有価証券報告書-第15期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/23 16:50
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3.重要な会計方針
(1)連結の基礎
当社グループの連結財務諸表は、当社及び子会社の財務諸表並びに関連会社の持分相当額を含めています。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
親会社の子会社に対する持分の変動は、子会社の支配の獲得後に生じ、子会社に対する支配の喪失とならない場合は資本取引として会計処理しています。当社の持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整しています。
子会社に対する支配を喪失した場合には、子会社の資産及び負債、子会社に係る非支配持分の認識を中止し、支配喪失後も継続して保持する残余持分について支配喪失日の公正価値で再測定し、生じた利得又は損失は純損益として処理しています。
非支配持分は、当初の支配獲得日での持分額及び支配獲得日からの非支配持分の変動から構成されています。
子会社の包括利益は、非支配持分が負の残高になる場合であっても、原則として親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分に配分しています。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。また、子会社の決算日が当社の決算日と異なる場合には、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく子会社の財務数値を用いています。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。関連会社は、当社グループが重要な影響力を有し始めた日より重要な影響力を喪失する日まで持分法によって会計処理しています。
重要な影響力を喪失した後、残存持分がある場合、公正価値にて測定し、持分法を中止した日現在の投資の帳簿価額との差額を純損益にて認識しています。
関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれんを含めています。
(2)企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しており、被取得企業において取得時に識別可能な資産及び負債、並びに非支配持分を公正価値(ただし、IFRS第3号「企業結合」により公正価値以外で測定すべきとされている資産及び負債については、IFRS第3号「企業結合」に規定する価額)で認識し、既保有持分を取得時における公正価値で再測定したうえで、移転された対価、再測定後の既保有持分価額及び非支配持分の公正価値の合計から識別可能な資産及び負債の公正価値の合計を差し引いたものをのれんとして認識しています。ただし、識別可能な資産及び負債の価額の合計が取得価額、再測定後の既保有持分価額及び非支配持分の公正価値の合計を上回る場合には、直ちに連結損益計算書において利益として純損益に計上しています。
仲介手数料、弁護士費用、デュー・デリジェンス費用等の、企業結合に関連して発生する取引コストは、発生時に費用処理しています。
すべての企業結合当事者が企業結合前後において、いずれも当社グループの支配下にある企業結合(共通支配下での企業結合)については、移転元の資産及び負債の帳簿価額を移転先に引き継ぐ処理を行っています。
企業結合が発生した報告期間末までに企業結合の当初の会計処理が完了しない場合、未完了の項目については暫定的な金額で報告します。それらが判明した場合には取得日に認識された金額に影響を与えたと考えられる、取得日に存在していた事実や状況に関して得た新しい情報を反映するために、暫定的な金額を測定期間(最長で1年間)の間に修正するか、又は追加の資産又は負債を認識しています。
なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しているため、当該取引からのれんは認識していません。
(3)外貨換算
① 外貨建取引
当社グループ各社の個別財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で作成されます。連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示されます。
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算します。期末日における外貨建の貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算します。また、公正価値で測定する外貨建の非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算します。当該取引の換算又は決済から生じる外貨換算差額は、純損益で認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる外貨換算差額については、その他の包括利益で認識しています。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については、期末日の為替レート、収益及び費用については、連結会計期間中の為替レートが著しく変動していない限り、その期間の平均為替レートを用いて日本円に換算しています。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる外貨換算差額は、その他の包括利益で認識しています。当該外貨換算差額は「在外営業活動体の外貨換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体の持分全体の処分及び支配又は重要な影響力の喪失をともなう持分の一部処分につき、当該累積外貨換算差額は、処分損益の一部として純損益に振り替えています。
(4)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する流動性の高い短期投資からなっています。
(5)金融商品
① 金融資産
(ⅰ)デリバティブ以外の金融資産の当初認識及び測定
当社グループは、デリバティブ以外の金融資産を、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の各区分に分類しています。デリバティブ以外の金融資産は、金融商品の契約上の当事者になった時点で当初認識しています。
償却原価で測定する金融資産
以下の要件を共に満たす金融資産を、償却原価で測定する金融資産として分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている場合
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接帰属する取引コストを含む)で当初認識しています。当初認識後は、実効金利法を用いて帳簿価額を算定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
以下の要件を共に満たす金融資産を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている場合
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる場合
資本性金融商品のうち売買目的で保有する金融資産以外の金融資産は、その公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行っています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引コストを含む)で当初認識しています。当該金融資産に係る利得又は損失は、減損利得又は減損損失及び為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止又は分類変更が行われるまで、その他の包括利益として認識しています。当該金融資産の認識の中止を行う際には、過去にその他の包括利益に認識した利得又は損失の累計額を、その他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産から生じる配当金については、明らかに投資の払い戻しの場合を除き、純損益として認識しています。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される場合又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される場合を除いて、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類しています。純損益を通じて公正価値で測定される金融資産は、当初認識後、公正価値で測定し、その公正価値の変動は純損益として認識しています。
(ⅱ)デリバティブ以外の金融資産の認識の中止
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転した場合に認識を中止します。当該譲渡において創出又は保持された権利及び義務については、資産又は負債として別個に認識しています。
(ⅲ)デリバティブ以外の金融資産の減損
償却原価により測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、契約資産及びリース債権に係る予想信用損失について、貸倒引当金を認識しています。
当社グループは、各報告日に、当初認識時と比べた信用リスクの著しい増大の有無を検証しています。なお、当社グループは、特定の金融資産が報告日現在で信用リスクが低いと判断される場合には、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大していないと評価しています。
金融資産に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大している場合、又は信用減損金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。著しく増大していない場合には、12ヶ月間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。予想信用損失は、次のものを反映する方法で見積っています。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
また、営業債権、契約資産及びリース債権については当初認識時から全期間の予想信用損失を認識しています。なお、当社グループは、ある金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しています。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は貸倒引当金を減額する場合における貸倒引当金の戻入額は、連結損益計算書上「その他の費用」又は「その他の収益」に含めて純損益で認識しています。
② 金融負債
(ⅰ)デリバティブ以外の金融負債の当初認識及び測定
当社グループは、金融負債を、金融商品の契約上の当事者になった時点で当初認識しています。当初認識時において、公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定します。当初認識後は実効金利法を用いた償却原価で測定します。
(ⅱ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消又は失効となった場合に認識を中止します。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスクや金利変動リスクをヘッジするために、先物為替予約、金利スワップ等のデリバティブ取引を行っています。これらのデリバティブは、公正価値で当初測定し、その後も各報告期間末の公正価値で再測定しています。
ヘッジ開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ関係並びにヘッジを実施するにあたってのリスク管理目的及び戦略について公式に指定し、文書化を行っています。当該文書には、ヘッジ手段、ヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかどうかを判定する方法を記載しています。これらのヘッジは、キャッシュ・フローの変動を相殺する上で非常に有効であることが見込まれますが、ヘッジ指定を受けたすべての財務報告期間にわたって実際に有効であったか否かを判断するために継続的に評価しています。
当社グループは、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブについては、ヘッジ手段として指定し、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しており、ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効な部分は、その他の包括利益として認識し、非有効部分は純損益として認識しています。その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。
ヘッジ指定を取消した場合、ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、もはやヘッジ会計として適格でない場合には、ヘッジ会計を中止しています。
なお、ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブは、公正価値の事後的な変動を純損益で認識しています。
④ 金融商品の相殺
金融資産と金融負債は、認識している金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有しており、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で計上しています。
(6)棚卸資産
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用が含まれており、主として総平均法に基づいて算定しています。棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額を測定します。取得原価と正味実現可能価額との差額は、当期の費用として処理します。
(7)有形固定資産
有形固定資産の測定については原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連するコスト、解体・除却及び原状回復費用並びに資産計上の要件を満たす借入コストが含まれています。
取得後に追加的に発生した支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合にのみ、当該取得資産の帳簿価額に算入するか個別の資産として認識するかのいずれかにより会計処理しています。取得原価に算入しない追加的な支出は、発生時に損益で認識しています。
土地及び建設仮勘定以外の各有形固定資産の減価償却費は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて計上しています。
主要な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2~50年
・機械装置及び運搬具 2~10年
・工具、器具及び備品 2~20年
なお、有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日ごとに見直しを行い、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
有形固定資産は、処分時、もしくは継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しています。有形固定資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、当該資産の認識の中止時に純損益に含めており、連結損益計算書上「その他の収益」又は「その他の費用」に含めて計上しています。
(8)のれん及び無形資産
① のれん
子会社の取得から生じたのれんは、取得日時点の公正価値で測定される被取得企業のすべての非支配持分の金額を含む移転される譲渡対価の公正価値から、取得した識別可能な取得資産及び引受負債の取得日における正味の金額を超過した額として当初測定しています。のれんは当初、取得原価で資産として認識し、償却は行わず、毎期減損テストを実施しています。
のれんは、企業結合によるシナジー効果によりキャッシュ・フローの獲得への貢献が期待される資金生成単位(最小の単位又はグループ)に配分され、のれんが配分された資金生成単位は、各連結会計年度末、又は減損の兆候がある場合には随時、減損テストが実施されます。連結財政状態計算書には、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で計上しています。のれんの減損損失は連結損益計算書の「その他の費用」において認識され、その後の戻入れは行っていません。
子会社の処分の際には、関連するのれんの金額は処分の純損益に含められます。
② 無形資産
のれんを除く無形資産(社内利用ソフトウエア、開発費及びその他の無形資産)の認識後の測定については原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。
個別に取得した無形資産の取得原価は、資産の取得に直接起因する費用を含めて測定し、企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日時点における公正価値で測定します。
自己創設の無形資産については、以下のすべての条件を満たしたことを立証できる場合にのみ、資産計上しています。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させて、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
・無形資産を使用又は売却する能力
・無形資産が蓋然性が高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
開発資産の当初認識額は、無形資産が上記の認識条件の全てを初めて満たした日から開発完了までに発生したソフトウエア及びハードウエア開発費用の合計額であり、定額法で償却しています。
無形資産は、耐用年数を確定できない無形資産を除いて、それぞれの見積耐用年数にわたって、定額法で償却しています。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・社内利用ソフトウエア:3年~5年
・開発費 :開発した製品の見積ライフサイクル期間(主に1年~3年)
無形資産の償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日ごとに見直しを行い、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(9)投資不動産
投資不動産とは、賃貸収入又はキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産です。
投資不動産は、当初認識時には取得原価で測定し、当初認識後は割引キャッシュ・フロー法又は外部の鑑定評価によって毎年算定される公正価値で測定しており、公正価値の変動は純損益で認識しています。
自己使用不動産から投資不動産への用途変更日においては、帳簿価額と公正価値との差額について帳簿価額に生じたすべての増加額は、当該増加額が過去に当該不動産のそれ以前の減損の戻入になるものでない限り、その他の包括利益に認識しています。
(10)リース
当社グループでは、契約の締結時に契約により特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースである又はリースを含んでいると判定しています。
契約がリースである又はリースを含んでいると判定した場合には、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しています。
① 借手としてのリース
リース開始日において、使用権資産は取得原価で、リース負債はリース開始日における未払リース料総額の現在価値で測定しています。使用権資産の取得原価はリース負債の当初測定額に直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で測定しています。
使用権資産は、見積り耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しています。リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は純損益で認識しています。
リース負債は、残存リース料をリースの開始日の借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しています。リース料には固定リース料、変動リース料のうち指数又はレートに応じて決まる金額、購入オプションの行使価格、リースの解約におけるペナルティの支払額を含めています。リースの開始日後は、リース負債の残高に対して毎期一定の率となる金利費用を純損益で認識、当該金利費用及び支払われたリース料を反映するように測定しています。
リース期間は、リース契約に基づく解約不能期間に行使することが合理的に確実な延長オプション、解約オプションの対象期間を調整して決定しています。
なお、リース期間が12カ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しています。
② 貸手としてのリース
ファイナンス・リース取引については、正味リース投資未回収額をリース債権として認識し、受取リース料総額をリース債権元本相当部分と利息相当部分とに区分し、受取リース料の利息相当部分への配分額は、利息法により算定しています。
オペレーティング・リース取引については、受取リース料をリース期間にわたって定額で純損益にて認識しています。
(11)非金融資産の減損
当社グループは各年度において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合又は耐用年数を確定できない無形資産、のれん等毎年減損テストが要求されている場合には、その資産の回収可能価額を見積ります。個々の資産について回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積ります。
回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分費用控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定します。処分費用控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用します。また、使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割り引きます。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、回収可能価額まで減損損失を計上します。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて評価を行います。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、減損損失を戻入れます。
(12)従業員給付
① 退職後給付
(ⅰ)確定給付型制度
当社及び一部の連結子会社では、確定給付型の企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。確定給付制度に関連して連結財政状態計算書で認識される負債及び資産は、報告期間の末日現在の退職給付債務の現在価値から年金資産の公正価値を差し引いた額(又は報告期間の末日現在の年金資産の公正価値から退職給付債務の現在価値を差し引いた額)です。この計算により積立超過がある場合は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を上限として、資産として計上しています。退職給付債務は、独立した年金数理人が予測単位積増方式を用いて毎年算定します。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間をもとに割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定します。
退職給付費用のうち、勤務費用、確定給付負債の純額に係る利息純額については純損益で認識し、見積りと実績との差異及び数理計算上の仮定の変更から生じた数理計算上の差異を含む再測定は、発生した期間にその他の包括利益として認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えます。過去勤務費用は、直ちに純損益で認識しています。
(ⅱ)確定拠出型制度
当社及び一部の連結子会社では、確定給付型制度のほか、確定拠出型制度を設けています。確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払いについて法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出型制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しています。
② その他の従業員給付
その他の従業員給付は、割引計算をせず、従業員が関連するサービスを提供した時点で費用として認識しています。賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的債務又は推定的債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積れる金額を負債として認識しています。
(13)引当金
引当金は、当社グループが過去の事象の結果として現在の法的又は推定債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しています。
貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、当該引当金は負債の決済に必要と予想される支出額の現在価値で測定しています。現在価値は、貨幣の時間的価値とその負債に特有なリスクを反映した税引前割引率を用いて計算しています。時間の経過による影響を反映した引当金の増加額は、金融費用として認識しています。
①製品保証引当金
販売製品に係る一定期間内の無償サービスの費用に備えるため、当該費用の発生割合に基づいて見積った額を計上しています。
②資産除去債務
当社グループが使用する工場設備や敷地等の賃貸借契約に付随する原状回復義務等、通常の使用に供する固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務を有する場合には、主に過去の実績等に基づき算出した将来支出の見積額に基づき資産除去債務を認識しています。
(14)資本
① 資本金及び資本剰余金
当社が発行する資本性金融商品は、資本金及び資本剰余金に計上しています。また、その発行に直接起因する取引コストは資本剰余金から控除しています。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、取得原価で認識し、資本から控除して表示しています。また、その取得に直接起因する取引コストは、資本剰余金から控除しています。
自己株式を売却した場合には、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しています。
(15)収益認識
当社グループでは、以下の5ステップモデルを適用して収益の認識及び測定を行っています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時点に(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループの事業は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、パブリックサービス分野及びメディアサービス分野より構成されており、各分野において製品販売及び役務の提供を行っています。また、パブリックサービス分野においては製品販売に付随して無線システム及び業務用システムの据付サービスなどの役務の提供も行っています。
・製品販売
製品販売については、主として顧客への製品の引渡し時点で製品に対する支配が顧客に移転し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しています。これは、法的所有権、製品の所有にともなう重大なリスクと経済価値、物理的占有の移転及び対価の支払いを受ける権利が製品の引渡し時点で生じると総合的に判断したためです。
製品販売においては、販売の促進のために顧客に対してリベート等を付して販売することがありますが、その場合には顧客との契約で定める価格から過去の経験及び顧客との交渉により合理的に予想される見積り額を控除した金額で取引価格を算定しており、重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ収益を認識しています。
また、顧客に対して返品権を付して販売する製品については、収益の控除として返金負債を認識しています。返金負債の見積りは過去の経験及び報告期間の末日現在で入手可能な情報に基づき行っており、仮定の妥当性及び見積り返金額は期末日ごとに再評価しています。なお、顧客が製品を返品する場合、当社グループは顧客から製品を回収する権利を有するため、当該製品の従前の帳簿価額から回収のための予想コストを控除した金額で当該権利を資産として認識しています。
・役務の提供
役務の提供については、以下の3つの要件のいずれかを満たす場合、その基礎となる財又はサービスの支配は一定期間にわたり顧客に移転しているとみなし、一定期間にわたり収益を認識しています。
(a)当社グループが履行義務を履行するにつれて、顧客が履行による便益を受け取り、同時に消費する
(b)当社グループの履行により、仕掛品などの資産が創出されるか又は増価し、当該資産の創出又は増価につれて顧客が当該資産を支配する
(c)当社グループの履行により、当社グループにとって代替的な用途がある資産が創出されず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行義務に対する支払を受ける法的に強制可能な権利を有している
無線システム及び業務用システムの据付サービスのうち一部のサービスは契約の観点から区分可能であるため、製品販売とは独立した別個の履行義務として識別していますが、上記の要件を満たした据付サービスは、一定の期間にわたり発生コストを基礎とした進捗度を測定して収益を認識しています。
また、当社グループでは当社製品の販売後において有償の保守サポートサービスを提供していますが、独立した履行義務として識別され、かつ、上記の要件を満たしたサービスは、一定の期間にわたり経過期間を基礎とした進捗度を測定して収益を認識しています。
・金融要素
当社グループは、製品又はサービスの顧客への移転と顧客による支払の間の期間が1年を超えることが予想される重要な契約はないため、取引価格について貨幣の時間価値は調整していません。
(16)借入コスト
意図された使用又は販売が可能になるまでに相当の期間を必要とする資産である、適格資産の取得、構築又は製造に直接関連する借入コストは、当該資産が実質的に使用又は売却することができるようになるまで、当該資産の取得原価の一部として資産に計上します。その他の借入コストは、発生した会計期間に費用として認識しています。
(17)法人所得税
法人所得税費用は当期税金費用及び繰延税金費用から構成されています。
これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、当期利益で認識しています。
当期税金費用は、期末日時点において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得又は損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りに、前年までの納税見込額あるいは還付見込額の調整額を加えて算定しています。
繰延税金費用は、報告期間の末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しています。
企業結合以外の取引で、かつ会計上又は税務上のいずれの損益にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識に係る差異については、繰延税金資産及び負債を認識していません。さらに、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を認識していません。
繰延税金資産は、未使用の税務上の欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は各報告期間の末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分について減額しています。
繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消されるときに適用されると予想される税率を用いて測定しています。繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれらの税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しています。
当社及び国内の100%出資子会社は、当連結会計年度からグループ通算制度を適用しています。
当社グループは、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しています。
(18)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期損益をその期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。
希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、親会社の所有者に帰属する当期損益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しています。
(19)配当
配当金については、取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しています。
(20)売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産及び処分グループとして分類し、非流動資産は減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しています。
非継続事業には、既に処分されたか又は売却目的保有に分類された企業の構成要素が含まれ、グループの一つの事業若しくは地域を構成し、その一つの事業若しくは地域の処分の計画がある場合に認識しています。
(21)株式に基づく報酬
当社は、前連結会計年度より信託を用いた株式報酬制度を導入しています。当制度により算定された報酬は費用として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しています。