有価証券報告書-第19期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 13:38
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【項目】
125項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これら見積りと異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高の状況
当連結会計年度における売上高は47,426百万円(前年同期比6.6%増)となりました。その内訳は国内事業は44,531百万円(同7.0%増)、海外事業は2,894百万円(同1.2%増)となっております。
国内事業におきましては、改装工事が完了した「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ」並びに楽婚・家族挙式等の新規事業が順調に推移し、売上高の増加に貢献いたしました。
また既存店舗におきましても、施行件数が順調に推移し、売上高が増加いたしました。
海外事業におきましては、マーケット全体は穏やかな回復基調にありましたが、施行件数・受注件数共に、ほぼ横ばいで推移いたしました。
② 利益の状況
当連結会計年度における売上総利益は、既存店舗の施行件数の増加、「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ」の改装に伴う増収効果により、16,780百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
国内事業の業務拡大等に伴い広告宣伝費等が増加したため、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比較して903百万円増加いたしました。その結果、当連結会計年度における営業利益は6,856百万円(同5.2%増)となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比較して126百万円増加いたしました。また、営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比較して55百万円減少いたしました。その結果、当連結会計年度における経常利益は7,129百万円(同7.9%増)と増加いたしました。
特別利益は、賃貸借契約解約損失引当金戻入額の発生により45百万円増加いたしました。特別損失は、固定資産除却損36百万円、店舗閉鎖損失6百万円が発生しましたが、前連結会計年度に比較して243百万円減少いたしました。また、当連結会計年度における当期純利益は4,236百万円(同29.6%増)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第一部[企業情報]第2[事業の状況]4[事業等のリスク]で述べましたとおり、協力会社を含めた時代変化に対応しうるサービス(ソフトまたは人材)の品質確保、およびそれに付随するコストの変化、ブライダル市場の縮小を招くような冠婚葬祭等社会文化の著しい変化、出店予定地の確保等が、経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、安定的かつ継続的に成長できる企業体であり続けるために、財務体質の変化を図りつつ、収益性を総合的に向上させるべく5つの基本戦略を掲げております。
①出店戦略
持続可能な成長を遂げるため、当社は今後も綿密なマーケティング分析による出店地選定と施設計画に基づいた出店を行います。出店対象商圏としては、景気動向や都市化による人口減の影響を受けにくく、将来的に安定した需要が見込める東京都心部・大阪並びに名古屋中心部等の大都市圏を中心に、それぞれの都市圏におけるエリアシェア戦略に基づいたポートフォリオを構築します。エリアシェア戦略は、単に出店数を目標値とするのではなく、エリアの人材育成状況や、本項末尾記載の「今後の事業戦略」に基づく出店・運営構想とも連動しながら計画しています。また、既存のゲストハウスにつきましても3年程度のサイクルでリニューアルを行い、常に新鮮さと品質を維持することで、顧客獲得率の安定化を図っております。
②商品開発力
社内に蓄積した経験・ノウハウと多くの取引先企業による高水準のサービスとを融合させることにより、お客様の趣味や趣向を高いレベルで実現できる商品とサービスの提供を目指します。
③提案力/販売力
お客様の多様なニーズ=「夢」を的確に捉え、その「実現」のための商品提案力と販売力の向上を目指します。顧客サービス充実のための婚礼演出力強化が同業他社との差別化に繋がるものと考え、各スタッフのサービス提案力向上のための教育研修制度を確立することで、今後もさらに高いレベルの人材の開発に力を入れてまいります。また当社の商品告知・広告戦略は結婚情報誌等への有料広告に大きく依存しており、同業他社との受注競争に勝つためには、より魅力ある広告制作が必須となります。当社は、ゲストハウスのデザイン、サービス内容等を最大限にアピールするため、写真を中心とした魅力的な誌面づくりに取り組んでおります。また併行し、インターネット等、新たな集客媒体の開拓についても積極的に行っています。海外挙式につきましては、集客力ならびに成約率の向上を図るために、国内における集客拠点であります海外サロン(5ヶ所)並びに販売チャンネルの強化を図っております。
④利益率向上
高い収益性を確保するために、経営の合理化と業務効率の向上を図ります。
⑤資金調達
健全な財務体質の維持、資本効率の向上、株式価値の希薄化等への十分な配慮を行い、資本コストを重視した資金調達を実行します。
今後の事業戦略につきましては、国内事業におきましては、様々な挙式スタイルへ対応すると同時に、多様なコンセプトの披露宴スタイルを提供し、「地域一番店」を目指してまいります。また運営受託型ビジネス・再生型ビジネス等多様な事業形態により、財務基盤を健全化しつつ、安定的かつ高利益率の事業ポートフォリオを構築してまいります。海外事業につきましては、ハワイにおいては大聖堂挙式・ハウスウエディング等多様化する顧客ニーズに対応した挙式の提供、また海外事業全体として直営プロデュースを通じ、クオリティ・ブランド力を提供することで、デスティネーション・ウエディング(DW)への取組みを継続・強化してまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 所要資金の調達方針及び流動性管理について
当社グループの所要資金は、大きく分けて設備投資資金及び経常の運転資金となっております。これら所要資金のうち、設備投資資金につきましては、当社のゲストハウス等の建物のための設備資金を中心としており、主に社債の発行、長期借入金等により資金調達を行っております。また、経常運転資金については、資金需要時期に銀行からの短期借入により調達しております。子会社につきましては、当社を通じての資金調達を原則としております。
現状、当社の「前回収、後支払」という事業形態の性質上、通常の運転資金につきましては自己資金で対応できておりますが、更なる営業キャッシュフローの増大に向けて、販売の拡大と仕入コストの削減に取り組み、充分な流動性を維持していく考えであります。
② 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,586百万円増加して、53,968百万円となりました。これは主に、有価証券が5,000百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,733百万円増加して、29,300百万円となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う増加5,000百万円、借入金及び社債の減少2,364百万円によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ3,853百万円増加して、24,668百万円となりました。これは主に利益剰余金の配当が489百万円、当期純利益を4,236百万円計上したことによるものであります。なお、自己資本比率は前連結会計年度に比較して2.7ポイント上昇し、45.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比較して2,553百万円増加し13,758百万円となりました。
営業活動の結果獲得した資金は、主に税金等調整前当期純利益及び減価償却費による資金であります。前連結会計年度に比較して799百万円増加し6,022百万円となりました。
投資活動に使用した資金は、主に有形固定資産の取得による支出1,938百万円、事業譲受契約前渡金の支出1,710百万円であります。前連結会計年度に比較して3,048百万円多い5,457百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度におきましては、フリー・キャッシュ・フローが565百万円(前連結会計年度は2,813百万円)となりました。
財務活動の結果獲得した資金は、主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入4,966百万円があったものの、既存の有利子負債が減少したことにより、1,897百万円(前連結会計年度は使用した資金2,198百万円)となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
平成22年12月期平成23年12月期平成24年12月期平成25年12月期
自己資本比率(%)38.737.643.045.7
時価ベースの自己資本比率(%)46.136.139.960.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)2.53.53.23.2
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)19.614.916.723.4

(注)自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、第一部[企業情報]第2[事業の状況]3[対処すべき課題]に記載のとおり、当社既存ターゲットから派生するゲストハウスの追加出店をエリア展開するのみならず、婚礼スタイル・価格帯・人数等、より多様化する社会ニーズに応えるための、ターゲット別ポートフォリオを構築していくことであります。当社の今後の出店計画、人材の確保と育成は、既存事業所の事業計画の枠に捉われず、ターゲット別に構築された事業計画に沿った出店形態やコストの考え方に基づき、より多様化し柔軟性を高めてまいります。