有価証券報告書-第30期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/30 15:07
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【項目】
125項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積りや前提条件の設定を必要とします。当社グループでは、特に以下の会計方針を重要と考えております。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
(1)市場販売目的のソフトウェアの減価償却等
市場販売目的のソフトウェアの減価償却は、製品ごとの未償却残高を、見込販売数量又は見込販売収益を基準として販売数量又は販売収益に応じた割合に基づく償却額と、販売可能期間(3年以内)に基づく償却額のいずれか多い金額で償却を行うものとしております。見込販売数量又は見込販売収益が当初見込より著しく減少した場合、ソフトウェアの減価償却費が増加する可能性があります。
また、市場ニーズに合致しない場合等経済的価値が著しく減少していると判断する場合には、当該経済価値の減少部分について無形固定資産計上したソフトウェアを一時の費用又は損失として処理する必要が生じます。
(2)繰延税金資産
連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収予想額は、当社及び各連結子会社の将来の課税所得の見込み額に基づき算出され、十分な回収可能性があると考えておりますが、将来の課税見込み額の変化により繰延税金資産を取崩さなければならない可能性があります。
2.当連結会計年度における経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は2,172,608千円(前連結会計年度の売上高5,775,458千円)、営業損失は2,766,476千円(前連結会計年度の営業損失2,531,296千円)、経常損失は2,672,078千円(前連結会計年度の経常損失2,438,886千円)、当期純損失は3,311,797千円(前連結会計年度の当期純損失2,997,481千円)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
3.当連結会計年度における財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,756,564千円減少し5,964,191千円となりました。これは、受取手形及び売掛金が501,146千円、有価証券が2,321,756千円、ソフトウェアが865,105千円それぞれ減少したこと等によるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して655,166千円減少し1,508,729千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が132,436千円、前受金が191,288千円、事業整理損失引当金が218,467千円それぞれ減少したこと等によるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,101,397千円減少し4,455,461千円となりました。これは、主に当期純損失を3,311,797千円計上したことに伴い利益剰余金が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して3.5ポイント減少し、74.7%となりました。
4.資金の流動性及び資本の源泉の分析
(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して972,638千円減少し3,715,028千円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(2)資金需要
当社は、今後成長ドライバーとなるM2MやIoT等のテクノロジー関連事業に資金を集中的に投入しております
当社の平成27年12月期から平成29年12月期までの3年間を対象とした中期経営計画のとおり、当社グループの経営資源を、今後成長ドライバーとなるM2MやIoT等のテクノロジー関連事業に集中できるよう、足かせとなっていた総合エンターテインメント関連事業において様々な整理を実施したことで、大幅なコスト削減を実現いたしました。これにより、外部からの資金調達を行わなくても、M2MやIoT等のテクノロジー関連の業績を伸ばし、高い収益性を実現できる体制を構築しております。
今後成長ドライバーとなる当社IoT関連事業での新しいビジネスモデルでは、フィルター等の消耗品や消費財の販売増による家電製品や家庭用品メーカーの増加収益からのレベニューシェアとともに、家電製品や家庭用品の購入者に対して利便性を向上させる情報を提供したい小売業やサービス業等の様々な事業者からの情報配信による収入により、ハードウェアの販売やソフトウェアの利用料以上の収益を確保できると考えております。
しかし、レベニューシェアや情報配信による収入がハードウェアの販売やソフトウェアの利用料よりも予想以上に早く伸長し、生産量の拡大等を賄うための資金調達が中長期的な収益の拡大に寄与すると判断した場合、希薄化による既存株主への影響を上回る株主価値を実現する等の方法で更なる資金を市場から調達することを検討する可能性があります。
5.戦略的現状と見通し
当社グループでは、以下の取り組みを推進すること等により、企業価値の更なる向上を図っております。
① 事業構造の転換
当社の平成27年12月期から平成29年12月期までの3年間を対象とした中期経営計画のとおり、現在当社グループは、総合エンターテインメント関連事業を中心とする事業構造から、テクノロジー関連事業を中心とする事業構造への転換を行っております。当該事業構造への転換が、より安定的に収益を伸ばせる体質への改革につながり、ひいては株主価値の向上につながると考えております。
② 戦略的な知的財産の活用
当社は、社名に「IP」を冠するとおり、知的財産を重要な経営資産として位置付けております。当社グループにおける知的財産活動は、M2M関連事業等の国内及び海外展開を円滑に推進するための出願戦略や、それぞれの国及び地域における適切な知的財産の取得・維持・活用等、その重要性が増しております。
そのため、当社グループの知的財産を総合的に管轄する「IP戦略室」を平成25年6月に新設し、当社グループの知的財産戦略から知的財産の権利化、ライセンス等を含む知的財産の活用までを含めたIP戦略を強力に推進しております。リスク回避や防衛手段としての活動に留まらず、M2M関連事業をはじめとする当社グループの各事業に資する効率的で効力の大きい知的財産を創出し、権利を戦略的に獲得・活用していくための活動にも取り組んでおります。
③ 優秀な人材の確保
当社グループの成長戦略を実行して収益性を高め、ひいてはステークホルダーの皆様の利益に貢献するためには、当社国内外において優秀な人材を確保することが必要不可欠です。平成25年4月には、成果を出したい人がより積極的に働き、かつ多様な働き方を寛容できる環境の実現を目的とした当社グループの働き方に関する基本ポリシーを制定し、長期的かつ安定的な人材の確保及び優秀な人材の獲得につなげております。
6.継続企業の前提に関する重要事象等を解消又は改善するための対応策
現在当社グループは、総合エンターテインメント関連事業を中心とする事業構造から、テクノロジー関連事業を中心とする事業構造への転換を行っております。平成26年12月期においては、総合エンターテインメント関連事業の整理に伴う子会社の売却及び事業所移転等により、約14億5千万円の資金をテクノロジー関連事業用に確保し、年間約5億円のコスト削減を実現可能とする一方で、設備等の除却及び旧来のソフトウェア基盤技術事業からのビジネスモデルの転換にあたってのソフトウェア資産等の追加償却により、平成25年12月期に引き続き多額の損失を計上することとなりましたが、当該事業構造への転換が、より安定的に収益を伸ばせる体質への改革につながり、ひいては株主価値の向上につながると考えております。
当連結会計年度において、当社グループは、出版映像等事業でアニメーションやカジュアルコンテンツの事業に従事していた連結子会社2社の全株式を譲渡したこと等の理由により、売上高が前連結会計年度(平成25年12月期)の5,775,458千円から当連結会計年度では2,172,608千円と著しく減少したこと、及び事業所地代家賃等の削減による大幅な固定費削減を目的とした本社移転(平成27年4月予定)に係る費用として、本社移転費用745,170千円を特別損失として計上したこと等により、当連結会計年度において2,766,476千円の営業損失、2,672,078千円の経常損失、3,311,797千円の当期純損失、1,019,280千円の営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、前々連結会計年度(平成24年12月期)から当連結会計年度(平成26年12月期)まで、3期連続となる営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。以上の状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、当社の平成27年12月期から平成29年12月期までの3年間を対象とした中期経営計画のとおり、事業構造の転換や収益性の高い新たなビジネスモデルを推進することにより、平成28年12月期以降の連結営業利益黒字化を見込んでおり、今後、この中期経営計画の遂行により、当該事象又は状況の解消を図ってまいります。また財務面においては、当連結会計年度末時点で3,326,238千円の現金及び預金を保有していることから資金面における懸念は認められず、更に、連結自己資本比率も74.7%と財務安全性が確保されている状況を鑑み、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。