有価証券報告書-第24期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/30 12:08
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社では、メイン事業である生花祭壇事業における「業界のコストリーダー」として市場シェアを拡大し圧倒的な優位性を獲得すること、物流のサービス強化と高度化を中期経営目標とし、グループ一体でお客様の豊かな暮らしを支援できる総合生活提案企業としての成長を目指すこととしております。
(グループ理念)
ビューティ花壇グループは公平で誠実な事業活動を通じて、より多くのお客様に最高の商品・サービス・環境を適切な価格で提供し、お客様の豊かな暮らしを支援できる、総合生活提案企業になることを目指します。
(グループ経営理念)
我々は、公正、透明かつ自由な競争を通じて利益を追求するとともに、広く社会にとって信頼され価値ある存
在であり続けるため、次の原則に基づき行動することを誓います。
1)お客様のために
お客様の満足と信頼を得られるよう、優れた品質の商品・サービスを魅力的で合理的な価格で、便利かつお
求めになりやすい方法により提供します。
2)取引先のために
取引先との間に良好で公正な取引関係を築き、これを維持することにより、共に成長していくことを目指し
ます。
3)共に働く人たちのために
職場で働く全ての人たちそれぞれの多様性、人格、個性などの人権を尊重し、その能力を最大限発揮し、成
長できるように、健康的で安全な、活力あふれる職場環境造りを目指します。
4)社会のために
良き企業市民として、法令及び社会倫理を遵守するとともに、地域社会との積極的な関わりを通じて、広く
社会貢献活動を行います。また、市民社会の秩序や安全に脅威を与えたり、健全な企業活動に悪影響を与える
ような反社会的勢力とは、一切関係を持ちません。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、事業本来の収益性を重視し、売上高経常利益率の向上に努めてまいります。また、株主重視の経営という観点から、企業価値を高めるため株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標としており、2020年6月期においては目標19.8%に対し△50.9%(前期は△1.0%)でした。2021年6月期につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による葬儀規模の縮小や参列者の減少、婚礼の延期等なおも厳しい事業環境が予想されることから、業績目標は未定としております。
(3)中長期的な経営戦略
生花祭壇事業については、葬儀業界の変化に伴う顧客ニーズの変化に的確に対応し技術力の維持・向上に努め、高付加価値の新しい生花祭壇の企画・提案をしていきます。また、国内のみならず、台湾、マレーシア、シンガポール及び中国沿岸部大都市圏を代表とする東南アジア地域での生花祭壇の普及を図ってまいります。
生花卸売事業については、2016年7月をもって当社国内流通事業を承継したマイ・サクセス株式会社が主体となり、付加価値の高い商材(生花)や価格競争力のある商材の開発を国内、海外の生産者と直接行い輸入取扱量を拡大、仕入原価を安定的に下げることで収益力の向上を目指してまいります。
ブライダル装花事業については、マーケット規模が大きくかつ、今後の成長が期待できる関東エリアでの新規顧客の獲得を図り、売上の拡大を目指します。
また、以上の既存事業と垂直及び水平統合によりシナジーが見込める新たな事業領域で積極的な資本業務提携を進めてまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。
1.商圏拡大と業界のコストリーダーへの成長(生花祭壇事業)
生花祭壇事業の顧客が属する葬儀業界におきましては、高齢化の進展に伴い、死亡者数も増加傾向にある一方で、近年、近親者のみで行う密葬の増加や葬儀規模の縮小により、1件あたりの葬儀単価は下落傾向が見られます。これは、縁者・友人の高齢化や人間関係の希薄化等による会葬者の減少、儀式の簡素化などが要因として考えられ、今後もこの傾向が更に進むことが予想されます。このような状況の中、更なる売上拡大と利益体質への変革を図るべく、商圏拡大とコスト削減は大きな課題であると認識しており、顧客ニーズを積極的にフォローするための拠点展開やサービス提供、低コスト祭壇の開発に取り組むとともに、生花祭壇・供花の集中生産方式の更なる効率化、労務費率の適正化と安定化へ努めてまいります。
2.物流の量的拡大とコストダウン(生花卸売事業)
花卉業界におきましては、卸売市場が従来の集荷・分荷・価格形成機能から、付加価値をつけた販売機能への変化を求められ、市場の淘汰や花卉業界の再編が更に進んでいるものと認識しております。マイ・サクセス株式会社においては、国内外での事業の垂直統合による、花に関した付加価値の連鎖を作り出すサプライチェーンを構築し、大規模な物流拠点を新設、大量物流の実現へ注力しており、今後物流機能を充実させることによる量的拡大、スケールメリットを活かした低コスト化とともに技術力の提供による生花店のネットワークを構築いたします。ブランド力のある生花店からは、ブランド力・オリジナリティを共有する仕組みづくりを行い、今ある生花店と競合しないM&A、あるいは業務提携による共存共栄の体制をとり、密度の経済を活かした収益体制を構築いたします。
3.売上拡大と収益力向上(ブライダル装花事業)
ブライダル装花事業の顧客が属するブライダル業界におきましては、少子化により婚姻件数は年々減少を続け、更には「ナシ婚」ともいわれる婚姻届のみの結婚の増加等により、市場規模は縮小傾向にあります。一方で近年主流となりつつあるゲストハウス・ウエディングがマーケットに定着し、また晩婚化により1組あたりの結婚式単価が一部上昇傾向にあることで、既存のホテルや専門式場等による競争激化の様相を呈しております。このような状況の中で、消費者のニーズは高付加価値かつ低価格商品へと変化してきております。
同事業を担う株式会社One Flowerにおきましては、これまでに奏功した新規拠点・店舗開設に加え、今後もマーケット規模が大きくかつ、成長が期待できる大都市圏での保証金預託等のリスクの少ない新規顧客の獲得を図り、あわせてEC(イーコマース)事業の売上の拡大と収益力の強化を目指してまいります。
4.新規事業領域への展開
これまで、当社グループの既存事業である生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業を核としながら、シナジーが見込める事業の垂直統合及び水平統合を進めることで、冠婚葬祭事業者や新規顧客に対し、新しいソリューションモデルの提供を行ってまいりました。今後は当社グループのコア事業であり、強みを活かせるカテゴリーである生花事業に最大限注力しマーケットシェアの拡大を目指してまいります。なお、新規事業への投資については、成長性と収益性の期待できる事案に限定することで、当社グループの更なる業容拡大を図ってまいります。
5.有能な人材の確保・育成
当社グループ事業の継続的な発展を実現するためには、有能な人材の獲得及び育成が重要な課題であると認識しております。そのため、事業構造や事業展開等を勘案した上で、当社グループのビジョンと共鳴する優秀な人材を適時採用する他、成長フェーズに合った評価制度、教育研修制度、報酬制度を導入してまいります。
6.コーポレート・ガバナンスの強化と内部管理体制の強化
当社グループが継続的な発展を続けることができる企業体質の確立に向け、経営管理体制及びコンプライアンス体制を含むコーポレート・ガバナンスの強化についても重要な課題としてとらえ、積極的な取り組みを行ってまいります。コーポレート・ガバナンスコードの精神に則った実効的なコーポレート・ガバナンスの実現を目指し、各原則を適切に実施いたします。今後も、IR活動を通じて、資本市場参加者(株主、投資家、証券アナリスト等)に対し、説明責任を十分に果たし、対話によって信頼関係を構築していくほか、適時適切な情報開示、すべてのステークホルダーとの適切な協働にも努めてまいります。