有価証券報告書-第25期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 9:50
【資料】
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【項目】
135項目

有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
当社は企業理念を「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」としております。大手通信事業者が求めるキャリアグレード(短時間の停止も許されない公共的社会インフラを支える技術や品質)の製品・サービスを提供するとともに、グローバルスタンダードであるインターネット技術をベースにした先進的なコミュニケーション・サービスを提供してまいります。
(2)経営戦略等
当社は、NTTの技術者を中心に創業され、電話公衆網で必要とされる技術・品質レベルを理解し、かつ短時間の停止も許されない信頼性を実現する技術力を持っております。また、ネットワークやコミュニケーションの最新技術を同時に活用し、クラウドサービスとしての提供を実現しております。従来得意としている、グローバルスタンダードな海外製品を、日本国内の制度やシステムに適応させ、多種多様なソリューションとして提供するなど、当社の特性を活かしたビジネスモデルを展開しております。
当社は、最先端の音声コミュニケーション技術を提供する単一セグメントの事業を展開しておりますが、これを二つの事業領域に区分して管理しております。一つ目は、「ボイスコミュニケーション事業」、二つ目は「クラウドDX事業」です。
ボイスコミュニケーション事業においては、画期的な変革を先導し、技術的なソリューションを大手通信事業者に提供してまいりました。コア製品であるSBCをはじめとした、ネットワーク技術がベースとなる音声コミュニケーション製品群は、大手通信事業者の電話通信網で引き続き重要な役割を果たしており、安定した稼働を保証する保守サービスを提供することが求められています。大手通信事業者は、IP化された電話通信システムの更改・機能強化を進めており、音声コミュニケーション専用ゲートウェイである当社のソフトウェアSBC「NX-B5000」は、今後も新たなライセンス・ビジネスや、安定した運用のための保守サービス需要が見込まれます。
また、固定電話の双方向番号ポータビリティの解禁によって、企業向け電話システム市場においてもIP化が一層進展し、ソフトウェアSBC「NX-B5000」やそのクラウドサービスである「U-cube friends」の需要が高まっています。これに伴い、クラウドPBX(クラウド型の社内電話交換システム)である「U-cube voice」の契約数も大幅に伸びております。
そのほか、AIによる通話記録の解析需要の高まりから、コンタクトセンターにおける通話録音ソリューション「LA-6000」や音声認識の引き合いも活発化しており、あわせて老朽化した通話録音装置のリプレイスに関する案件の獲得も堅調に推移しております。
こうしたなか、当社のソフトウェアIP-PBX「NX-C1000 for Enterprise」やソフトウェアSBC「NX-B5000 for Enterprise」をベースに開発した、「U-cube voice」や「U-cube friends」等のクラウドサービスが、パートナー事業者との協業によってさらに成長しております。また、クラウドサービスを提供する事業者に対して、当社のソフトウェアPBXやソフトウェアSBCをライセンスで提供し、同事業者が自らのサービスメニューを容易に拡充・販売できるビジネスモデル「Enablerサービス※」の普及にも注力しております。
この取り組みの一環として、クラウドサービス事業者間の連携を強化することを目的に、パートナー各社を組織化し、情報交流や技術交流を進める場である「NextGen CaMP」を運営しており、現在はNTTドコモビジネス株式会社を始め、計21社に加盟頂いております。
クラウドDX事業においては、成長著しいクラウド市場において不可欠となるネットワーク技術を強みとし、お客様の「クラウド・リフト」および「クラウド・シフト」を包括的に支援する体制へと事業領域を拡大いたしました。自社サービスとして提供してきたクラウド技術や業務プロセス改善(BPM)の知見を活かし、クラウドの活用を通じて、お客様の業務最適化を支援する事業です。実際に政府の外郭団体である一般社団法人から受注したプロジェクトでは、上流のコンサルティングからシステム化、運用までを一貫して支援する「顧客伴走型ビジネス」を提供しております。
また、通信事業者向けのキャリアコアソリューションにおいても、クラウド化・マルチメディア化・大容量化が加速しており、当社の最先端の技術力へのニーズが益々高まっております。
今後は、長年培ってきた「稼働率99.999%(ファイブ・ナインズ)」を要求されるキャリアグレードを維持し、IP通信をコアに最先端の技術要求に応えるサービス、ソリューションを継続的に提供することで、次世代通信インフラの発展や、多くの企業・組織のコミュニケーションニーズに貢献してまいります。
※Enablerサービス:当社が提供するクラウドサービスを活用し、パートナー企業が自社のクラウドサービスを事業として展開できる、サービス・ビジネスの新しいモデルです。ブランドはパートナー企業のものとし、当社は裏方として技術やインフラ、機能を提供することでパートナー企業のサービス運用をサポートします。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の中長期的な見通しにつきましては、経営環境の変化に柔軟に対応し、より現実的な数値目標を設定すべく、毎年、直前事業年度の業績等を踏まえて次年度以降の中期経営計画の見直しを行っております。
事業の成長とともにキャッシュを生むことが重要であるとの経営判断に基づき、2029年3月期(通期)の売上損益として、売上高 70億円、営業利益 6億円、EBITDA 9.5億円を計画しています。利益率の高いサブスク型ビジネスが収益の安定基盤となることで、当社事業の成長を見込んでおります。
(4)経営環境
当社の主要事業であるボイスコミュニケーションサービス分野においては、国内大手通信事業者、海外からのサービス事業者、新規参入のサービス事業者による新サービスの市場への導入や価格競争があり、市場は活性化しております。また、リモートワークは多くの人々にとって一般的な働き方のひとつとなり、オンライン会議も日常的な打ち合わせの手段として定着いたしました。
2024年、100年以上続いてきた日本全国の固定電話通信サービスネットワークである公衆交換電話網は、インターネット技術(IP通信技術)によって完全に置き換えられました。これにより、音声通信の効率は劇的に改善し、その結果として国内の通話料金は大幅に低下いたしました。当社はこの画期的な変革を先導し、技術的なソリューションを大手通信事業者に提供してまいりました。
一方、これらの市場の変化は、販売方式の変化も伴っております。通信事業者向けに、1件あたり数億円規模のハードウェアとソフトウェア・ライセンスを一括販売するワンタイム型のビジネスから、企業向けに、ハードウェアを保有しないクラウドサービスや、サブスク型ビジネスのモデルへと、顧客ニーズは徐々に変化しております。収益面では、保守サービスの安定的な売上の維持・継続や、クラウドサービスの成長、パートナーとのより深い共同事業を行うための新たなビジネスモデルであるEnablerサービスにより、安定した収益を生む構造への転換が進んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が今後優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① 人材の確保と働き方の改革
当社の属する情報通信分野においては、高度化する技術への対応、高度な専門知識を持った技術者の不足等の課題を抱えており、有能な人材の採用と育成、働き方の改革は重要な経営課題となっております。当社では、かねてより柔軟な働き方に対応した制度の導入や生産性を向上させるため自社ソリューションを活用してまいりました。このため遠隔地へ転居しても、勤務を継続することや育児・介護を行いつつ仕事も進められる環境が整い、能力ある人材が無理なく仕事を継続できるようになっております。あわせて、このような多様な働き方が許容されテレワークが普通である働き方の改革は、優秀な人材の確保に役立ち、当社の重要な強みとなっております。引き続きワークスタイルの変革を推進し、優秀な人材の採用・育成を進めてまいります。
② 収益力の向上
売上の拡大と安定した利益の確保を図るため、いわゆるサブスク型の事業・サービスを強化することも重要な施策の一つであると考えており、安定した収益源である保守サービスやクラウドサービスを成長させることに注力しております。株主でもある事業パートナーとの連携により、さらなる成長を目指してまいります。
また、収益確保の上で課題である新規プロジェクトの採算管理、スケジュール管理の業務改革を進めた結果、着実に収益を上げることができる体制が構築されつつあります。今後もさらに改革を推し進め、プロジェクト管理を強化し、無駄なコストを削減して、DXの推進によって効率化に取り組んでまいります。
③ 新製品の企画開発
当社が開発したコミュニケーション・プラットフォーム・サービス(Communications Platform as a Service)U-cube CPaaSは、従来輸入していた製品サービスを、自社開発のソフトウェア、クラウドサービスにて置き換え、音声通話、ショートメッセージ(SMS)、オンラインチャット等、様々なコミュニケーションツールをシームレスに使用できる統合的な基盤です。また当社はAI音声認識分野において産学連携を進めており、人材交流や共同研究を通じて、基礎技術の蓄積を図っております。これらを結び付け、新たなサービスを開発し提供していくことに取り組んでまいります。
更に、こうした技術や取り組みを広く認知いただくためには、広報活動を通じて、当社の提供するソリューション・サービスをわかりやすくステークホルダーの方々へ伝えていくことが重要であると考えております。ニュース・リリースやビデオ映像による事業紹介等、投資家向け情報発信の取り組みを、今後さらに充実させてまいります。
④ 品質向上に向けた活動
当社の創業以来培ってきた通信事業者向けソフトウェア開発においては、通信事業者の厳しいサービス運用基準への適合が要求されます。これらのソフトウェアをクラウド上で提供するクラウドサービスにおいても、品質の確保は必須であり、事業を継続していく上で当社の重要課題であると認識しております。より高いレベルでの品質確保のため、独立かつ客観的な立場で判断ができる品質管理担当を設け、全ての開発プロジェクトに品質プロセスを適用し、品質の担保に努めております。

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