有価証券報告書-第41期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/25 11:23
【資料】
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【項目】
98項目

対処すべき課題

(1)現状の認識について
当社グループが今後も継続して発展拡大していくためには、主要事業分野である「プロモーションパートナー事業」において、クライアント企業の集客戦略及び販売戦略を実現する広告宣伝を企画・実施して、クライアント企業の業績向上に寄与する「プロモーションパートナー事業」として有効な提案をし続けることにより、競合他社と自社を差別化することが最も重要であると認識しております。
一方、広告費全体の傾向としては、テレビ・新聞掲載などのマスメディア広告が減少し、折込チラシが微減、インターネット広告が増加しております。また、フリーペーパーやスマートフォン等を媒体とする広告が増加傾向にあります。また、広告業界全体として広告戦略の見直しが進められており、特に広告販促費についての費用対効果の検証が求められる傾向が強まっております。今後もこの傾向が続くと考えられ、大規模な広告に加えて、よりターゲットを絞り込んだ、よりキメ細かな広告伝達による、直接的な集客効果や売上拡大効果が求められている状況であります。当社グループが競合他社と差別化するためには、特定の広告手段に特化することなく、クライアント企業の要望に適した、より費用対効果の高い広告内容及び広告方法を提案する能力を高めていくことが必須であると認識しております。
このような環境の中、当社グループにおきましては、既存クライアント企業からの受注増加並びに新規クライアント企業の獲得を最重点課題としております。
(2)当面の対処すべき課題の内容
① 広告宣伝の企画・立案力の強化
クライアント企業の要望に基づき、より絞り込んだターゲット層に対して訴求するメッセージを明確にするとともに、多様化した広告媒体から最適な方法と手段を選択して、より具体的でより効果のある広告宣伝を提案する能力を高める必要があります。
② 新規顧客の獲得
広告業は、経済全体の好不況もさることながら、当社グループに発注していただくクライアント企業個々の業績に大きく影響されます。また、事業の性格から顕著な参入障壁がなく、さらにクライアント企業は重要な障害なく発注先を変更可能です。当社グループが継続的に発展拡大するためには、常に新規クライアント企業の獲得を可能にする能力を高める必要があります。この場合の「新規クライアント企業」とは、既に競合他社と取引がある企業が既存の取引先から当社グループに変更することを意味しております。
③ 人材の確保・育成
広告業は、製品や店舗によって差別化されるものではなく、クライアント企業との打合せとそれに基づく提案内容によって差別化を図るという特徴があります。このことから、他業種と比較して、営業部門及び制作部門の社員一人ひとりの能力がより一層重要であります。当社グループは、社員一人ひとりの能力をいかに高め、いかに引き出すかが当事業分野での取組むべき最も重要な課題のひとつであります。
(3)対処方針
① 独自の企画と提案
広告業の性格上、広告宣伝に使用する広告媒体については他社と共通であり、使用する広告媒体による差別化は困難です。したがいまして、競合他社にできない当社グループ独自の企画と提案により競合差別化を図ることが必要です。そのため、クライアント企業の要望に応えて、当社グループだけが提供できる情報を提案内容に付加する能力を強化する方針です。
② 独自のデザイン、コピー
当社グループの強みは、社内の制作部門による独自のデザインとコピーの訴求力であります。とくに住宅不動産分野における新築分譲マンションの販売広告においてビジュアル表現には高い評価を得ております。この住宅不動産分野におけるビジュアル表現力をより一層高めるとともに、他の分野においても、新規顧客開拓のために、当社グループのビジュアル表現力をより有効に積極的に活用する方針です。
③ 全社員の能力向上
当社グループの社員一人ひとりの能力を高めるために、全社員を対象にして公正で効果的な人事制度を運用しております。比較的経験の浅い若年社員の教育訓練を重点的に実施すると供にあわせて、即戦力となる経験者を中堅社員として積極的に中途採用する方針です。
(4)具体的な取り組み状況
① インサーチ(INSEARCH® http://www.insearch.jp/)の運営
当社グループは、独自の市場調査及び広告効果測定インターネットサイト「インサーチ(INSEARCH®
http://www.insearch.jp/)」を運営し、クライアント企業の要望に応えるべく生活者の声を反映した広告宣伝を企画しております。この「インサーチ」のマーケティング調査をより一層充実したものとし、当社グループ独自の企画提案に活用することにより、一層の競合差別化を図る所存です。
② 企画・制作部門の増強
当社グループの強みである社内企画・制作部門の増強を進めており、即戦力となる中堅レベルの経験者を中途採用し増員しております。また、当社グループ独自の企画力並びにデザイン・コピーの品質を高めるために、Webデザイン並びにグラフィックデザインにおいて、社外のデザインディレクターと顧問契約を締結して、Web・グラフィックデザイン及びコピーの制作指導・品質確認、及び社員の育成を委託し補完しております。
③ 当社独自の目標管理制度と教育訓練
当社グループ独自の人事評価制度を導入し目標管理制度を実施しております。これは、社員一人ひとりについて、きめ細かく半年間の各種目標を設定し評価するとともに、毎月その目標に対しての当月の計画・実績及び来月の計画を上司と本人が話合うものであります。当社グループの小規模組織運営においては、階層別集合教育等よりも個人別OJTが小規模組織運営の強みを活かすことになると考えております。社員個人一人ひとりの成長について、毎月具体的に本人と上司が話し合い、指導及び助言を実施しております。
(5)債権投資事業における対処すべき課題
プロモーションパートナー事業の運営に支障をきたすことのないように適正な事業規模を維持するとともに、可能な限り複数の投資債権にリスクを分散することが重要であるため、次の2点を維持することが当事業の安定的な収益確保のために対処すべき課題であります。
①当社グループの財務状況に基づいた投資資金の継続的確保であります。そのためには、債権投資事業による継続的な債権回収高の維持を含めたフリーキャッシュフローの維持が重要であります。
②リスク分析のうえで適切な投資対象(機会)の継続的確保であります。債権投資事業は不良化した金融債権等のセカンダリー市場において、投資対象債権を購入するため、その対象債権の規模、その内容等の情報獲得と査定評価のタイミングが重要であります。
上記2点の対処方針として、
①各事業活動による継続的かつ安定した利益の確保による当社グループの強固な財務基盤の維持に加えて、キャッシュフローの増大による投資運用資金の確保・拡大が必要となります。そのために、プロモーションパートナー事業の収益の維持拡大に加えて、投資債権(個別債権の集合体)ごとの回収期間と当該期間の回収規模を効率的にサイクル化して、高い収益性が見込める投資債権(個別債権の集合体)へ順次資金を再投資することを可能にし、段階的に再投資規模を拡大する方針です。
②当社グループの権投資事業は、主として不良債権化してセカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を購入し、当該投資債権(個別債権の集合体)を回収することにより収益を上げる事業であるため、一定規模の投資債権(個別債権の集合体)を継続的に投資購入し、一定規模の回収を継続することが必要となります。そのために、投資対象となる個別債権の集合体を購入するための機会に関する情報の積極的獲得と投資回収率を高めるための査定評価能力を確保する方針です。
そのために、次のことに取り組んでおります。
①投資債権(個別債権の集合体)への分散投資による安定的かつ継続的な回収と、より安定的な回収を一定期間にわたって想定可能な回収との組み合わせを実現するため、貸金業法に基づく貸金業者の登録を受けております。引き続き投資債権(個別債権の集合体)の投資購入に加えて、貸金事業者として、債権投資事業者等に対する融資事業による安定的な回収を複合的に実施することにより、高収益化による利益の確保と継続的な投資資金の確保を図る計画です。
②不良化した金融債権等のセカンダリー市場において、一定規模の投資債権(個別債権の集合体)を継続的に購入するために、投資案件に関する情報収集として、現在債権回収管理業務を委託しているサービサーからの投資債権(個別債権の集合体)情報の積極的獲得ならびに当該サービサーとの協力関係の維持強化に努めております。また、投資債権(個別債権の集合体)の査定評価は、実務経験と実績のあるサービサーに鑑定評価を委託することで、回収率の見込みと回収期間のリスクを低減できると判断しております。リスク分散に関しては、債権内容の異なる投資債権(個別債権の集合体)に複数投資することによって、外的な経済環境の変化への対応をはかっております。さらに、貸金業者として他社の債権投資ビジネスの事業資金を融資して、より安定的な回収を組込むことによりリスク分散を図る計画です。
(6)介護福祉事業における対処すべき課題
当該事業を営む目的は、当社グループの主たる事業地域である北海道の経済環境の影響を受けにくく、かつ広告業界の動向の影響を受けにくい分野における、収益基盤を追加することであります。そのために、次の3点が最も重要な対処すべき課題であると認識しております。
①当該事業の特性から適正な営業利益率は概ね上限が定まっております。その理由は、売上高は主に介護保険報酬と家賃収入から構成されており、売上高には上限があること、また、原価ならびに費用は固定費の比率が高いことによるものです。結果として、住居(居宅)系の施設においては入居率を適正なレベルを確保することが重要であります。
②当該事業セグメントは、既存施設の運営においては概ね損益分岐点にて推移していることから、激しい競争環境のなかで、新規施設の開設等による売上規模の拡大が極めて重要であります。
③介護福祉事業の運営には、介護福祉サービスを提供するための介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士及び訪問介護員等の有資格者が必要不可欠であります。従って、事業規模を維持・拡大していくために、有資格者を中心とした適正な人材の確保が重要であります。
上記3点の対処方針として、
①住居(居宅)系の施設においては、入居者が高齢であり入院等による退去の可能性が恒常的に発生するため、空室状態が長期にわたらないように効果的な手段を講じることにより適正な入居率を確保する方針です。
②介護福祉施設においては、医療法人、社会福祉法人及び各種事業会社が参入し競合が激化しております。一方では介護保険財政の逼迫から新規施設開設の計画数が制限される傾向が続くものと想定されます。新規開設施設について、収益性を重視し検討を進めるとともに、既存施設等についても経費の見直し等により、収益性を確保する方針です。
③競争の激化により、適正な人材の確保が困難となる傾向が予想されますので、当社グループでは、雇用条件の改善ならびに教育研修制度の充実など、労働環境の整備を図り、有資格者および実務経験者の確保に努める方針です。
そのために、次のことに取り組んでおります。
①入居希望者からの入居問合せに対応するだけでなく、地域に向けて情報を発信して地域内における介護福祉に関する情報交換のネットワークに積極的に参加しております。
②グループホームの新規開設については、引き続き新規開設事業者の公募に参加し、事業者指定を獲得することに取り組んでおります。通所介護施設ならびにサービス付き高齢者向け住宅についても、比較的参入障壁が低いこともあり競合が激化しております。住居(居宅)系施設、通所系施設のいずれも、激化する競争のなか、当社グループ独自の差別化ポイントを確立するとともに、収益性を十分に考慮して適性な営業利益率を確保しつつ新規開設等を進めてまいります。
③有資格者の採用を積極的に進めると同時に、実務経験に応じた段階的な技術向上により資格の取得を奨励し、正社員登用を拡大して有資格者の確保に努めております。