有価証券報告書-第93期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図る一方、需要の伸びが見込めるアジア・オセアニア市場へは、現地生産化や現地有力紙パルプメーカーとの業務提携などによる拡大成長戦略を展開していきます。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、平成27年4月から平成30年3月までを「第5次中期経営計画」の期間とし、既存事業の競争力強化と成長分野の伸長、そして新規事業の育成・拡大を主要テーマに揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでいます。
<第5次中期経営計画 - 平成29年度の経営目標値>・連結売上高 11,100億円 (海外売上高比率20%)
・連結営業利益 500億円
・ROA 3.7 % (中期目標5.0%)
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
(3) 会社の対処すべき課題
現在、当社が推進している第5次中期経営計画では、既存事業における競争力強化と、事業構造転換を実現させるために成長分野の伸長、新規事業の育成・拡大を掲げています。平成28年度は、パッケージやヘルスケア、ケミカル、エネルギーの成長分野における設備投資やM&Aを計画通り実行しました。また、海外事業は、豪州・欧州・東南アジアにおいて収益改善を果たし、第5次中期経営計画で掲げた施策を着実に実行してきました。また、厳しい市場環境にある北米においては印刷・出版用紙事業からの撤退を決めました。しかしながら、印刷・情報用紙の市況の軟化、段ボール原紙メーカー間の競争激化、主力工場における操業不調、昨年後半からの古紙をはじめとする原燃料価格上昇などがあり、計画は未達に終わりました。
第5次中期経営計画の最終年を迎える平成29年度は、この厳しい状況を克服するために、各事業において以下の対策を講じていきます。
洋紙事業においては、平成29年2月、印刷・情報用紙の価格修正を表明しました。これまで徹底したコストダウンに努めてきましたが、市況の軟化及び原燃料価格の上昇により厳しい収益状況に置かれています。お客さまにご理解をいただきながら、製品価格の修正を進めていきます。また、操業安定化を図り、引き続きコストダウンに努めていきます。
板紙事業においては、新東海製紙株式会社の品質・コスト競争力の強化、原燃料の共同調達、交錯輸送の改善などシナジーの早期発現に取り組んでいきます。販売会社である日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社では、需要家に対する提案力を高めるなどきめ細かい販売体制を確立します。また、平成29年4月、段ボール原紙の価格修正を表明しました。お客さまにご理解をいただきながら、製品価格の修正に取り組んでいきます。
海外事業については、高付加価値品の拡販とコストダウンに注力します。豪州のオーストラリアン・ペーパー社では、コピー用紙を中心とした拡販を進めていきます。欧州の十條サーマル社では、前年に引き続き感熱紙の高付加価値品の拡販に取り組んでいきます。東南アジアにあるサイアム・ニッポン・インダストリアル・ペーパー社では、食品包装用途などで期待される片艶紙の拡販に取り組むとともに、生産効率の向上とコストダウンを推進します。北米では、ウェアーハウザー社より液体用紙容器原紙事業を譲り受け、平成28年9月より日本ダイナウェーブパッケージング社が営業を開始しました。北米で高付加価値品の拡販に努めるとともに、新製品の開発などパッケージング分野とのシナジーを追求していきます。また、アジアでは、今後も経済成長が続き、個人消費の拡大が見込まれます。インドにおいては紙器加工事業、ベトナムにおいては紙器加工事業と紙おむつ事業の拠点を新たに設けました。これまで国内で培った技術力とノウハウを生かし、事業の拡大に取り組んでいきます。
家庭紙・ヘルスケア事業では、平成28年12月、日本製紙クレシア株式会社と春日製紙工業株式会社が家庭紙合弁事業を行うことで合意しました。当社富士工場の敷地内にトイレットペーパーなどを生産する設備を新設することで多様なニーズに対応し、需要拡大が期待される市場での成長を目指します。また、持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できる「3倍巻き」のトイレットペーパーやキッチンタオルをはじめ、快適にお使いいただける製品を開発し、市場に展開します。さらに、幅広い世代の皆さまに親しんでいただいている「クリネックス®」ブランドの再構築に取り組みます。ヘルスケア事業では、機能性セルロースナノファイバーを用いた消臭シートを採用した製品を中心に拡販を進めます。
ケミカル事業では、DP(溶解パルプ)増産工事が完了した江津工場の競争力強化の効果発現に注力します。新しい素材として期待されているセルロースナノファイバー(以下CNFといいます。)については、平成29年4月、石巻工場で量産設備が稼働しました。江津工場では食品・化粧品向け量産設備の建設を進めており、富士工場にはCNF強化樹脂の実証生産設備を設置します。今後、CNFの研究拠点を富士工場に移転し、自動車用途など実用化に向けた開発のスピードアップを図ります。
液体用紙容器事業では、ノルウェーのエロパック社(Elopak社)とライセンス契約を結んだ「Pure-Pak® Curve」に口栓を装着したチルド用液体紙容器が果汁飲料向けで採用されました。消費者へのコミュニケーションツールとして商品の価値を高めるとともに飲料の注ぎやすさと再封性を追求した新しいデザインの紙容器を市場に展開していきます。また、国内における生産拠点の集約を進め、効率的な生産体制を構築するとともに、製品開発の拠点としてテクニカルセンターを新たに設置します。さらにパッケージング分野においては、紙製バリア包材「シールドプラス®」や世界初となるシャンプーの"差し替え"容器「SPOPS®」をはじめ、紙を基材とするパッケージの用途開発を強化していきます。
エネルギー事業では、平成30年3月に石巻工場における石炭・バイオマス混焼火力発電設備を計画通りに立ち上げるほか、トレファクション技術を用いた木質バイオマス燃料(トレファイドペレット)の事業化を目指し、タイのフェニックス・パルプ・アンド・ペーパー社(Phoenix Pulp and Paper社)との共同研究開発を進めていきます。
財務面においては、ROAを第5次中期経営計画の経営目標に掲げ、資産効率の改善に引き続き取り組みます。
主力事業である洋紙・板紙事業の収益改善を図るとともに、成長分野や新規事業におけるさまざまな施策の効果を早期に発現させることで、今後も総合バイオマス企業として事業基盤の強化と新たな価値の創造に取り組んでいきます。
(株式会社の支配に関する基本方針)
1.基本方針について
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えています。
もっとも、当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆さま全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。しかしながら、当社株式等に対する大規模買付行為や買付提案の中には、買付目的や買付後の経営方針等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもあり得ます。
当社は、このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取組みについて
(1) 中期経営計画について
当社グループは紙パルプ事業を中心とした、用途多彩で再生可能な木材資源の活用を通じて、豊かな暮らしと地球環境の両立を支える企業活動を実践しています。
この持続的成長をさらに確かなものにするため、3年ごとに中期経営計画を策定し、推進しています。平成27年4月からは第5次中期経営計画(3か年)を推進しています。ヘルスケア、ケミカル、エネルギー、パッケージングなど成長分野へ重点的に経営資源を配分し総合バイオマス企業としての事業構造転換を加速していきます。一方既存事業では、事業基盤を強化するための投資を行うことで安定した収益を確保し、事業構造転換を支えていきます。
森林資源を基盤とした循環型の事業を通じて暮らしと文化に貢献し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきます。
(2) コーポレート・ガバナンスの取組み
当社は、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営の透明性を一層高め、公正な経営を実現することを経営の最重要課題とします。業務執行と経営の監督の分離を確保するため、執行役員制度を採用するとともに、取締役会の監督機能の強化に努めます。また、当社はグループの経営の司令塔として、成長戦略を推進し、傘下事業をモニタリングし、コンプライアンスを推進します。
このような取組みにより、当社は、今後もより一層コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。
かかる取組みは当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるものであり、上記「1.」で述べた基本方針に沿うものです。
3.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
(1) 本対応方針の概要
当社は、上記「1.」に述べた基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、「当社株式等に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本対応方針」といいます。)を定めています。
本対応方針の有効期間は、平成30年3月期に関する定時株主総会終結の時までとなっています。その概要は以下のとおりです。
ア.大規模買付ルールの設定
本対応方針は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社の株券等の大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付行為を行おうとする者(以下「大規模買付者」といいます。)に対し、①事前に大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、②大規模買付行為についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、③株主の皆さまに当社経営陣の代替案等を提示し、大規模買付者との交渉を行っていくための手続を定めています。
イ.新株予約権無償割当ての利用
大規模買付者が本対応方針において定められた手続に従うことなく大規模買付行為を行う等、当社の企業価値・株主共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合には、当社は、当該大規模買付者による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以降に規定されます。)により割り当てます。
ウ.当社取締役会の恣意的判断を排するための独立委員会の利用等
本対応方針においては、大規模買付行為への対抗措置としての本新株予約権の無償割当ての実施もしくは不実施、又は本新株予約権の取得等の判断について、当社取締役会による恣意的な判断を排するため、独立委員会規則に従い、当社経営陣からの独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を経ることとしています。また、これに加えて、本新株予約権の無償割当ての実施に際して独立委員会が本新株予約権の無償割当ての実施に関する株主の皆さまの意思を確認することを勧告した場合には、原則として当社取締役会は株主意思確認総会を招集するものとされています。さらに、こうした手続の過程については、株主の皆さまに適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。
なお、本対応方針の独立委員会は、当社社外取締役2名、社外監査役2名及び社外の有識者1名により構成されています。
エ.本新株予約権の行使及び当社による本新株予約権の取得
本対応方針に従って本新株予約権の無償割当てがなされ、大規模買付者以外の株主の皆さまにより本新株予約権が行使された場合、又は当社による本新株予約権の取得と引換えに、大規模買付者以外の株主の皆さまに対して当社株式が交付された場合、当該大規模買付者の有する当社株式の議決権割合は、当該行使・取得前と比較して、最大で50%まで希釈化される可能性があります。
(2) 本対応方針が株主・投資家に与える影響等の概要
ア.大規模買付ルールの影響
大規模買付ルールは、当社株主の皆さまが大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を提供し、株主の皆さまが代替案の提示を受ける機会を保障することを目的としています。これにより株主の皆さまは、十分な情報の下で、大規模買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となり、そのことが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の保護につながるものと考えます。したがいまして、大規模買付ルールの設定は、株主及び投資家の皆さまが適切な投資判断を行う上での前提となるものであり、株主及び投資家の皆さまの利益に資するものであると考えています。
イ.本新株予約権の無償割当時の影響
当社取締役会において本新株予約権無償割当決議を行った場合には、本新株予約権無償割当決議において別途定める割当期日における株主の皆さまに対し、その保有する株式1株につき本新株予約権1個の割合で本新株予約権が無償にて割り当てられます。仮に、株主の皆さまが、本新株予約権の行使期間内に本新株予約権の行使に係る手続を経なければ、他の株主の皆さまによる本新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化されることになります。
ただし、当社は、非適格者以外の株主の皆さまから本新株予約権を取得し、それと引換えに当社株式を交付することがあります。当社がかかる取得の手続を取った場合、非適格者以外の株主の皆さまは、本新株予約権の行使及び行使価額相当の金銭の払込みをせずに、当社株式を受領することとなり、保有する当社株式1株あたりの価値の希釈化は生じますが、保有する当社株式全体の希釈化は生じません。
(3) 本対応方針の合理性
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足していること、平成27年6月26日開催の第91回定時株主総会における株主の皆さまのご承認の下に更新されていること、一定の場合には株主意思確認総会において本新株予約権の無償割当てを実施するか否かについて株主の皆さまの意思の確認を行うこと、その内容として合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されていること、本対応方針の運用に関して独立性の高い社外者から成る独立委員会を設置しており、当社取締役会は本新株予約権の無償割当てを実施するか否かについての独立委員会の判断を最大限尊重して決議を行うこと、独立委員会は当社の費用で独立した第三者の助言を受けることができること、本対応方針の有効期間の満了前であっても当社株主総会又は当社取締役会の決議によって本対応方針を廃止できること、本対応方針は当社の株券等を大量に買い付けた者が指名し株主総会で選任された取締役により廃止することができるものとして設計されていること(デッドハンド型買収防衛策ではないこと)等により、その公正性・客観性が担保されています。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図る一方、需要の伸びが見込めるアジア・オセアニア市場へは、現地生産化や現地有力紙パルプメーカーとの業務提携などによる拡大成長戦略を展開していきます。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、平成27年4月から平成30年3月までを「第5次中期経営計画」の期間とし、既存事業の競争力強化と成長分野の伸長、そして新規事業の育成・拡大を主要テーマに揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでいます。
<第5次中期経営計画 - 平成29年度の経営目標値>・連結売上高 11,100億円 (海外売上高比率20%)
・連結営業利益 500億円
・ROA 3.7 % (中期目標5.0%)
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
(3) 会社の対処すべき課題
現在、当社が推進している第5次中期経営計画では、既存事業における競争力強化と、事業構造転換を実現させるために成長分野の伸長、新規事業の育成・拡大を掲げています。平成28年度は、パッケージやヘルスケア、ケミカル、エネルギーの成長分野における設備投資やM&Aを計画通り実行しました。また、海外事業は、豪州・欧州・東南アジアにおいて収益改善を果たし、第5次中期経営計画で掲げた施策を着実に実行してきました。また、厳しい市場環境にある北米においては印刷・出版用紙事業からの撤退を決めました。しかしながら、印刷・情報用紙の市況の軟化、段ボール原紙メーカー間の競争激化、主力工場における操業不調、昨年後半からの古紙をはじめとする原燃料価格上昇などがあり、計画は未達に終わりました。
第5次中期経営計画の最終年を迎える平成29年度は、この厳しい状況を克服するために、各事業において以下の対策を講じていきます。
洋紙事業においては、平成29年2月、印刷・情報用紙の価格修正を表明しました。これまで徹底したコストダウンに努めてきましたが、市況の軟化及び原燃料価格の上昇により厳しい収益状況に置かれています。お客さまにご理解をいただきながら、製品価格の修正を進めていきます。また、操業安定化を図り、引き続きコストダウンに努めていきます。
板紙事業においては、新東海製紙株式会社の品質・コスト競争力の強化、原燃料の共同調達、交錯輸送の改善などシナジーの早期発現に取り組んでいきます。販売会社である日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社では、需要家に対する提案力を高めるなどきめ細かい販売体制を確立します。また、平成29年4月、段ボール原紙の価格修正を表明しました。お客さまにご理解をいただきながら、製品価格の修正に取り組んでいきます。
海外事業については、高付加価値品の拡販とコストダウンに注力します。豪州のオーストラリアン・ペーパー社では、コピー用紙を中心とした拡販を進めていきます。欧州の十條サーマル社では、前年に引き続き感熱紙の高付加価値品の拡販に取り組んでいきます。東南アジアにあるサイアム・ニッポン・インダストリアル・ペーパー社では、食品包装用途などで期待される片艶紙の拡販に取り組むとともに、生産効率の向上とコストダウンを推進します。北米では、ウェアーハウザー社より液体用紙容器原紙事業を譲り受け、平成28年9月より日本ダイナウェーブパッケージング社が営業を開始しました。北米で高付加価値品の拡販に努めるとともに、新製品の開発などパッケージング分野とのシナジーを追求していきます。また、アジアでは、今後も経済成長が続き、個人消費の拡大が見込まれます。インドにおいては紙器加工事業、ベトナムにおいては紙器加工事業と紙おむつ事業の拠点を新たに設けました。これまで国内で培った技術力とノウハウを生かし、事業の拡大に取り組んでいきます。
家庭紙・ヘルスケア事業では、平成28年12月、日本製紙クレシア株式会社と春日製紙工業株式会社が家庭紙合弁事業を行うことで合意しました。当社富士工場の敷地内にトイレットペーパーなどを生産する設備を新設することで多様なニーズに対応し、需要拡大が期待される市場での成長を目指します。また、持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できる「3倍巻き」のトイレットペーパーやキッチンタオルをはじめ、快適にお使いいただける製品を開発し、市場に展開します。さらに、幅広い世代の皆さまに親しんでいただいている「クリネックス®」ブランドの再構築に取り組みます。ヘルスケア事業では、機能性セルロースナノファイバーを用いた消臭シートを採用した製品を中心に拡販を進めます。
ケミカル事業では、DP(溶解パルプ)増産工事が完了した江津工場の競争力強化の効果発現に注力します。新しい素材として期待されているセルロースナノファイバー(以下CNFといいます。)については、平成29年4月、石巻工場で量産設備が稼働しました。江津工場では食品・化粧品向け量産設備の建設を進めており、富士工場にはCNF強化樹脂の実証生産設備を設置します。今後、CNFの研究拠点を富士工場に移転し、自動車用途など実用化に向けた開発のスピードアップを図ります。
液体用紙容器事業では、ノルウェーのエロパック社(Elopak社)とライセンス契約を結んだ「Pure-Pak® Curve」に口栓を装着したチルド用液体紙容器が果汁飲料向けで採用されました。消費者へのコミュニケーションツールとして商品の価値を高めるとともに飲料の注ぎやすさと再封性を追求した新しいデザインの紙容器を市場に展開していきます。また、国内における生産拠点の集約を進め、効率的な生産体制を構築するとともに、製品開発の拠点としてテクニカルセンターを新たに設置します。さらにパッケージング分野においては、紙製バリア包材「シールドプラス®」や世界初となるシャンプーの"差し替え"容器「SPOPS®」をはじめ、紙を基材とするパッケージの用途開発を強化していきます。
エネルギー事業では、平成30年3月に石巻工場における石炭・バイオマス混焼火力発電設備を計画通りに立ち上げるほか、トレファクション技術を用いた木質バイオマス燃料(トレファイドペレット)の事業化を目指し、タイのフェニックス・パルプ・アンド・ペーパー社(Phoenix Pulp and Paper社)との共同研究開発を進めていきます。
財務面においては、ROAを第5次中期経営計画の経営目標に掲げ、資産効率の改善に引き続き取り組みます。
主力事業である洋紙・板紙事業の収益改善を図るとともに、成長分野や新規事業におけるさまざまな施策の効果を早期に発現させることで、今後も総合バイオマス企業として事業基盤の強化と新たな価値の創造に取り組んでいきます。
(株式会社の支配に関する基本方針)
1.基本方針について
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えています。
もっとも、当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆さま全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。しかしながら、当社株式等に対する大規模買付行為や買付提案の中には、買付目的や買付後の経営方針等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもあり得ます。
当社は、このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取組みについて
(1) 中期経営計画について
当社グループは紙パルプ事業を中心とした、用途多彩で再生可能な木材資源の活用を通じて、豊かな暮らしと地球環境の両立を支える企業活動を実践しています。
この持続的成長をさらに確かなものにするため、3年ごとに中期経営計画を策定し、推進しています。平成27年4月からは第5次中期経営計画(3か年)を推進しています。ヘルスケア、ケミカル、エネルギー、パッケージングなど成長分野へ重点的に経営資源を配分し総合バイオマス企業としての事業構造転換を加速していきます。一方既存事業では、事業基盤を強化するための投資を行うことで安定した収益を確保し、事業構造転換を支えていきます。
森林資源を基盤とした循環型の事業を通じて暮らしと文化に貢献し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきます。
(2) コーポレート・ガバナンスの取組み
当社は、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営の透明性を一層高め、公正な経営を実現することを経営の最重要課題とします。業務執行と経営の監督の分離を確保するため、執行役員制度を採用するとともに、取締役会の監督機能の強化に努めます。また、当社はグループの経営の司令塔として、成長戦略を推進し、傘下事業をモニタリングし、コンプライアンスを推進します。
このような取組みにより、当社は、今後もより一層コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。
かかる取組みは当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるものであり、上記「1.」で述べた基本方針に沿うものです。
3.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
(1) 本対応方針の概要
当社は、上記「1.」に述べた基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、「当社株式等に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本対応方針」といいます。)を定めています。
本対応方針の有効期間は、平成30年3月期に関する定時株主総会終結の時までとなっています。その概要は以下のとおりです。
ア.大規模買付ルールの設定
本対応方針は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社の株券等の大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付行為を行おうとする者(以下「大規模買付者」といいます。)に対し、①事前に大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、②大規模買付行為についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、③株主の皆さまに当社経営陣の代替案等を提示し、大規模買付者との交渉を行っていくための手続を定めています。
イ.新株予約権無償割当ての利用
大規模買付者が本対応方針において定められた手続に従うことなく大規模買付行為を行う等、当社の企業価値・株主共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合には、当社は、当該大規模買付者による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以降に規定されます。)により割り当てます。
ウ.当社取締役会の恣意的判断を排するための独立委員会の利用等
本対応方針においては、大規模買付行為への対抗措置としての本新株予約権の無償割当ての実施もしくは不実施、又は本新株予約権の取得等の判断について、当社取締役会による恣意的な判断を排するため、独立委員会規則に従い、当社経営陣からの独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を経ることとしています。また、これに加えて、本新株予約権の無償割当ての実施に際して独立委員会が本新株予約権の無償割当ての実施に関する株主の皆さまの意思を確認することを勧告した場合には、原則として当社取締役会は株主意思確認総会を招集するものとされています。さらに、こうした手続の過程については、株主の皆さまに適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。
なお、本対応方針の独立委員会は、当社社外取締役2名、社外監査役2名及び社外の有識者1名により構成されています。
エ.本新株予約権の行使及び当社による本新株予約権の取得
本対応方針に従って本新株予約権の無償割当てがなされ、大規模買付者以外の株主の皆さまにより本新株予約権が行使された場合、又は当社による本新株予約権の取得と引換えに、大規模買付者以外の株主の皆さまに対して当社株式が交付された場合、当該大規模買付者の有する当社株式の議決権割合は、当該行使・取得前と比較して、最大で50%まで希釈化される可能性があります。
(2) 本対応方針が株主・投資家に与える影響等の概要
ア.大規模買付ルールの影響
大規模買付ルールは、当社株主の皆さまが大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を提供し、株主の皆さまが代替案の提示を受ける機会を保障することを目的としています。これにより株主の皆さまは、十分な情報の下で、大規模買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となり、そのことが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の保護につながるものと考えます。したがいまして、大規模買付ルールの設定は、株主及び投資家の皆さまが適切な投資判断を行う上での前提となるものであり、株主及び投資家の皆さまの利益に資するものであると考えています。
イ.本新株予約権の無償割当時の影響
当社取締役会において本新株予約権無償割当決議を行った場合には、本新株予約権無償割当決議において別途定める割当期日における株主の皆さまに対し、その保有する株式1株につき本新株予約権1個の割合で本新株予約権が無償にて割り当てられます。仮に、株主の皆さまが、本新株予約権の行使期間内に本新株予約権の行使に係る手続を経なければ、他の株主の皆さまによる本新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化されることになります。
ただし、当社は、非適格者以外の株主の皆さまから本新株予約権を取得し、それと引換えに当社株式を交付することがあります。当社がかかる取得の手続を取った場合、非適格者以外の株主の皆さまは、本新株予約権の行使及び行使価額相当の金銭の払込みをせずに、当社株式を受領することとなり、保有する当社株式1株あたりの価値の希釈化は生じますが、保有する当社株式全体の希釈化は生じません。
(3) 本対応方針の合理性
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足していること、平成27年6月26日開催の第91回定時株主総会における株主の皆さまのご承認の下に更新されていること、一定の場合には株主意思確認総会において本新株予約権の無償割当てを実施するか否かについて株主の皆さまの意思の確認を行うこと、その内容として合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されていること、本対応方針の運用に関して独立性の高い社外者から成る独立委員会を設置しており、当社取締役会は本新株予約権の無償割当てを実施するか否かについての独立委員会の判断を最大限尊重して決議を行うこと、独立委員会は当社の費用で独立した第三者の助言を受けることができること、本対応方針の有効期間の満了前であっても当社株主総会又は当社取締役会の決議によって本対応方針を廃止できること、本対応方針は当社の株券等を大量に買い付けた者が指名し株主総会で選任された取締役により廃止することができるものとして設計されていること(デッドハンド型買収防衛策ではないこと)等により、その公正性・客観性が担保されています。