有価証券報告書-第12期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
(基本理念)
当社グループでは、グループ共通の価値観として、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を策定し、公表しています。「OUR PHILOSOPHY」は、グループの経営、企業活動、役員や社員などの構成員において、大切にする考え方やあり方を幅広く明確化しており、当社グループのすべての営みはこの「OUR PHILOSOPHY」を軸に行われます。当社グループは、社会に対して果たすべき役割として、「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」存在を目指してまいります。
また、当社グループでは2017年5月に、この先10年を見据えた目指すべき企業像として新たなグループビジョンを定めました。このグループビジョンをTISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(グループビジョン)
①目指す企業像
「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。
②戦略ドメイン
目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。
また、当社グループは、事業を通じた社会課題の解決による持続的な社会発展への貢献という企業が本来有する社会的責任に対する認識をよりいっそう深め、中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレートサスティナビリティに関する取組みをよりいっそう強化してまいります。その一環として、2018年7月に国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」に署名するとともに、社会の動向やステークホルダーからの期待、当社グループらしさや成長への重要性を元に、4つの重点テーマとマテリアリティ(重要課題)を特定し、優先して取り組んでいくテーマも明確化しました。当社グループはマテリアリティへの取組みを通じて、SDGsの達成に向けて貢献してまいります。
加えて、高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し、グループの企業と社員が共に法令等の遵守はもとより高いモラルに基づいた誠実かつ公正な企業活動を実践し、社会的責任を果たすことを宣言した「グループCSR基本方針」に基づき、CSRを重視した経営を推進してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、中期経営計画(2018-2020)期間である2020年3月期のグループ経営方針を以下の通りと定め、同計画の目標達成並びにグループ企業価値の向上に向けて諸施策を推進してまいりました。
グループ経営方針に基づき、構造転換に向けた積極的な先行投資を行いながらも、顧客のIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大、生産性向上や不採算案件抑制等、収益性向上に向けた取組みを推進してまいりました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。
当社グループでは、中期経営計画(2018-2020)の基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「継続的なスピードある構造転換」を達成するために、最終年度となる2021年3月期の重要経営指標を以下の通り定め、目標としています。2020年3月期では、全ての指標において当連結会計年度の目標を大きく上回り、中期経営計画(2018-2020)で定めた4つの重要な経営指標について1年前倒しで達成しました。
(注1)2019年11月上期決算発表時点の修正計画。
(注2)2021年3月期中計値は、中期経営計画(2018-2020)策定時の数値。
(4)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界経済の先行きには不透明感が高まり、短期的には産業ITセグメントを中心に新たな投資を控え、開始時期を延伸する顧客も増えています。一方で、人々の働き方や暮らしの価値観の変化が進む可能性もあり、このような変化から生じる新たなニーズに応えていくことが必要であると認識しております。
長期的には、新型コロナウイルス感染症拡大影響からの正常化等に不確実性はあるものの、顧客のデジタル経営への志向が強く、IT投資ニーズは拡大することが期待されます。あらゆる産業において、企業変革と競争力の強化のために、新たなデジタル技術とデジタルデータを活用した「デジタル・トランスフォーメーション」の重要性が高まっており、その実現に向けた戦略的なIT投資の増加も期待されます。
日本においてはキャッシュレス決済比率が先進国の中では低水準に留まっているものの、経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」において同比率を2025年に40%へ引き上げる宣言を定めたことを受けて、今後、クレジットカードやデビットカード、QRコード決済など多様なキャッシュレス決済手段の更なる普及や、キャッシュレス社会の実現に向けた諸施策の推進などを背景にキャッシュレス決済関連市場の拡大が期待されます。
一方で、デジタル化の急速な進展やグローバルなITプラットフォーマーの台頭などにより、事業環境が急激に変化し、これまでとまったく異なる発想が求められるようになっております。産業構造の変化や社会課題など、外部環境の変化を敏感に察知し、そこから当社にとっての重要課題を設定し、ビジネスの成長へと結びつけることがより必要となってきていると認識しております。
また、2017年11月には日本経済団体連合会が「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて企業行動憲章の改定を行うなど、日本企業全体がビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められています。当社グループの属する情報サービス産業においても、先端IT技術を有している高付加価値IT人材の確保が一層難しくなることが想定されており、加えて、社会的な課題である長時間労働の是正、多様な働き方の推進など、働き方を変えていくための職場風土・環境の整備の必要性が高まっていることが、重要な環境変化と認識しております。そのような中、当社グループも社会課題の解決をリードする企業への変革を求められていると認識しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは顧客への提供価値を持続的に向上するため、グループビジョンで掲げた「Create Exciting Future」が目指す理想に向かい、構造転換を実現し、4つの戦略ドメインを拡充してまいります。構造転換を強力に進めるうえで、対処する課題は、「デジタル化における価値提供力の強化」、「グローバル事業の拡大」、「経営マネジメントの高度化」、「人材の多様化・高度化」であると認識しております。これらを新型コロナウイルス感染症拡大による影響が不確実な環境の中で、注意を払いつつ、進めていくことが必要であると認識しております。
①デジタル化における価値提供力の強化
社会・生活のデジタル化に取り組む事業者が急速に増加し、当社グループの顧客が、新しい技術と事業の融合や新規事業の創出に積極的に取り組む中、デジタル化を進めるパートナーとしての価値提供を強化してまいります。
当社グループの特徴である決済領域においても、社会・生活のデジタル化に取り組む事業者が増加する中、事業と決済を融合させ、顧客接点を充実化したいというニーズが様々な業界で高まっています。
プロセッシングサービスの中心となるクレジットSaaS(Software as a Service)の展開により、ファイナンス機能を含む総合的プロセッシング需要に確実に応えていくことに加え、デジタル口座、モバイルウォレット、サービス連携、セキュリティ、データ利活用というデジタル化する決済に求められる要素をカバーし、事業展開を進めてまいります。
加えて、決済領域のみに留まらず、地域・都市のスーパーシティ構想や当社が支援した「TOYOTA Wallet」のようなMaaS(Mobility as a Service)領域での決済プラットフォームの提供等を通じて、デジタル化を通じた利便性の高い社会の創造に貢献してまいります。会津若松市のスーパーシティ構想にキャッシュレス、AI・ロボティクス、ヘルスケア分野で関わっていますが、このような取組の他地域・都市への展開を進めてまいります。
②グローバル事業の拡大
グローバル事業については、これまで成長著しいASEANマーケット獲得のために、各国の有力IT企業との資本・業務提携を進める中、「ASEANトップクラスのIT企業連合体」を目指し、タイ国内のエンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーであるMFEC Public Company Limited(以下、「MFEC」という。)を当社の連結子会社とすることを目的として、同社株式をタイ王国の証券取引法及び現地法令に基づく公開買付けにより取得することといたしました。連結子会社化により、一層の事業シナジーを創出し、重点領域と定めた決済・銀行・ERP領域について、さらなる事業の拡大、競争力の向上を目指してまいります。
また、東南アジアに大きな影響力を持つプラットフォーマーとの資本・業務提携により関係を強化し、新たな決済手段等への投資を共に進めていくことで、グローバル市場にむけ最適な決済サービスを展開し、決済領域の事業成長を目指してまいります。

③人材の多様化・高度化
「人材の多様化・高度化」については、社員の自己実現を重視し多様な人財が活躍できる仕組み・風土構築を通じて働きがい向上に努めています。社員が仕事を通して自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組む施策をまとめた「TIS人事本部マニフェスト」を策定し、60歳以降も処遇制度が変わらない「65歳定年制度」を導入しております。こうした取り組みの結果、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2020~ホワイト500~(大規模法人部門)」に昨年に引き続き選定され、経済産業省が主催する「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれております。
構造転換をさらに加速するため、デジタル化を牽引する多様性に富む人材が柔軟で絶え間ない変化やこれまでにない価値を生み出し続けることが必要です。また、IT人材の獲得競争が進む中、採用・育成活動やパートナーとの関係強化等を通じ、持続的に人材を確保するとともに、女性活躍推進を含む多様な人材活躍、健康経営、働き方改革を主軸にダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進し、社員と会社の価値交換性の継続的な向上を進めてまいります。
④経営マネジメントの高度化
グループ共通の価値観であるグループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」およびグループビジョンの策定と浸透活動の推進、独立社外取締役の増員と多様性の確保、「指名委員会」、「報酬委員会」の設置および内部統制管理体系を整理・集約しグループ内部統制委員会に一本化するなど、事業持株会社体制への移行を機に体制を整えてまいりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がり、不確実性の高まる環境において、一層のデジタル化における価値提供力の強化やグローバル事業の拡大を進めるためには、財務の健全性を堅持した上で、新サービス創出のためのソフトウェア投資、人材投資、研究開発投資、M&A・出資等の成長投資が必要となります。投資効率性の向上や資本コスト以上の適正リターンを獲得するため、投資マネジメントの一層の高度化を進めてまいります。加えて、戦略パートナーとして顧客との長期的関係の確立や一層のサービス転換を加速するため、事業マネジメントを強化し、収益構造のストック化を促進することで事業基盤の安定性を向上します。
社会の持続可能性や安心・安全に対する意識が高まる中、長期視点のリスク・機会の観点でESGマネジメントを強化し、社会基盤を支える企業グループとして、事業を通じ、社会課題の解決に継続的に貢献してまいります。
また、グループ基幹システムの統合等による業務効率化を行う「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」については、2020年4月から新システムの利用を開始しました。今後は、グループの業務集約と効率化を行い、グループ経営管理の一層の高度化を進めてまいります。
(1)経営方針
(基本理念)
当社グループでは、グループ共通の価値観として、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を策定し、公表しています。「OUR PHILOSOPHY」は、グループの経営、企業活動、役員や社員などの構成員において、大切にする考え方やあり方を幅広く明確化しており、当社グループのすべての営みはこの「OUR PHILOSOPHY」を軸に行われます。当社グループは、社会に対して果たすべき役割として、「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」存在を目指してまいります。
また、当社グループでは2017年5月に、この先10年を見据えた目指すべき企業像として新たなグループビジョンを定めました。このグループビジョンをTISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(グループビジョン)
①目指す企業像
「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。
②戦略ドメイン
目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。
| ストラテジックパートナーシップビジネス | 業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う。 |
| ITオファリングサービス | 当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供する。 |
| ビジネスファンクションサービス | 当社グループに蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供する。 |
| フロンティア市場創造ビジネス | 当社グループが保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開する。 |
また、当社グループは、事業を通じた社会課題の解決による持続的な社会発展への貢献という企業が本来有する社会的責任に対する認識をよりいっそう深め、中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレートサスティナビリティに関する取組みをよりいっそう強化してまいります。その一環として、2018年7月に国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」に署名するとともに、社会の動向やステークホルダーからの期待、当社グループらしさや成長への重要性を元に、4つの重点テーマとマテリアリティ(重要課題)を特定し、優先して取り組んでいくテーマも明確化しました。当社グループはマテリアリティへの取組みを通じて、SDGsの達成に向けて貢献してまいります。
加えて、高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し、グループの企業と社員が共に法令等の遵守はもとより高いモラルに基づいた誠実かつ公正な企業活動を実践し、社会的責任を果たすことを宣言した「グループCSR基本方針」に基づき、CSRを重視した経営を推進してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、中期経営計画(2018-2020)期間である2020年3月期のグループ経営方針を以下の通りと定め、同計画の目標達成並びにグループ企業価値の向上に向けて諸施策を推進してまいりました。
| 中期経営計画(2018-2020) 基本方針 | 2020年3月期 グループ経営方針 |
| 「持続的な利益成長」 「社員の自己実現重視」 「継続的なスピードある構造転換」 | ・事業拡大・構造転換のための積極的な先行投資 ・収益性向上のための施策推進・事業ポートフォリオの見直し ・ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進 ・働きがい向上と人材マネジメントの高度化 ・グループ経営の高度化・効率化の実現 |
グループ経営方針に基づき、構造転換に向けた積極的な先行投資を行いながらも、顧客のIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大、生産性向上や不採算案件抑制等、収益性向上に向けた取組みを推進してまいりました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。
当社グループでは、中期経営計画(2018-2020)の基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「継続的なスピードある構造転換」を達成するために、最終年度となる2021年3月期の重要経営指標を以下の通り定め、目標としています。2020年3月期では、全ての指標において当連結会計年度の目標を大きく上回り、中期経営計画(2018-2020)で定めた4つの重要な経営指標について1年前倒しで達成しました。
| 中期経営計画 重要な経営指標 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |||
| 計画 | 実績 | 計画(注1) | 実績値 | 中計値(注2) | ||
| 戦略ドメイン比率 | 40% | 42% | 45% | 50% | 50% | |
| 営業利益 | 350億円 | 380億円 | 420億円 | 448億円 | 430億円 | |
| 営業利益率 | 8.5% | 9.0% | 9.6% | 10.1% | 10% | |
| ROE | 10.2% | 11.5% | 12.1% | 12.5% | 12% | |
(注1)2019年11月上期決算発表時点の修正計画。
(注2)2021年3月期中計値は、中期経営計画(2018-2020)策定時の数値。
(4)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界経済の先行きには不透明感が高まり、短期的には産業ITセグメントを中心に新たな投資を控え、開始時期を延伸する顧客も増えています。一方で、人々の働き方や暮らしの価値観の変化が進む可能性もあり、このような変化から生じる新たなニーズに応えていくことが必要であると認識しております。
長期的には、新型コロナウイルス感染症拡大影響からの正常化等に不確実性はあるものの、顧客のデジタル経営への志向が強く、IT投資ニーズは拡大することが期待されます。あらゆる産業において、企業変革と競争力の強化のために、新たなデジタル技術とデジタルデータを活用した「デジタル・トランスフォーメーション」の重要性が高まっており、その実現に向けた戦略的なIT投資の増加も期待されます。
日本においてはキャッシュレス決済比率が先進国の中では低水準に留まっているものの、経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」において同比率を2025年に40%へ引き上げる宣言を定めたことを受けて、今後、クレジットカードやデビットカード、QRコード決済など多様なキャッシュレス決済手段の更なる普及や、キャッシュレス社会の実現に向けた諸施策の推進などを背景にキャッシュレス決済関連市場の拡大が期待されます。
一方で、デジタル化の急速な進展やグローバルなITプラットフォーマーの台頭などにより、事業環境が急激に変化し、これまでとまったく異なる発想が求められるようになっております。産業構造の変化や社会課題など、外部環境の変化を敏感に察知し、そこから当社にとっての重要課題を設定し、ビジネスの成長へと結びつけることがより必要となってきていると認識しております。
また、2017年11月には日本経済団体連合会が「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて企業行動憲章の改定を行うなど、日本企業全体がビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められています。当社グループの属する情報サービス産業においても、先端IT技術を有している高付加価値IT人材の確保が一層難しくなることが想定されており、加えて、社会的な課題である長時間労働の是正、多様な働き方の推進など、働き方を変えていくための職場風土・環境の整備の必要性が高まっていることが、重要な環境変化と認識しております。そのような中、当社グループも社会課題の解決をリードする企業への変革を求められていると認識しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは顧客への提供価値を持続的に向上するため、グループビジョンで掲げた「Create Exciting Future」が目指す理想に向かい、構造転換を実現し、4つの戦略ドメインを拡充してまいります。構造転換を強力に進めるうえで、対処する課題は、「デジタル化における価値提供力の強化」、「グローバル事業の拡大」、「経営マネジメントの高度化」、「人材の多様化・高度化」であると認識しております。これらを新型コロナウイルス感染症拡大による影響が不確実な環境の中で、注意を払いつつ、進めていくことが必要であると認識しております。
①デジタル化における価値提供力の強化
社会・生活のデジタル化に取り組む事業者が急速に増加し、当社グループの顧客が、新しい技術と事業の融合や新規事業の創出に積極的に取り組む中、デジタル化を進めるパートナーとしての価値提供を強化してまいります。
当社グループの特徴である決済領域においても、社会・生活のデジタル化に取り組む事業者が増加する中、事業と決済を融合させ、顧客接点を充実化したいというニーズが様々な業界で高まっています。
プロセッシングサービスの中心となるクレジットSaaS(Software as a Service)の展開により、ファイナンス機能を含む総合的プロセッシング需要に確実に応えていくことに加え、デジタル口座、モバイルウォレット、サービス連携、セキュリティ、データ利活用というデジタル化する決済に求められる要素をカバーし、事業展開を進めてまいります。
加えて、決済領域のみに留まらず、地域・都市のスーパーシティ構想や当社が支援した「TOYOTA Wallet」のようなMaaS(Mobility as a Service)領域での決済プラットフォームの提供等を通じて、デジタル化を通じた利便性の高い社会の創造に貢献してまいります。会津若松市のスーパーシティ構想にキャッシュレス、AI・ロボティクス、ヘルスケア分野で関わっていますが、このような取組の他地域・都市への展開を進めてまいります。
②グローバル事業の拡大グローバル事業については、これまで成長著しいASEANマーケット獲得のために、各国の有力IT企業との資本・業務提携を進める中、「ASEANトップクラスのIT企業連合体」を目指し、タイ国内のエンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーであるMFEC Public Company Limited(以下、「MFEC」という。)を当社の連結子会社とすることを目的として、同社株式をタイ王国の証券取引法及び現地法令に基づく公開買付けにより取得することといたしました。連結子会社化により、一層の事業シナジーを創出し、重点領域と定めた決済・銀行・ERP領域について、さらなる事業の拡大、競争力の向上を目指してまいります。
また、東南アジアに大きな影響力を持つプラットフォーマーとの資本・業務提携により関係を強化し、新たな決済手段等への投資を共に進めていくことで、グローバル市場にむけ最適な決済サービスを展開し、決済領域の事業成長を目指してまいります。

③人材の多様化・高度化
「人材の多様化・高度化」については、社員の自己実現を重視し多様な人財が活躍できる仕組み・風土構築を通じて働きがい向上に努めています。社員が仕事を通して自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組む施策をまとめた「TIS人事本部マニフェスト」を策定し、60歳以降も処遇制度が変わらない「65歳定年制度」を導入しております。こうした取り組みの結果、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2020~ホワイト500~(大規模法人部門)」に昨年に引き続き選定され、経済産業省が主催する「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれております。
構造転換をさらに加速するため、デジタル化を牽引する多様性に富む人材が柔軟で絶え間ない変化やこれまでにない価値を生み出し続けることが必要です。また、IT人材の獲得競争が進む中、採用・育成活動やパートナーとの関係強化等を通じ、持続的に人材を確保するとともに、女性活躍推進を含む多様な人材活躍、健康経営、働き方改革を主軸にダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進し、社員と会社の価値交換性の継続的な向上を進めてまいります。
④経営マネジメントの高度化
グループ共通の価値観であるグループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」およびグループビジョンの策定と浸透活動の推進、独立社外取締役の増員と多様性の確保、「指名委員会」、「報酬委員会」の設置および内部統制管理体系を整理・集約しグループ内部統制委員会に一本化するなど、事業持株会社体制への移行を機に体制を整えてまいりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がり、不確実性の高まる環境において、一層のデジタル化における価値提供力の強化やグローバル事業の拡大を進めるためには、財務の健全性を堅持した上で、新サービス創出のためのソフトウェア投資、人材投資、研究開発投資、M&A・出資等の成長投資が必要となります。投資効率性の向上や資本コスト以上の適正リターンを獲得するため、投資マネジメントの一層の高度化を進めてまいります。加えて、戦略パートナーとして顧客との長期的関係の確立や一層のサービス転換を加速するため、事業マネジメントを強化し、収益構造のストック化を促進することで事業基盤の安定性を向上します。
社会の持続可能性や安心・安全に対する意識が高まる中、長期視点のリスク・機会の観点でESGマネジメントを強化し、社会基盤を支える企業グループとして、事業を通じ、社会課題の解決に継続的に貢献してまいります。
また、グループ基幹システムの統合等による業務効率化を行う「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」については、2020年4月から新システムの利用を開始しました。今後は、グループの業務集約と効率化を行い、グループ経営管理の一層の高度化を進めてまいります。