有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図る一方、需要の伸びが見込めるアジア・オセアニア市場へは、現地生産化や現地有力紙パルプメーカーとの業務提携などによる拡大成長戦略を展開していきます。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2018年4月から2021年3月までを「第6次中期経営計画」の期間とし、第5次中期経営計画で取り組んできた「既存事業の競争力強化」と「事業構造転換」を基本方針に、第6次中期経営計画では「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでおります。
<目指すべき利益目標>・連結営業利益 500億円
<第6次中期経営計画 - 2021年3月期の経営目標値>・連結営業利益 470億円
・ROA 3.8 %
・D/Eレシオ 1.5 倍 以下
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
(3) 会社の対処すべき課題
① PCB廃棄物について
2019年1月25日に公表いたしましたとおり、当社工場等において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が保管されていることが判明し、2018年12月に、保管場所となっているいわき市及び横浜市に対し、届け出を行いました。現在、関係機関等に相談しながら、適切に対応を進めております。
PCB廃棄物処理費用について、当連結会計年度において、環境対策引当金繰入額として13,700百万円を特別損失に計上いたしました。
PCB廃棄物の濃度、数量、発生経緯等の詳細については、社内に設置した対策委員会にて具体的な調査を進めているところですが、行政への届け出が行われていなかったことを踏まえ、現時点において当社が考えている再発防止策は次のとおりです。
第1に、環境法令の理解の徹底です。改正法令や新たな法令については、リスクとなり得る事項を早期に抽出し、適切に対応できる体制を構築してまいります。具体的には、本社主管部門が日本製紙グループ環境委員会にて説明を行い、あわせて、影響のある関係部門を抽出し、具体的な対応方法を提示します。また、その対応状況については、次回以降の会議で報告いたします。
第2に、環境法令の遵守について、法務担当部門が第三者の目から監督をし、必要に応じて指導や助言等を行うなど、管理部門における法令遵守体制を強化いたします。
第3に、コンプライアンスのさらなる重視です。当社グループの役員を対象としたコンプライアンス研修を外部講師を招いて実施します。従来から実施している従業員対象の研修については、今回の事案を反映した内容に見直しをいたします。
② 第6次中期経営計画(2018年4月~2021年3月)の進捗について
現在、当社が推進している第6次中期経営計画では、当社グループの持続的成長の実現に向け、洋紙事業の生産体制再編成と、成長分野の事業拡大、新規事業の早期戦力化を掲げています。
初年度は、口栓付液体用紙容器及び新充填機の拡販や、家庭紙・ヘルスケア製品の販売数量増加、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備の稼働開始などにより、売上高はほぼ第6次中期経営計画どおりとなりました。一方、営業利益は、主に紙・板紙及び家庭紙事業において古紙やパルプをはじめとする原燃料価格上昇の影響を受け、第6次中期経営計画に対して未達に終わりました。パッケージや家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各成長分野における設備投資は、ほぼ計画どおりに進めています。また、海洋プラスチックごみ問題が注目される中、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まっていることから、「紙化」の様々なニーズに対応するために、2018年8月に紙化ソリューション推進室を設置しました。
第6次中期経営計画の2年目である2019年度は、目標達成に向けた対策を各事業において講じていきます。
洋紙事業においては、2018年11月、印刷・情報用紙の価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。原燃料価格や物流費の上昇は依然として続いていることから、製品価格の維持に努めつつ、操業安定化による安定供給とコストダウンを進めます。生産体制再編成については、計画どおり、2019年3月から2020年1月にかけて抄紙機8台を順次停機してまいります。
板紙事業においては、2018年10月に価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。段ボール原紙に対する需要は、国内・海外とも引き続き伸びていることから、国内と輸出の生産販売の最適バランスを図り、製品価格の維持に努めていきます。
これらの施策によって国内の紙・板紙事業の収益力を回復させ、安定的収益基盤の構築を進めます。
パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各事業は、引き続き成長分野と位置付けます。パッケージ事業は、国内の人口減少に伴う需要減少の懸念はあるものの、飲料市場においては、消費者の健康志向の高まりにより、本格的な食感を持つ飲料製品が求められています。固形物・長繊維・高粘度充填が可能な紙容器無菌充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」を開発し、市場のニーズに対応した新しい紙容器を展開していきます。北米の日本ダイナウェーブパッケージングでは、世界的にパルプ需要が堅調であることから、ドライパルプマシンを新設し、パルプの増産・拡販を目指します。また、液体用紙容器原紙の品質向上や生産効率改善を図り、収益力向上を目指します。
家庭紙・ヘルスケア事業においては、持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できることから「3倍巻き」に代表される長尺トイレットペーパーの需要が近年伸びているため、クレシア春日株式会社で家庭紙第二抄紙機の設置を決定しました。2018年5月に稼働した家庭紙第一抄紙機とともに供給体制の充実を図ります。ヘルスケア製品は、高齢化の進行などによる生活様式の変化を背景に、今後も需要の伸びが見込まれることから、加工機を増設するとともに、快適にお使いいただける製品を開発し、市場に展開します。
ケミカル事業においては、江津工場に機能性セルロース(CMC)製造設備を新設します。CMCは、食品・衛生用途、工業用途で幅広く使われていますが、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池用途が近年拡大しています。製造設備新設により、高付加価値・高品質分野へのシフトを進めていきます。CMCや、自動車塗料などに使用される機能性コーティング剤など、市場規模は小さいものの収益性の高い製品の需要がアジアを中心に拡大しており、海外市場での販売拡大を図ります。
エネルギー事業は、2018年3月に稼働した日本製紙石巻エネルギーセンターにおけるバイオマス混焼発電設備の安定操業に努めます。北海道工場勇払事業所で計画しているバイオマス専焼発電事業については事業化を決定しました。再生可能エネルギーへの注目が高まる中、バイオマス資源の調達力や発電設備の操業技術など当社の強みを生かした事業の拡大に取り組んでいきます。
「セレンピア®」(セルロースナノファイバー、以下CNF)や「シールドプラス®」、「ミネルパ®」などの新素材については、引き続き用途開発を進め、早期の事業化を目指します。「セレンピア®」は、江津工場で製造するCM化CNFが和菓子と化粧品で採用されました。石巻工場で製造するTEMPO酸化CNFは、引き続き、産業用素材として幅広く用途開発を進めていきます。「シールドプラス®」シリーズは、より高い水蒸気バリア性を発現する新製品「シールドプラス®プレミア」のサンプル供給を2019年4月より開始しました。さらに、環境意識の高い欧州市場で「シールドプラス®」シリーズの浸透を図るため、十條サーマルでの生産検討を開始しました。「ミネルパ®」は、2018年10月、富士工場に実証設備が完成し、本格的なサンプル供給を行っています。消臭・抗菌や難燃などの機能を生かした用途開発を積極的に進めていきます。
紙化の取り組みについては、口当たりの良さや高い耐久性、安全性を特長とした紙製ストローを開発し、2019年4月から販売を開始しました。また、パッケージ事業のバリューチェーンを拡大するため、マレーシアにおいて軟包装事業を買収いたしました。環境意識が高まり、脱プラスチックの世界的な流れが加速する中、今後も"紙でできることは紙で。"を合言葉に新製品の開発を推進し、紙の利用シーン拡大を進めていきます。成長分野や新素材の事業では、的確なニーズの取り込みや新製品開発による新たな需要の創出によって事業拡大を図るために、積極的に投資を行い、事業構造転換を加速します。
第6次中期経営計画における投資においては財務規律を十分に考慮し、資金のみならず当社グループが持つ人・資産を含む各リソースを成長分野に適切に配分することで、当社グループの既存事業、成長分野の事業価値最大化を目指した施策を実行してまいります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
1.基本方針について
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えています。
もっとも、当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆さま全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。しかしながら、当社株式等に対する大規模買付行為や買付提案の中には、買付目的や買付後の経営方針等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもあり得ます。
当社は、このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取組みについて
(1) 中期経営計画について
当社グループは再生可能な木材資源の活用を通じて、豊かな暮らしと地球環境の両立を支える企業活動を実践しています。
この持続的成長をさらに確かなものにするため、3年ごとに中期経営計画を策定し、推進しています。
2018年4月からは第6次中期経営計画(3か年)を推進しています。既存事業については、洋紙事業の生産体制再編成を進めることで、安定した収益を確保し、事業構造転換を支えていきます。一方、パッケージ、ヘルスケア、ケミカル、エネルギーなど成長分野の伸長と新規事業の戦力化に向けた投資をもう一段行うことで、事業構造転換を加速していきます。
森林資源を基盤とした循環型の事業を通じて暮らしと文化に貢献し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきます。
(2) コーポレート・ガバナンスの取組み
当社は、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営の透明性を一層高め、公正な経営を実現することを経営の最重要課題とします。業務執行と経営の監督の分離を確保するため、執行役員制度を採用するとともに、取締役会の監督機能の強化に努めます。また、当社はグループの経営の司令塔として、成長戦略を推進し、傘下事業をモニタリングし、コンプライアンスを推進します。
このような取組みにより、当社は、今後もより一層コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。
株式会社の支配に関する基本方針は以上のとおりですが、当社は、当社の企業価値ひいては株主全体の利益の向上に向けた取り組みに努めるとともに、当社株式に対する大規模買付行為が行われる場合には、大規模買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見を開示する等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じていきます。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図る一方、需要の伸びが見込めるアジア・オセアニア市場へは、現地生産化や現地有力紙パルプメーカーとの業務提携などによる拡大成長戦略を展開していきます。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2018年4月から2021年3月までを「第6次中期経営計画」の期間とし、第5次中期経営計画で取り組んできた「既存事業の競争力強化」と「事業構造転換」を基本方針に、第6次中期経営計画では「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでおります。
<目指すべき利益目標>・連結営業利益 500億円
<第6次中期経営計画 - 2021年3月期の経営目標値>・連結営業利益 470億円
・ROA 3.8 %
・D/Eレシオ 1.5 倍 以下
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
(3) 会社の対処すべき課題
① PCB廃棄物について
2019年1月25日に公表いたしましたとおり、当社工場等において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が保管されていることが判明し、2018年12月に、保管場所となっているいわき市及び横浜市に対し、届け出を行いました。現在、関係機関等に相談しながら、適切に対応を進めております。
PCB廃棄物処理費用について、当連結会計年度において、環境対策引当金繰入額として13,700百万円を特別損失に計上いたしました。
PCB廃棄物の濃度、数量、発生経緯等の詳細については、社内に設置した対策委員会にて具体的な調査を進めているところですが、行政への届け出が行われていなかったことを踏まえ、現時点において当社が考えている再発防止策は次のとおりです。
第1に、環境法令の理解の徹底です。改正法令や新たな法令については、リスクとなり得る事項を早期に抽出し、適切に対応できる体制を構築してまいります。具体的には、本社主管部門が日本製紙グループ環境委員会にて説明を行い、あわせて、影響のある関係部門を抽出し、具体的な対応方法を提示します。また、その対応状況については、次回以降の会議で報告いたします。
第2に、環境法令の遵守について、法務担当部門が第三者の目から監督をし、必要に応じて指導や助言等を行うなど、管理部門における法令遵守体制を強化いたします。
第3に、コンプライアンスのさらなる重視です。当社グループの役員を対象としたコンプライアンス研修を外部講師を招いて実施します。従来から実施している従業員対象の研修については、今回の事案を反映した内容に見直しをいたします。
② 第6次中期経営計画(2018年4月~2021年3月)の進捗について
現在、当社が推進している第6次中期経営計画では、当社グループの持続的成長の実現に向け、洋紙事業の生産体制再編成と、成長分野の事業拡大、新規事業の早期戦力化を掲げています。
初年度は、口栓付液体用紙容器及び新充填機の拡販や、家庭紙・ヘルスケア製品の販売数量増加、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備の稼働開始などにより、売上高はほぼ第6次中期経営計画どおりとなりました。一方、営業利益は、主に紙・板紙及び家庭紙事業において古紙やパルプをはじめとする原燃料価格上昇の影響を受け、第6次中期経営計画に対して未達に終わりました。パッケージや家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各成長分野における設備投資は、ほぼ計画どおりに進めています。また、海洋プラスチックごみ問題が注目される中、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まっていることから、「紙化」の様々なニーズに対応するために、2018年8月に紙化ソリューション推進室を設置しました。
第6次中期経営計画の2年目である2019年度は、目標達成に向けた対策を各事業において講じていきます。
洋紙事業においては、2018年11月、印刷・情報用紙の価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。原燃料価格や物流費の上昇は依然として続いていることから、製品価格の維持に努めつつ、操業安定化による安定供給とコストダウンを進めます。生産体制再編成については、計画どおり、2019年3月から2020年1月にかけて抄紙機8台を順次停機してまいります。
板紙事業においては、2018年10月に価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。段ボール原紙に対する需要は、国内・海外とも引き続き伸びていることから、国内と輸出の生産販売の最適バランスを図り、製品価格の維持に努めていきます。
これらの施策によって国内の紙・板紙事業の収益力を回復させ、安定的収益基盤の構築を進めます。
パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各事業は、引き続き成長分野と位置付けます。パッケージ事業は、国内の人口減少に伴う需要減少の懸念はあるものの、飲料市場においては、消費者の健康志向の高まりにより、本格的な食感を持つ飲料製品が求められています。固形物・長繊維・高粘度充填が可能な紙容器無菌充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」を開発し、市場のニーズに対応した新しい紙容器を展開していきます。北米の日本ダイナウェーブパッケージングでは、世界的にパルプ需要が堅調であることから、ドライパルプマシンを新設し、パルプの増産・拡販を目指します。また、液体用紙容器原紙の品質向上や生産効率改善を図り、収益力向上を目指します。
家庭紙・ヘルスケア事業においては、持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できることから「3倍巻き」に代表される長尺トイレットペーパーの需要が近年伸びているため、クレシア春日株式会社で家庭紙第二抄紙機の設置を決定しました。2018年5月に稼働した家庭紙第一抄紙機とともに供給体制の充実を図ります。ヘルスケア製品は、高齢化の進行などによる生活様式の変化を背景に、今後も需要の伸びが見込まれることから、加工機を増設するとともに、快適にお使いいただける製品を開発し、市場に展開します。
ケミカル事業においては、江津工場に機能性セルロース(CMC)製造設備を新設します。CMCは、食品・衛生用途、工業用途で幅広く使われていますが、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池用途が近年拡大しています。製造設備新設により、高付加価値・高品質分野へのシフトを進めていきます。CMCや、自動車塗料などに使用される機能性コーティング剤など、市場規模は小さいものの収益性の高い製品の需要がアジアを中心に拡大しており、海外市場での販売拡大を図ります。
エネルギー事業は、2018年3月に稼働した日本製紙石巻エネルギーセンターにおけるバイオマス混焼発電設備の安定操業に努めます。北海道工場勇払事業所で計画しているバイオマス専焼発電事業については事業化を決定しました。再生可能エネルギーへの注目が高まる中、バイオマス資源の調達力や発電設備の操業技術など当社の強みを生かした事業の拡大に取り組んでいきます。
「セレンピア®」(セルロースナノファイバー、以下CNF)や「シールドプラス®」、「ミネルパ®」などの新素材については、引き続き用途開発を進め、早期の事業化を目指します。「セレンピア®」は、江津工場で製造するCM化CNFが和菓子と化粧品で採用されました。石巻工場で製造するTEMPO酸化CNFは、引き続き、産業用素材として幅広く用途開発を進めていきます。「シールドプラス®」シリーズは、より高い水蒸気バリア性を発現する新製品「シールドプラス®プレミア」のサンプル供給を2019年4月より開始しました。さらに、環境意識の高い欧州市場で「シールドプラス®」シリーズの浸透を図るため、十條サーマルでの生産検討を開始しました。「ミネルパ®」は、2018年10月、富士工場に実証設備が完成し、本格的なサンプル供給を行っています。消臭・抗菌や難燃などの機能を生かした用途開発を積極的に進めていきます。
紙化の取り組みについては、口当たりの良さや高い耐久性、安全性を特長とした紙製ストローを開発し、2019年4月から販売を開始しました。また、パッケージ事業のバリューチェーンを拡大するため、マレーシアにおいて軟包装事業を買収いたしました。環境意識が高まり、脱プラスチックの世界的な流れが加速する中、今後も"紙でできることは紙で。"を合言葉に新製品の開発を推進し、紙の利用シーン拡大を進めていきます。成長分野や新素材の事業では、的確なニーズの取り込みや新製品開発による新たな需要の創出によって事業拡大を図るために、積極的に投資を行い、事業構造転換を加速します。
第6次中期経営計画における投資においては財務規律を十分に考慮し、資金のみならず当社グループが持つ人・資産を含む各リソースを成長分野に適切に配分することで、当社グループの既存事業、成長分野の事業価値最大化を目指した施策を実行してまいります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
1.基本方針について
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えています。
もっとも、当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆さま全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。しかしながら、当社株式等に対する大規模買付行為や買付提案の中には、買付目的や買付後の経営方針等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもあり得ます。
当社は、このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取組みについて
(1) 中期経営計画について
当社グループは再生可能な木材資源の活用を通じて、豊かな暮らしと地球環境の両立を支える企業活動を実践しています。
この持続的成長をさらに確かなものにするため、3年ごとに中期経営計画を策定し、推進しています。
2018年4月からは第6次中期経営計画(3か年)を推進しています。既存事業については、洋紙事業の生産体制再編成を進めることで、安定した収益を確保し、事業構造転換を支えていきます。一方、パッケージ、ヘルスケア、ケミカル、エネルギーなど成長分野の伸長と新規事業の戦力化に向けた投資をもう一段行うことで、事業構造転換を加速していきます。
森林資源を基盤とした循環型の事業を通じて暮らしと文化に貢献し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきます。
(2) コーポレート・ガバナンスの取組み
当社は、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営の透明性を一層高め、公正な経営を実現することを経営の最重要課題とします。業務執行と経営の監督の分離を確保するため、執行役員制度を採用するとともに、取締役会の監督機能の強化に努めます。また、当社はグループの経営の司令塔として、成長戦略を推進し、傘下事業をモニタリングし、コンプライアンスを推進します。
このような取組みにより、当社は、今後もより一層コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。
株式会社の支配に関する基本方針は以上のとおりですが、当社は、当社の企業価値ひいては株主全体の利益の向上に向けた取り組みに努めるとともに、当社株式に対する大規模買付行為が行われる場合には、大規模買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見を開示する等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じていきます。