有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 14:30
【資料】
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【項目】
167項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図ります。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2018年4月から2021年3月までを「第6次中期経営計画」の期間とし、第5次中期経営計画で取り組んできた「既存事業の競争力強化」と「事業構造転換」を基本方針に、第6次中期経営計画では「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでおります。
<目指すべき利益目標>・連結営業利益 500億円
<第6次中期経営計画 - 2021年3月期の経営目標値>・連結営業利益 470億円
・ROA 3.8 %
・D/Eレシオ 1.5 倍 以下
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
(3) 会社の対処すべき課題
① 第6次中期経営計画(2018年4月~2021年3月)の進捗について
当社は第6次中期経営計画において、当社グループの持続的成長の実現に向け、洋紙事業の生産体制再編成、成長分野の事業拡大、新規事業の早期戦力化を推進しています。
第6次中期経営計画の2年目である2019年度は、生産体制再編成を進め、計画どおり抄紙機8台の停機を完了しました。パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各成長分野における設備投資も、ほぼ計画どおりに進めました。
また、新型コロナウイルス感染症の全世界における感染拡大を受け、日本製紙グループとしましては、代表取締役社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、本社・支社では不要不急の出張の禁止や、在宅勤務・時差出勤の推進など従業員の感染リスクを低減しています。生産拠点では3つの密の回避を徹底するなどの対策を講じた上で操業を継続し、製品の安定供給に引き続き努めてまいります。資金に関しては、不要不急の経費削減や投資の厳選などを実施するとともに、有事に備え機動的な資金調達を行い、手元流動性を確保していきます。
第6次中期経営計画の最終年度である2020年度は、各事業で掲げた施策を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症収束後に想定される、働き方を含めた社会の変容や環境意識の変化に対応し、情報伝達における紙からITへのさらなるシフト、通販や宅配の増加などの物流シフトに伴う包装資材の軽量化やバリア性向上への期待、衛生意識の高まりによる衛生用紙の役割増といった各事業における需要の変化を見極め、当社グループの持つ製品・ノウハウの最大活用にスピード感を持って取り組んでまいります。
洋紙事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種イベントが中止になるなど、チラシをはじめとした印刷物の減少が想定されますが、生産体制再編成の効果をきちんと発現させてコストダウンを図るとともに、生産販売の最適バランスを図り、重点課題である製品価格の維持に取り組みます。
板紙事業においては、国内と輸出の生産販売の最適バランスを図りながら製品価格の維持に努め、通販市場の拡大など需要の変化に応じた差別化製品の開発にも注力します。
これらの施策により、紙・板紙事業での安定収益確保に努めます。
液体用紙容器原紙事業では、紙容器のさらなる用途拡大を目指し、固形物・長繊維・高粘度充填が可能な紙容器無菌充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」を2020年度中に上市します。また、機械・包装資材・食品事業を手掛ける四国化工機株式会社とは、同社の紙容器成形充填機の独占販売権を有する総代理店契約に加え、2019年12月に資本業務提携契約を締結しました。両社のパートナーシップをより強固にすることで新充填包装システムの開発を加速し、さらなる競争力強化を図ります。
北米の日本ダイナウェーブパッケージング社で、2020年11月をめどにドライパルプマシンの工事が完了し、パルプ増産と拡販を図ります。また、2021年1月をめどに液体用紙容器原紙の品質対策工事が完了します。品質のさらなる向上や生産効率の改善を継続し、収益力を強化していきます。
段ボール事業では、2020年4月に豪州のオローラ社から、オセアニア地域での段ボール・パッケージ事業の譲り受けを完了しました。オーストラリアン・ペーパー社とともに新たに「オパールグループ」として統合しました。当社グループにおける段ボールやクラフトなど包装資材事業の成長を加速させていきます。
家庭紙・ヘルスケア事業では、2020年5月、クレシア春日株式会社において家庭紙第二抄紙機の稼働を開始しました。持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できることから「3倍巻き」に代表される長尺トイレットロールやキッチンタオルの販売をさらに伸ばしていきます。ヘルスケア製品は、高齢化の進行などに伴う生活様式の変化を背景に需要が高まっており、今後も、快適にお使いいただける製品の開発・上市に注力していきます。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、今後、医療用品の需要が増加していくことが想定され、現状の国内メーカーへの委託生産に加え、自社生産による増産も視野に入れた供給拡大の検討を進めてまいります。
ケミカル事業では、電気自動車や家電に搭載されるリチウムイオン電池の需要拡大に対応するため、2021年2月をめどに江津工場において機能性セルロースの増産対策が完了します。また、自動車塗料やフィルムインキ向けの機能性コーティング剤は、中期的に需要の拡大が見込まれることから、アジアを中心に海外市場でのさらなる拡販を図るべく増産工事を実施します。
エネルギー事業では、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備の安定操業に努めます。また、再生可能エネルギーへの注目が高まる中、バイオマス資源の調達力や発電設備の操業技術など当社の強みを生かした事業の拡大を図っており、北海道工場勇払事業所に設置するバイオマス専焼発電設備は、2023年1月の稼働を目指して建設工事を進めます。
セルロースナノファイバー「セレンピア®」(以下 CNF)や「シールドプラス®」、「ミネルパ®」などの新素材については、採用事例が増えています。江津工場のCM化CNFは食品や化粧品分野での採用が進んでいますが、直近では飲料向け紙製バリアカップに採用されました。石巻工場のTEMPO酸化CNFは自動車用タイヤ向けに採用され、引き続き産業用素材としての用途拡大に向けてスピード感をもって推進していきます。パルプと無機物の複合材料「ミネルパ®」は、消臭・抗菌や難燃などの機能を生かし、生活用品分野で2020年度中に採用される見通しです。
また、脱プラスチックの世界的な流れが加速する中、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まっており、“紙でできることは紙で。”を合言葉に製品開発を推進しています。紙製バリア包材「シールドプラス®」シリーズでは、より高品質な新製品「シールドプラス®プレミア」の2020年度中の上市を目指します。さらに、フィンランドの十條サーマル社では量産化に向けた工事が2020年7月に完了予定で、環境意識の高い欧州市場での展開を図ります。また、ヒートシール紙「ラミナ™」は、バリア性を必要としないプラスチック製包材の代替として、食品・化粧品・日用雑貨など多岐にわたる分野での展開を目指し、販売活動に取り組んでいます。2019年4月に販売を開始した紙ストローは、口当たりの良さや高い耐久性、安全性を特長としており、堅調な需要に対応すべく生産・供給体制を拡張しました。差し替え型容器「SPOPS®(スポップス)」は、詰め替え作業の軽減、使い捨てプラスチック量削減の観点から、ホテル向け製品の容器として採用されました。新素材に関しては、今後も新規採用に向けた用途開発を積極的に推進していきます。
投資活動は、財務規律を十分に考慮して実施を決定します。成長分野や新素材の事業では、新製品開発の促進や的確な顧客ニーズの取り込みが不可欠であり、必要な投資を行うことで事業構造転換を加速し、資金のみならず当社グループの人材・資産を含む各リソースを成長分野に配分することで、既存事業、成長分野の事業価値最大化を目指した施策を実行してまいります。
② PCB廃棄物について
PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の件につきましては、行政との連携を図り、適切な処理を進めるとともに、次のとおり再発防止策を実施しています。
第1に、コンプライアンスのさらなる重視です。当社グループの役員及び従業員を対象としたコンプライアンス研修を継続的に実施しており、2019年度は、当社及びグループ会社31社の取締役、執行役員などが研修を受講しました。
第2に、環境法令への対応です。主管部門が把握した法令改正情報について、日本製紙グループ環境委員会で共有し、対応状況の確認を行っています。この取り組みについて、法務担当部門がその内容を点検し評価しています。
第3に、監視・監督体制の強化です。環境監査では、監査部門以外からも監査人を選出し、多面的な監査を行っています。また工場に加え、本社の管理部門に対しても環境法令の教育を実施し、相互監視体制を強化しています。

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