有価証券報告書-第30期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/30 15:07
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1)業績
現在当社グループは、総合エンターテインメント関連事業を中心とする事業構造から、テクノロジー関連事業を中心とする事業構造への転換を行っております。平成26年12月期(平成26年1月1日~平成26年12月31日)においては、総合エンターテインメント関連事業の整理に伴う事業所移転や設備等の除却及び旧来のソフトウェア基盤技術事業からのビジネスモデルの転換にあたってのソフトウェア資産等の追加償却により、平成25年12月期(平成25年1月1日~平成25年12月31日)に引き続き多額の損失を計上することとなりましたが、当該事業構造への転換が、より安定的に収益を伸ばせる体質への改革につながり、ひいては株主価値の向上につながると考えております。
(a)テクノロジー事業
従来のソフトウェア基盤技術を中心とした事業を縮小し、IoT関連事業で収益を伸ばす体制へと大きな変革を進めております。当該事業分野に資源を集中すべく、第1四半期連結会計期間において、これまでの主力製品であった「JBlend」、「emblend」等の既存ソフトウェア資産の一括ライセンス等を行っております。
IoT関連技術の事業分野においては、商用利用向けビーコン「MyBeaconシリーズ」及び成りすまし防止機能を搭載したビーコン「MyBeacon Proシリーズ」として、汎用型、防水防塵型、ペンダント型、近接域特化型、USB給電型等、あらゆる環境や用途に応じた様々なタイプの製品を、米国Apple Inc.(以下「Apple社」)のiBeacon licensed technologyをいち早く用い、日本市場において最初に開発・製品化いたしました。
「MyBeaconシリーズ」及び「MyBeacon Proシリーズ」は、飲食店、洋服店、居酒屋、美容院等においてポイント付与、クーポン配布等のO2O(Online to Offline)サービスで活用されるだけでなく、アプリケーションとの連携によりスマートフォンでの決済も可能としました。また、平成32年の東京オリンピック開催に向けて増加し続けている訪日外国人向けサービスとして神社仏閣や観光施設、博物館等の施設や展示品等の案内・ナビゲーションや、展示会やコンサート会場、屋外イベント等での情報提供サービス等でも活用されました。更に、スタッフの行動動線を検知・把握し、解析することにより、スタッフの作業効率改善を技術面で支援する等の実証実験も実施いたしました。
当社のビーコンは、京都市交通局の京都市営バスにも採用され、利用者にバスの接近を知らせることができる、世界初、ビーコンで交通インフラを支援するサービスの実運用が開始されました。また愛知県大府市による社会福祉協議会と地域住民が参加する認知症高齢者徘徊捜索の社会実験に採用され、認知症高齢者が安心・安全に過ごすことができる社会システム構築を支援する技術として活用される等、高齢化社会がもたらす問題を解決する一助と期待されております。更に、高知県南国市にある津波避難タワーでも当社のビーコンが設置され、災害時の安否確認を支援する技術としても注目されております。当社の「MyBeaconシリーズ」及び「MyBeacon Proシリーズ」は、飲食業界、アパレル・ファッション業界、流通業界、不動産業界、レジャー・エンターテインメント業界、物流・運送業界、観光業界等の多種多様な業界をはじめ、公共事業や自治体等において普及し始めております。
他方、当社が開発するもう1つのビーコン「お知らせビーコン」は、機器に組み込むことで、ある状態を検知した時だけ電波を発信するタイプのビーコンです。平成26年11月、米大手浄水器メーカーのAquasana Inc.が、流し台の下やカウンタートップに設置する浄水器に「お知らせビーコン」を搭載し、「お知らせビーコン」からの通知をスマートフォンで受信したユーザーが当該浄水器のフィルターを購入した場合、その売上を当社にレベニューシェアする契約を締結したことを発表いたしました。「お知らせビーコン」の補充発注ソリューションは、消耗品や関連商品・サービスの販売に伴うメーカーからのレベニューシェアにより、ビーコンの販売による収益だけでなく、継続的な収益を生むビジネスとして、更に高い収益性を期待できる今後の成長ドライバーとして位置付けております。
更に、アプリケーションの開発やサーバーへのデータ設定作業をしなくても、ビーコンが届いたその日からすぐに観光や街歩き中の訪日外国人に店舗や商品・メニュー等の案内が40か国語以上でできる「おもてなしBeacon」の提供を開始いたしました。手軽に使える「おもてなしBeacon」の普及を促進していくことで、幅広いお客様にインフラとして当社のビーコンを活用していただける環境を構築してまいります。
平成26年12月には、Apple社がiOS8から搭載した家電機器を操作するためのスマートホーム規格であるHomeKitに世界で初めて対応したBLEモジュールを開発し、平成27年から全世界の家電メーカーに向けて提供を開始することを発表いたしました。当該BLEモジュールは、モジュール単体で機器のセットアップ、操作権限の管理(ユーザー管理)、複数機器の一括操作、時間指定での操作予約、Siriを使った家電の操作、高度なセキュリティが求められる電子錠等、すべてのHomeKit機能を実現いたします。更に、当該BLEモジュールが搭載された製品の操作アプリケーションは、Apple社が標準で用意している開発環境を使った開発が可能です。また、BLEの特徴である低消費電力はLED照明器具のようなエコ商品に最適なだけでなく、電池を使った製品にも適用可能です。
当社では、IoT関連技術の事業分野を当社グループの新たな成長ドライバーと位置付け、「MyBeaconシリーズ」並びに「MyBeacon Proシリーズ」の開発、提供、及び「お知らせビーコン」等の開発、提供を促進していくことにより、収益の増大を目指してまいります。
(b)出版映像等事業
当連結会計年度におけるコミック作品につきましては、新刊52点を刊行し、60回の増刷を行いました。特に第2四半期連結会計期間にテレビアニメ放送されたロボットコミック作品「ブレイクブレイド」が好調で、売上に大きく貢献しております。児童書関連作品につきましては、新刊56点を刊行し、171回の増刷を行いました。特に「第60回青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選定された絵本作品「ミルクこぼしちゃだめよ!」の受注により、当連結会計年度における児童書関連事業分野の収益改善を実現しております。
なお、当社は、平成26年1月20日付で株式会社アニメインターナショナルカンパニーの全株式を、平成26年1月31日付で株式会社ジー・モードの全株式を譲渡しております。
これらの結果、当連結会計年度のテクノロジー事業の売上高は1,115,337千円(前連結会計年度の売上高1,764,963千円)、出版映像等事業の売上高は1,057,270千円(前連結会計年度の売上高4,010,494千円)となりました。
営業損益につきましては、テクノロジー事業の営業損失は1,360,509千円(前連結会計年度の営業損失695,516千円)、出版映像等事業の営業損失は172,449千円(前連結会計年度の営業損失943,788千円)となりました。
また、当連結会計年度においてセグメント損失の調整額が1,233,518千円(前連結会計年度のセグメント損失の調整額891,991千円)発生しております。セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2,172,608千円(前連結会計年度の売上高5,775,458千円)となりました。
営業損益につきましては、2,766,476千円の営業損失(前連結会計年度の営業損失2,531,296千円)となりました。
経常損益につきましては、投資事業組合運用益及び為替差益の計上等により、2,672,078千円の経常損失(前連結会計年度の経常損失2,438,886千円)となりました。
当期純損益につきましては、本社移転費用の計上等により、3,311,797千円の当期純損失(前連結会計年度の当期純損失2,997,481千円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して972,638千円減少し3,715,028千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果減少した資金は1,019,280千円(前連結会計年度は691,777千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を3,293,168千円計上したものの、現金支出を伴わない減価償却費を1,237,522千円、のれん償却費を107,160千円、本社移転費用を745,170千円計上したこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果減少した資金は、118,033千円(前連結会計年度は1,107,003千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が675,152千円発生したものの、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が452,072千円発生したこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果減少した資金は、40,516千円(前連結会計年度は50,327千円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が77,225千円発生したこと等によるものであります。