有価証券報告書-第124期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/16 16:38
【資料】
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【項目】
182項目
(2) 戦略
① サステナビリティ関連のリスク及び機会
a. リスク及び機会の識別、評価及び優先順位付けのプロセス
当社グループでは、財務的に重要性の高いサステナビリティ関連のリスク及び機会を特定するため、当社グループにおいて実施しているコア・マテリアリティの分析を基礎として、バリュー・チェーン上の活動に紐づく多様なステークホルダーに関わるリスク及び機会の識別、評価及び優先順位付けを実施いたしました。なお、サステナビリティ関連のリスク及び機会のうちリスクについては、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある「重要なリスク」においても識別しており、サステナビリティ関連のリスクには「重要なリスク」として識別したリスクも含まれております。当社グループの「重要なリスク」については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当該プロセスの概要は、以下のとおりであります。
b. リスク及び機会の識別
コア・マテリアリティ分析を通じて選定した社会課題を、SASBスタンダード等のガイドラインに基づき精査し、当社グループを取り巻くサステナビリティ課題を選定しております。そのうえで、当社グループのバリュー・チェーンと照らし合わせ、サステナビリティ課題に紐づくリスク及び機会を特定しております。なお、リスク及び機会の識別に当たっては、実務を担当する関係部署の関与のもと、バリュー・チェーン上の活動において想定されるリスク及び機会を、一定のシナリオを設定しながら識別し、「重要なリスク」も加味して洗い出しております。
c. リスク及び機会の財務影響の評価
各リスク及び機会について、社会のトレンド、業界動向及び当社グループとしての認識を踏まえ、財務への影響度(大・中・小)及び発生可能性(高・中・低)の2軸で評価しております。影響度については、経営に重要な影響を及ぼす可能性のある予見可能なリスクとして特定している「重要なリスク」の影響度評価基準を参考としつつ、金額目安に加え、経営責任等の定性的要素も考慮して評価しております。発生可能性については、リスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸として、短期を3年未満に1回、中期を3年以上10年未満に1回、長期を10年以上に1回と設定しております。当該時間軸は、当社グループが戦略的意思決定に用いる計画期間との整合性を踏まえ設定したものであります。具体的には、「重要なリスク」の発生可能性に係る時間軸を参照しつつ、短期については現中期経営計画の期間、長期については主軸事業である生命保険事業の長期性等も考慮して定義しております。
d. リスク及び機会の優先順位付け
財務影響の評価結果を踏まえ、影響度及び発生可能性の双方が相対的に高いリスク及び機会を重要性のある候補として選定しております。選定した候補については、SASBスタンダード及び「重要なリスク」の選定結果も踏まえ、グループサステナビリティ推進委員会において議論を行い、当社グループにとって重要性が高く、優先順位の高いサステナビリティ関連のリスク及び機会として特定しております。なお、気候関連以外のリスク及び機会については、中長期事業戦略における外部環境認識等も踏まえた設定が必要であることから、2027年3月期以降、詳細な開示を行う予定であります。
② 重要性の高いリスク及び機会
当社グループでは、上記の財務マテリアリティ分析プロセスに基づき、当社グループを取り巻く様々なリスク及び機会の中から、財務的に重要性の高いリスク及び機会を特定しております。
a. 財務的に重要性の高いリスク及び機会(気候関連)
気候関連のリスク及び機会については、以下のとおり認識しております。当該リスクに係る時間軸、バリュー・チェーン、財務、戦略及び意思決定への影響については、「③リスク及び機会が、バリュー・チェーン、財務、戦略及び意思決定に与える影響」をご参照ください。
リスク及び機会内容
気候変動への対応物理的リスク投融資先企業が、気候変動による自然災害の増加に対して、脆弱な拠点やバリュー・チェーンを有する場合の、当社グループの保有する運用資産の毀損
移行リスク投融資先企業が、政策・法規制の強化、技術革新、消費者行動の変容等への対応が不十分な場合の、当社グループの保有する運用資産の座礁資産化

気候関連のリスク及び機会として、当社グループでは、上記以外にも、気候変動による保険金・給付金支払額増加への影響等のリスクや、新たな投融資機会の獲得等の機会を認識しておりますが、上記プロセスに基づく分析の結果、現時点において当社グループの財務に与える影響は限定的であり、重要性は相対的に高くないと認識しております。
b. 財務的に重要性の高いリスク(気候関連以外)
気候関連以外のリスクについては、2026年3月期時点において、ビジネス倫理に関するリスク及びサイバーセキュリティに関するリスクを特に重要性の高いリスクとして再確認しております。
当社グループは2031年3月期に「グローバルトップティアに伍する保険グループ」となることを目指しており、事業のグローバル化や非保険領域への進出等により、事業活動を通じた社会価値及び企業価値の創出と向上に取り組んでおります。
当社グループの事業戦略として保障と資産形成の一体的な価値提供を進める中、資産形成商品の販売においては、商品特性を踏まえた市場リスクの適切な説明や適合性の確保などが求められ、これらの対応が不十分な場合には不適切な販売行為の発生等、ビジネス倫理に係るリスクが顕在化する可能性があることを認識しております。
また、当社グループは、主たる事業である生命保険事業において従来から大量の個人情報を取り扱っておりますが、近年注力している非保険領域を中心とした新規事業においても、デジタルプラットフォーム上でのサービス展開を図るうえで大量の顧客情報や取引情報を取り扱うことから、サイバー攻撃やシステム障害等に起因する情報漏えい、サービスの中断、データの改ざん等が発生した場合、お客さまに深刻な影響を与えるだけでなく、事業継続にも重大な支障を来すリスクが従来以上に高まっていると認識しております。
国内外で生命保険事業を中心に事業を展開する当社グループにとって、これらのリスクはこれまでも重要なリスクとして認識しておりますが、今後更なる事業拡大を進め、新たなビジネス・モデルを展開するにあたり、保障を中心とした保険領域における従来の業務特性とは異なる観点からの対応強化が求められます。当社グループとしてより一層管理すべきリスクであることから、ビジネス倫理に関するリスク及びサイバーセキュリティに関するリスクを特に重要性の高いリスクとして特定いたしました。
当社グループでは、従来からのコンプライアンス遵守に向けた取組みに加え、グループ行動規範の制定・周知やコンダクトリスク管理強化等を通じてビジネス倫理の徹底に取り組んでおり、グループ全体及び各社におけるコンプライアンス態勢の高度化によって、進出国ごとに異なる法令や商慣習等を前提に、不適切な販売行為や情報資産の取扱い等が生じることのないよう健全な事業活動の推進を図っております。また、デジタル化の進展により益々深刻化しているサイバー脅威に対して、お客さまや取引先等のセンシティブ情報・機密情報の適切な管理・保護に努めるとともに、システムの中断やデータの改ざん等を防止すべく、サイバーセキュリティ強化に取り組んでおります。これらの取組みを通じて、今後とも社会から信頼される企業として、持続的な価値提供の実現を目指してまいります。
関連する戦略、指標及び目標等については継続的な検討を行っており、今後モニタリング態勢を整備したうえで、2027年3月期以降、詳細な開示を行う予定であります。また、機会については財務への影響の精査段階にあり、中長期事業戦略における外部環境認識等も踏まえ、2027年3月期以降に特定及び開示を行う予定であります。なお、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」及び「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」において、オペレーショナル・テクノロジー・サイバーに関するリスク、法令違反・コンダクト・企業文化に関するリスクを含む「重要なリスク」並びにこれらのリスクに対するグループ全体としての取組状況を記載しておりますので、併せてご参照ください。
リスク及び機会内容取組状況(概要)
ビジネス倫理リスク不適切な募集行為や情報資産の取扱い、経営理念や行動規範の浸透が不十分なこと等から生じるその他コンプライアンス課題の発生による、企業レピュテーションやブランド価値、お客さまからの信頼の低下、及びガバナンス上の不備是正に伴う事業活動の低迷・ コンプライアンス推進に関しては「グループコンプライアンス基本方針」、情報資産保護については「グループ情報資産保護管理基本方針」に基本的な事項を定め、運営等詳細な事項を各種規程で整備
・ グループ各社のコンプライアンス態勢の高度化や、コンプライアンス意識向上・教育研修の充実に向けた指導・支援を実施
サイバーセキュリティリスクセンシティブ情報・機密情報の漏洩、重要なシステム及びデータ利用の継続的な中断、システムやデータの改ざんによる事業活動の中断、レピュテーション低下・ 不正アクセスやウイルス等の検知・防御の仕組みを複数組み合わせる、多層防御の整備
・ 「CSIRT」(注)1 を設置し、役員・従業員を対象にサイバー攻撃を想定した対応訓練を実施

(注)1 Computer Security Incident Response Team
③ リスク及び機会が、バリュー・チェーン、財務、戦略及び意思決定に与える影響
当社グループでは、「(2)戦略 ②重要性の高いリスク及び機会 a 財務的に重要性の高いリスク及び機会(気候関連)」で認識した気候関連のリスクについて、当社グループのバリュー・チェーン、財務、戦略及び意思決定への影響を特定しております。なお、現時点において重大な財務的影響は発生しておらず、以下は主として今後想定されるリスクに関する影響を記載したものであります。
当社グループでは、気候関連のリスクとして、運用資産の毀損及び座礁資産化を認識しております。当該リスクに係る時間軸、バリュー・チェーン、財務、戦略及び意思決定への影響は、以下のとおりであります。
時間軸ビジネス・モデル、バリュー・チェーンに与える影響財務的影響戦略及び意思決定に与える影響
短 期 〜 長 期気候変動により頻度や規模の拡大が想定される風水害等の各種自然災害に対して、投融資先企業の拠点やバリュー・チェーンが脆弱である場合、これら災害の発生によって事業継続が困難となり、当該企業に対して当社グループが保有する運用資産の毀損へとつながる物理的リスクが想定されます。また、投融資先企業が炭素税や気候変動関連規制の導入、消費者行動の変容等の環境変化に十分な対応を講じていない場合、当該企業に対して当社グループが保有する運用資産が座礁資産化する移行リスクが想定されます。
これらの運用資産の毀損及び座礁資産化にかかるリスクは、当社のバリュー・チェーンにおいて保険料を原資とする資産運用における損失、ひいては保険金・給付金支払いの滞りへと影響を及ぼし、生命保険事業基盤の弱体化につながる恐れがあります。
気候変動に関連して生じる運用資産の毀損及び座礁資産化は自然災害増加、市場・社会環境変化による複合的な要因を伴うものであり、関連する財務的影響の測定には不確実な要素が多いことから、定量的な情報を提供することは困難と考えています。一方、気候変動対応は当社グループの投融資ポートフォリオにおける多くの企業に関係する重要な事項であり、当社グループのネットゼロ移行計画、また第一生命保険株式会社、第一フロンティア生命保険株式会社共同で策定した「責任投資の中期取組方針(2030年3月迄)」においても、気候変動対応を重要課題と位置づけています。これらを踏まえ、定性的な観点から、企業における気候変動対応が不十分なことによる運用資産の毀損及び座礁資産化は当社グループの資産運用収益に重要な影響を与える可能性があります。なお、運用資産の物理的リスク及び移行リスクによる影響分析のため、中核子会社である第一生命保険株式会社の保有する株式及び社債並びに第一フロンティア生命保険株式会社の保有する社債(総額約10兆円)に対し、MSCI社の気候バリューアットリスク(CVaR: Climate Value-at-Risk)を用いた分析を行っております。詳細は「⑤気候関連のリスクに対するレジリエンス」をご参照ください。第一生命保険株式会社、第一フロンティア生命保険株式会社では、将来的な財務的影響を抑制する取組みとして、投融資判断への気候変動リスクのインテグレーション(注)2、投融資先のリスク低減に向けた気候変動対応に関するエンゲージメント強化や、気候変動問題の解決に資する環境・気候変動ソリューション投融資を積極的に実行しています。投融資判断における気候変動リスクのインテグレーションにおいてはCVaR分析結果も参考にしています。
なお、関連する計画及び目標として、当社グループのネットゼロ移行計画については「④ネットゼロ実現に向けた移行計画」、目標は「(4) 指標及び目標<気候関連>④温室効果ガス排出削減目標に関する開示」をご参照ください。

(注)2 当社グループは気候変動問題の解決を責任投資における最重要課題と位置付け、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでおります。第一生命保険株式会社及び第一フロンティア生命保険株式会社では、責任投資に関する最上位の方針として「責任投資の基本方針」を策定し、責任投資の目的や基本的なスタンス、日本版スチュワードシップ・コードへの取組方針等を定めております。また、第一生命保険株式会社では各アセットの特性を踏まえて環境、社会及びガバナンス要素の投融資判断への組込み(インテグレーション)を行っております。今後も更なる高度化に向けて継続的に取組みを進めてまいります。
各アセットにおけるインテグレーション
アセット区分評価の視点具体的なインテグレーションの取組み
株式/社債・融資公開情報・ESG評価機関の評価、投融資先との対話時に得た情報等を踏まえ、サステナビリティ要素の企業価値や信用力への影響を評価・ サステナビリティ・アナリストが重要なテーマについてアセット横断的に分析を実施
・ サステナビリティ評価を投融資判断に使用
国債・ クレジットアナリストが各国の環境・人権・ガバナンス等の取組みを評価
・ サステナビリティ評価を投融資判断に使用
プロジェクトファイナンス・ 赤道原則等を参照した環境・社会に関するアセスメントを実施
・ 特に留意する分野・事業においては固有のリスクへの対応状況も確認
不動産建物の環境性能等、主に環境の要素による収益性への影響を評価・ 建物の環境性能等を評価し、投融資判断に使用するハードルレート(投資基準利回り)に反映
外部委託(ヘッジファンド等を含む)インテグレーションの体制や、サステナビリティに関する情報報告態勢等、外部委託先の取組みを評価・ 委託先選定及び定期モニタリングの際にサステナビリティに関する取組みをヒアリング
・ 外部委託先の取組みをスコア化し、投融資判断に組込み

④ ネットゼロ実現に向けた移行計画
当社グループの中核子会社である第一生命保険株式会社は、経済の脱炭素化への移行を支援する金融機関のグローバルな連合体であるGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)の一員であります。当社グループは2023年8月、GFANZの移行計画ガイダンスに基づき、日本の保険会社として初めて「ネットゼロ移行計画」を策定し、公表しております。本計画の策定に当たっては、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑えるとのパリ協定の目標に整合する形で、投融資先企業を含む社会・経済全体が移行することを前提としております。
本計画では、気候関連のリスク及び機会に対応するためのロードマップを提示するとともに、事業会社としての立場及び保険契約者からお預かりした保険料を運用する機関投資家としての立場の双方から、ネットゼロ実現に向けた目標を設定しております。本計画の実現に当たっては、当社グループの取組みのみならず、エンゲージメントを通じた投融資先企業との協働等による脱炭素化の推進が不可欠であると認識しております。
本計画の進捗状況及び実績の詳細については、「(4) 指標及び目標」をご参照ください。

a. 事業会社としての取組み
当社グループでは、事業活動におけるネットゼロ実現に向けて、省エネルギー化及び使用電力の再生可能エネルギー化等に取り組んでおります。特に、中核子会社である第一生命保険株式会社では、スコープ1及びスコープ2の排出削減に向け、再生可能エネルギー由来電力の活用、省エネルギー取組みによる電力消費の低減及び省エネルギー効果の高い設備の導入等を実施しております。今後は、長期的に安定調達が可能な再生可能エネルギー調達手段への切替えの検討及び炭素吸収・除去等、残余排出に対する対応策の研究を進めてまいります。
対象現在の取組み(2026年3月期時点)今後の対応計画
スコープ1及びスコープ2排出量削減・ 第一生命保険株式会社を中心とする主要な子会社の電力調達における再生可能エネルギー割合100%の維持
・ 省エネルギー取組みによる電力消費の低減
・ 省エネルギー効果の高い設備の導入
・ 長期的に安定調達可能な再生可能エネルギー調達手段への切替えの検討
・ 炭素吸収・除去等、残余排出に対する対応策の研究

b. 機関投資家としての取組み
当社グループが気候関連のリスクとして認識した運用資産の毀損及び座礁資産化に対し、第一生命保険株式会社及び第一フロンティア生命保険株式会社では、各種取組を通じて投融資先企業の物理的リスク及び移行リスクの低減を図るとともに、機関投資家としてネットゼロ実現に向けた取組みを推進しております。具体的には、スコープ3カテゴリ15(投融資)に係る温室効果ガス排出量の管理、環境・気候変動ソリューション投融資の拡大、投融資によるポジティブ・インパクトの創出、並びに投融資先及び外部イニシアティブとのエンゲージメントを推進しております。
現在の取組状況については、「(4) 指標及び目標」も併せてご参照ください。
対象現在の取組み(2026年3月期時点)今後の対応計画
スコープ3カテゴリ15に係る温室効果ガス排出量の管理「(4) 指標及び目標<気候関連>③スコープ3カテゴリ15に関する情報」及び「(4) 指標及び目標<気候関連>④温室効果ガス排出削減目標に関する開示」をご参照ください・ 第一生命保険株式会社・第一フロンティア生命保険株式会社協働でのエンゲージメントやトランジション・ファイナンスを通じた投融資先企業の脱炭素化取組みの継続的なサポート
・ 温室効果ガス排出量計測・削減目標設定の対象資産拡大
環境・気候変動ソリューション投融資「(4) 指標及び目標<気候関連>⑤気候関連のリスク及び関連する資本投下に関する開示」をご参照ください・ 優良な投融資候補案件の探索・選定の強化
・ 既存投融資先のネットゼロ移行計画進捗状況のフォローアップ
投融資によるポジティブ・インパクト創出・ 温室効果ガス排出削減貢献量:300万t-CO2e/年。2026年度240万t-CO2e/年とする目標を前倒し達成したため、目標改定を実施
・ 第一生命保険株式会社において、「インパクト志向の投融資に関する取組方針」を策定
・ 優良な投融資候補案件の探索・選定の強化
・ トランジション・ファイナンス等における温室効果ガス排出削減効果(インパクト)の測定・開示手法の検討
投融資先・外部イニシアティブとのエンゲージメント・ セクター別の削減目標水準(電力・鉄鋼)を活用し、投融資先温室効果ガス排出上位50社に対するエンゲージメントを実施
・ エンゲージメント先について、ネットゼロ実現に向けた進捗状況の評価を実施
・ GFANZプリンシパルズ・ミーティングや傘下作業部会等、外部イニシアティブとの協働
・ セクター別の削減目標水準を活用したエンゲージメントによる高排出セクターの温室効果ガス排出削減取組みの更なる促進
・ 投融資先へのエンゲージメントの実効性向上(ネットゼロへの取組状況の分析高度化、協働エンゲージメントを含む効果的な対話手法の検討等)
・ 外部イニシアティブ(NZAOA・GFANZ等)への参画、協働等を通じた知見拡大及びエンゲージメント遂行能力の向上

⑤ 気候関連のリスクに対するレジリエンス
当社グループでは、気候関連の重要性の高いリスクとして、「(2)戦略 ② 重要性の高いリスク及び機会 a 財務的に重要性の高いリスク及び機会(気候関連)」に記載のとおり、物理的リスク及び移行リスクの顕在化による資産運用事業への影響を認識しております。将来的な財務的影響を抑制する取組みとして、第一生命保険株式会社と第一フロンティア生命保険株式会社では、気候変動リスクの投融資判断へのインテグレーション、投融資先の移行リスク低減に向けた気候変動対応に関するエンゲージメントの強化、並びに気候変動問題の解決に資する環境・気候変動ソリューション投融資を推進しております。
また、運用資産の物理的リスク及び移行リスクによる影響分析のため、中核子会社である第一生命保険株式会社の保有する株式及び社債並びに第一フロンティア生命保険株式会社の保有する社債(総額約10兆円)を対象として、長期のリスクを視野に入れ、最長2100年を対象期間としたMSCI社の気候バリューアットリスク(CVaR: Climate Value-at-Risk)を用いた分析を毎年実施しております。当該分析は、NGFS(気候変動に関する中央銀行・金融当局ネットワーク)が公表している気温上昇シナリオ別に資産価値への影響を総合的に評価するものであります。当該シナリオは、気候変動による直接的な影響のみならず、気候変動がマクロ経済及び金融市場を通じて及ぼす影響も分析可能であることから、機関投資家としてのレジリエンス分析に用いております。なお、当該評価においては、特に不確実性の高い領域として、気候変動関連の政策・規制動向及びこれに伴うイノベーション動向を認識しております。
2025年3月末のデータに基づく分析では、分析に用いたシナリオのうち、1.5℃シナリオであるNet Zero 2050において影響が最も大きい結果となりました。投融資判断における気候変動リスクのインテグレーションに当たっては、当該分析結果を参考情報として活用しております。
分析に用いた主要な前提は、以下のとおりであります。なお、NGFS第5版シナリオの詳細については、当該シナリオ本体をご参照ください。
項目内容
カテゴリOrderly
(秩序的)
Disorderly
(非秩序的)
Hot House World
(温暖化進行)
Too little, too late
(対策が少なすぎ・手遅れ)
NGFSシナリオNet zero 2050Delayed TransitionNDCsFragmented World
シナリオ概要厳格な気候変動政策、イノベーションを通じて世界の気温上昇を1.5℃に抑制し、2050年に世界でネットゼロの達成を目指すシナリオ2030年まで排出が減少せず、気温上昇を2℃以下に抑えるために強力な政策の実施やイノベーションの急速な進行を想定するシナリオ各国が約束したすべての政策(現時点では実施されていないものも含む)が実施されると想定したシナリオ気候政策導入が遅れ、国家間で分断されることにより、物理的リスクと移行リスクの両方が高くなる。ネットゼロ目標を掲げる国では目標は達成されず、それ以外は現行政策に従うことを想定したシナリオ
気候関連の政策迅速かつ円滑遅延NDCs(国が決定する貢献)に沿った達成遅延かつ各国政策の分断により不十分
国・地域間における気候関連政策の進捗格差中程度大きい中程度大きい
技術の進展速い遅い/速い
(2030年時点の政策、イノベーション動向によって変動する可能性あり)
遅い遅い/各国政策の分断により不十分

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