有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 14:12
【資料】
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【項目】
192項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
2026年5月、当社グループは、2026年度から2030年度までの経営計画として「中期経営計画2030」(中計2030)を策定しました。中期経営計画2025の成果・課題や、株主・投資家の皆さまからの様々なご意見などを勘案し、中計2030では、B/S(バランスシート)の最適化・構造改革の断行・収益性の向上の3点を基本戦略としました。有利子負債の削減、不採算事業の抜本的改革、森林・木材関連事業の拡大、生活関連事業の収益力強化などの重点課題に取り組み、資本効率の向上と持続的な成長を目指します。
(2) 目標とする経営指標
<中期経営計画2030 財務目標>・ROIC 4%以上
・ROE 8%以上
・ネットD/Eレシオ(自己資本ベース) 1.0倍以下
・木材・建材・土木建設関連事業および生活関連事業の売上高比率 55.0%
・営業利益 600億円以上
・売上高営業利益率 5%以上
・EBITDA 1,400億円以上
(3) 会社の対処すべき課題
①中期経営計画2025(2021年度~2025年度)の振り返り
当社は、2021年度に「中期経営計画2025」を策定し、新型コロナウイルスによる需要低迷や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原燃料価格高騰、円安など経営環境が激変する中、「事業構造転換の加速」をテーマに掲げ、各種施策に取り組みました。
国内事業は、コスト削減と価格改定により、原燃料価格高騰などのコストアップを吸収し、2023年度以降の営業利益は概ね計画を達成しました。一方で、海外事業、特に豪州Opal社の収益低迷が続き、グループ全体の営業利益などの業績目標は未達となりました。
主な取り組みと課題
紙事業から成長事業である生活関連事業へ経営資源のシフトを進めた結果、売上高に占める生活関連事業の比率は、2020年度の32%から、2025年度には40%となり、事業構造転換が着実に進みました。
国内事業では、需要減少が続くグラフィック用紙の生産能力を約30%削減し、稼働率90%を維持することで、紙・板紙事業の競争力強化に努めました。原燃料費や固定費の上昇に対しては、グループを挙げてコスト削減を進めるとともに、各事業において複数回にわたる価格改定を行い、2023年度以降は目標とした収益水準を概ね維持しました。
一方、海外事業は業績が低迷しました。特に豪州Opal社は、ビクトリア州有林からの原木供給停止を受け、2023年にグラフィック用紙事業からの撤退を余儀なくされるなど厳しい事業環境が続きました。生産体制の最適化と固定費削減、パッケージング加工事業の生産性向上など収益改善を進めたものの赤字が継続しており、引き続き立て直しに全力を挙げています。
財務面では、資本効率向上のため資産売却と有利子負債削減に取り組みました。東京都北区の土地などの資産売却を進め、政策保有株式については原則として全廃する方針を2025年に公表し、計画を上回るペースで縮減しました。これらの結果、株主資本ベースでのネットD/Eレシオ1.7倍台、純有利子負債7,100億円以下など、2023年に設定した財務目標を達成しましたが、いずれもさらなる改善が必要です。営業利益率の低迷と構造改革に伴う特別損失の発生により、ROEも低水準にとどまりました。
温室効果ガス(GHG)排出量については、2025年度に、2013年度比43%(暫定値)の削減を達成し、2030年度目標の同54%削減に向けて順調に進捗しています。
以上のとおり、事業構造転換、既存事業の基盤強化、GHG排出量の削減については一定の成果を得たものの、グラフィック用紙の需要減少への対応、海外事業の収益力強化、資本効率の改善が引き続き課題と認識しています。
②中期経営計画2030(2026年度~2030年度)の取り組み
本年5月、中期経営計画2030を発表しました。主な課題は資本効率の向上と収益力の強化であり、基本戦略として「B/S(バランスシート)の最適化」「構造改革の断行」「収益性の向上」を掲げました。財務目標としてROIC4%以上、ROE8%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下、営業利益600億円以上を設定し、資本市場との積極的な対話と情報開示に努め、資本コストや株価を意識した経営を実践していきます。
(イ)重点課題
a. B/S(バランスシート)の最適化
財務基盤の健全化・効率化のため、政策保有株式の売却など資産のスリム化と有利子負債の削減を優先的に進め、2026年3月末において自己資本ベースで1.20倍となっているネットD/Eレシオを同1.0倍以下まで引き下げます。
b. 構造改革の断行
基盤事業を強靭化し競争優位性を確立するとともに、低収益事業の整理を進めます。
国内グラフィック用紙事業は、需要減少に対応し、早期に石巻・岩沼・岩国への生産拠点集約の検討を進め、競争力の向上と稼働率90%以上の維持を図り、利益率を向上させます。
豪州Opal社は、段ボール一貫事業への経営資源集中、一段の生産体制の最適化と固定費削減、低収益事業の検証、組織・人員体制の見直しなど抜本的改革を行い、成長軌道への回復を加速させます。
c. 収益性の向上
利益率・資本効率の高い森林・木材関連事業、生活関連事業を注力事業と位置付け、収益力を強化し拡大します。合わせて、パッケージング事業の川下戦略、新規バイオマス素材事業の早期戦力化などを進め、グループ全体の収益性向上を目指します。
(ロ)個別事業の取り組み
a. 森林・木材関連事業
世界トップクラスの育種・増殖技術、国内外の木質資源サプライチェーン、自社森林資源などを活用し、森林・木材関連事業の拡大と社会課題解決への貢献を同時に目指すグリーン戦略を展開します。具体的には、国産材・海外材流通事業の拡大、育種・増殖技術を活用した海外植林事業・エリートツリー苗木事業の拡大、カーボン市場・自然資本市場における森林資源の価値化などに取り組みます。
b. パッケージング用紙事業
グループ内外の加工会社との連携・協業による川下戦略を進め、原紙・加工の垂直事業モデルによるシナジー発現を目指します。段ボール原紙においては、2026年4月に当社グループ、段ボール業界大手トーモク、特種東海製紙の間で協業検討に関する覚書を締結し、取り組みを加速させています。
c. パッケージング加工事業(紙パック事業)
国内では、グループ製造原紙を活用した高付加価値・差別化パッケージの開発と、充填機メーカーの四国化工機との協業による原紙から加工・充填機にわたる一貫サービスの提供により市場シェアの拡大を目指します。海外では、Elopak社などパートナー企業と連携し、環太平洋地域を中心に事業拡大を図ります。
d. 家庭紙・ヘルスケア事業
高齢化など社会構造の変化に対応した高付加価値製品の開発・拡販を進めます。家庭用品は石巻・八代の新型抄紙機のフル活用により、また、需要が増加するヘルスケア製品は生産能力の増強により、それぞれ差別化製品の販売拡大を図ります。ビジネスパートナーと連携し、アジア・オセアニア、北米などへの輸出を拡大するとともに、e-コマース・D2C(Direct to Consumer)など新たなチャネルでの販売も強化します。
e. ケミカル事業
自動車用塗料などに使用される機能性コーティング樹脂は海外市場での拡販を進め、機能性フィルムは有機ELディスプレイ向けの採用拡大を図るなど、ともに成長市場での一段の収益拡大を目指します。また、ケミカル事業の中核生産拠点である江津工場の生産基盤強化・競争力改善を進め、主力製品である溶解パルプ、機能性セルロース、リグニンなど、バイオマス素材の販売拡大と収益力強化を図ります。
f. 新規バイオマス素材事業
バイオマスの高付加価値化技術を活用し、脱炭素社会・循環型社会で求められる新規バイオマス製品の開発と早期戦力化を図ります。既に開発が進んでいるセルロースナノファイバーやバイオエタノールなどの本格的な社会実装を急ぐとともに、農林水産・食、ライフスタイル、社会インフラ・環境、先端機能材料など、今後当社が注力する活動領域で、オープンイノベーションも積極的に活用しながら、「低GHG」「リサイクル性」などの付加価値を付与した新規バイオマス素材を幅広く社会に提供していきます。
(ハ)非財務戦略
a. 人的資本戦略
社員一人ひとりが持つ「高度な操業技術・木質資源に関する専門性」「誠実さ」「連携力」といった強みを基盤に、社員の成長をグループの成長につなげる人材マネジメントを推進していきます。これを通じて、多様な人材の確保、スキル・知識・技術の向上、エンゲージメント向上を図り、目指す企業像である「社員が誇りを持って明るく仕事に取り組む」ことを追求することで、グループの持続的な成長を実現していきます。
b. 自然資本戦略
事業活動が環境に与える影響を最小にする「ミニマム・インパクト」の実現を目指し、カーボンニュートラル(脱炭素の推進)、サーキュラーエコノミー(資源循環の拡大)、ネイチャーポジティブ(生物多様性の保全・回復)に取り組みます。
GHG排出量削減については、2030年度目標の2013年度比54%削減に向けて2025年度までに43%(暫定値)の削減を達成し順調に進捗していることから、今回新たな目標として「2035年度60%削減、2040年度65%削減」を設定しました。2050年カーボンニュートラルに向けて取り組みを強化していきます。

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