が300,123千円、有価証券が287,138千円、建物(純額)が265,894千円、ソフトウェアが192,422千円それぞれ減少したこと等によるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して108,677千円減少し2,163,895千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が203,646千円、受注損失引当金が101,571千円それぞれ減少し、事業整理損失引当金が218,467千円増加したこと等によるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して2,751,399千円減少し7,556,859千円となりました。これは、主に当期純損失を2,997,481千円計上したことに伴い利益剰余金が減少したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して4.1ポイント減少し、78.2%となりました。
4.資金の流動性及び資本の源泉の分析
(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,621,557千円減少し4,687,666千円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー状況」をご参照ください。
(2)資金需要
手元資金の範囲内での実施を基本として、企業価値の向上に寄与する事業基盤の構築、優秀な人材の確保、新規事業の創出、M&A等の戦略的な投資に充当し、将来にわたる株主利益確保のために有効に役立ててまいります。
5.戦略的現状と見通し
当社グループでは、以下の取り組みを推進すること等により、企業価値の更なる向上を図っております。
① M2M関連市場での事業拡大
当社グループでは、携帯電話向けのソフトウェアで長年培ってきたソフトウェア基盤技術の実績、ノウハウ、特許技術等を組み合わせ、急拡大しているM2M市場向けソフトウェアとハードウェアの融合による競争力の高い最先端の技術を研究開発し、付加価値の高いM2M製品や関連サービスを市場にいち早く投入することにより、本事業の収益拡大を目指しております。
M2M市場向けには、携帯電話向けに開発した「JBlend」のノウハウを基に、M2M機器に向けJava言語で作成されたアプリケーションを実行するための超小型で高性能なソフトウェア基盤技術「WirelessIDEA」、スマートグリッド(次世代送電網)向けに当社が独自開発し、政府主導で送電網の次世代化が推進されている米国市場で採用されたソフトウェア基盤技術「picoJBlend」等を、海外市場を中心に提供しております。
また、M2M技術の事業分野において、あらゆる機器をワイヤレスで簡単にスマートフォンにつなぐことを可能にする量産用省スペース型通信モジュール「JM1」、Bluetooth Low Energy 規格に対応した低消費電力型で超小型モジュール「JM1L2」、並びにセキュリティ強化版Bluetooth Low Energyモジュール「JM1-L2S」等、M2M関連製品の開発を推し進め、家電製品、健康機器、玩具、ラジコン、ヘルスケア機器やフィットネス機器等、コンシューマ用の様々な機器を設計・製造しているメーカーに供給しております。
更に「JM1-L2S」と同じ部品で作ることにより低価格での提供を実現し、iOSとAndroid OS両方に対応した超小型のセキュリティ強化版Beaconモジュール「BM1」は、位置情報サービスや、小売店網等での情報管理、クーポン発行やポイント付与等による商品の販売促進等に利用できるプッシュ型O2Oサービスの新しいソリューションとして市場からの高い関心と注目を集めております。また、国際標準化機関認定登録局から発行された識別番号と米国の国立標準技術研究所(NIST)が認定した暗号化方式等を組み合わせて独自に開発した電子認証等の高度なセキュリティ機能を備えることにより、成りすましや不正アクセス等を防ぐサービスの提供も開始しております。
このように、当社グループにおいてM2M関連事業が順調かつ急速に拡大している中、当社グループの経営資源をM2M関連事業に集中投入できる組織体制を早急に確立することが、当社グループ全体の収益向上につながり、企業価値の増大と株主の皆様に対する利益還元を実現するものと考えております。
② 戦略的な知的財産の活用
当社は、社名に「IP」を冠するとおり、知的財産を重要な経営資産として位置付けております。当社グループにおける知的財産活動は、M2M関連事業等の国内及び海外展開を円滑に推進するための出願戦略や、それぞれの国及び地域における適切な知的財産の取得・維持・活用等、その重要性が増しております。
そのため、当社グループの知的財産を総合的に管轄する「IP戦略室」を平成25年6月に新設し、当社グループの知的財産戦略から知的財産の権利化、ライセンス等を含む知的財産の活用までを含めたIP戦略を強力に推進しております。リスク回避や防衛手段としての活動に留まらず、M2M関連事業をはじめとする当社グループの各事業に資する効率的で効力の大きい知的財産を創出し、権利を戦略的に獲得・活用していくための活動にも取り組んでおります。
③ 優秀な人材の確保
当社グループの成長戦略を実行して収益性を高め、ひいてはステークホルダーの皆様の利益に貢献するためには、当社国内外において優秀な人材を確保することが必要不可欠です。平成25年4月には、成果を出したい人がより積極的に働き、かつ多様な働き方を寛容できる環境の実現を目的とした当社グループの働き方に関する基本ポリシーを制定し、長期的かつ安定的な人材の確保及び優秀な人材の獲得につなげております。